6年3組物語 第20話

幼い上級生

「年下のくせに、生意気だぞ!」
 この地方に平年よりずっと早い梅雨明けが発表された、7月上旬のある暑い日の夕方。
校区内にある神社の裏で、府川里奈は数人の男子児童たちに取り囲まれていた。
その中で、そんな怒鳴り声を上げたのは彼らのリーダー格、5年生の少年だった。
そんな少年を、一回り小さい残りの3人の少年たちが見守っている。
彼らにとってこの5年生が、頼みの綱だったのだ。

 3人組は皆、Y小学校の4年生。去年まで、里奈と同級の3年生だった。
彼らは去年から毎日のように、よってたかって里奈に…いじめられていた。
体格も力も違いすぎる里奈にこの少年たちは全く敵わず、1人ずつかかっていっても、3人で一斉にかかっていっても
ものの見事に返り討ちにされ、そして毎回泣くまでいたぶられた。
学年が変わってもこの地獄は続くのかと思われたものの、里奈は学校の新しい試みのモデルとして突然の飛び級が決まる。
早生まれのため9歳になって間もないうちに、里奈は6年生へと進んだのだった。
通う教室も離れ、遭うことも少なくなったからか彼らは里奈からの暴力に泣き、怯えることはなくなっていった。
たまに顔を合わせることはあっても、昨年度のように暴行を加えられることはない。
「おチビ君たち、4年生の授業楽しい?」
 そんな軽い憎まれ口を投げかけながらすれ違うだけだ。
もう、直接的に痛めつけられることはないが…彼らの憎しみが消えてなくなることはなかった。
むしろ、あの里奈が急に上級生になったことで肉体的のみならず精神的にも見下ろされている感覚が腹立たしかった。
実際2歳も年上の同級生(しかも3組は大人の男をも上回る女子児童のほうが多い)と日々触れ合って暮らし、
たまに男子中学生まで喧嘩で泣かしてしまう里奈にとって4年生の男の子など対等の相手ではなくなっていたのだ。
環境が、里奈の心を体つき以上に早く成熟させていっていた。
姉から弟のような見方が、彼らには許せなかった。元々は、同い年なのに…

 そこで彼らは今日、同じ町内の遊び仲間で一番格上の5年生・昌平に頼み込んだ。生意気な女子を、シメてほしいと…
昌平は同学年の間でも喧嘩の強さで名が通っており、そうした頼み事を持ち込まれることも少なくなかった。
話だけ聞き、どうせこいつらの元同級生で本来4年の女なんてと思い、軽く引き受けた昌平は
今ここで彼女相手に凄みながら、内心は浮き足立っていた。
(な、なんだこの女…こいつらと同じ年下じゃないのかよ……)
 話が違う、と下級生の3人組に文句を言いたいぐらいだった。
今まで喧嘩をした相手とは全く違う長身。6年生の遊び仲間にも、こんな高さは存在しない。
だが上級生である手前、泣き言を言うわけにはいかなかった。しかも、頼られている立場だ。

「生意気なのはそっちじゃないの?下級生のくせに」
 年上の男に凄まれても、里奈からの反応は全く動じないものだった。
「何だと?」
「『生意気』なんて、5年生のガキが偉そうに使っていい言葉じゃないんだよ。
調子に乗って大人ぶっててもダーメ。しかもこんなおチビちゃんが」
 里奈は手のひらを下に向けて昌平の頭上に持ってくる。両者の身長差は20cm近くにもなる。
手下の3人組と同級生だった女子児童にこんな下に見られた扱いをされたことで、昌平の自尊心は傷つけられた。
「ガキはてめえだろ、このっ!!」
 頭に血が上った昌平が殴りかかっていく。
本当ならまだ4年生の、しかも女に子供扱いされることは我慢ならなかった。
 パシッ。
「ぐっ…」
 昌平が繰り出した右の拳は里奈の左手に軽くキャッチされる。
続いて怒りのままに放った左も同様に彼女の右手に。
そこからは小学生の喧嘩にありがちな、組んで押し合うような形になる。こうなっては…
「何それ?よっわ」
 身長だけでなく力でも大きく上回った里奈に、昌平が敵う望みはない。
真上からグイッと力を込められ、昌平はあっけなく膝を土の地面に落としてしまう。
これで余計力が込められなくなり、もう里奈のなすがままだ。返された手首からも、握り締められる手からも悲鳴が上がる。
「わからせてほしいの?違いってのをさ…」
 メリメリッ…
「あがっ…あああ!」
「年下のくせに、何だって?もう1回聞かせてよ」
 ドシャアアッ!
 里奈は力比べでほとんど押し潰す体勢だった昌平を、さらに力任せに真横に投げ飛ばした。
土煙を上げてうつ伏せにスライディングする昌平。そこに間髪入れず、背中に凄まじい重みがのしかかる。
「ぐうううっ!!」
 悲鳴とともに、体の全ての息が搾り出される。里奈のジャンピングヒッププレスが炸裂したのだ。
前に小柄な中学生をぶちのめした際にも繰り出した、里奈の喧嘩の必勝パターンだ。

「生まれたのが1年ぐらい早かっただけで、ザコはザコじゃん」
 休む間も与えられず引きずり起こされようとする昌平。しかし消耗した足腰がそれについていけない。
 ビリッ、ビリビリ。
 里奈が昌平の半袖シャツの襟首だけを持って引き起こそうとしていたため、脚で立てず全体重を掛けられてしまった
昌平のシャツが音を立てて引きむしられ、あっという間に上半身裸にされる。
「立てよ、ほらぁ」
 苛立ちを含んだ里奈が今度は昌平の半ズボンの腰を掴む。そのまま抗うことも許さない力の違いで真上に引き上げると
伸びきったゴムのウエストから尻が丸出しになる。里奈は昌平のズボンを、下のブリーフごと掴んでいたのだ。
取っ手を片方しか持たなかった買い物袋から品物がこぼれ落ちるように、昌平の下半身がズボンから抜け落ちる。
半ズボンとパンツがねじり鉢巻のような形になって絡み合った輪っかから、全裸の昌平が脱落して土にまみれる。
あまりの滑稽さに里奈は大笑いを始めた。
「かっ、返せ…!!」
 下級生の前で晒した恥辱に、昌平はヨロヨロと立ち上がって半泣きで里奈からズボンを奪い返そうとする。
おかしくてまだ笑いが止まらない里奈が高々と掲げるそれに、昌平は何度も飛びつく。
だがそれは絶望的だった。150cm弱の昌平が、169cmの里奈に高い場所まで持ち上げられた物を取り返すには…
加えてダメージの残って弱った足腰だ。柳の枝に向かって飛び上がる蛙のような昌平のジャンプは、回を追うごとに衰え
上にぶら下げられたズボンへの距離はますます遠くなっていく。
憎い里奈を倒すための切り札、最後の望みと思っていたリーダー格の上級生がその里奈を何ら手こずらせることもできず、
一方的に痛めつけられてさらに裸に剥かれて遊ばれているその光景に、
かつての同級生だった男子児童3人組も同様に胸と喉が詰まり、泣き出してしまいそうになっていた。
昌平君ならきっとやっつけてくれる、何とかしてくれる…そんな心の支えを里奈のスニーカーに根っ子から蹴り倒された心境。
信じられるものを失った少年たちに広がる絶望の闇は計り知れないものがあった。

「返せ…返せよぉ……!」
 未熟な真性包茎をプランプランバウンドさせながら力感のないジャンプをまだ繰り返している昌平。
明らかに泣いている、情けないか細い声を上げながら。
「フリチンで近づかないでよ、キモい!」
 バーン!!
 神社の表側にまでエコーの響き渡る強烈な平手打ちが炸裂、昌平は両手で頬を押さえながらナヨナヨと膝から崩れた。
今までに触ったどんな物質よりも熱く焼け付く頬への感触、奥歯の根本、脳の奥深くにまで染み渡る激痛に麻痺する聴覚…
昌平から、里奈に対する戦意を1%残らず奪い去るには十分な一発だった。
「どうせならもっと頼りになる奴、連れてきたら?」
 昌平が足元に丸まった後、彼を最後の頼りにしていた元同級生3人組に再び里奈の視線が移る。
3人は音がしそうなほどに血の気を引かせる。昌平を襲った惨劇が、これから自分たちにも降りかかることを予感して。

「ほらぁ!」
 ズドン!
「ひぎいいぃ!!」
 しかしそれは今のところ杞憂だった。里奈はさらに昌平への攻撃を続行した。
里奈の靴が丸出しになっている昌平の尻に叩き込まれる。
「喧嘩で負けたら、何て言うの?」
 ボグ!!
「あぅぅ!!」
「何かあるでしょ、負け犬らしい挨拶がさぁ」
 バシン!!
「あああ〜!!」
「まさかその程度も知らないの?いい年して。頭わる〜い」
 ドズッ、ドゴッ!!
「ぎゃぁぁ…ご、ごめんな…さ…ぃ……」
「それだけ?他には〜?」
 バン!
「ま…まいりまじだ……かん、べん…してください!!」
「この中で、一番強いのはぁ?」
「り、り…り、な……」
 ズバァン!!
「なぁに?呼び捨て?」
「り!!里奈さんです…」
「聞こえな〜い」
 ビシッ、バシィ!!
「里奈さん…里奈さんですっ!!」
「その一番強い里奈さんに、どうして欲しいの?」
 バァン!!バァン!!バァン!!バァン!!
 バァン!!バァン!!バァン!!バァン!!
「ぁぎゃぁあああ!!お願、いです…許じでぐだざぁああああい!!」
 他の体の部位に比べて柔らかい、クッション製のある尻への蹴りだが、その1発1発は骨の髄まで響き渡る重さだった。
息を詰まらせながら、敬語で謝り続ける昌平。
彼を頼りにしていた3人組は、とてもまともに直視できないでいた。
「こいつ、しばらくは学校でもトイレでもまともに座れないね。
ま、身の程知らずな真似したんだから自業自得かな」
 ようやく地獄が止んだ後、昌平の尻は発情期の猿と見紛うほど見事に赤々と染め上がっていた。

「…で、あんたたちはそのまんまでいいの?」
 尻を真っ赤に腫らした惨めな全裸で土下座、さらに頭を9歳の女の子に踏み躙られている先輩の男。
間近でそれが繰り広げられている中、突如投げかけられた里奈からの言葉に4年生たちは身を硬くした。
「こいつは誰のおかげで、こんな目に遭ってると思ってるの?」
「……」
 彼らは何も言い出せない。ただ、夏らしい蝉の鳴き声が、沈黙の中で響いている。
「わかんないかなぁ、言ってる意味が。4年生のガキじゃ、しょうがないかもしれないけど…
あんたたちが頼ってた兄貴分がこうしてあたしに謝ってるんだよ。
その原因を作ったあんたたちも、同じように責任取るのが筋とか思わない?」
 全部あたしの口から言わせないとわからないぐらいバカなの?と眼光で訴えかけながら
里奈は腕組みをしたまま、足で昌平の頭をバスケットのドリブルのように扱っている。
夏の日差しに焼けた熱い土の地面に、ドンドンと音を立ててバウンドさせられる昌平の顔。
涙が、熱した土を顔面に貼り付ける。
里奈の言葉の意味を大体感じ取った3人組は震えながら、それでもなかなかその通りの行動へと移せず
里奈に従うのか従わないのかはっきりさせられない態度で
ただおずおずと不自然な手足の動きをさせながら互いの顔を見たり目線を泳がせたりするばかり。
「一番遅い奴、ビンタ」
 里奈が付け加えた短い言葉に背筋を冷たくした3人は意を決し、先を争うように自らの衣服を脱ぎ始めた。
喧嘩が自慢の昌平が一撃で泣き崩れたあのビンタが自分を襲ったら…その恐怖が恥ずかしさを上回ったのだ。

 3人のうち2人がほぼ同じ速さで脱衣を完了させる。
とにかく一番遅くなかったからぶたないでくださいとばかりに素っ裸で直立する2人。
先端まで包皮に覆われた、しぼんだ朝顔のような一物をプルプル揺らしながら気をつけの姿勢を取る2人の姿に
里奈は思わず吹き出してしまった。
そして遅れた残りの1人は、焦るあまりブリーフを爪先に引っ掛け、脱ぎながら転んでしまっていた。
「あーあ残念だったね、あとそれ1枚だったのに」
歩み寄ってきた里奈に強引に引き起こされる。その力強さが、さらに恐怖を煽る。
 バチーン!!
 またも痛烈な打撃音が反響し、張り倒されて脳震盪を起こした少年は
靴を履いて足首にブリーフを絡ませた、全裸よりも恥ずかしい格好で大股開きのまま熱い土の上に就寝した。
さっきの昌平より近い位置でビンタの音を聞かされた2人はますます、背筋も股間も縮み上がる。
もしあんなのを喰らったのが自分だったら…そして、今は助かったけどこれから何をされるのか…

「う、う〜ん……」
 頬に真っ赤なもみじを刻印されて眠りについていた少年がようやく目覚めてから視界に入ったものは、
「!!」
 気絶させられる前に見たとおり全裸の仲間3人。しかしそれ以上に異様だったのは、
四つん這いで高く掲げられた上級生の真っ赤に染まった尻を、同級生の2人が同じように四つん這いになって舐めている光景だった。
同じ男の尻をペロペロ、ペチャペチャと音を立てながら舌を這わせ続けている友達の姿。
里奈に命令されて、逆らえずやらされている行為であることはすぐに理解できたが…
あまりにもショッキングなものを見せ付けられて、少年は言葉など何も出てこない。
「ん?起きてきたの、やっと。あんたが呑気に寝てる間、仲間の2人は先輩に対する誠意を見せてくれてるけど?」
 散々打ちのめされ傷ついた尻を舐めて癒してあげている2人も、舐められている5年生も、そろって泣いている。
9歳の女の子に喧嘩で惨敗した挙句に強要されてのこんな仕打ち…あまりにも、惨めだった。
「そういえばあんた、携帯持ってたよねぇ」
 里奈の口から出たその言葉に、4人全員が一斉に青ざめる。
何をやらせようとしているのか、想像できたからだ。
「記念に残してあげてよ。お友達の、先輩思いな優しいところをさ」
 この恥ずかしい様子を、写真に撮れと言いたいのだった。
「誰が勝手にやめていいって言ったの?」
 ビシッ、ボスッ。
 里奈の言い出した無情な言葉に舌の動きを止めていた少年2人の尻、脇腹に、すかさず里奈のキックが飛んだ。
その重さ、痛さに悶絶しながら2人は恐怖に駆られるまま、昌平への舌奉仕を再開する。
「さ、この仲間同士の美しい友情を思い出に残してあげようよ」
 ユーモアを含んだ口調の中に、逆らえない恐ろしさを包んだ里奈に観念したのか、携帯を持った少年は
里奈に指示されるがまま、彼らの人には見せられないみっともない行為の最中を何枚も撮影させられる。
3人の全体像、1人1人の泣き顔のアップ、四つん這いの股間にぶら下がる縮こまった一物…
電子的に再現されたシャッター音が鳴るたび、男たちは惨めさに震えた。
「うーん、いい絵が撮れたね。じゃ、送ろっか」
「ええっ!?」
 撮影し終えた少年がさらなる驚きの声を上げる。昌平は顔を引きつらせた瞬間、里奈に頬を蹴り飛ばされた。
残りの2人は身をこわばらせながらも、里奈の蹴りに怯えて舌を休ませられない。
「ええーじゃないでしょ。男同士の熱い友情を、他の子たちにも手本として広めてあげなきゃ。
きっと、学校とかで人気者になれると思うよ。登録してるメアドに全部送ってあげてね」
 そんなことをしようものなら…こんな写真が学校や塾で広まったりしたら…完全にアウトだ。
彼らはもうこの町で生きていけなくなる。
そしてこれを送った少年も、後で3人にどんな目に遭わされるか…
「で…で…でも……」
「送れっつってんだろ」
 急に語気を強めると、髪を掴んで自分を見上げさせ、鋭い目線を至近距離で上から突き刺す里奈。
その威圧感に、彼がそれを断る意思は根こそぎ摘み取られた。
里奈の、不正を許さない視線に監視される中で、少年は震える指先で命じられるままにメールの操作をさせられる。
男子児童3人の痴態が残された写真全てを添付したメールが、登録してあるあらゆる知り合いのアドレスへと…
この少年たちの明日からが崩壊してしまうことを意味する、封書が流れていくアニメーションが画面に表示され、

 送信しました
   [OK]

 そう映し出された画面を確認した里奈は険しい視線を解いて少し優しい口調で、
「はーい、お疲れ♪」
 ボグッ!!
 口とは裏腹の激しい膝を、お駄賃として彼の股間に突き立てた。
彼は爪先が数cm浮き上がり、携帯を手からこぼしながら全身に玉の汗を浮かべた団子虫となって再び土の上に昏倒。

 力の差を思い知らせ、たっぷりと恥をかかせて男の意地やプライドを徹底的に引き剥がして破壊、
二度と反抗する気など起こさせないほどの蹂躙。
誰に教わるでもなくこんな支配のやり方を自然に身に付けている、里奈は天性のサディストだった。
「あーあ、あんたたちがこんなところに呼び出したせいでお気にの靴が汚れちゃったじゃん」
 買ったばかりの、ピンクのスニーカー。雨の日や、体育の授業などで運動場に出る日は履いて行かないと決めていたほど
大事に使っていた好きな靴だったのだが、彼らにここまで連れてこられたことで裏に土が付いてしまっていた。
「責任持って、きれいにしてもらうから」
 里奈は昌平を蹴り倒すと近くの岩に座って、仰向けになった彼の顔面をスニーカーで覆い尽くした。
泣き濡れた昌平の顔はソールの泥汚れを落とすのに最適だった。押し当てて、擦り回せば茶色い汁が顔を伝って流れ落ちていく。
涙は後から後から潤沢に湧き出てくる。ソールの深い溝に挟まりこんだ土も掻き出されて、きれいになっていく。
その反面、掃除用具として使われている昌平の顔は涙が古い汚れを洗い流しては新しい汚れにまみれ、
ゴシゴシ、ジャリジャリという音とともに、瞼も鼻も口も焦げ茶色に覆われ続けていた。
7月の日差しに熱せられた、草いきれの漂う地面の上で、9歳の女の子のスニーカーに視界を埋め尽くされ、
彼女の足の重みと、ゴムと土の味を嫌と言うほど味わわされる。
唯一フリーの耳には、神社裏の雑木林からの蝉の合唱と下級生の鼻をすする音が聞こえてくる。

 靴掃除の間、金蹴りで意識を失っている1人を除いた2人の元同級生には退屈しのぎの芸を命じた。
犬に仕込むようなチンチンのポーズのまま、いいと言うまでその場で回り続けるようにと。
1歳年上の下級生は顔を靴裏の泥汚れ落としのマットとして使用され、
同い年の少年たちは逆らう意思も完全に奪われただただ怯えながら屈辱的なペット芸を披露させられ続ける。
涙を流し、うわずった泣き声と鼻水の音を立てながらグルグルグルグル回る素っ裸の元同級生を見つめながらも、
里奈の意識はもっと上へと向いていた。
(うーん…この程度じゃ弱いなぁ。もっとインパクトのある奴隷で驚かせないと)
 自らの所属する男子飼育委員会でこれまでに見てきた、愉快な弱虫男たちの芸の数々。
めぐみのキス奴隷、智美に蹴られただけで射精する実験台、などなど…
委員会が開催されるたびに里奈は驚き、S的好奇心は高まっていくばかり。
負けず嫌いの里奈は黙っていられなかった。いつか、私も自分の奴隷の面白い芸を見せ付けたい!と。
これまでにメンバーのみんなから見せてもらった男たちの姿と比較すれば、こいつらは印象や新鮮味で全然敵わない。
こんな弱い4年生や5年生を披露しても自慢にならない。
自分がグループで最年少だからって、それなりのレベルで満足したくない!里奈は燃えていた。
男子飼育委員会のメンバー全員をあっと言わせるような奴隷にパフォーマンスをさせなきゃ…
そう思っていたら、こんなところで遊んでいるのも無駄に思えてきた。
靴の清掃に使っていた昌平の顔面の真上で里奈は突然スクッと立ち上がると、
お回りさせていた少年2人にやめていいとも言わないまま神社をあとにするのだった。


 つづく





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