エージェント・スマイル

地下深く埋設された基地の通路に甲高い警報音が響き渡る。
「どうした!早く捕まえるんだ!」
後手後手に回る警備隊にの不甲斐なさに、堂々とした体躯の基地指令は苛立ちを隠せずにいた。

その侵入者は単独と思われたが、厳重な警備網をものともせずに
司令部のある最下層へと確実に近づいていた。
直接接触した部隊は瞬時に倒されており、また各所に設置された
監視カメラは基地内ネットワークを遮断されて、その姿は今だ捕らえられていなかった。
不可解なのは鋼鉄製の鉄格子で確実に閉鎖されていたはずの
通路を通らなければ、たどり着けない経路をたどっているとしか思えないことだ。
「なぜあの通路を突破できるんだ。監視映像はまだ復旧しないのか!?」
「ネットワークの強制再起動に成功、まもなく復旧します」
オペレーターの懸命の復旧作業により、数秒後警備システムは暫定的に復旧した。
しかし監視モニタに映し出された映像に一同は驚愕した

「ばかな・・・、どうなってるんだ」
映し出されたのは倒された警備部隊と破壊された防御設備だった。
鉄格子は真ん中を何か巨大なもので打ち抜かれたようにひっしゃげていた。
「ネットワークは遮断されていたが、各カメラ自体は録画記録を残してあるはずだ、すぐに再生してなにが起きたのか確認するんだ」
「は、はいっ」
「あら、そんな必要は無いわよ」
突如指令室内に女性の声が響き渡る。と、同時に室内の電源がいっせいに落ちた。

「侵入者だ!捕獲しろ!殺してもかまわん!」
あわてて基地指令は叫ぶが、部下の返事を聞く前に部屋の各所から
肉を打ち据える重たい打撃音と苦痛のうめき声があがる。
数十秒の不気味な連続音が終わると、急に室内に静寂が訪れた
「な、なんだというんだ・・・」

暗闇の中狼狽する基地指令は数歩後ずさる。
すると突然室内の電源が回復、照明が点灯しモニターに灯がともる。
室内の警備員、オペレーターはすべて打ち倒されているのが露になり、
状況が理解しきれずに呆然とした基地司令は、モニタの前に見慣れぬ人影が立っているのに気が付いた。

「き、貴様が・・・」
「そうよ、わたしがみんなやったの」
モニタの前にいた人物は奇妙な格好をしていた。
両手には指抜きグローブをはめ、真っ黒のレオタードのようなボディースーツの上に、
青いハッピのような上着ををはおっている。
下半身は太腿半ばまで素足をさらし、その下はレザー製のレガースのようなもので固めていた。

しかし本当に驚かされるのはその衣装に包まれた彼女の肉体だった。
身長は女性としてはかなり高く、180cm近い。
大きく開いた胸元はボディースーツを高々と突き上げる双球が揺れていた。
その大きさにもかかわらず挑むように盛り上がっているのは、強靭な大胸筋が支えているのだろう。
肩幅は広く、丸く盛り上がる両肩の筋肉に続き、剥き出しの両腕には逞しい筋肉がうかがえた。
上着をとめる腰紐はその括れたウェストを強調し、その下のみっしりと張り出したヒップラインを見せ付ける。
何より目を引くのはその両脚だ。
半ばまでさらされた太腿は巨大な太腿筋が絡み合い、その括れたウェストと同じくらい太かった。
また脹脛は完全に覆われているにもかかわらず、くっきりと盛り上がり、逆ハート型にその姿を露にしていた。
ただ太いだけでなく、膝や足首はぎゅっとくびれていて、その筋肉にもかかわらず女性らしい
グラマラスなボディラインをより引き立てていた。
規格外のボディの持ち主は、プラチナブロンドに鉢巻を締めた気の強そうな美女だった。

驚きのあまり動くことも出来ない基地司令だったが、はっと記憶の隅に引っかかるものを覚えた。
「貴様・・・もしや元CIA諜報部員のレイチェルか?」
「あら、案外有名だったかしら。結構機密度の高いとこだったんだけどなー」
「中央捜査室付きのエージェントが突然失踪すれば、それなりの情報は回ってくる・・・」
いくつかの噂話はきいていた。
数年前にワンマンアーミーとも呼ばれる能力をもった女諜報員が突如失踪したと。
現在もその行方はつかめていないらしいとも。

「なぜ今になって現れたんだ」
「そうねえ、腕試しってところかしら」
「なっ・・・」
微笑みながら彼女は歩みだし、オペレータ席に近づいた。
「どうやってここまでたどり着いたか知りたいんでしょう。ほら」
レイチェルは記録映像を再生してみせた。
警報音にあわせて警備員が廊下を次々と駆け抜けていき、手前の鉄格子がゆっくりと閉まっていく。

画面外で幾度かの銃撃音がしたあと一人の警備員が蹴り飛ばされてきた。
大柄の警備員は激しく鉄格子に激突し崩れ落ちた。
「警備隊ちょっと訓練足りないわよ。図体ばっかりでかくても役に立たないんだから。」
その後レイチェルが手をはたきつつ鉄格子の前に立った。
ちらりとカメラを見ると手をふって笑いかけた。

直径8センチはありそうなポールに両腕をかけると、若干前かがみになると全身の力を込めた。
握り締めた両腕、肩、さらには上着に隠れた背中の筋肉がぎゅっと盛り上がった。
ミシ、ミシ、グギギギギ・・・
重い軋みと共に、ゆっくりとだが鋼鉄製のポールが両脇に開き始めた。
「そ、そんなばかな!」
レイチェルは腕組みしながら驚愕する基地司令を楽しげに見つめる。
「あれは装甲車両の突入阻止を前提に設計されているのだぞ!ありえない!」
しかし眼前のモニタには、いまや人が楽に通れるほど押し広げらている鉄格子が映し出されている。
レイチェルの表情は真剣ではあるが苦しそうなところは無かった。
脅威的な膂力を発揮している両腕や肩の筋肉は一回り膨張し、パンパンに張り詰めている。

やがて押し広げきった鉄格子から両手を離したレイチェルは満足そうな笑みを浮かべた後、天井近くの
監視カメラにとび蹴りを食らわせて破壊した。
ノイズが流れた後監視モニタ映像は沈黙した。
「あの程度の鉄格子じゃこの私を食い止めるなんて出来ないわ」
レイチェルは組んでいた右腕を伸ばし、肩の高さまで持ち上げると、ゆっくりと肘を曲げていく。
ソフトボールぐらいはありそうな力瘤が威圧するように膨れ上がる様をみせつけつつ基地司令の方へと歩み寄る。

「このレベルの基地だったら、正直もう少し手ごたえがあってもよかった思うのよね」
今度は両手を頭の後ろに組むと上体をよじり、逞しい大胸筋に支えられたあふれんばかりのバストを
目の前まで近寄った基地司令に見せ付ける。
頭の両側には強靭な両腕の筋肉が盛り上がり、厚い後背筋がセクシーな逆三角形を形作る。

「あとは貴方しか残ってないんだけど、どうする?」
「く、くそっ」
基地司令は司令室内で唯一持込可能な護身拳銃を取り出し狙いをつけようとした。
一兵卒からの叩き上げだったこともあってその動きはすばやかったが、レイチェルはつまらなそうに
無造作に近寄ると、基地司令の手首を掴んで動きをとめる。

「妙齢の乙女に拳銃向けるなんて・・・」
メキ・・・メキ・・・ミシ・・
「ぐわああ」
信じられないような握力で握り締められた手首の痛みに、たまらず拳銃を取り落とす基地司令。
レイチェルが手首を開放すると、基地司令はあわてて身を返し非常口へと駆け込もうとした。
「くそ、化け物め・・・」
もう少しで非常口に到達しようかという刹那、目の前の厚い扉が轟音と共に二つ折りになって通路へと吹き飛んだ。
へたり込む基地司令の前には今まさに扉を蹴り破った、極太でありながら女性らしい曲線で
構成された豪脚がそび立っていた。

「指揮官がへっぴり腰で逃げ出すなんてちょっと情けないわね。」
レイチェル若干あきれ顔をしつつ基地司令の胸倉を掴み、軽々と片腕でその身体を持ち上げた。
身長はわずかに基地司令のほうが大きいぐらいなのだが、その重さを意にも介さずつるし上げる。
「一応機密事項のキーを知ってる貴方を連れ帰る、ってのも請け負ってるのよ」
「・・・なんだと・・・」
「よっと」
ズダァァァン!
「ぐほぉっ!」
片手で吊り上げた基地司令を上体から背後へ荷物のように振り回し、基地司令の身体を床に叩きつける。
全身を一瞬呼吸すらとまるほどの強い衝撃が貫く。
「げほっ・・・げほげほっ」
「あら、ちょっとは頑丈なのね・・・」
激しく身を震わす基地司令を見下ろすレイチェル。
その瞳が妖艶な光を宿す。

「ちょっとばかり鍛えすぎじゃって、まともな相手は見つからなくなってるのよね」
レイチェルはすばやく基地司令の胴体に背後からすばやくその両脚を絡みつかせた。
両腕をがっちりと固定すると耳元に顔を寄せ甘い声でささやく。
「だから多少はタフな相手で鬱憤晴らしをすることにしてるの」
豊満な胸を押し付けて大きく柔らかな感触を強調する。
と、同時にその極太の太腿にじわじわと力が込められた。
基地司令の胴体をゆっくりと締め付けていく。
逞しく膨らんだ太腿の筋肉がムクムクと隆起してゆく。
「脚って腕の3倍の力が出せるって良く言うわよね・・・」
「・・・ぐっうう・・・ああああ・・・」
グキキ・・・ミシ・・・ミシイ
レイチェルの強靭な太腿は、現場から退いたとはいえ鍛えられた基地司令の肋骨に易々と悲鳴を上げさせる。
一気に力を込めず、締め付ける脚の緊張と弛緩を繰り返すレイチェル。
躍動する太腿にうっすらと汗が浮かび、逞しい筋肉のカーブにつややかな光沢を帯びる。

「力のさじ加減が難しいのよね・・・ああ・・・この軋む感触はいいわぁ・・・」
恍惚とした表情のレイチェルだが、その拘束する力はまったく衰えず、むしろ強まりつつあった。
「・・・私を殺せば・・・げほっ・・・キーが・・・」
意識が朦朧とするもその苦痛に気絶すら許されず、息も絶え絶えとなった基地司令だったが、
「・・・実はもうキーの解析はすんじゃったのよ・・・だから、貴方の身柄を確保しなくても良くなったの・・・」
「な・・・なんだと・・・」
ググッ・・・メキメキメキ! グシャ!
「ぐぁぁぁぁぁ!」

レイチェルの力はさらに強まり、握り締めていた基地司令の両手首が締め砕かれた。
たまらず叫びをあげるが、レイチェルは若干顔をしかめ、
「うるさいのは・・・気に入らないわよ・・・」
ムキムキッ、モリモリモリッ
万力のごとく締め付けていた太腿がさらに一回り膨張し、挟み込んでいた基地司令の胴体を更なる圧力をかける。
呼吸どころか肋骨すべてを粉砕されかねない力に、基地司令はついに口から泡を吹いて気絶した。

「おっと、いけない、一応連れ帰らないとうるさいのよね・・・しょうがないか」
レイチェルはグッタリと力の抜けた基地司令を片手で担ぐと、先ほど蹴り破った非常口へと向かう。
「ま、こんなもんかしらね。次はもっと手ごたえがあるといいのだけどね」


 おわり





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