格闘美女最強SS

<目次>
1.地下リングの最強女子プロレスラー
2.グレートピーチ凛音 vs 悪魔超人軍団
3.剣道少年 vs 空手少女
4.真説・桶狭間の戦い
5.女王のスパーリング
6.トンプソン一家の真実
7.シブヤの街の最強ギャル
8.桃百合流柔術の女師範
9.史上最強のカリスマモデル
10.ブラック・ランジェリーズ
11.某巨大掲示板
12.スリーパーホールド
13.主将の威厳
14.史上最速の美人ドライバー
15.自慢の妻
16.サッカーボールの運命は?
17.地下リングの支配者
18.新説・北斗の拳
19.Sランクの殺し屋
20.灼熱のバレーボール部合宿
21.お嬢様の教育係
22.新聞記事
23.ボディビルダー連続殺人事件
24.エキシビションマッチ
25.天才美少女棋士
26.リアルアクション超大作「アルティメット・ファイト」





――――――――――――――――――――
[01] 地下リングの最強女子プロレスラー
――――――――――――――――――――
 
信じられない――――。

リング上では屈強な男が仰向けに倒れている。
世界を制したキックボクサー、DJブラウン(DJB)。
彼は既に戦う意欲を失っている。

表の格闘界では無敵だった。
彼より強い相手など世界中探しても見つからないと思っていた。
そんなアイツが、こんなにもあっけなく負けてしまうなんて…。

そんな彼を冷やかに見下ろしているひとりの美女。
超グラマラスな女子プロレスラー、紗綾。
彼女はその圧倒的な身体能力で、キック界最強の男を全く寄せ付けなかった。

露出度の高いボンデージビキニ姿。
張りのある健康的な肌には汗ひとつ浮かんでいない。
彼女にとってDJBは、戦うに値しない男だった。

女子プロレスラーは強い。
それは地下リング界の常識だ。
彼女たちが本気になれば、大半の格闘家は軽く捻り潰されてしまう。
最強女王と言われる紗綾ともなれば、その実力は相当なものだと分かっていた。

しかし初めて見る彼女の強さは、私の予想を遥かに超えていた。
レスラーの彼女が、キック王者のDJBを簡単に蹴り倒したのだから…。

私は紗綾の姿を改めて見つめ直した。
可愛らしさも感じさせる整った美しい小顔。
しかしその肉体は最強女王に相応しい迫力がある。

適度な脂肪と柔軟な筋肉が程よく調和した肉感的なボディ。
誰もが眼を見張る豊満なバストに見事に引き締まったウエスト。
圧倒的な存在感を放っている大きなヒップ。
そのヒップから伸びる太腿は男性格闘家以上に逞しい。
まさに女性らしさと力強さが完璧に融合した、闘う女神の肉体だった。

「ボコッ!!」

ブーツタイプのエナメル製リングシューズがDJBの顔面にめり込む。
恐るべき凶器を身につけた彼女の蹴りは、この試合、終始キックボクサーの打撃を圧倒した。
リングシューズを履いたレスラーの重い蹴りは、彼にとって初めての体験だったのだろう。

辺りに血飛沫が舞う。
DJBの鼻骨は既に砕かれており、前歯も何本か圧し折られている。
顔面からの出血が止まらない。
意識を失うのも、もう時間の問題だ。

腰に手を当てて、血だるま状態のDJBを見下ろす紗綾。
彼がもう動くことすらできないことを確認すると、彼女は深いため息をついた。

「話にならないわ…。」

強い相手だと聞かされていたが、結局は殺す価値すらない男だった。
彼女は長い髪を掻き揚げると、そのままつまらなそうにリングを降りた。

地下リング最強の女子プロレスラー紗綾。
リングを去る彼女の姿には、女王の風格が漂っていた。

(終)



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[02] グレートピーチ凛音 vs 悪魔超人軍団
――――――――――――――――――――

地球征服のため、総攻撃を仕掛けてきた悪魔超人たち。
しかしそんな彼らの前に立ちはだかったのは、最強の女子レスラー、グレートピーチ凛音。
名立たる悪魔超人たちも、彼女のパーフェクトマッスルの前には全くの無力だった。

「よいしょ♪」

ドス――――っん!!
4つに分割したサンシャインのビッグボディ。
これを頂上に積み上げて、悪魔超人の山が完成した。

「これで残るはあなたひとりね♪」

パンッパンッパンッ。
軽やかに手を払って凛音が巨大な胸を張る。

彼女に見つめられた悪魔将軍の股間は濡れていた。
もはや強さの次元が違いすぎる。

凛音は最初に、遊び相手にもならない連中でたくさんの肉団子を作った。
スプリングマンとプラネットマンは踏み潰してコンパクトに折り畳んだ。
ジャンクマンとスニゲーターは、巨大なバストで圧殺した。
面白い技を使うザ・ニンジャには、体を引き裂いて分身の術を教えてあげた。
6本の手をむしり取ったアシュラマンは、気がついたら動かなくなっていた。
自分より体の大きなサンシャインは、軽く殴ったらボロボロと体が崩れていった。

パーフェクトマッスルで覆われた凛音の美しい肉体。
結局彼女にしてみれば、悪魔超人など遊び道具にすらならなかった。

「ウギャーーッ!!」

悪魔将軍が悲鳴をあげる。
硬度10を誇るダイヤモンドの鎧も、既に凛音によって粉々に砕かれていた。

「さぁ、次でお仕舞いね…。
 もっと鍛えてこないと、私とは楽しくプロレスできないわよ♪」

可愛らしい笑顔の凛音。
彼女は悪魔将軍の体を持ち上げると、そのままダイナミックに飛躍した。

ジャンプの頂点で彼女は体勢を固める。
右手で悪魔将軍の左手を掴み、左手では右脚を掴む。
彼の頭を股間でしっかりと固定すると、胴体は2つ折りにして尻の下に敷く。
最後に両脚を上げて巨大なヒップに全体重を乗せる。
これで必殺技の形が完成した。

「グレートピーチ・ドライバ――――ッ!!!!」

勢い良く降下していく、凄まじい迫力のヒッププレス。
この技の着地点は、なんと超人の山の頂点だった。

「どちゃーーーーん!!!!」

激しい音を立てながら山が崩壊する。
何十人という悪魔超人たちの体が、凛音の必殺技によってさらに細かい肉片と化した。
辺り一面に赤い雨が降る。
彼女に逆らう超人など、もはや金輪際現われないだろう。

(終)



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[03] 剣道少年 vs 空手少女
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伝統ある学園の剣道場。
防具を身につけ竹刀を構えているのは男子剣道部の主将、宮本雄二。
部員たちの祈りを背に受けながら、彼は大切な勝負の時を迎えていた。

「さぁ、早く掛かっていらっしゃいよ。」

そんな彼の目の前に立つのは、名門女子空手部3年、佐々木美紀。
学園一と言われる美少女だが、部員の信頼も厚くキャプテンを努めている。
彼女は両手を広げ、余裕綽々の態度で雄二を挑発していた。

舐めやがって…。
竹刀を持つ手にも自然と力が入る。
丸腰の女の子に竹刀を振るうなんて普通考えられないが、相手が美紀なら遠慮は無用。
彼は意を決して攻め込むことにした。

「メーーーーーーーン!!」

気合の声と同時に繰り出した飛び込み面。
自慢の得意技を披露した彼であったが、両手にはいつもと違う感触が残っていた。

道場に響き渡ったのは乾いた破裂音。
頭上からはパラパラと奇妙な木片が落ちてくる。
ここに来てようやく彼は気付いた。
彼の持つ竹刀が、根元から真っ二つに圧し折られていることを…。

竹刀を木っ端微塵に打ち砕いた戦慄のノーモーションハイキック。
美紀はまるで勝ち誇ったかのように、自慢の美脚をそのまま高々と掲げていた。
弱い男を蔑むような彼女の視線が、雄二の胸に深く突き刺さった。

「うッ…嘘だろ…」

勝負を見守っていた男子剣道部の仲間たちが顔を引き攣らせながら呟く。
対照的に女子空手部の後輩たちは、嘲笑しながら勝負を見つめていた。

「さぁどうする?
 痛い目に会わない前に、大人しく土下座して謝ったら?
 竹刀がないと何も出来ない坊やなんでしょう?」

「ちくしょーーっ!!」

雄二が美紀の挑発に乗ってしまった。
彼は折れた竹刀を投げ捨てると、両手を振り回しながら美紀に襲い掛かっていった。
素手では相手にならないことなど、誰の眼にも明らかなのに…。

「ボコッ!!!!!」

美紀の正拳が腹部に突き刺さる。
雄二の命を掛けた突進も、たった1発の拳で止められてしまった。
強固なファイバー製の胴が、辺り一面に破片を飛び散らせていた。

口の中に酸っぱい胃液が込み上げてくる。
剣道の防具など、美紀の鍛え抜かれた拳の前には全く意味をなさなかった。
雄二は堪らず膝を着いてしまった。

「武器や防具に頼ってばかりだから、こんなことになるのよ…。
 約束どおり、この剣道場は今後、女子空手部の第三道場として使わせていただくわ♪」

雄二は何も言い返せなかった。
屈辱の敗北。
勝負を見守っていた他の剣道部員たちも、美紀の強さに身体を震わせていた。

「じゃぁ早速、退場してもらおうかしら♪」

美紀はそう言ってニコッと微笑むと、雄二の顔面に強烈な回し蹴りを放った。
雄二の体は勢い良く吹き飛ばされ、出入り口から外に転げ落ちていく。

「キャプテン!!!!」

慌てて駆け寄る男子剣道部員たち。
雄二のつけていた面は、金属製の格子部分がグニャりと凹んでいた。

恐るべし美紀の強さ。
名門女子空手部の実力は、男子剣道部の想像を遥かに超えていた。

(終)



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[04] 真説・桶狭間の戦い
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上洛を目指し2万5千の兵を率いてやってきた今川義元。
そんな大軍を高い丘の上から見下ろす12人の美女たち。
彼女たちは織田信長の妹、市姫に率いられた、最強の女蹴殺部隊だった。

シルクの水着を身に纏った長身でセクシーな彼女たち。
刀も槍も、もちろん鉄砲も持っていない。
彼女たち唯一の武器は、武装ハイヒールを履いた美しい両脚だった。

「さぁ遠慮することはない!。
 弱々しき男どもに我らの強さを見せ付けてやるのだ!!」

「お――――っ!!」

大軍を目指して一気に丘を駆け下りる12人の女蹴殺部隊。
突然の奇襲に、今川軍は完全に浮き足立った。

「敵襲だーーーっ!!」

迎撃用の弓が一斉に放たれる。
しかし美女たちは、軽やかな身のこなしで降り注ぐ矢を楽々と躱していく。

彼女たちの華麗な動きに恐れ戦く今川軍の兵士たち。
女蹴殺部隊は何の躊躇もなく、大群の中に突入していった。
慌ててただ闇雲に刀を振り回す彼らの目前に、妖艶な美脚がキラめく。

「シュパーーン!!」

ハイヒールの先端に埋め込んだ鋭い刃で男の首筋を掻き切る。

「ぐほっ!!」

男の胸に尖ったヒールが突き刺さる。

「ぼごっ!!」

蹴りの直撃を受けた男の頭蓋骨が鈍い音を立てて潰れていく。

日頃から徹底的に鍛えあげられたセクシー部隊。
彼女たちにとって、今川の大軍など単なる烏合の衆に過ぎなかった。
笑顔を見せながら楽しそうに殺戮を続けていく彼女たちは、
その桁外れの強さと美しさを、男たち相手に惜しげもなく披露した。

1時間後・・・。
辺りは静寂に包まれていた。
桶狭間の地は赤く染まっている。
今川兵2万5千は、1人残らず彼女たちの餌食となってしまった。

その中央で、敵将今川義元は震え上がっていた。
彼を取り囲むのは12人の長身美女たち。
白いシルクの水着が赤く染まるほどの返り血を浴びていたが、彼女たちは全くの無傷。
彼を守るはずの将軍も、腕利きの忍者たちも、既に全員が息絶えている。

何とも妖艶で美しい彼女たちの肉体。
セクシーな柔肌は、返り血と汗で輝きを増していた。

「い…、命だけは助けてたもれ…。」

市姫の脚にすがりついて、許しを求める今川義元。
彼女のセクシーな脚は、細身だがしっかりとした筋肉が付いていた。

「見苦しい…。それでも今川家の大将か!!」

市姫の美脚が華麗に風を切った。
それと同時に今川義元の首が宙を舞う。
あまりにも鋭い蹴りのため、鮮血が吹き出るにはしばらくの時間が掛かった。

「今川義元の首、討ち取ったり!!!」

「おう――――!!」

赤く染まった桶狭間の地に、美女たちの雄叫びが響く。
織田家躍進を影で支えていたのは、実は彼女たち女蹴殺部隊であった。

(終)



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[05] 女王のスパーリング
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美しい女の顔に男の拳が迫る。
驚速の左ジャブ。
彼女は間一髪のところでそのパンチを躱した。

頬に残るかすかなグローブの感触。
彼女の額には軽い汗が浮き出てきた。

『コイツ…、なかなかやるわね…。』

女が笑みを浮かべた。
男は何故か背筋の凍りつく思いがした。

女子ボクシング界の頂点に君臨する彼女。
しかしこれまで、彼女は本気で戦ったことなど一度もなかった。
どんな選手が相手でも、体が温まったころには試合が終わっていた。
それは同じジムの男子選手が相手でも同じだった。

しかし今日のスパーリング相手はレベルが違う。
WBC男子ライト級世界ランキング2位というアメリカ出身の黒人選手。
自分より遥かに重い階級で、将来の世界チャンピオンを約束されている男だった。

もしかしたら負けるかもしれない。
初めて味わう緊張感が、彼女にとっては実に快感だった。
そして彼女が実力の片鱗を見せ始めた。

「シュッ!シュッ!シュッ!」

鋭いジャブが男の顔面にヒットする。
パンチの切れ味があまりにも鋭くて、男は眼を丸くして驚いた。
そんな男のがら空きボディに、強烈な左フックが叩き込まれる。

胃液を吐き出してしまいそうな衝撃。
とても美しい女性のパンチとは思えない。
たった1発のボディブローで、男はロープ際へと追い込まれてしまった。

『あらっ・・・。思ったより打たれ弱いのね。』

女は思った。
本気のパンチはまだまだそんなもんじゃない。

苦痛と恐怖で震え上がる男にゆっくりと近付いていく彼女。
黒人の男はガクガクと膝を震わせ、全身から滝のような汗を流している。
美しい顔に薄っすらとした笑みを浮かべながら、彼女は容赦なくラッシュを繰り出した。

右から左から上から下から。
多彩なパンチが次々と男を襲う。
男は必死にガードしたが、彼女のパンチテクニックの前にはまったく意味をなさなかった。

それは、まさに血祭りだった。
最初の何発かのパンチで、男の意識は失われてしまった。
しかし彼女は、ロープにもたれ掛かった男がマットに倒れることすら許さなかった。

ジムの中に乾いた音がこだまする。
唸りをあげながら次々に襲い掛かるパンチの連打。
彼女のパンチはただ速いだけでなく、1発1発の重みも桁違いだった。

レフリーのいる試合だったらとっくにTKOが宣告されている。
それでも彼女の動きは止まらない。
見る者が震え上がるような凄まじいパンチの連打。
霧吹きのように血飛沫が舞う。
スパーリングを見守っていた人々も思わず顔を背けたくなるような残酷な光景だった。

ようやく彼女のダンスが終わった。
屈強な黒人ボクサーの体がスローモーションを見るように、ゆっくりと倒れていく。
女はそんな男の顔を冷たく見下ろした。
強烈な連打からようやく開放され、男の顔が心なしかホッとしているように思えた。

『それなりに楽しかったわ♪
 でも…、ワタシの相手を務めるには、まだまだ力不足のようね…。』

彼女はまたもや実力を出し切ることができなかった。
体は少しだけ温まってきたが、まだまだ汗が流れ落ちるほどではない。。
ライト級の世界ランカーも、結局彼女にとっては準備運動の相手にすらならなかった。

彼女を本気にさせる男など、この世にはもう誰一人存在しないのかもしれない。

(終)



――――――――――――――――――――
[06] トンプソン一家の真実
――――――――――――――――――――

「ゴメンよ、ママ…。
 今度は絶対負けないから、今日は許して…。」

史上最強の人気プロレスラー、マッスル・ジョージ。
圧倒的なパワーを武器に闘う全米スーパーヘビー級チャンピオン。
身長2メートルを超える筋肉質な巨体が、今日はヤケに小さく見える。

「OH…、ジョージ…。
 今日の試合は残念だったわね…。」

試合に負けて帰ってきた息子を、母は優しく抱きしめた。
豊満な胸に息子を包み込み、ヨシヨシと頭を撫でてあげる。

その時ジョージの足は床から浮いていた。
逞しいはずの巨体が、ミシミシと悲鳴をあげている。
彼の母リンダは、ジョージなど足元に及ばないほど逞しい肉体の持ち主だった。

「OH…、ジョージ…。
 今日は日本から来た女の子に負けちゃったんだって??」

「あ…あぁ…。
 女の子相手だと思って、油断しちゃったんだ…。」

「油断??」

「うん、完全な油断さ。
 だって相手は女の子だよ。本気でやって負ける訳ないじゃないか…。」

その時、ジョージの全身の骨が激しく軋み始めた。
息子を抱く母の左腕に、ほんの少しだけ力瘤が浮かんでいる。

「うがががっがーーーーっ!!!
 ママ!!痛い!!痛いよ――――っ!!」

「OH…、ジョージ…。
 ジョージはママに嘘をつくのかい?
 今日の試合ね、ママ、ちゃんとテレビで見てたんだよ。
 女の子相手に散々弄ばれた挙句、最後は泣きながらギブアップしてたでしょう。」

「あががががががあ――――っ!!
 っ、そう、そうなんだ。嘘ついてゴメンよ、ママ!
 だってアイツ、女のくせに、無茶苦茶強かったんだもん!!」

「OH…、ジョージ…。
 ママ悲しいわ。アナタをそんな弱い男の子に育ててしまったなんて……。
 やっぱりアナタにプロレスは向いてなかったのね。」

「――――っ!!!!」

リンダが力を緩めると、ジョージは力なく床に倒れこんだ。
あと数秒遅かったら、完全に意識を失っているところだった。
全米最強のプロレスラーを片腕で失神寸前に追い込むほど、リンダのパワーは桁外れだった。

「あっ、お兄ちゃん!!」

「イッ…イザベラ!!!」

そこに現われたのはジョージの妹、イザベラだった。
まだ11歳の少女だが、プロレスラーの兄を遥かに凌駕するほど逞しい肉体を誇っている。

「もうお兄ちゃんったら!!
 今日の試合は何よ!!トンプソン一家の恥さらしだわ!!」

彼女はそう言うと、兄の首根っこを掴んで片手で持ち上げた。
ジョージは宙に浮いた足をバタつかせて抵抗したが、妹の腕はびくともしなかった。

「ねぇ、お母さん!!
 お兄ちゃんをこのまま許してもイイの?」

「AH…、イザベラ…。
 もうジョージのプロレスは今日でお仕舞いにすることにしたわ。」

「そうなの…。
 じゃぁ、お兄ちゃんを私のオモチャにしていいかなぁ??」

「まぁ…、イザベラったら…。
 やっぱりアナタは私の娘だわ♪
 良いわよ、お兄ちゃんのこと、何でも好きにして良いわよ。」

「やった――――っ!!」

イザベラは喜んでジョージの巨体を小脇に抱えた。
妹の屈強な腕に体を挟まれて、兄は呼吸が苦しくなり、次第に意識が薄れていった。

「じゃぁお母さん、おやすみなさい♪」

「おやすみ、イザベラ♪」

母娘はおやすみのキスを交わす。
プロレス全米最強の男は、今夜ぬいぐるみとして妹とベッドを共にする。
トンプソン一家のスーパーマッスルは、こうして母から娘へと受け継がれていく。

(終)



――――――――――――――――――――
[07] シブヤの街の最強ギャル
――――――――――――――――――――

秩序の崩壊した若者の街、シブヤ――――。
警視庁はこの街に「武道警官」を配置し、治安の回復を図った。

元プロボクサーや自衛官、格闘家たちで構成される武道警官。
彼らは容赦なしの実力行使で、シブヤの街に平和を取り戻しつつあった。

しかしもちろん若者たちも黙ってはいない。
武道警官のせいで痛い目に遭っているチーマーたちが、
彼らの集う交番に1人の女子高生ギャルを連れてきた。

彼女はこの街を実質支配するギャルサーの幹部。
金髪に色黒でオシャレな制服姿の彼女だが、その肉体は筋肉質で逞しかった。

「うちの弱いのがお世話になってるらしいね。
 まとめて相手してやるよ。」

女子高生とは思えない凄い迫力に、思わず後退りしてしまった武道警官たち。
危険を察知した彼らは、プライドを捨て6人同時に襲い掛かった。
しかし・・・、

「ドガッ、ドゴッ、バギッ!!!」

瞬殺――――。

女子高生ギャルの強さは想像を遥かに超えていた。
武道警官たちの洗練された格闘スキルなど、ケンカ慣れした彼女にはまったく通用しなかった。
無駄のない的確なパンチ、えげつない急所への蹴り。
6人の武道警官たちは、ほんの30秒足らずで地面に這い蹲ることとなった。

勝負はとっくについている。
しかし彼女の暴力は止まらない。
地面にうずくまるだけの武道警官たちを、蹴って蹴って蹴りまくる。

女子高生ギャルによるリンチは壮絶を極めた。
腕を折られ、脚を折られ、肋骨を砕かれた男たち。
顔面が陥没している男、耳から血を流している男もいる。

「ゴホッ!!」

倒れている男の腹部に、ギャルの膝が突き刺さった。
既に意識を失っている男の体が大きく波打つ。
口からは大量の吐血。
辺り一面には血溜まりができている。

「し、死んじゃう…。」

あまりにも残虐な光景に、見守るチーマーたちも震え始めた。
しかし誰も口出しなどできない。
彼女の機嫌を損ねたら、今度は自分が殺られてしまう。

しばらくしてようやく暴行を止めた女子高生ギャル。
武道警官たちに彼女の怖さを教え込むには十分なリンチだった。

「アタシは忙しいんだよ。こんな雑魚相手にいちいち呼ぶな!!」

部下のチーマーをひと睨みする彼女。
彼らの多くは、あまりの惨劇に股間を濡らしていた。

(終)



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[08] 桃百合流柔術の女師範
――――――――――――――――――――

近年、格闘技界を席巻している桃百合流柔術。
世界中の様々な格闘技大会で、彼らは無敵の強さを見せつけている。

桃百合流柔術の門下生は全世界に150人ほど。
そのうち試合への出場を許されている黒帯選手は、わずか16人しかいない。
今日は年に一度、黒帯選手全員が集まって行われる桃百合流の総稽古が開かれていた。

黒帯選手が集まると、彼らはすぐに対戦形式の練習を始めた。
世界の格闘大会を総なめにしている一流選手同士の激しい稽古。
卓越したテクニックの応酬に、稽古場の熱気は一気に高まっていった。

そして総稽古が佳境を迎えた頃。
ひとりの女性が稽古場の中央に足を進めた。

彼女は桃百合流柔術の創始者にして唯一の師範代。
20代後半とまだ若いが、門下生からは尊敬の眼差しで見つめられている。

純白の道着に黒帯を締めた凛々しい姿。
道着の上からでも、そのメリハリの利いたグラマーなボディが良く分かる。
男子選手に囲まれて小さく見えてしまうが、これでも女子としては長身の部類。
長い黒髪を後ろに束ねて準備を整えた女師範が、稽古の輪の中に加わっていった。

彼女が最初に相手をしたのは、筋肉質でスキンヘッドのロシア人選手。
つい先日、アメリカの金網マッチで優勝したばかりの看板選手だ。

女師範は身長差も気にせず、男と正面から堂々と組み合った。
そして彼の放った強引な投げ技をきっかけに、2人は縺れあいながら畳に倒れていく。
見学していた門下生たちは、これからトップレベルの寝技の応酬が始まるものと期待していた。
しかし彼らがよく見てみると、男は既に畳を叩いてギブアップした後だった。

門下生たちも呆気にとられてしまうほど驚愕のテクニック。
女師範は左手で男の奥襟を掴むと、前腕を器用に使って男の頚動脈を絞めあげていた。
もはや達人としか言いようのない彼女の神技に、門下生たちは思わず感嘆の声を漏らした。

その後も女師範は、格闘界を席巻している屈強な男子選手たちを、
ひとりあたり20秒から30秒程度で簡単に仕留めていった。

流れるようなスピードに、眼を見張る体の柔らかさ。
相手の動きを読みきったハイレベルな動きと、技を極めるときの圧倒的な力強さ。
彼女の柔術テクニックは、他の男子選手とはまるで次元が違っていた。
様々なリングで無敗を誇る選手たちも、彼女には全く手も足も出なかった。

あらかたの黒帯選手には稽古をつけ終えた女師範。
最後に残った2人は、今年黒帯を許されたばかりの新人黒帯選手だった。

彼女の指示に従い、2人掛かりで女師範に立ち向かっていく彼ら。
持てる技術を精一杯駆使して必死に攻め立てる2人だが、気がつけば1人は女師範の脚に・・・。
そしてもうひとりは腕に絞め上げられて、完全に動きを封じ込まれていた。

彼らも決して弱い訳ではない。
世界の有名な格闘大会でも、優勝するくらいの実力を持っている。
しかしこの女師範は、そんな彼らを2人まとめて捻じ伏せるほど神懸り的な強さを誇るのだ。

新人黒帯選手には、女師範の強烈なしごきが待っていた。
桃百合流オリジナルの強烈な技で、彼ら2人を交互に痛めつけていく。

「ほら、これが蜘蛛絡みよ。どう、苦しいでしょう・・・?」
「アガガガッガガ・・・・・・」

「もっとしっかりしなさい!それでも男の子なの!!」
「うっぐっ――――・・・。」

全身の関節が緩み、意識も朦朧としている彼らの体に、女師範は桃百合流の技を叩き込む。
彼らの悲鳴をバックに、彼女の壮絶な特訓はその後数分に渡って続けられた。

ようやく総稽古が終わった。
疲れ果てて畳に横たわる男子選手たちの前で、女師範は帯を締め直し、道着を整えた。
薄っすらと汗をにじませた、女師範の凛々しくもセクシーな仕草。
道着の胸の隙間からは、白いレースのブラジャーがちらりと顔を覗かせていた。

決して試合に出ることのない桃百合流柔術の女師範。
しかし彼女が世界最強の格闘家であることは、誰の眼にも明らかだった。

(終)



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[09] 史上最強のカリスマモデル
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表参道コレクション。
世界のトップモデルが勢揃いする日本最大のファッションショー。

クライマックスに登場したのは、日本人カリスマモデル、笹野リリ――――。
彼女がステージの中央でポーズを決めると、観客席から一斉にフラッシュが焚かれる。
180センチ超のスーパーモデルたちの中でも、彼女の存在感は群を抜いていた。

192センチの超長身にキュートな小顔。
股下102センチの9.5頭身美女は、誰もが認める世界最高のスーパーモデル。
西洋のトップモデルたちも、彼女の横に並ぶと引き立て役にしかならない。

キャットウォークと呼ばれる張り出しステージを華麗にウォーキング。
今日の衣装はモダンな赤いミニチャイナドレス。
史上最高の美脚が圧倒的な輝きを放っている。
左右に揺れるGカップの巨乳も、リリのサイズにはちょうど釣り合っている。

今回のショーには、リリの日本凱旋を祝って特別ステージが用意されていた。
キャットウォークの先端、広い会場の真ん中に用意されたのは四角いリング。
リリは赤いグローブを装着すると、トップロープを軽く跨いで颯爽とリングに登場した。

観客の声援が一段と大きくなる。
リリは笑顔でその声に応えた。
彼女はトップモデルでありながら、プロのリングに上がるキックボクサーでもあるのだ。

今日の相手は、ムエタイの本場タイからやってきたヘビー級の男子世界ランカーだった。
181センチの大柄な男だが、ヒールを履いたリリとはまだ20センチ以上の身長差があった。

「カーーーン!」

ファッションショーという異質な空気の中でいざ戦いが始まる。
男は必死だった。
この戦いに向けて3ヶ月の長期合宿をこなしてきた。
リリに勝利すれば破格の勝利ボーナス。
攻撃をヒットさせるだけでも、それなりの報酬が入る契約になっていた。

「シュパ―――ン!! シュパ―――ン!!」

何とか接近戦に持ち込もうとする男。
しかし彼が間合いを詰める前に、リリの鋭いキックが襲い掛かってきた。
長い脚がムチのように撓って唸りをあげる。
男も何とか必死に前に出ようとするが、彼女は強烈な前蹴りで突き放した。
リーチがあまりにも違いすぎるため、男はなかなか攻撃を繰り出すことができなかった。

リリにとっては、この余興もあくまでショーの一部。
赤いミニドレスが美しく見えるよう、彼女は回転系の蹴りを多用した。
余興が台無しになっては困るので、十分すぎるほどに手加減をしながら・・・。

ドレスの裾がひらひらと舞う。
その度に男の体が左右に揺れる。
リリは笑顔を絶やすことなく、攻撃を続けた。

観客はその美しさに言葉を忘れた。
もはやこの余興は戦いという次元を超え、芸術のレベルにまで達していた。

毎日エクササイズを欠かさないリリは体力も十分だった。
意識が朦朧としてきて足元が覚束なくなってきた男。
対するリリは時間が経つにつれ、さらに一段と動きが良くなってきた。
流石の男子世界ランカーも、ここまでの実力差を見せ付けられてはもう諦めるしかない。
結局彼の戦いは、リリに近付くことすら許されずに終わってしまった。

ロープにもたれ掛かり、そのまま動けなくなってしまった男。
挑発しても動かない彼を尻目に、リリはちらっと時計に眼をやった。
そろそろ予定の試合時間3分を迎える。

『そろそろ終わらせよっかな♪』

ここで彼女の右脚が一段と激しく動いた。
超高速の足ビンタで男の顔面を左右に揺らす。
彼が意識を失ったところを、最後は長い脚を生かしたカカト落とし。
脳天に衝撃を受けた男は、そのまま白目を剥きながらリングに沈んでいった。

「カンカンカンカンカ――――ン!!」

試合はリリの圧勝に終わった。
まともに闘えば10秒で勝てる相手を、彼女は3分掛けて華麗に料理した。

「ちょっとゴメンなさいね♪」

リリはウインクしてそう断ると、倒れた男の顔面に右足を乗せてこの日一番のポーズを取った。
観客は全員がスタンディングオベーションで彼女の強さと美しさを称えている。
カメラのフラッシュが止まらない。
世界最高のモデルは、やっぱり誰よりも美しく輝いていた。

(終)



――――――――――――――――――――
[10] ブラック・ランジェリーズ
――――――――――――――――――――

大人気の女子高生ギャルレスラーMIKIとYUKA。
彼女たち2人のタッグチーム『ブラック・ランジェリーズ』が今、リングに上がる。

日焼けサロンで焼いた小麦色の肉体を、黒いランジェリー風コスチュームで包み込んだ2人。
一見、普通のギャルにしか見えない彼女たちだが、良く見ると引き締まったマッチョボディをしている。
さらに金髪のMIKIは元アマレスのチャンピオン、
黒髪のYUKAは伝統空手の師範代というのだから、その実力も決して侮れない。

今日の対戦相手は、日本男児プロレスのチャンピオンタッグチーム。
異色の対決に大盛り上がりの会場であったが、試合は予想に反して一方的な展開となった。

大柄な男子レスラーがリング上で土下座している。
そんな彼の頭を、金髪のギャルレスラーMIKIが容赦なく踏みつけている。
頼りになるはずの彼のパートナーは、既にリング下で完全失神状態。
ブラック・ランジェリーズの強さは、実力派男子ペアを全く寄せ付けないレベルだった。

「ねぇ…YUKA。こいつどうする?」

「そうねぇ…。ちょっとプロレス技でも教えてあげよっか♪」

男の髪を引っ張って無理矢理立たせると、MIKIはスープレックスを放った。
男子レスラーの体がキレイな弧を描いて、肩から勢い良くマットに叩きつけられる。
レスリングで鍛えたMIKIの柔軟な筋肉は、見掛かけばかりの男子レスラーよりも遥かに実戦的。
その肉体から繰り出される芸術的なスープレックスは、たった1発で男子レスラーの意識を奪い去った。

「こいつ情けない…。ホントにプロレスラーかよ。
 たった1発でもうフラフラじゃん。」

「どれどれ…。」

こんどはYUKAの番。
再び無理やり立たされてふらついている男を、彼女はビンタで目覚めさせる。
そして何とか意識を取り戻した彼をYUKAはロープに振った。

為す術なくロープに弾かれて戻ってきた男子レスラー。
そんな彼の前でYUKAは華麗に回転すると、勢いをつけて後ろ回し蹴りを腹部に突き刺す。
男子レスラーの巨体が一瞬だけ宙に浮いた。

凄まじい破壊力の後ろ回し蹴りに、白目を剥いてリングに倒れこむ男子レスラー。
手加減したとは言え、YUKAの蹴りを腹で受けたとなれば、内臓の損傷も覚悟しなければならない。
ギャルレスラー2人はそんな男の胸に片足を乗せると、力瘤を作ってそのマッスルボディを自慢した。

「1…、2…、スリー!
 カンカンカンカンカ――――ン!!」

ブラック・ランジェリーズによる男子レスラー狩りが、今こうして幕を開けた。

(終)



――――――――――――――――――――
[11] 某巨大掲示板
――――――――――――――――――――

103 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 12:03:44
   女子格闘家の早乙女愛美ってマジで強いのか?

104 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 12:15:54
   あのムチムチボディ最高♪   

105 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 13:12:09
   マジで強い、っつーか女のくせに強過ぎ・・・。
   この前ウチの道場で稽古してるの目撃したけど、
   相手したウチの代表(男子プロ選手)がガチでボコボコにされてた。
   それでもまだ全然本気じゃない感じ・・・。

106 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 13:15:01
   mjdsk

107 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 15:02:42
   騙されるな! 男より強い訳ないだろ!
   格闘家男子>>一般男子>格闘家女子>>一般女子
   これが真実

108 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 15:33:56
   >>107
   愛美>>格闘家男子>>一般男子>格闘家女子>>一般女子
   普通はそうだけど愛美は例外

109 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 17:21:11
   プっ、その女に負けた代表弱すぎwww

110 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 18:00:03
   >>109
   ミドル級でプロ成績7戦無敗ですが何か?

111 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 19:06:09
   強いかもしれんが、どうせデブだろwww

112 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 20:43:19
   >>111
   太く見えるが、実は筋肉がパンパン、脂肪はあまりない
   腹筋の割れ方とか半端ねぇし

113 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 20:55:32
   確かに顔はカワイイけど、間近で見たらあの身体は怖すぎ・・・。
   肩とか腕の筋肉は男のプロレスラー以上。
   身長もプロフィールだと169だけど絶対俺よりデカイ。
   ちなみに漏れは174センチ。

114 : 格闘家見習い :2009/05/27(水) 21:39:59
   同じジムだから良く知ってるけど、愛美さんマジで強いです。
   某有名格闘家のG藤Y輔を余裕でボコったのをこの眼で見ました。

115 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 21:58:32
   嘘だろ・・・ G藤Y輔って日本最強だとオモてた

116 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 23:09:10
   G藤ヘタレ

117 : 名無しさん@嬲 :2009/05/27(水) 23:34:12
   ムチムチ巨乳で強ーいマナミちゃん・・・ 抱きてぇ・・・。

118 : 名無しさん@嬲 :2009/05/28(木) 00:02:41
   >>117
   止めとけ!抱かれたら絞め殺されるぞ!!

119 : 格闘家見習い :2009/05/28(木) 00:49:57
   愛美さんの場合、確かに顔も体も最高なんだけど性格が・・・。
   年下なのに傲慢でわがままだし、
   機嫌が悪いとジムの男ボコってストレス発散してるし。
   強くて人気があるのはいいけど、実際のところ周りがいい迷惑。

120 : 早乙女愛美 :2009/05/28(木) 01:01:01
   >>119
   あなた田代さんでしょうww
   明後日の練習が楽しみね♪

121 : 名無しさん@嬲 :2009/05/28(木) 01:15:31
   本人キタ―――(゚∀゚)―――― !!

122 : 名無しさん@嬲 :2009/05/28(木) 01:21:46
   (((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

123 : 名無しさん@嬲 :2009/05/28(木) 01:24:43
   マジでマナミたん???

124 : 格闘家見習い :2009/05/28(木) 01:42:42
   >>120
   その通り田代です。
   ごめんなさい。本当にごめんなさい。
   土下座して謝りますので、許して下さい。

125 : 名無しさん@嬲 :2009/05/28(木) 01:58:26
   【結論】早乙女愛美は男より強い最強の格闘家!!

(糸冬)



――――――――――――――――――――
[12] スリーパーホールド
――――――――――――――――――――

美女の右腕が喉に食い込む。
全身をバタつかせて必死に逃れようとするが腕の絞まりが緩まない。
小柄な女とバカにしていたが、張りのある上腕の筋肉はなかなかのものだ。
俺の後頭部は、柔らかい彼女の胸に押し当てられている。

彼女の両脚が俺の胴体に巻きついてきた。
ムチムチの両脚に挟まれると体をバタつかせることすらできなくなる。
完璧に極まった胴絞めスリーパーホールド。
もはや逃げる手段は残されていない。

アイドル美女プロレスラーからの挑戦状。
TVの企画に乗らされてあんなものを受けたのがすべての間違いだった。
総合格闘家として、俺が長年築き上げてきたプライドが音を立てて崩れていく。

元アマレスの女王という彼女の身体能力は想像を遥かに超えていた。
彼女は素早い動きで俺を翻弄すると、背後に回って一気に首を狩った。

スリーパーホールド――――

一度この技に捕まって転がされると、体格差など何の意味も持たない。
体重100キロを超えるヘビー級の俺が、60キロそこらの美女に力で捻じ伏せられた。

『あーーーっ…』

意識が薄れていく。
観客の声援だけがやけに大きく聞こえる。
下半身が痺れてガクガクと震え始めた。
こんな状況だというのに、彼女の甘いシャンプーの香りが心地よく感じた。

「お・や・す・み♪」

耳元で小さな囁きが聞こえた。
彼女が本気で落としに掛かる。
柔らかかった彼女の腕の筋肉がグッと固く引き締まった。
呼吸が止まり、血流も遮断された。
同時に全身が痙攣し始める。
股間に生温かい感触を感じながら、俺は深い眠りに落ちていった。
残酷な美女は落ちていく俺の顔を笑顔で眺めていた。

翌日のスポーツ紙。
1面トップには、俺の顔面に片足を乗せてガッツポーズをする美女レスラーの姿があった。

『あの女…、今度会ったらボコボコに痛めつけてやる!!』

(終)



――――――――――――――――――――
[13] 主将の威厳
――――――――――――――――――――

日本武道館高校、総合格闘技部――――。
多くのプロ格闘家を輩出する名門格闘技部に、命知らずの道場破りが訪れた。

飯田と名乗るこの男は、日本人離れした立派な体格の持ち主だった。
アメリカのストリートで鍛えたという腕も相当確かなものだった。
しかし今回ばかりは相手が悪すぎた。

総合格闘技部の女主将、立花志保。
まだ2年生ながら名門格闘技部で最強を誇る彼女が相手を務めたのだから・・・。

志保は最初から飯田を寄せ付けなかった。

キレのある突きで距離を取ると強烈な左ミドルキックを脇腹に突き刺す。
即座に呼吸が止まり胃液が吹き出るほどの凄まじい威力。
飯田はこの一撃だけで、これが無謀な挑戦であることを理解した。

志保の底知れぬ強さに恐れをなした男。
冷や汗がにじみ出て思わず後退りする彼に、追撃の右ローキックが放たれる。
飯田の左膝関節は、いとも簡単に砕かれてしまった。

苦痛に顔を歪めながら道場に倒れていく男。
そんな情けない彼に、志保は容赦なく襲い掛かる。

腹部に跨り馬乗りになると顔面に重いパンチを振り下ろしていく。
両手を広げて抵抗する飯田だが、志保の拳は的確に彼の顔面を捕らえる。
前歯が折れ血だらけになり、飯田は徐々に戦意を喪失していった。

闘いが始まって30秒足らず。
勝負は既に決していた。
しかし道場破りへの制裁は主将の仕事。
志保はまだ制裁を終わらせるつもりはなかった。

無防備な男の左腕を握ると体を横に捻って逆十字を極める。
道場内に響き渡る鈍い音。
志保は男に悲鳴をあげさせる時間すら与えず、躊躇なく彼の腕を圧し折った。

さらに体勢を整えると、今度は足首に狙いを定める。
志保の洗練された関節技は、いとも簡単に彼のアキレス腱を引き千切った。

道場破りへの制裁は正当防衛として認められている。
とは言え、あまりにも容赦のない志保の制裁に見守る部員たちは恐怖すら感じていた。

あまりの激痛に大声で悲鳴をあげ出した飯田。
そんな男を黙らせるかのように、志保は裸絞めで制裁を終わらせた。

うつ伏せに体を痙攣させながら、道場の中央で失神する男。
顔は恐怖で引きつり、股間には失禁のあとが見られる。
その情けない男の隣に立って、女主将は悠然と髪を結び直している。

学校一と言われる美貌。
しなやかな筋肉のついた抜群のスタイル。
彼女の白い道着は、飯田の返り血で赤く染まっている。

1年生の部員たちが失神した飯田の応急処置を始めた。
恐らく志保以外の部員なら簡単に倒せたであろう男の逞しい体が、見るも無残に破壊されている。
砕かれた左膝に、圧し折られた左腕、顔面はボコボコで原型を留めていない。
後輩部員たちは、改めて志保の強さを思い知った。

3年生の格闘技部員たちが志保の機嫌を取りにやってきた。
彼らから無言でタオルを受け取ると、志保はべっとりと血のついた拳を拭く。

「こんな腕で志保さんに勝負を挑もうなんて、愚かな男ですね。」

調子の良いコメントで様子を伺う先輩部員たち。
そんな彼らに彼女は即答した。

「そうかしら?」

予想外の一言にその場が凍りつく。

「この総合格闘技部に、彼のように勇敢な男はいるのかしら?」

男子部員ひとりひとりの顔を見つめながら、志保は説教を始めた。
彼女に見つめられた部員たちは、直立不動で彼女の話に耳を傾けた。

「いつも私の顔色ばかり伺って…。
 馬鹿にされても、刃向かうことさえできない…。
 負けると分かっていても必死に闘いを挑んでくる彼の方が、
 意気地なしのアナタたちよりよっぽど立派よ。
 悔しかったら、全員まとめて襲い掛かってくればいいじゃない?
 さぁ、誰か私に向かってくる勇気のある男はいないの?」

いくら挑発されても、志保の強さを知る男子部員たちは絶対に動かなかった。
女主将の威厳は、ますます強大なものとなっていく。

(終)



――――――――――――――――――――
[14] 史上最速の美人ドライバー
――――――――――――――――――――

先頭でチェッカーフラッグを受けたのはピンクのF1カー。
ドライバーがヘルメットを脱ぎ去ると、長いサラサラの金髪が露になった。
彼女は世界ナンバーワンのトップモデルにして、史上最速のF1レーサー。
今シーズンは負けなしの13連勝で、既にシーズン王者を決めている。

モデルを本業と言い切る彼女は、予選には出場しない。
しかし毎週日曜日になると、スリルを楽しむためにサーキットへとやって来る。
今回もスタートは、いつものように最後尾からだった。

逃げ切ろうとする男子ドライバーの車を、彼女は1台ずつ弄びながら抜いていく。
どんな男子ドライバーであれ、彼女にロックされたら最期。
右に左にと揺さぶられ、甚振るように追い抜かれてしまう。

車の性能は劣っている。
でもピンク色が気に入ったというだけの理由で、彼女はこの車に乗っている。
圧倒的なドライビングテクニックは、少々の性能差など軽く凌駕してしまう。

ヘアピンコーナーで、また1台の車が追い抜かれた。
抜き際にバイバイと笑顔で手を振る。
これで彼女は先頭に立った。
19人の男子ドライバーを追い抜くのに、今週はわずか12周しか要しなかった。

その後は、圧倒的なスピードでリードを広げていく。
すべての車を周回遅れにすると、彼女は悠然とピットに戻ってきた。

クルーは落ち着いた様子でタイヤ交換と給油を行う。
彼女はコックピットを降りて、コーヒーをそそる。
この余裕が、彼女の圧倒的な強さを物語っている。

たっぷりの休憩を取りながらも、彼女はトップでコースに戻ってきた。
そしてそのまま2位を大きく引き離し、ダントツのトップでチェッカーを受ける。
もはや彼女に敵はいない。

表彰台の頂点に輝くのはいつも彼女。
長身モデルの彼女は2位と3位の男性ドライバーの肩に手を回し最高の笑顔を見せる。
広い肩幅、発達した上腕の筋肉、鍛えられた太い首周り。
小柄な男子ドライバーが横に並ぶと、彼女の肉体の逞しさがさらに際立つ。
トップモデルらしい最高の美貌を披露して、彼女は今週のレースを締めくくった。

(終)



――――――――――――――――――――
[15] 自慢の妻
――――――――――――――――――――

「カーーーーーン!!」

1ラウンドの闘いを終えた妻がコーナーに戻ってくる。
俺はリングに入って彼女のグローブについた血をタオルで拭き取った。
汗でも拭いてやろうかと思ったが、その必要はないようだ。

水を渡そうとしても彼女は受け取らない。
コーナーに丸イスを置いても座ろうとしない。
体力が有り余っているのか、彼女はその場でシャドーボクシングまで始めてしまった。

「ねぇ悟郎…。
 予定より早いけど、次のラウンドで終わらせてもいい??」

「おいおいっ、バカなこと言うなよ…。
 テレビ局とは3ラウンドという約束だろう???」

「だってアイツ、打たれ弱いし手応えないのよね…。
 さっきも危うく3回目のダウンをさせちゃうところだったわ♪」

可哀想な対戦相手の男は、イスに座り込み懸命の応急治療を受けている。
顔面はボコボコに腫れあがり、既に片方の眼は完全に塞がっている。
既に2回のダウンを喫し、足元もフラフラだ。

メキシコの誇るミドル級世界チャンピオンも今回ばかりは相手が悪かった。
俺の妻はボクシングの神様に愛されている。
男女差や階級差など、彼女の前ではまったく意味を成さないのだから。

いざ第2ラウンドが始まる。
コーナーから気品高くリングの中央へと向かう妻。
セクシーな彼女の後ろ姿を見つめながら俺は100%確信していた。
短気なアイツがあと3分間も我慢できるはずがない、と……。

予想通り、第2ラウンドが始まって間もなくだった。
あまりにも弱すぎるミドル級チャンピオンに、彼女の我慢は限界に達した。

「ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!」

ロープを背負った男に放たれたスーパーコンビネーションパンチ。
ジャブにフック、ストレートにアッパーが絶妙にミックスされている。
男が見せる必死のガードも全く効果がない。

相手方のセコンドが慌ててタオルを投入した。
レフリーが慌てて両者に割って入る。
しかし間に合わない。
チャンピオンの身体はあっという間に骨抜きになって、ふにゃふにゃとリングに沈んだ。

「カンカンカンカンカーーーーーン!!」

2ラウンド28秒でのノックアウト勝利。
4階級も上の世界王者を、妻はまったく相手にしなかった。

レフリーが彼女の右手を高々と掲げる。
観客が割れんばかりの拍手を送る。
黒いハイレグレオタード姿の彼女。
細くくびれたウェストには豪華な緑色のベルトが巻かれた。
抜群のプロポーションがスポットライトを受けて輝いている。

そんな足元では、医師団による懸命の治療が行われていた。
妻の拳の餌食となった可哀想なチャンピオン。
命に別状はないだろうが、リングに上がるのはこれが最後になるだろう。

「ごめんね、悟郎…。
 あまりにも情けなかったから、終わらせちゃったわ♪」

笑顔で弁解をする妻に、俺は軽くOKサインを出した。
俺はそんな強すぎる彼女のことを、心の底から自慢に思っている。
今晩はきっと激しい夜になるだろう。

(終)



――――――――――――――――――――
[16] サッカーボールの運命は?
――――――――――――――――――――

体育館裏のグラウンドで、
女子空手部と新体操部によるサッカーの練習試合が行われていた。

序盤は空手部のペース。
持ち前のキック力でボールを次々と前方に運び、相手ゴールにあと一歩まで迫った。

しかし中盤以降、実力に勝る新体操部が徐々にペースを握り始める。
彼女たちは抜群の柔軟性とチームワークでボールを巧みに操った。

「やぁ!」
レオタード姿の新体操部員がボールを蹴った。

「うりゃーーっ!!」
黒帯の空手部員がボールを蹴り返す。

サッカーボールは彼女たちの蹴りから必死に逃げ回った――――。

一度倒れたら最後。
ボールはパンクするまで蹴られ続けてしまう。
痛みに耐えながらも何とか踏ん張って、ボールはただひたすら逃げ回った。

空手部員の蹴りは重くて痛い。
だからボールは校舎側のゴールへと逃げ込みたかった。
しかし新体操部の戦略は一枚上手。
複数の人数でボールを取り囲むと、パンパンパンパンと高速の蹴りを連発した。

空手部に比べると威力は弱い。
しかし新体操部のキックは急所を的確に捕えた。
平衡感覚が徐々に奪われていき、どこを走っているのかも分からない状態に追い込まれた。
ボールはただ目の前の蹴りから必死に逃げているだけだった。

「ドスン!!」

その時、ボールは何かにぶつかった。
目の前にはレオタード姿でスタイル抜群の長身女性が立っていた。
スレンダーでありながら女性らしいボディラインが強調されたグラマラスな肉体。
彼女は、新体操部のキャプテンにしてエースストライカーの優実だった。

「ナイスパス!!」

彼女が叫ぶ。
危険を察知したボールだが、既に逃げ道は残されていなかった。

「SHOOOOOT!!!」

右脚を高く掲げての強烈なシュート。
新体操選手らしい美しい脚が、ムチのように大きく撓ってボールの首筋を捕らえた。

「ゴフッ!!」

凄まじい威力のシュート。
ボールが体ごと吹き飛んでいく。
ゴールを守るキーパーも対応できない。
ボールの体はそのまま突き進み、ゴールネットに突き刺さった。

「ピッピーーーッ!!!」

得点を決めて喜ぶ新体操部員たち。
ボールの男は頭を下にしてネットに絡まったまま、完全に気を失っていた。

(終)



――――――――――――――――――――
[17] 地下リングの支配者
――――――――――――――――――――

地下リングでの熱戦が終わった。
序盤こそ勢いで相手を追い込んだ巨漢の男だったが、中盤以降は防戦一方。
圧倒的なスピードに翻弄され、最後は関節を極められてタップしてしまった。

金網に囲まれたリングの中央で、大の字になって倒れたままの男。
その脇ではショートカットの美人格闘家が、動けなくなった彼を見下ろしていた。

「ちくしょう…、負けちまった…
 女に負けるのはアレ以来か……。」

「あなたも相当強かったわよ♪
 でも私・・・、あの人を倒すまでは絶対に負ける訳にはいかないの…。」

彼女が見上げたのは会場最上階の貴賓席。
そこにいるスーツ姿の女性こそ、この地下リングの支配者、美雪だった。

「お前まさか…。
 美雪様と戦うつもりじゃないだろうな!」

「………。」

「命が惜しいならやめとけ・・・。
 とてもお前が敵う相手じゃない・・・。」

黙り込む女に、男は優しく語り始めた。

「忘れもしない…。あれはもう7年も前のことだ…。
 美人女子プロレスラーの地下デビュー戦ということで、俺は突然オーナーに呼ばれたんだ。

 俺も最初は、女を拷問して犯しまくる金網マッチだなんて乗り気じゃなかった。
 しかも、女子レスラー1人に男子格闘家5人が相手するハンディキャップマッチだなんて、
 とても正気の沙汰とは思えなかった。
 でも結局は俺も、目の前の大金に眼が眩んじまった…。

 金網に入った美雪様のお姿…。
 それはもうこの世のものとは思えないぐらい美しかった…。

 透き通るように白くて張りのある肌。
 大柄だけどセクシーで肉感的な身体。
 女を無理にでも犯したいと思ったのは、俺はあの時が初めてだった…。

 でもいざ戦いが始まると、俺たちは美雪様の強さに度肝を抜かれた。
 信じられないほど重く、そして的確にヒットする蹴り。
 大柄な男たちを簡単に捻り倒す圧倒的なパワー。
 格闘家の男5人掛かりでも、まったく相手にならなかった。
 女子プロレスラーがこんなに強いんだなんて、俺はあの時初めて教えられた。

 そして、それからはまさに地獄だった…。
 美雪様は表情ひとつ変えず、ただ黙々と俺たちを料理していった。
 1人ずつ順番にな…。

 最初の男は卍固めで全身をバキバキにされ、次の男はあの妖艶な太腿で絞め殺された。
 俺たちの中では最強と言われてたいた男も、ギロチンドロップ1発で首が曲がっちまった。

 俺もバックブリーカーで背骨を折られ、最後は踏みつけられてで頭をカチ割られた。
 俺は運良く一命を取り留めたものの、他の4人は結局そのまま戻って来なかった…。

 お前が強いのは分かる!
 でも美雪様は3分…、たった3分で俺たち5人を葬り去ったんだ。
 俺1人を倒すのに5分も掛かっているようなお前じゃ、到底勝ち目はない!

 俺たちの後にも一体何人の男たちが美雪様の餌食になったと思ってるんだ?
 100人や200人じゃ済まないんだぞ!
 美雪様にはどんな強い挑戦者も、指1本触れされてもらえなかった。
 男子レスラーも、ボクサーも、殺し屋も、オリンピック選手も・・・、
 みんな片手で捻り潰されたよ・・・。

 悪い事は言わん!
 あの女とだけは・・・、あの女とだけは絶対に戦ってはいかん!
 絶対に生きては帰れんぞ!」

あまりにも真剣な男の言葉に、女は思わず息を飲んだ。
貴賓席では美しい地下リングの支配者が、試合に勝った美人格闘家の姿を見つめていた。

「私・・・、次はあの娘と戦うわ♪」

(終)



――――――――――――――――――――
[18] 新説・北斗の拳
――――――――――――――――――――

拳王ラオウはユリアを殺害するため彼女の居城へと向かった。
その一報を聞いたケンシロウは、慌てて彼の後を追った。

立ちはだかる雑魚を始末して最後の扉を開くケンシロウ。
するとそこには、いつもと変わらないユリアの姿があった。

まっすぐな長い黒髪。
心が洗われるような優しい表情。
玉座に腰掛けたユリアは、まさに天使を思わせる美しさだった。

「ユ…、ユリア。無事だったか…。」

愛するユリアの無事にホッと胸を撫で下ろしたケンシロウ。
しかしよく見ると、彼女の足元には血だらけの巨大な肉塊が転がっていた。

「こっ、これは!! まさか…」

「そうよ…。ケンも知っているでしょう?
 私の正体は南斗六聖拳を束ねる最後の将…。
 そして南斗最強を誇る南斗女帝拳の正統伝承者…。
 ラオウなんて、指1本でこの通りよ。」

玉座に腰掛けたままユリアは平然とそう告げた。
足元にあったのは、紛れもなく世紀末覇者ラオウの身体だった。
血まみれになりながらもまだ息のあるラオウが、死力を振り絞って立ち上がる。

「ケ…、ケンシロウ…。
 早く逃げるのだ…。いくらお前でもユリアには勝てん…。
 北斗宗家の血を絶やしてはならん!!」

「体中の腱を断ち切っても立ち上がれるなんて…。
 弱いのに身体だけは頑丈なのね♪」

「ユリアめ…。北斗剛掌波、喰らうがいい!!
 ウォーーーッ!!!」

ラオウは座ったままのユリアに猛然と襲い掛かる。
建物全体が揺れ動くほどの凄まじい迫力。
しかしユリアは嘲笑したまま玉座から動こうとしない。
そしてラオウが拳を振り上げた瞬間、ユリアの妖艶な美脚が怪しく動いた。

「南斗女帝拳、天女蹴脚!!」

シュッシュッシュッシュッシューーーーーーーーーッ!!

ユリアの右脚が美しく風を切る。
いつのまにか彼女はブーツを脱ぎ、素足となっていた。
その風を体で感じたラオウ。
すべてを悟った彼は、ふらふらと覚束ない足元でケンシロウの元へ歩み寄ってきた。

「ケンシロウ…。愛する我が弟よ…。
 北斗神拳の未来…お前に託したぞ!!」

最期の言葉を残したとき、ラオウの身体に赤い横線が現われた。
やがて横線から赤い血が滲み出てくる。
拳王の逞しい肉体は、まるでスライストマトのように美しく輪切りされていた。

鮮血を激しく吹き上げながら、ラオウの身体が何十枚もの断片に切り離されていく。
南斗女帝拳、天女蹴脚――――。
恐ろしきユリアの足技は、北斗神拳伝承者にとっても計り知れないものだった。

「兄上ーーーっ!!」

死に行く長兄に言葉を掛けるケンシロウ。
そんな弟の目の前で、ラオウは真紅の肉片と化していく。
2人の兄弟の眼には大粒の涙が浮かんでいた。

「さぁケン…。あなたには2つの道が残されているわ。
 私に逆らってラオウのように切り刻まれるか、
 それとも私の前にひざまづき、永遠の服従を誓って我が下僕となるか…。」

ユリアの済んだ眼は本気だった。
強者同士だから感じあえるその絶望的な実力差。
彼女のオーラを前に、ケンシロウの体は無意識のうちに震えていた。

結局のところ彼が生き残るための選択肢は、ひとつしか残されていなかった。
ケンシロウはユリアの前に跪き、兄を切り刻んだその美しい素足に口づけを交わした。

「それでいいのよ・・・。ケン・・・」

ユリアはその足でケンシロウの頭をさらに踏みつけた。
北斗最強の男が美女の足下で床を舐めている。
主従関係をハッキリさせることが、無用な血を流さずに済む最良の方法。
彼女はそのことを良く理解していた。

(終)



――――――――――――――――――――
[19] Sランクの殺し屋
――――――――――――――――――――

真夜中――――。
最高級ホテルのスイートルーム。
闇に閉ざされた部屋に怪しい影が忍び寄る。
拳銃を手にしたこの男は、野心家の殺し屋だった。

(パッ!!)

彼がリビングルームに足を踏み入れた瞬間。
突然部屋の明かりがONになった。
暗殺を狙った彼の行動は、すべてが読まれていた。

ソファには1人の美女が座っていた。
裸体をバスローブ1枚で巻いた、風呂上りのスタイル。
このセクシーな美女こそが今回の暗殺ターゲット。
彼女もまた殺し屋だった。

「同業者を狙うなんて…。貴方も趣味が悪いわね…。」

「悪いな…。Sランクを殺せれば俺も有名になれるんでね…。」

「最近多いのよね、そんな連中が…。
 でもあんまりSランクを舐めない方がよろしくってよ♪」

男はピストルの標準を彼女に合わせた。
バスローブだけでは隠せない胸の張り。
股間はギリギリ隠されているが、妖艶な太ももは完全に露出している。

こんなセクシーな美女が、世界に3人しか存在しないSランクの殺し屋だなんて…。
男は未だに信じられなかった。

「心配しないでいいわ…。私はどうせ丸腰よ♪
 大人しくこのまま帰ってくれるのなら、今回のことは許してあげるけど…。」

「悪いがもう後には引けなくってね…。死ね!!!!!」

(ポスッ、ポスッ、ポスッ、ポスッ、ポスッ!!)

サイレンサーをつけた拳銃から数発の銃弾が発射された。
確実な手応えを感じた男が女の遺体を確認する。
しかしソファには、白いバスローブが残されているだけ…。
彼の銃弾は、ソファとバスローブを撃ち抜いたに過ぎなかった。

ハッ!!!!!!!!!!!

男は背後に人の気配を感じた。
それと同時に襲い掛かってくる鋭いハイキック。
彼女の素足は、彼の首筋まで1ミリという距離でピタりと止まった。
背中の方からは、淡い石鹸の香りと妖艶なフェロモンが漂ってくる。

女の武器である素足を首筋に突きつけられた男。
こうなってしまったら男はもう振り返ることすらできない。
彼らはゆっくりと銃を捨てると、観念して両手を挙げた。

「うっ、嘘だろ…。弾丸より速く動けるとでも言うのか…。」

「だから言ったでしょう♪
 Sランクをあんまり舐めない方が良いって…。」

男の額には大粒の汗が流れ落ちている。
そんな男の頬を、彼女の足が優しく撫で回す。
男はもう生きた心地がしなかった。

「何か最期に言いたいことはある?」

耳元で囁かれる彼女の声は抜群に色っぽかった。
大きく身を震わせながら必死の命乞いをする男。
しかし女は退屈そうに、足の指で男の耳をいじって遊んでいた。

「言いたいことはそれだけ? じゃぁ、サヨナラ♪」

女の足が男の首筋を走った。
次の瞬間、辺りに鮮血が飛び散る!!

「プシューーーー!!!!」

男は首を両手で押さえながら床を転げまわった。
しかし女の蹴りは男の頚動脈を完璧に切り裂いていた。
彼の首筋から流れ出す血飛沫は、一向に止まる気配を見せない。

意識が遠のいてきた男の眼にはセクシーな女の全裸姿が映っていた。
彼が初めて眼にした女殺し屋の素顔。
彼女は見たこともないくらいの絶世の美女だった。
世界最高の眺めを眼に焼き付けながら、彼はゆっくりと息絶えていった。

(終)



――――――――――――――――――――
[20] 灼熱のバレーボール部合宿
――――――――――――――――――――

夏休みの特別強化合宿。
体感温度50度を超える熱い体育館でハードな練習が続いている。

普段は男子バレー部のマネージャーをしている僕だが、
強化合宿中だけは、全国大会を控えた女子部の練習を手伝うことになっている。

それにしてもなんて激しい練習なんだろう…。
見ている僕の方が息が詰まる。
体育館のフロアーがすぐに濡れてしまうほどの大量の汗を流しながら、
彼女たちは必死にボールを追い続けている。
流石は全国の頂点を狙う彼女たち。
男子部員のみんなも少しは見習って欲しいものだ。

「はいっ、今日の練習はこれまで!」

「お疲れ様でした!!!!」

延々と続くかと思われた練習がようやく終わった。
しかし僕達マネージャーにとっては、これからが本当に忙しい時間となる。

選手たちがシャワー室へと向かう。
僕はその更衣室で、ユニフォームの回収を任された。

「はいっ。」

「ほい!!」

ユニフォームにスパッツ、そしてソックスまでもが、次から次へと僕に投げつけられる。
まったく最近の女子高生ときたら、なんと行儀の悪いことか…。
それでも僕は文句ひとつ言わず、投げつけられたユニフォームを洗濯機に入れていく。
大量の汗を含んだ彼女たちのユニフォームは、まだ生温かくて熱気がこもっていた。
彼女たちの汗に手を湿らせながらも、僕はテキパキと仕事をこなしていく。

不満がない訳ではない。
そもそも僕はマネージャーである前に男だ!
それなのに彼女たちは、僕の目の前で悠然とユニフォームを脱ぎ、そのまま投げつける。
恐らく彼女たちは、僕のことを男として見ていないのだろう。

そんな中、僕の目の前に一際大きなユニフォームが差し出された。
目の前には、キャプテンで3年生エースの美希先輩が立っていた。
高校生ながら全日本メンバーにも選ばれている彼女は194センチの長身。
彼女は学校一と言われる最高にかわいらしい笑顔で僕を見下ろしていた。

「洗濯よろしくね♪」

僕は彼女からユニフォームを受け取った。
一際大量の汗を含んだ大きなユニフォームは、他の選手より明らかに重い。
だけど彼女の汗は、他の選手とは違う柑橘系の心地よい匂いがした。

「どうも、わざわざありがとうございます。」

僕は美希先輩を見上げてお礼を言った。
視線の先には白いブラジャーに包まれた形の良い乳房があった。
しかし同時に、僕はユニフォームの下に隠された肉体に眼を丸くしてしまった。

女子バレーボール選手の身体能力は驚異的だ。
日本代表クラスの美希ともなると、男子高校生では到底太刀打ちできない。

彼女は男子陸上部員の誰よりもより速く走る。
野球ボールを持てば、キャッチャーも取れない剛速球を投げる。
彼女がその気になれば、柔道部員を片手で絞め上げ、
空手部員をビンタ1発で失神KOすることくらい朝飯前。
それが彼女の身体能力なのだ。

大腿筋の発達した太腿に、くっきりと筋の入った腹筋。
プロレスラーのように逞しい上腕と肩の筋肉。
驚愕の身体能力の秘密が、ユニフォームに隠されたこの肉体に凝縮されていた。

「何見てるの!」

「すっ・・・、すみません!!」

彼女の裸を見ることが許された男は世界中に僕しかいない。
僕はそんな事実に興奮しながらも、それを悟られないようにもくもくと仕事を続けた。

(終)



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[21] お嬢様の教育係
――――――――――――――――――――

「娘が少々わがままに育ち過ぎてしまってね…。
 多少手荒な真似をしても構わないから、気品のある女に躾けてやってくれ。」

「了解した…。100万ドル分の仕事はきっちりしてやるぜ。」

スーツ姿の男が葉巻に火をつけた。
上半身裸の筋肉質な男は、その場で大きく胸を張った。
彼の足元には、この男に殺された3人の兵士が転がっている。
男はそのまま3階にある娘の部屋へと向かった――――。

その時、流奈はドレス選びの真っ最中だった。
黒いレースの下着姿で鏡の前に立ち、花柄のドレスを体に当てながら軽くポーズを決めていた。
男はしばらくの間、彼女の女の子らしい仕草を遠くから楽しんでいた。

清楚な美少女というよりは、天真爛漫で活発な女の子という印象だった。
若々しいボディは13歳とは思えないほどグラマーで、胸とお尻の張り具合はやけに色っぽかった。
少女は下着姿を見られていることに気付いても、恥らう素振りさえ見せなかった。

「あなたが新しいお世話係さん?」

「あぁ、名前はリューキ。
 みんなは俺のことを世界最強の男だなんて言うけど、レディには優しいから安心してくれ。
 まぁこれも何かの縁だ、仲良くやろうぜ!!」

「あっそう…。仲良くやるために、あなたに忠告してあげるわ♪
 私には絶対服従。余計な口出しはしないこと。ただそれだけよ。」

流奈は命令口調でこう言った。
彼女にはこんな強気な話し方が良く似合っていた。
言いたいことだけ伝えると、流奈は再びドレス選びに夢中になった
リューキのことなどまるで眼中にない様子だった。

「決ーめた。これにしよう♪」

流奈は背中の大きく開いた赤いドレスを選んだ。
ドレスを持って隣の部屋へと向おうとする彼女。
しかしそんな彼女の前に、大柄なリューキが仁王立ちする。

「何のつもりかしら??」

「女の子が、こんな夜更けにお出掛けなんて良くないね…。
 悪いが今日は家の中で大人しく過ごしてもらうよ。」

「あらっ…余計な口出しは厳禁だって教えてなかったかしら♪
どうやら、今のうちに上下関係をはっきりさせといた方が良さそうね・・・。」

流奈は赤いドレスをベッドに放り投げた。
彼女は下着姿のまま、大柄で上半身裸のリューキと向かい合う。
2人の衝突は、もはや避けられないものとなった。

「おいおい冗談だろ…。まさか俺と喧嘩しようって言うんじゃないよな。」

「喧嘩? あなたが相手で喧嘩になるのかしら?」

最強の男を前にしても流奈は信じられないほど強気だった。
そして彼女は突然、リューキの視界から消えた。

「ああああーーーーーーーっ!!!!」

リューキの悲鳴が屋敷中に響く。
気がつけば彼は膝関節を破壊され床に這い蹲っていた。

「ほらっ、言ったでしょ♪ 喧嘩になんかならないって。
 私、サンボ習ってるの・・・。で・・・、次はどこを壊して欲しい?」

流奈は少女らしく微笑んだ。
超高速のタックルから一瞬で膝関節を極め、躊躇なく一気に圧し折る。
リューキは防御どころか反応することすらできなかった。
とても13歳の少女とは思えない彼女の強さにリューキは絶望を感じた。

「うぎゃーーーーっ!!!」

流奈の殺人サンボ技が炸裂する。
リューキの心地よい悲鳴を楽しみながら、流奈は次々と技を繰り出した。
両手、足、肩や手首、腰や指に至るまで、全身のあらゆるパーツが餌食になった。
関節を極め、腱や靭帯を「ブチッ!」と引き千切るときの感触が彼女は何よりも大好きだった。

もはやそれは喧嘩と言うよりは虐待に近かった。
少しだけ汗ばんできた流奈のピチピチボディ。
彼女の足元には、泣きながら首と頭だけを動かしているリューキの姿があった。
屈強なはずの彼の肉体が、まるで軟体動物のようにふにゃふにゃと折れ曲がっていた。

流奈のサンボ技に恐怖して、彼は全身を激しく震わせている。
そんなリューキの頭を軽く素足で踏みつけながら、流奈は彼に尋ねた。

「これで分かったかしら?
 あなた、自分のこと最強って言ってたけど、本当に強いのは誰??」

「こっ…、この世で一番強いのは、流奈お嬢様であります!!!!」

全身を襲う震えを必死で抑えながら、リューキは噛み締めるようにこう答えた。
この答えに満足すると、彼女は再び赤いドレスを手にして隣の部屋へと向かった。
部屋には、泣きながら失禁し無残な姿で横たわる、世界最強の男だけが取り残された。

(終)



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[22] 新聞記事
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総合格闘技団体バトル=マキシマム(B=MAX)は13日、
所属する山城孝典選手(28)=王将ジム= が都内の病院で死亡したと発表した。
同選手は前日、東京ドームで開催された最強決定トーナメントに出場し、
女子プロレスラー優奈選手(17)=くのいちプロ= と対戦。
試合時間38秒でヒッププレスによる失神KO負けを喫し、その後都内の病院に運ばれていた。
担当医師によると、側頭部に受けた蹴りの衝撃で頭蓋骨に亀裂が入ったところに、
相手選手の臀部による圧迫が加わり、急性脳内出血を引き起こした可能性が高いとのこと。
病院に運ばれてきた時点で、既に手の付けられない状態だったと言う。
同選手は193センチの大柄な体格を武器に闘う元アマレスの日本王者で、
プロ転向後31勝3敗(男子選手との対戦では無敗)という好成績を収めていた。
対戦した優奈選手は「山城選手が亡くなられたと聞いて大変ショックを受けています。
自分としては十分に手加減したつもりでした。」とコメントしている。
格闘技界は近年、女子選手との対戦で深刻な怪我を負う男子選手が相次いでいる。
先月開催されたオープンマッチでは、プロで活躍するトップクラスの男子選手が、
女子の小学生チャンピオンに全く歯が立たずに完敗。
試合後すぐに意識を失って病院に運ばれるという事件も起きていた。
選手保護の観点から、男女の対戦を法律で制限すべきだとの声も上がっているが
今のところは女子選手の手加減に期待するしかないのが実情だ。
ある解説者は「プロの女子選手ともなると、体力的にも技術的にも男子とはレベルが違う。
それでも男女対戦は一定の人気が見込めるため興行的には欠かせないのが現実だ。」と語っている。
ここ10年で急速に草食化が進んでしまった男性にとって、強い女子選手に立ち向かう勇敢な男子選手は
憧れの存在。
彼らに声援を送る多くの男性ファンがいる限り、このような惨事は当分続きそうだ。

(終)



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[23] ボディビルダー連続殺人事件
――――――――――――――――――――――――

ボディービルダーが惨殺される事件が相次いでいる。
被害者は世界トップクラスの選手ばかり。
いずれの遺体にも、全身を強烈な力で絞められた痕があるという。

先月の世界大会を制覇したダニエルはジムからの家路を急いでいた。
車を降りて自宅玄関へと向かう途中、彼は背後に人の気配を感じた。
慌てて振り返ると、暗闇の中には巨大な男が立っていた。
ボディビル王者である彼よりも明らか発達した肉体の持ち主だった。

「現れやがったな・・・。バケモノめが・・・。」

自然と冷や汗が湧き出てくる。
彼は眼を凝らして男の体を見つめた。
何か不思議な違和感を感じる。
大きな胸に引き締まったウエスト。
凄まじく発達したヒップは明らかに男のものとは違っていた。

「おっ・・・、女???」

その時、車のヘッドライトが怪しい人物を照らした。
その女は圧倒的なバルクを誇る筋肉を、小さな黒いビキニに包んでいた。
その肉体とは対照的に、彼女の顔はキュートで可愛らしかった。

「おっ・・・オマエは確か、ナチュラルビルダーの美和!!」
「あらっ、わたしのこと覚えていて下さったのね♪」

美和は優しく微笑んだ。
数年前、カワイ過ぎるボディビルダーとしてマスコミに騒がれていた彼女。
しかし最近、彼女は人々の前から姿を消していた。

久しぶりに見た美和の肉体は、ダニエルが恐怖を感じるほどに成長していた。
超巨大なバストを支える極度に発達した大胸筋。
見事に割れた腹筋と、引き締まった大腿筋。
彼女の肉体は、世界王者のダニエルをも遥かに凌駕していた。

「信じられん・・・。お前、本当にナチュラルなのか・・・。」

ボディビルダーには大きく分けて2つのタイプがある。
筋肉増強剤を含むあらゆる手段を講じて体を作り上げるステロイドビルダーと、
一切の薬を使用せずトレーニングだけで体を鍛え上げるナチュラルビルダー。
彼らは通常別々のコンテストに出場し、全く別のスポーツ選手として認識されている。

美和はナチュラルビルダーだった。
通常ナチュラルビルダーの筋肉量は、ステロイドビルダーに遠く及ばない。
しかし彼女の肉体は、ステロイド系のトップに君臨するダニエルよりも遥かに逞しい。

「わたし、アナタたちみたいに薬なんか使っていないわよ。
 私がどれだけ厳しいトレーニングに耐えてきたか、アナタにも分かるでしょう?」

ダニエルの全身が震えてきた。
ただでさえナチュラルビルダーのパワーは、ステロイドビルダーを圧倒する。
それは本物の筋肉と、見世物の筋肉との違いでもある。
まして筋肉量でも凌駕されてしまったら、ステロイドビルダーには勝ち目などない。
この事実を前にしたら、もはや男女の違いなど全く意味を為さなかった。

美和が1歩1歩近付いてくる。
しかしダニエルは恐怖で足が動かない。
彼女は鋭い視線で、彼の動きを封じていた。

目前に迫った美和の肉体はとてつもなく大きく感じた。
それは本物の筋肉だけが作り出すことのできる、本物の迫力だった。
美和は震え上がるダニエルの体を、優しくそっと抱きしめた。

「ナチュラルビルダーの人達は、必死に努力しても報われない日々が続いたわ・・・。
 これもすべてはアナタたちステロイドビルダーたちのせい・・・。
 薬ひとつで安易に筋肉を作るアナタたちが、私は許せないのよ。」

美和の筋肉が軽く盛り上がった。
本物の筋肉はやはり弾力が違う。
薬で作り上げたダニエルの体がみるみるうちに押し潰されていく。

「どう?これが本物の筋肉よ・・・。薬で作ったアナタたちとは全く違うでしょう?」

美和は弄ぶようにゆっくりと力を強めていく。
ダニエルの関節がゴキゴキと音を立てて崩れていき、
次いで全身の骨がポキポキと乾いた音を響かせながら折れ始めた。

「ギュルルルルルっーーーーーっう!!」
「あががーーーっ!!」

美和は笑顔を浮かべたまま、彼の体を抱き絞め続ける。
やがてダニエルの筋肉がブチブチと音をたてながら切れ始めた。
美和の筋肉から産み出される圧倒的な力を前に、ダニエルは為す術がなかった。
彼女の肉体から甘酸っぱい汗の匂いが香り始めた頃、彼は夢の世界へと旅立っていった。

「わたしも、二度と表の舞台には立てない女になってしまったわね・・・」

美和の眼下に横たわるダニエルの遺体。
頭部や下半身は無傷だが、美和が締め上げた胴体部分だけが肉塊と化していた。
ナチュラルビルダー美和によるステロイドビルダーへの制裁は、まだまだ終わらない。
(終)



――――――――――――――――――――
[24] エキシビションマッチ
――――――――――――――――――――

世界と戦える唯一の日本人ファイター柳沢陽介。
超人気選手の登場に、アリーナは割れんばかりの大声援で彼を歓迎した。

「おいっ、陽介!!
 エキシビションだからって油断するなよ。」

「ああ、分かってるさ、
 ちゃんと期待通り客を沸かしてやるから、良く見とけよ!!」

今日のエキシビションマッチ。
陽介が相手を務めるのは、オランダ人美少女キックボクサー、クラウディア。
リングに上がってからも笑顔の絶えない元気な女の子だ。

実はこのクラウディアという少女。
まだ弱冠13歳という若さだが、決して侮ってはいけない。
地元オランダで、男子を倒しジュニア王者に輝いたという実績を誇るのだ。

「あの笑顔に騙されるなよ!!
 アイツは2メートル級の大男も倒してきているんだぞ!!」

「そんな心配すんなッテ…。俺を誰だと思ってるんだ?
 相手はアマチュアの女の子だぞ。」

ダメだ…。
陽介は完全に油断しきっている。
俺の脳裏には一抹の不安が過ぎった。

「よろしくお願いします。」

「あぁヨロシクな。
 遠慮はいらないから、どんどん撃ってきていいよ。」

「はいっ♪」

2人は軽くグラブを交えて挨拶を交わした。
まだ13歳だというのに、長身のクラウディアは陽介より随分と背が高い。
俺の背中に妙な冷や汗が湧き出てきた。

「セコンドアウト!!」
「カーーーン!!」

いざ試合が始まる。
観客が喜ぶ人気者同士のエキシビションマッチ。
しかし俺の悪い予感は見事に的中してしまった。

「スボッ、ズボッ、ズボッ!」

アリーナが完全に静まり返る。
陽介を首相撲で押えつけたクラウディアが強烈な膝蹴りを連発する。
陽介の腹部に突き刺さるクラウディアの若々しい生脚。
全身のバネを生かし躍動する美少女に、為す術なく力負けしてしまう陽介。
強い衝撃に気を失い、彼の全身から力が抜けていく。
ここでようやく、クラウディアは陽介を首相撲から解放した。

ゆっくりとうつ伏せに倒れていく陽介の体。
リングに横たわると同時に身体中が激しく痙攣する。
けたたましく鳴り響くゴング。
それは観客が思わず息を飲んでしまうような壮絶なKO劇だった。

「陽介、大丈夫か!!!」

俺は慌ててリングに上がる。
陽介は相当なダメージを負っており、白目を剥いて完全に意識を失っていた。
俺の目の前には、陽介をこんな状態にまで追い込んだ美少女が立っていた。

かわいらしい笑顔を見せるクラウディア。
彼女はコーチに教えられた通りの試合が出来たと満足していた。
序盤から手数で圧倒し相手を焦らせて、1ラウンドの最後にKOする。
首相撲からの膝蹴りで仕留めるフィニッシュも予定通りだった。

キックの本場オランダで育った彼女にとって、日本人など所詮踏み台でしかない。
彼女自身も、最初から勝って当然の試合だと思っていた。
意識を失ったまま担架に乗せられていく陽介を見下ろしながら、
クラウディアは終始変わらない元気な笑顔を振り撒いていた。

(終)



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[25] 天才美少女棋士
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「先手、3七飛車成・・・」

いかん・・・。
追い込まれてしまった。

プロ将棋の最高峰を決める竜王戦。
実力ナンバーワンの竜王に挑戦するのは、若干17歳の天才美少女棋士。

世紀の対戦と注目を集めた対局であったが、序盤から少女が一方的に攻め立てる。
苦しい状況を打破しようと、男は対局相手に目をやった。

彼女が私の方を見て微笑んでいる。
一体何を考えているのか・・・。
もしかして、もう勝負がついているとでも言うのか・・・。
いや、そんなはずはない。
追い込まれてはいるが、勝負はまだ始まったばかりだ。

竜王は考えに考え抜いて次の一手を指す。
しかし少女はほんの数秒で次の手を返してくる。
経験豊富なはずの竜王の方が、精神的にもどんどん追い込まれていく。

爆発的な攻撃力。
見る見るうちに竜王の駒が奪い去られていく。
少女の棋風は「女王の将棋」と言われ、圧倒的な支配力を誇っている。

気がつけば、竜王は既に万策尽きていた。
そしてこの時になって、彼はようやく気付かされた。

『自分は少女に弄ばれていたのだと・・・。』

全身からどっと冷や汗が湧き出てくる。
少女がその気になれば、何手も前に勝負を決することができたはず・・・。
なのに彼女は時間を掛けて自分を弄ぶことで、実力の違いを見せ付けているのだ。

竜王は正面から少女を見つめた。

清楚なブレザー制服姿だが、胸の張りが目立っている。
その発育の早い豊満な胸に向かって、竜王は深々と頭を下げた。

「参りました・・・。」

少女はつまらなさそうな顔して立ち上がった。
短いスカートの丈から、ピチピチの生脚がのぞいていた。
帰り際に放った少女の一言は、竜王のプライドを木っ端微塵に砕き去った。

「オジサン弱過ぎ・・・。もっと将棋勉強してよね・・・。」

(終)



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[26] リアルアクション超大作「アルティメット・ファイト」
――――――――――――――――――――――――

ハリウッド映画の撮影現場。
アクション超大作という肩書き通り、スタジオのデカさが半端じゃない。
こんな作品に出演できるなんて、今でも信じられない。

5年前に格闘家としてデビューし、いきなりの2連勝。
大会のメインにまで起用されるようになった俺だが、その後は負けが続いて5連敗。
そろそろ次の人生でも考えるかと思った矢先に、今回のオファーが舞い込んだ。

それにしても何かが変だ。
今日が撮影日当日だと言うのに、いまだ台本すら渡されていない。
役名だって知らされていないし、共演者が誰なのかすら分からない。
不安ばかりが募る俺に、監督は驚きの指示を出した。

「金網の中で戦ってくれればいい。どうせ良い芝居なんてできないんだから。」
「えっ?俺はストーリーも何も知らないんです。一体どうやって戦えばいいんですか?」
「とにかく本気で戦うんだ。本気でやってくれなきゃ、お前を呼んだ意味がない。」

訳が分からないまま衣装に着替えさせられ、俺は金網に入れられた。
リングの周りを何台ものカメラが取り囲んでいる。
そんな俺の目の前に現れたのは、なんとカワイらしい女の子。
白い道着に黒帯姿のアメリカン空手ガールだった。

『本気でこんな女の子とやらせる気か?』

監督の考えていることがまったく理解できない。
しかし100人を超えるスタッフが、真剣な眼差しで俺たちを直視している。
俺は監督の指示通り、本気で少女を痛めつけることしか考えられなかった。

「アクション!」

監督の声が掛かると、少女の顔つきがパッと変わった。
笑顔から一変して、凛々しい武闘家の表情になった。
しかも目の前の俺を蔑むような、自信満々の雰囲気を漂わせていた。

「さぁ、掛かってきなさい!」

ふざけた台詞を吐いたかと思うと、指で招いて俺を挑発する少女。
内心少しムカついた俺は、言われた通りに本気で突っかかっていった。

しかし気がつけば、俺はサンドバックと化していた。
次から次へと繰り出される彼女の芸術的な空手技。
少女のものとは思えないその破壊力に、俺はまったく太刀打ちできなかった。
ボコボコに蹴られた全身がすぐに悲鳴をあげ始めた。

『強い・・・、マジかよ・・・。こいつ一体何者なんだ?』

リングに膝をついて謎の少女を見上げる俺。
そんな俺の目の前で、彼女は上半身の道着を脱ぎ始めた。
黒いブラジャーに包まれた早熟のぴちぴちボディ。
華奢で筋肉質ではあるが、女性らしく成長した少女の上半身が露になった。
脱いだ道着を格好良く投げ捨てる少女。

「さぁ、ウォーミングアップはこれまで。そろそろ本気でいくわよ!」

蹴りの威力が一段と増した。
少女は美しい回転系の脚技を次々と披露しながら、格闘家の俺を弄んだ。
彼女の強さは本物で、頑張っても俺なんかが対抗できるレベルではなかった。

「ぐふっ・・・」

もうダメだ・・・。
完全に両瞼が塞がってしまった。
俺の眼に映るのは、ぼんやりとしたスポットライトの光だけ。
もう立ち上がるだけの気力もない。
這いつくばって逃げようにも、ここは金網で囲まれた地下リング。
俺にはもう何かを考える意欲すら残っていなかった。

仰向けに横たわる俺の顔面に、柔らかい物体が押しつけられる。
きっと少女の足裏にでも蹂躙されているのだろう。
甘酸っぱい彼女の足の匂いが、俺の鼻腔を直接刺激した。

「うぷぷぷぷぐっ・・・」

彼女の足先が俺の口の中に入っていく。
鋭く尖った足の爪が、俺の喉元を傷付けた。
口の中に鉄の味が広がる。

「待ってなさいアンジェラ!次は貴女の番よ!」

俺には訳の分からない台詞。
その直後に頭上から振り落ろされた彼女の踵落とし。
鈍い音と共に俺は完全に意識を失った。

リアルなアクションシーンが話題となり、この映画は空前の大ヒットとなった。
この作品が映画主演デビューとなった少女も、一躍トップスターの座へと登り詰めた。
彼女が本物の全米空手王者だったということも、俺は映画の宣伝で初めて知らされた。

映画の中で、主人公の彼女を苦しめる最強のライバルとなった女武闘家アンジェラ。
そのアンジェラの子分として、彼女の踏み台にされるのが俺の役どころだったらしい。
あれが正真正銘本気の戦いだったなんて、恥ずかしくて誰にも言えやしない。

(終)





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