5年3組物語 第9話

運動会

「これでよし…と。大丈夫?亀井君」
「う、うん…」
 2人の片方ずつの足首をタオルで結び付けて、二人三脚の一組のペアが完成した。
5年3組から代表として出場したのは、秋野さくら・亀井文太組。
身長差55cmにも達する2人がペアを組んでこんな競技に出るなど、どう考えても不利にしか働かない。
しかしそれでも、この各競技への出場選手を決める学級会では真っ先にこの組み合わせが決定してしまったのだった。

「二人三脚だったら、秋野さんと亀井君がいいと思いまーす」
 先週、学級会が始まると同時に、早くも一部の女子からそんな提案が飛び出した。
「あーそれいいかも!2人はお似合いのカップルだもんねえ」
「さくらちゃんとチビガメのラブラブコンビが最適だよね、こういう競技はさぁ」
「そ、そんな…ラブラブなんて、別にそういうわけじゃ…」
「チビガメはどんくさいから、優しくリードしてあげてね♪さくらちゃん」
「ぁ、あの…」
 突然のことに顔を赤らめて当惑する2人をよそに、クラスの大半の女子の間で一気に盛り上がったこの提案は
スピード決定されてしまった。
先日、ブリーフを取り上げられいじめられていた文太をかばったことで(第6話参照)
さくらと文太はいつの間にやらクラス公認のカップルに祭り上げられていたのだ。
確かにさくらは以前から文太に思いを寄せてはいたものの、こうも周りからいつも囃し立てられては恥ずかしくてたまらない。
これでもし、あのあとの保健室での出来事までを誰かに見られでもしていたら…さくらは一人でますます赤くなってうつむいた。

「わ〜、やっぱり超お似合いだね!ねぇもっとくっついちゃいなよ」
「背の高さの違いなんて、愛の力でカバーすれば問題ないわ」
 準備の整った2人を取り囲んで3組の女子たちが楽しげに2人の顔を見比べて声援を送る。
そんなことをされては、もともと内気なさくらと文太はさらに気恥ずかしさから真っ赤に染まって下を向いてしまう。
チームワークが大事な競技だというのに、2人はまともに目さえあわせられない。
紺色のブルマーに包まれたさくらの腰のあたりに、文太の心臓の鼓動が大きく伝わってくる。

「チビガメ!あんたもしさくらちゃんの足引っ張って負けたりしたら、あとで罰ゲームだからね!気合入れなさいよ!」
「相沢さん…そんなこと言わないで。亀井君がかわいそう」
 上から見下ろして小さな文太を一喝する智恵理から、さくらは文太をかばった。
体以上に気の小さな文太は智恵理から身を隠すように、反射的にさくらの逞しい腰にしがみついて情けなく身を縮める。
「さくらちゃん、もう1本ぐらい長いロープでも持ってきてあげようか?
それで、チビガメの全身をさくらちゃんの脚にグルグル巻きにしちゃうっての、どう?
それなら、じゃまにならないからさくらちゃんは楽に走れて絶対1位になれるよ」
「そんなの、二人三脚じゃないし… と、とにかく亀井君をいじめるみたいなこと、もうやめてあげてよ」
「ふぅ、チビガメ君の彼女がそう言うんじゃ仕方ないか」
「かっ、彼女なんて、私…」
「いいじゃん隠さなくたって、今さら。好きなんでしょ?チビガメのこと。
…まぁいいや。とにかく!今日はいろんな人が見に来てるんだから恥ずかしい真似は絶対にしないこと!
わかった!?チビガメ!!」
「はっ、はぃ…」
 智恵理に上から覗き込まれながら、文太はさくらの広い背中の後ろでオドオドと消え入りそうな返事をやっと返した。

 スタートラインに姿を現した、他のペアとは明らかに異彩を放つ男女に客席からはどよめきが広がる。
「で、でかい…あの娘は一体……」
「あの子、先月テレビに出てた子じゃないかしら!?『日本一大きな小学生』って!」
「よりにもよってパートナーはあんなに小さな男の子なんて…」
「でも、名札見て?2人とも同じクラスみたい。…ウソでしょ!?」
「あんなので二人三脚なんてできるわけないじゃない!きゃははは」
 無理もない。さくら:192cm。文太:137cm。
普通二人三脚といえば両者がお互いの肩を抱き合う構えだが、これだけ背が違うとそれは不可能。
文太の短い腕はさくらの腰に回されている。

「いい?亀井君。最初は結んであるほうの足からいくわよ」
「う、うん…」
 パーン!!
 ピストルの乾いた音が響き、4つのペアが一斉にスタート。
その瞬間から、文太はバランスを崩し真横に倒れようとしていた。
…歩幅が違いすぎたのである。
1歩目から文太は股裂き刑に遭わされたような格好となり、グラグラと地面に体を預けていく。
「キャッ、危ない!亀井君!」
 しかしその直後、素早くさくらの長い腕が伸びて文太の体全体をすくうように持ち上げて体勢を立て直し…
文太の体は宙に浮いたまま前へ前へと運ばれた。
スタート直後に転倒しそうになった文太を見て動転したさくらは、とっさに彼の体を片手で抱きかかえて
そのまま下ろすのを忘れて1人で走り出していたのだ。
児童、保護者の席からは爆笑が沸き起こる。
「あんなの二人三脚じゃねーじゃん!」
「情けね〜、あのチビ!」
「体格が違いすぎるもん、やっぱり無理があるのよね…」
「いじめだよな、ありゃ」
 片足が巻きつけられているというだけで、もはや文太はこの競争に何の役目も果たしていなかった。
両方の足が接地しておらず、たださくらに持って走られるバトンだった。
歩調をあわせる必要のないさくらは当然圧勝の1位を獲得。
走り終えて足首のタオルをほどく瞬間になって、ようやく彼女は冷静に周りを見渡した。
そして、状況が飲み込めたのかまたまたトマトのように真っ赤になる。
「ほらね、やっぱりチビガメを全身、最初から脚に巻きつけとけばよかったでしょ。さくらちゃん」
「秋野さんっておもしろいんだね。あんな攻略法、あたしたちじゃ思いつかないもん」
「チビガメのこと、しっかり抱きしめちゃって。さくらちゃんってば、大胆☆」
「とってもアツアツで、見てるこっちが恥ずかしくなっちゃいそうだったわ。ナイスカップル賞って感じね」
「そっ…そそ、そんなんじゃないってば…私、つい咄嗟に…信じて、みんな…」
 あたふたと両手を振りながら照れ隠しをするさくらの視界の端に、
小さな体をより小さくしてうつむく文太の姿がふと入った。肩が小刻みに震えている。
自分の小ささを余計に強調するような組み合わせで競走開始前よりからかいの声を至るところから浴びせられ、
いざ走り出せばただ抱えて運ばれて、何もせぬまま終わって大笑いの的になってしまい…
彼の受けた屈辱は計り知れないものだったに違いない。
ようやくそれを察したさくらが、あわてて彼の元へと駆け寄る。
「か、亀井君…ごめんなさい。私、亀井君が転びそうになったからなんとかしようと必死になってるうちに、つい…
本当に、ごめんね、亀井君…だから、もう、泣かないで…」

 続いての種目は、ムカデ競走。
各学年、各クラス対抗で行われるこの競技には、実行委員会からある規定が定められていた。
『参加人数は男女10名ずつの計20名、必ず男女1名ずつ交互に並んで列を作ること』
男子と女子で平等に共同作業をする心を養わせようという学校側の狙いがそこにはある。
そしてスタートラインに立った、1人1人山と谷がくっきりと形成された巨大ムカデに客席からまたもざわめきが起こった。
もちろん、5年3組代表のムカデである。
「言っとくけど、トロいあんたたちにいちいちペースなんか合わせないからね!
最初から思いっきり行くから、必死についてきなさい!モタついたら承知しないから!」
先頭から2番目に位置する智恵理からの檄にビクッと縮こまる男子一同。しかし彼らは、競走どころの状態ではなかった。
精通を迎え、性的欲求が日々むくむくと急成長を遂げているこの年代の彼らにとって、
大人顔負けの発育を見せる超大型少女ぞろいの3組女子と前後をピッタリ挟まれ密着している状態はまさに悶絶地獄である。
ピチンと張り詰めたブルマーに腹と背中をグイグイと圧迫され、体操服越しのたわわに実ったバストに肩や後頭部を
柔らかく力強く包まれて、前の女の子の背中に顔を押し付けられたまま足だけ取られて前進させられ続ける。
女子小学生の甘酸っぱい芳香と重く柔軟な感触に男子10人はそろって茫然自失となり、
全員例外なく、白い短パンに急角度の二等辺三角形を形成してしまっていた。

「あっ、何これ!…田中君、こんなときに一体何考えてるの!あとで覚えときなさいよ!」
「だ、だってぇ…ぅ、うぷぅ…」
 この中で、最も悶え苦しんでいた男子は田中学だった。
短パンを引きちぎってしまいかねないほどの剛直を前の妹尾理沙の太腿にくりくりと擦り付けてしまい怒鳴りつけられる。
…無理もなかった。彼の後ろに位置するのはあの超爆乳少女・倉田良子であったから。
振り返って叱りつけた理沙も、学の顔はほとんど見えなかった。
138cmの学と、170cmの良子。くっついて並べば、良子のバストは学の肩の上に乗っかってしまう。
スイカのようなマシュマロのような、良子の2つの胸に学の頭はほとんど飲み込まれて、
歩くたびにゆさゆさ、ぼよんぼよんと擦り回されて学の発狂は時間の問題だった。
それはまるで、良子の巨乳に学が食べられているようにも見える凄まじい光景だった。

 パァン!!
号砲が鳴り響き、5年生4クラスが一斉にスタート。
…結果。 3組、圧倒的な惨敗。
最初から男子にペースを合わせてあげることを考えず、強引なスタートダッシュを仕掛けた女子。
勃起を隠そうとするあまり、まともに足を踏み出すことすらできなかった男子。
全く息の合わなかったこのクラスは、他の全てのクラスがゴールする頃にまだ半分も進んでいなかったほどの低速ぶりだった。

 終了後、他の学年のプログラムが行われている間には当然こんな光景が繰り広げられていた。
 バシイィィンッッ!!  ズシャアァァ!
「このバカ!!あんたたちのせいであたしたちまで大恥かかされちゃったじゃない!!」
「恥知らず!変なところに足生やしてる暇があったらあたしたちに合わせて全力で走りなさいよ!」
 智恵理の豪快なビンタに、学が吹き飛んで土の上をスライディングする。頬には巨大なもみじがプリントされてしまった。
鼻血を流して痙攣する学を、大きな女子4人が取り囲む。
恐怖に背筋を凍らせながらわたわたと這いずって逃げようとする学だが、逃がしてはもらえない。
相沢智恵理、妹尾理沙、朝井茜、七瀬めぐみの輪がじりじりと狭まり、怒りの視線が真上から降り注ぐ。
「ほんっとに使えないんだから…これは、罰でも与えないとダメなんじゃない?」
「だよね。真剣勝負の間にデレデレしてるような奴は懲らしめてやらなきゃ」
「そっ、そんな!別に、僕だけが悪いわけじゃ…」
「あ〜、なんか人のせいにしようとしてる!そんな気持ちだから、勝てるものも勝てないんだよ!」
「もしかして、女子のおっぱいとかお尻が気持ちよすぎるせいで走れませんでしたなんて言い出すつもりじゃないの?」
「うわ〜最っ低!!さんざん恥さらしといてあたしたちのせいにする気!?」
「ち、ちがう!!走れなかったのは僕だけじゃないってことを言いたいだけで、その…」
「うるさい、言い訳なんか聞きたくないわ!
とにかく、役立たずの男子どもを代表して、田中君におしおき受けてもらうから!覚悟はいい!?」
「ひ、ひぃぃ!!助けて…」
「行くよ、みんな!」
「オッケー!」
 4人の少女が腕を組み、全員が外向きに円を作った。その狭い円陣の中には、怯える学が取り残されて…

「押し競饅頭、押されて泣くな!」
「おっしくーら、まーんじゅー、おっされって、なっくな!」
 ドンッ、ドンッ、ドンッッ、ドォォンッッ!!
「ぐぇぇぇ!!ぅぐ、ひぃぃ、わあああ!!」
四つん這いになっていた学を、四方から巨大で丸いヒップが容赦なく襲う!
ブルマーを破裂させそうな、柔らかく重い一撃がとめどなく学の顔面、頭部に叩きつけられる。
「押し競饅頭、押されて泣くな!」
「押し競饅頭、押されて泣くな!」
 ズン、ズン、ドゴォォ!!
 声を合唱させながら、あまりタイミングの合わない4人の少女の押し競饅頭。
微妙にずれるリズムにより、学の頭は激しく4方向にピンボールのごとく弾き返され続ける。
正面から茜のヒップに跳ね飛ばされ、その直後後方から智恵理のヒップが衝突、再び前へ吹き飛ばされる。
右のめぐみ、左の理沙に相次いで叩き込まれたかと思えば今度は全く同じタイミングで全方位から4つの肉弾に押し潰される。
想像を絶する衝撃の、拷問。学の向く方向にいる茜のブルマーは、彼の涙を幾度も拭ってびしょ濡れだ。
「おっしくーら、まーんじゅー、おっされって、なっくな♪」
「おっしくーら、まーんじゅー、おっされって、なっくな♪」
 彼女たちの歌声が、いつしか弾んでいた。
みんな表情が、明らかに笑っている。
罰を与えるという名目もどこへやら、結局はいつもの、楽しげな男子いじめの顔に戻っていた。
そしていつ果てるとも知れない圧殺リンチに脳を揺さぶられ、すでに学は完全失神させられていた。
意識を失いながら、高く硬く天を仰いだ学の股間は何度となく脈打って白い短パンをズルズルに濡れそぼらせ、
裾から白く濁った熱い汁がとめどなく漏れ流れ続けていた。
まだ、猛烈で甘美な4つの猛打は止む様子を見せない…

 そして、彼女たちよりもこの運動会を別の趣向で満喫している1人の少女がいた。
 ズドォォ!
「ぴぐぉもおお!!」
 鈍い音がとどろいた数秒後、男は己の体内を貫く鈍痛に呻き、脂汗にまみれ泡を吹きこぼして崩壊した。
足元で地獄の悶絶に目を剥き、カメラを握り締めたまま芋虫のように横たわる男を見下ろしながら、
優子は自分の胸を抱きしめるようにして押し寄せる快感にぞくぞくと震えた。
「すごい…こんなにターゲットがいるんだもん。運動会って素敵…☆」

 金蹴り大好き少女・西村優子はこの運動会当日になって、胸を高鳴らせた。
明らかに父兄や学校関係者ではない様子の、カメラやビデオカメラを持った男を多数見かけたからだ。
(この人たちはいわゆる、カメラ小僧って人たち…盗撮目的の、悪い人たちなんだわ…
つまり、思いっきり蹴飛ばしてもいい人たちなのね!)
 股間を蹴り上げるのは、女の敵といわれる悪い変態の男だけと心に決めている優子の目には
普通の女性にすれば目を背けたくなる彼らが宝の山に見えたのだ。
自分のいる5年3組は変態カメラマンを呼び寄せてしまう要素を持った少女がひしめいていることもあって、
この学校の運動会には彼女にとっての『的』が自分から探すまでもなくゴロゴロしているのである。
優子は瞳を輝かせながら、望遠レンズで女の子の視姦に夢中な男どもを片っ端から蹴飛ばした。

「ぶげええ!!」
「ぐぼぉ!!」
「ご!! ぁ…ぁぐぇ…ぇ……」
 後ろからそっと近づいて、両脚の間から大振りで蹴り上げて。
すれ違いざまに、突然膝をめり込ませて。
自分のブルマーの裾をめくり、わざとはみパン状態にしておいて、まるで餌に吸い寄せられるように近づいてきた男に
気付かないそぶりをしながら、隙を突いて後ろ回し蹴りを叩き込んで。

 優子は自分が参加していないプログラムの間はずっとグラウンドを徘徊し、
カメラ小僧の姿を確認すればすかさず蹴って蹴って、蹴りまくった。
運動会ということで、生まれて初めて靴を履いていない状態で喰らわせる、金蹴り。
泥まみれの素足の甲、踵、爪先に伝わるコリッとした感触に、優子はますます胸と秘部を熱くさせた。
長く尾を引く悲痛な呻きを喉から搾り出しながら、ゆっくりと崩れ落ちる男。
1人でホッピングでもするかのごとく何度も飛び跳ねた後、前のめりになって潰れる男。
蹴り上げた瞬間に自分と同じ年頃の女の子のような喘ぎ声を響かせて伸びてしまう男。
自らの脚で変態男たちを始末していくにつれ、優子の顔は上気して熱く火照り、次第に内股になっていく。
そして19人目の男を膝で宙に浮かせたところで我慢の限界となり、一目散にトイレへと駆け込んだ。
自分の脚に伝わった、今日だけで蹴り込んだ38個もの玉の感触を思い出しながら…
「はぁ、はぁっ、たまらない…あの男の人たちの、キックした瞬間の情けない顔ったら…
で、みっともなく背中丸めてうずくまっちゃったりして…んふふ、やっぱり金蹴りって、やめらんない…」
 息を荒げながら優子は、すでにぬるぬるとしたブルマーの上から震える指でクレバスをなぞる。その瞬間…!
「ひっ!ぁはっ、あっ、ん、っくぅぅぅぅんっっっ!!」
 ビクッ、ビクン、ビクビク!!
 鍵をかけた狭い空間の中で、優子は大きくのけぞり、内側からほとばしるエクスタシーにガクガクと身を震わせた。
その全てが過ぎ去ったあと、髪の毛数本を咥えたままへたり込んで、呆然と上を見上げる。
「…いけない。こんなビチャビチャにしちゃった。ブルマーとパンツ、替えなきゃ…」

 快感の余韻に足元をややふらつかせながら、無人の教室へと向かう優子。
「!」
 彼女の目に飛び込んできたものは、誰もいないはずの教室で女子児童の机を物色し
着替えの私服に顔を押し付けて変態行為に耽る部外者の男の姿だった!
その男はいまだこちらには気付いていない様子で、恍惚と理沙のショートパンツに顔面を擦り付けて深呼吸し続けている。
半ば蕩けていた優子の瞳が、素早く雌獣のそれと化した。猛スピードで獲物へと跳びかかる。

 ボグォオオッッ!!


 つづく





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