5年3組物語 第10話

優等生の素顔

「あぁっ、ヒッ、アア――――――!!」
どくんっ、びゅぷ、っぴゅるるるるるるぅ―――――!!
 夜更けの空を、男の裏返った絶叫が切り裂いた。
四つん這いで、腰だけを目一杯高く掲げた恥ずかしい体勢から、男の欲情器官からは
まるで放水銃のようにとめどなく強烈な勢いでほとばしる白濁のマグマがアスファルトを叩き続ける。


 この地域では最近、妙な事件が相次いでいた。
明け方、全裸の男が半ば乾燥して固まった大量の白い粘液にまみれて路上に横たわる姿を発見されるという怪事件が。
昨年ごろからこの現象は目立ち始めた。一体何が起こったのか、そして何者の仕業なのか…
「ねぇねぇ知ってる!?ゆうべ、また出たんだって!男の人が裸で倒れてるやつ!!」
「知ってる知ってる、あたしの家の近く、警察来てたもん!」
「最近多いよね、こういうの…気持ち悪いよー」
 噂話が好きな年頃の女の子が集まるこのクラスでも、やはりこの話題で賑わいを見せていた。

「ねぇ、唯ちゃんはどう思う?誰がこんなことするのかしらね」
「え?ううん、私はそんなこと、全然興味ないから…」
 この話題にクラスで一番関心を示して騒ぎ立てている樋渡智美が、くるりと振り返って後ろの席の渡部唯に問いかけた。
しかし唯はその話題に乗ることなく、手を振りながら冷静にそれを遮った。
「ふぅん…まじめだもんねー、唯ちゃんは。男の裸なんか別に見たくもないか…
それにしても、唯ちゃんって相変わらずすごいね。こんな休み時間にまでお勉強なんてさ」
 
 昨日見たテレビの話や、遊びの話、男子いじめ自慢や教師の陰口などに花を咲かせる周りの女子生徒と、
唯は明らかに一線を画していた。
年頃の女の子らしい会話に加わることもなければ、男子ともまともに言葉を交わすこともない。
無口で真面目なオーラを漂わせ、どこか近寄り難さを感じさせる孤独な少女だった。
空き時間でも、彼女は大体こうして教科書や参考書に目を通し続けている。
智美もなんとなく、今唯が読んでいる本に目を落としてはみたものの、その内容はさっぱり理解できなかった。
それもそのはず、唯が今予習に使用している書物は、国立大受験に使用するような参考書だったからだ。
この渡部唯という少女、超の字がつくほどの秀才なのである。
「うわぁ…全っ然わかんない。何の教科のお勉強なのかもちんぷんかんぷんだもん。
唯ちゃん、そんなのよく理解できるね。頭破裂しない?」
 頭がくらくらするというようなオーバーアクションで関心しきりの智美に、唯は小さくくすりと笑顔を見せた。

「…なぁに?樋渡さん。さっきからじっと私のこと、見つめたりして…」
「思ったんだけどさぁ…唯ちゃんって、よく見たらけっこう美人だよね…」
「どうしたの、急にそんなこと言い出したりして…樋渡さん、何か変だわ」
「変じゃないよぉ。ほんときれいだもん、唯ちゃん。…どうして、いっつもそんなダサい格好してるの?
せっかくなら、もっとおしゃれしたらいいのに」
 智美には不思議で仕方なかった。近くで見ればこんなにも、かわいいというより美しい少女が
なぜいつも黒ぶちでレンズの厚い眼鏡をかけ、いまどき流行らない三つ編みなどという外見で通すのかと。
加えて173cmという高い身長で均整の取れたスタイルを持ちながら、なぜ別に義務のない学校指定の制服で通すのかと。
こんなにも恵まれた素材を、どうしてこんな一昔前のガリ勉スタイルに包み続けるのか、
ローティーンファッション誌を愛読して憧れの少女モデルに近づこうと服装に人一倍気を使う智美には理解できなかった。

「ほんと、せめてコンタクトとかに変えて、髪もストレートにすればだいぶ印象変わると思うんだけどなぁ…」
「ううん、私はいいの、これで…」
「そ〜ぉ?変わってるなぁ、唯ちゃんは…ま、いっか。お勉強のじゃましてごめんね」
 そう言い残すと智美は席を立ち、他の女子のもとへおしゃべりをしに駆けていった。
周囲に静けさが戻ったところで、唯はハイレベルな予習を続行する。
ノートに丁寧な文字でシャープペンシルの芯を走らせながら、唯は心の中で呟いた。
(樋渡さん、余計な気を遣ってもらってごめんなさい。そして、ありがとう。うれしかったわ。
私も少しはおしゃれをしようと考えたこともあるの。…でもね、どうしてもそれができない理由があるのよ)
 唯がいつもこの勤勉でお堅い印象を与える容姿にこだわる理由…それは、彼女自身の趣味にかかわることであった。
この姿は…唯の日課にして最大の楽しみを続けるための仮面なのだから。
実は今かけている牛乳瓶の底のように厚い眼鏡も、度の入っていないただの伊達眼鏡であることは彼女だけの秘密だ。
彼女の本当の顔は、誰にも内緒の趣味で遊ぶときだけに外に出すことに決めているのだ…


 月のきれいに輝く、夜。
眼鏡を外し、三つ編みを解いて唯は素顔となる。
夜風に吹かれ、彼女の美しいサラサラのロングヘアがなびいて優しく頬を撫でる。
今夜の『目的』の姿を確認した唯は、コツコツと足音を奏でながら歩き始めた。

 ぴちゃっ、ちゅる…くちゅっ…
「ぁぉ、ぁおお…」
 人気のない深夜の通り、濡れた何かが蠢く音と男のだらしない声が響いている。
一組の男女が、そこにはいた。
金網のフェンスに全裸の男が磔にされ、その正面に女がいる。
小さな体をピクピクさせながら切なげに喘ぐ男に、大きな女が体を折り曲げて男の胸のあたりに抱きついている。
ピチャピチャという音の正体は…この女が男の胸板に舌を這わせている音だった。


「なっ…何ですか!?」
 曲がり角で塀の向こうから突然現れた1人の女に出会った瞬間、その男はうろたえた。
いかにも異性とは縁のなさそうな、さえない風貌で背の低い青年だ。
夜遅くまで行われた予備校の講習を終えて帰路についていた男の目の前に、その女は現れた。
月明かりを受けてテカテカと怪しく黒い光沢を放つ、長い脚の膝上までを覆うエナメルのロングブーツ。
鋭角なハイレグに加え、胸元も大きくカットされてバストの谷間が上から下まで確認できてしまう上に
ピッチリと密着してそのボディラインを忠実に映し出す、ほとんどレオタードのようなレザー製のボディスーツ。
両腕には上腕部の半分を覆うまでに長い、ブーツとおそろいの黒エナメルのロンググローブ。
いわゆるボンデージファッションだが、女の背後からは黒い蝙蝠のような羽が左右に広がり、
お尻の後ろの辺りでは先端が鏃のような形になった尻尾が覗けた。
それはもちろん本物ではなくコスチュームの一部、アクセサリーのようなものであることは一応わかった。
(…悪魔娘のコスプレ…?)

 男は突如対面した女の、街中で見るにはあまりに奇妙なコスチュームに戸惑いながら、
同時に彼女の見事なスタイルとそのコスチュームの漂わせる淫靡なオーラに欲情をもよおしていた。
19歳で浪人生のその男から見て『お姉様』と呼ぶのがふさわしそうな彼女の雰囲気に、
男はジーンズの中で硬く勃起しながら、女に敬語で問いかけつつ後ずさっていた。
この美女悪魔の正体が、実は小学5年生であることも知らずに。
これが秀才小学生・渡部唯の変身した姿…いや、優等生の仮面を外した唯の真の姿を包む『制服』だった。

「今夜の獲物は…あなたに決めたわ」
 謎に包まれた長身美女・唯は男の問いかけに対してそれだけ口にすると、
劣情を刺激されながらも何か危険なものを感じ逃げようとする小さな男をすぐに追い詰めた。
ハイヒールブーツに支えられた唯の体は、もう180cm近くまで高いものになっている。
壁際に追い詰められ、両サイドに手を付かれ、正体不明の女に完全に包囲されてしまった男。
男の視界には、凹凸の見事な彼女ボディをトレースするボディスーツから今にもこぼれ落ちそうにたわわに実った胸が
まるで威嚇するように前に突き出されて迫っており、恐怖しながらも男は息を荒げてしまっている。
「え、獲物って…僕に何をするつもりなんですか…」
「ふふっ、別に怖がることなんて何もないわ。ただ少しの間、私を楽しませて欲しいの。
このあたりはこんな時間にでもなれば、誰も通りかかったりしないわ…さぁ、楽しみましょ」
「ん、んぐぅっ…」

 黒光りするロンググローブに包まれた長い指に下顎を持ち上げられたと思った瞬間、男の唇は長身美女に奪われていた。
その身長差から、男の顔はほとんど真上に向けられていた。
高い場所から注がれる、覆いつくされるかのような接吻。
普段女と接触する機会のないこの男にとって、刺激の強すぎるファーストキスだった。
早くも体の力が抜けてしまった男の唇を、唯の舌は割って中へと侵入していく。
 じゅるっ…じゅぷ…ちゅぷちゅぷ…くちゅっ…
「ん…んふむぅぅぅ」
 男は今すぐにでも意識を奪われ、夢の世界へと送り込まれてしまいそうな感覚に襲われていた。
長い舌だった。
ズルズルッと淫らな感触を伴って男の口腔の奥深くにまで侵略してくる、唯の舌。
男の口の中は隅から隅まで這い回られ、そして器用な動きで男の舌そのものが絡め取られてしまう。
そしてその間も、唯の口から唾液が次から次へと送り込まれ、男の体は次第に彼女の甘い蜜で満たされていく。
男に対する責め方、悦ばせ方を知り尽くしているとしか思えない、抜群の舌使いが童貞男を蹂躙する。
既に男の思考回路は焼きついて麻痺状態、なのでこのディープキスの間に自分の衣服が全て剥ぎ取られ
素っ裸に剥かれてしまっていることの自覚があるはずがなかった。

 手始めの口づけだけで既に唯の操り人形に堕ちてしまった、男。
そしてなお、悪魔の舌責めは続いている。
この通りに設置してある金網に男の両手首が、彼女の隠し持っていた皮製の拘束具で捕縛された。
大の字にされて、ますますこの男は唯のなすがままとなった。
 ぬちゅ…ぺちゃっ……
「くうぅ!ぁぁ、ぁはあぅぅん……」
 胸板、へそ、脇腹、脇の下…
絶妙な強弱の加減をつけながら女の唇、舌が自分の体の表面に吸い付き、走っていく感触に男ははしたなく喘ぐ。
男がもじもじと体をくねらせるたび、背後の金網がガシャガシャと音を立てる。
拘束されて手も足も出ない状態で一方的に加えられる優しく妖しい愛撫に、男は女の子のような甘い喘ぎを続ける。
男の発情を表す灼熱の棒が、やや出っ張りが目立つ己の下腹部をグイグイと押し続ける。
そして先端から滲み出る先走りの粘液はとどまるところを知らず、もう内股はその透明な液でぬとぬとと濡れそぼり、
足首を伝ってコンクリートの地面に染みまで作っている。
「ぁぅぅん…ぁは、はぁはぁ」
 しかし、この男自身にその濡れた感覚を覚える余裕はなかった。
目の前の女から与えられる快楽の波に、ただその体では気持ちの悪い腰のくねりを見せて悶え狂うのみだった。
眼の黒い部分はほとんど瞼の裏に隠れ、閉じることを忘れてしまったかのようにだらしなく開け放たれた口からは
ダラダラとよだれが漏れ続ける。理性を奪われた男の、情けなさ過ぎる姿だった。

「アオオ」
 この男が普段、毎晩のように行っている自慰行為では決して得られることのない快感が次々と押し寄せる。
しかし、あと一息で男が快楽の絶頂へと導かれ、夜空に向けて白濁の花火を発射してしまおうとする寸前で
唯はそのたびに唇や舌の動きを緩め、生殺しを繰り返しているのだ。
上り詰めかけたところでお預けを食わせ、そして波が引き始めたところで再び愛撫の刑に処する。
相手の男をどこまで責め上げれば果ててしまうか、全て把握しているかのような恐るべき『じらし』のテクニックだった。
散々嬲られた上で止めを刺してもらえない苦悶の拷問の連続に、男はもう恥も外聞もなく言葉にならないわめきを上げ
白目を剥いた目から涙を流しながら空しく腰を振り続ける。
そんな様子を楽しげに見据えながら、唯はさらにもう一度男の胴に唇を吸いつけ、そしてなぞり上げていく。

 今度は男の乳輪のさらに外周のあたりを、長い舌がゆっくりとローリングして襲う。
「オオオ」
 舌が描くその円の中心では、男の乳首がここを責め嬲ってくださいと言わんばかりにコリコリと突き上げられている。
しかし唯は本当の悪魔のような優しさですぐにその敏感な部分への攻撃には移らず、
たっぷりと焦らせながらじりじりと、ちゅぷちゅぷ卑猥な音を立てながらその円周を狭めていく。
時間をかけていたぶられ、高まるばかりで発散を許されないエクスタシーに悶え苦しむ男の切ない息遣いを堪能したあと、
ついにその硬くしこった乳首に、唯の形よくそろった前歯が軽くキシッと立てられた。
「ぁ、あああっっ!!ひゃ、ぁぁ……!」
 全身に電流を流されたように男は囚われの体をビクビクッと痙攣させ、さらに金網を大きく揺らす。
「ふふ…あなたって感じやすくて、とってもおいしいわ。
それじゃ、そろそろ教えてあげましょうか。男の子しか味わえない、本当の快楽を…ね」
 唯は立ち上がり、拘束された哀れな生贄を再び見下ろしながらそう言うと
正統派美人と言える整った顔立ちの唇からもう一度、あの淫靡な舌をチロリと覗かせて見せた。

 男の片方の手が開放されたかと思うと、反対側の方向にすぐさま同じように固定された。
今度は、金網に向かい合う形で後ろ向きに磔にされてしまったのだ。
そして、そのまま全裸で腰を目いっぱい後ろに突き出す屈辱的な姿勢をとらされる。
唯の性的拷問にかけられ続けてすっかり骨抜きになってしまった男に、抵抗する術があるはずがなかった。
「ふふっ、いい格好。かわいい…」
 エナメルロンググローブに包まれた唯のしなやかな指が、男の背筋を下から上へとゆっくりなぞり上げる。
「ひぃっ、ああ!」
 男の裏返った叫びが響き、股間では未だ硬度を失わない熱い肉棒がぴくんぴくんと跳ね上がって涎を滴らせる。
その様子を満足そうに見つめる唯の10本の指がいとおしげに、目の前に突き出された小男の尻をなぞってはさすり回す。
「ぁ、あは〜」
その妖しくくすぐったい感触だけで、男はさらに息を荒げて身をよじらせる。

「さぁ、いただいちゃうわよ。覚悟はいいかしら?」
 ずりゅうぅっ!
「ひぅうっ!?」
 反対向きに拘束された男が自分の腰に唯が抱きついたのを認識した瞬間には、
何か暖かく湿ったものが自分の体内に侵入してきた未体験の違和感を感じてうめきを漏らしていた。
…舌だ。
唯の開かれた唇が男の菊門にピタリと吸着し、そして唾液をたっぷりと含んだ長い舌が男の内部へと挿入されていったのだ。
この男は童貞より先に、処女を喪失してしまった…

 男が今まで考えていた常識では考えられない破廉恥なその攻撃に、彼は一瞬括約筋を締めて抵抗の様子を見せたが
しかしその抵抗もほんの一瞬に過ぎないものだった。
たちまちのうちに深くまで到達したその淫らな侵略者に、男の防衛本能は甘く溶かされてしまった。
男性の隠された禁断にして最大の悦楽スポット、前立腺。
唯は、唯の舌は、知っているのだ。男を陥落させる、ツボを。

 他に誰も通りかからない、そして近くに誰も住んでいない一角に、男の粘りつくような甘美な喘ぎが反響する。
まさに、奥までペニスを差し入れられた女の子のそれだった。
 じゅぷっ、じゅる、ずぷぷぷぅっ!
もう男には羞恥心など微塵も残っていなかった。
ぬめぬめとした感触を伴いながら、直腸内部を突き上げ、かき回してくる淫魔の触手に、男は発狂した。
金網を力いっぱい握り締め、お尻を突き出したまま、女にバックで犯される愉悦の嬌声で夜空を切り裂く。
時にはドリルのようにねじれて壁面を擦り上げられ、時には先端が硬く尖りズドドドドと奥の奥まで乱打される。
男性の急所を的確に突いてくる唯の長い舌に、男は日々一人で行う夜の営みなど比較にならない快感を刻み込まれ
もう男を捨ててしまったとしか思えない甘ったるいよがり声と一緒でなければ呼吸もできない有様だった。

 じゅぶっ。
ふと、唯がその舌を引き抜いていく。
「はぁっ、ん…ぁああ!?」
 男は鼻にかかった情けない声のまま、舌を引き下げられた後も肛門をパックリと開いたまま腰を前後させている。
「くすくす…物足りない?もうこれなしじゃ、いられないんでしょ?」
 アナル責めに開眼させられた男の惨めな姿を見物しながら、唯はわざと一息ついて舌をちろりと出して見せる。
「ぁ、ああ…そんな…ぁぅぅ」
「ほんのちょっと遊んであげただけで、癖になっちゃったみたいね。どう?欲しい?」
「ううう…ほ、欲しい…」
「くださいは?」
「はぁはぁ…く、くださぃ……」
「どこに、何が欲しいのかしら?」
 意地悪く、男自身の口から恥辱の懇願を引き出そうとする唯。
「お、お願いぃ!!僕のお尻に、あなたの…お姉さんの舌を、舌を入れてください!!
は、早く、もっと犯してえええ!!」

 変態マゾヒズム丸出しの情けなく崩れた顔で、情けなく裏返った声を限りに、男はフェンスに捉えられたまま
腰をカックンカックン前後させながら小学生の唯の前で恥ずかしいお願いをする。
その体の前では犬が餌を欲しがって尻尾を振るように、ギンギンに滾った欲情の棒が粘液を滴らせつつぴょこぴょこと震える。
その男のざまが彼女にはとてもおかしく、しばし口を手で隠してぷぷっと笑う唯。
「うふふふ…よくできました。
それじゃ、ご褒美をあげましょうね…きっと、忘れられない夜になると思うわ」
 唯は男の耳元で優しく囁きかけると、男の手首を封じていた拘束具を外した。
…しかし自由を与えたわけではなく、すかさずその皮紐状のもので手首と足首を捕縛してしまう。
手馴れた手つきだった。
男は胸と膝だけで接地した、尻だけを高く高く天に向けて掲げたようなみっともないうつ伏せで拘束されている。
「ぁぁ……あううう」
「さぁ、思う存分…素敵な夢の世界を、覗いてらっしゃい」
 ずぷっ!ずぶぶぶぶぶぅっっ!!

「は、はおおおおおおおお!!」
 突き上げられた男の腰に唯は後ろからしっかりと抱き付いて、男の恥ずかしい穴に強烈に吸い付くや否や
凄まじい勢いで腸壁を掻き分けて伸びていく長い長い舌は、先ほどにも増して奥深くまで貫いていく。
両手足を封じられた芋虫のような状態のまま、男の口からはもはや男女の区別では計れない、
先祖還りして人間以前の動物に退化してしまったかのような叫び声がほとばしり続ける。
なぜ11歳の小学5年生に、ここまで性的に男をいたぶりぬく技巧が備わっているのであろう。
ぬらぬらと唾液の潤滑油を纏った唯の舌が、その上品な彼女の顔立ちからは想像もできない下品な粘ついた音とともに
男の前立腺を精密機械のように正確に、素早く、そして冷酷に責め上げ、さらに男を泣き叫ばせる。
 そして、ついに限界が訪れる。
先をすぼませて少し硬さを増した先端の裏側が男の内部の最も敏感な部分を往復して掻き掻きした瞬間、
「アアー!!」
 静寂に包まれた2人しかいない通りを男の大絶叫が走り抜け、
続いて最大限に硬化した一物から光線のように鋭い放出が夜の冷たくなったアスファルトに炸裂する。
 ビッシャアアアアアアア!!
…止まらない。
いつものただの射精なら快楽は一瞬だけ。…しかし、その精神を破壊するような快感がいつまでたっても過ぎ去らない。
なおも緩めてくれないアナル舌ファックに次から次へと襲い来るエクスタシーの波状攻撃で、
収まるばかりかなおも加速させられていく、どこまでも落下していくような快感に大脳が溶解されそうになる。
男の脳内では、鮮やかなピンク色の稲妻が縦横無尽に何十本も走り抜け、
骨も肉も血液も全て白くトロトロに蕩かされてそのまま蒸発してなくなってしまいそうな感覚に大きくのけぞる。
約1分弱が経過したあたりで、アスファルトを叩き続けていた精液銃の勢いがようやく弱まってきた。
 びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるぅ……

 唯がゆっくりと、舌を引き抜いていく。
前立腺を擦りながらじゅるりと出て行く舌に、長く尾を引くような声で泣き崩れながら男は全身の力を奪われ
膝の支えが崩れて、大きく広がって湯気を放つ自らが作った精液溜まりにベチャァと全身を浸し、
異臭を放つ白濁の池で泳ぐようにして全裸で目を開いたまま深い眠りについた。
もうこの男は、翌朝誰かに発見されるまで目を覚ますことはないだろう。
「ふふっ…ごちそうさま♪」
 美しき悪魔娘の哀れな生贄となりザーメン漬けにされた男を満足そうに見下ろし
唯はひとつ投げキッスを送ってから、黒い翼と尻尾を翻してその場を一人で立ち去った。


 これが市立Y小学校5年3組出席番号20番・渡部唯。
無口でおとなしく、勤勉な秀才少女の制服と眼鏡・三つ編みに隠された、美少女サキュバスの姿こそが唯の本性なのである。
本当の自分を覆い隠す窮屈な優等生の衣から解放された彼女は、昼のストレスを解消して自らを癒すように
夜な夜な男の前に淫らなコスチュームで突然現れては、今のように到底小学生とは思えない性技で男を一方的に玩弄、陵辱、
文字通り精を一滴残らず搾り尽くして遊ぶという行為を繰り返しているのだ。
昨今この区内一帯で頻発している、夜が明けてから全裸で精液漬けになって失神している男が発見される事件は
そう、全て唯の気まぐれな悪戯によるものである。

 その行為の被害者となった男はほぼ例外なく一発で全ての精を抜き取られる被虐的快感の虜となり、
もうあのレベルの快感に晒されなければ射精はおろか勃起すらできない体質となってしまう。
とはいえそこまでの快楽を与えてくれる女性などそうそうめぐり合えるはずもなく、
ましてや自分の手などでは何の役にも立たない。
一度あの快楽地獄に堕とされ、マゾの喜悦を体の奥底に植え付けられてしまった男たちは
溜まるばかりで放出できない欲望の精のはけ口を、あの日出会った長身美少女サキュバスを求めて
濁った輝きの瞳をウルウル、肛門をパクパクさせながら日々街を徘徊する。
しかし、そこに彼女の姿は現れない。
唯は、一度堕とした男には興味がないのだ。
唯にとって男とはその日の気分で楽しむための、一度きりの使い捨て玩具でしかない。
そして悶絶は許容範囲を超え、男は一人で壊れていく。
性欲は高まるばかりなのに放出がかなわず、次第に精神に異常をきたし廃人となる男も少なくない。
しかしそんなことは、唯にとって知ったことではない。
そういう意味で、唯はコスチュームだけではなく本物の悪魔かもしれなかった。


 翌日の朝。額に脂汗を浮かべ、両手で股間を握り締めた男がフラフラと道を歩いている。
先月、全身を襲った唯の指先のくすぐり乱舞の前になすすべなく嬲り尽くされ、
自分が撒き散らした夥しい量の精液の沼に沈没して幸せそうな顔で夢の世界に落ちたサラリーマンの男だった。
やはりこの男もあの日の快感が忘れられず、あの悪魔娘を探して夢遊病者のようにウロウロしているようだ。
通学途上の、制服に身を包み黒ぶちの眼鏡をかけた少女とすれ違う。そしてそのままフラフラと歩いていく。
今すれ違った少女こそがあの魔性のサキュバスの仮の姿であることに気付きもせず。
悶々とした表情のまま去っていく男を振り返って見つめながら、唯は悪戯っぽくクスッと笑った。

「ねえねえ!!昨日また出たらしいよ!裸の男の人の事件!」
「そうみたいね…このところ特に多いけど、こんなのばっかりじゃキモくてイヤよねー」
「ところでさぁ、みんなただ裸で倒れてるだけじゃなくてなんか白くてねばねばしたのに漬かってるんだって。
その白いのって、何なのぉ?」
「きゃ、そんなやらしいこと言うのやめてよー」
「えーなんでやらしいのぉ?」
「そ、そんなことよりさ、誰がこんなことするのかしらね…」
「藤原さんでしょ?」
「真っ先にあたしを疑うのやめてくれない?」
「だって、一番疑わしいもんねぇ」
「きゃはははははは」

 3組の教室内では今日も、どこかの男が白濁液で全身パリパリのあられもない姿で発見された話題で盛り上がっていた。
当然、昨夜あの美少女サキュバスに襲われ犯されて、精根尽き果てたまま放置された予備校生である。
同級生の女の子たちの騒ぎを遠くから少しだけ見つめて、地域を騒がせる連続無差別逆レイプ事件の真犯人である唯は
自分の席でクラスの誰にも気付かれない程度にまたクスッと笑みを漏らし、また再び難しい参考書に目を落とした。


おわり





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