00.プロローグ 〜D学S組〜

日本一の超マンモス高校、私立D学園高等学校。
職員室では先生たちが名簿を見ながら困惑している。

「ちょっと失敗だと思うなぁ〜。」
「強化種目の選び方を間違えたんじゃないのか?」
「男子がサッカーと体操、女子がバレーとバスケだろう? 別に普通だと思うけどね。」

先生たちが見ているのは、今度入学してくる1年S組の生徒名簿。
S組の『S』はスポーツの『S』。
通称『D学S組』と呼ばれるこのクラスは、全国から一流アスリートを集めたスポーツ選抜クラスなのだ。

その名簿を見て先生たちが困惑している理由。
それは実際に名簿を見るとすぐに理解できる。

01 伊豆野直哉 172センチ68キロ(野球)中学野球全国大会優勝チーム主将
02 磯崎浩二  170センチ58キロ(サッカー)Jrユース大会優勝チームのGK
03 大柴和弘  163センチ53キロ(レスリング)中学レスリング選手権、軽量級優勝
04 小山田隆  170センチ78キロ(相撲)中学相撲全国大会優勝
05 蔭山翔太  161センチ55キロ(卓球)世界卓球Jr選手権優勝
06 京極悠斗  163センチ51キロ(陸上)中学陸上大会、1500メートル優勝
07 栗本小次郎 168センチ55キロ(水泳)中学水泳大会平泳ぎ優勝
08 甲元拓馬  159センチ53キロ(体操)世界Jr体操、種目別鉄棒3位
09 坂元大輔  162センチ58キロ(体操)世界Jr大会、個人総合2位
10 笹島大樹  163センチ52キロ(ボクシング)モスキート級プロライセンス保持者
11 神宮寺太郎 161センチ54キロ(サッカー)中学サッカー選手権優勝
12 辻元智也  172センチ68キロ(ラグビー)中学選抜チームのハーフ
13 豊丘哲平  173センチ60キロ(サッカー)サッカーJrユース大会MVP
14 兵頭幸雄  156センチ51キロ(卓球)卓球日本ユース大会準優勝
15 本郷紀彦  165センチ62キロ(柔道)軽量級日本学生選手権2位。五輪指定強化選手

16 秋元麗香  181センチ78キロ(陸上)400メートル日本記録保持者
17 五十嵐夕菜 180センチ80キロ(水泳)800メートル自由形、五輪出場
18 海江田舞  187センチ80キロ(バスケット)中学バスケット選手権MVP
19 柏木真央  187センチ77キロ(バレーボール)中学バレーボール選手権優勝
20 金山淑恵  179センチ74キロ(テコンドー)世界選手権優勝、五輪指定強化選手
21 喜多嶋佳織 198センチ79キロ(バレーボール)全日本のエース、五輪金メダリスト
22 紺野美咲  178センチ69キロ(新体操)世界Jr大会優勝、五輪出場
23 徳留里奈  185センチ72キロ(柔道)福岡国際柔道優勝。五輪指定強化選手
24 知念美由紀 179センチ68キロ(空手)空手道日本選手権、女子無差別級優勝
25 花岡愛美  182センチ72キロ(バドミントン)世界ユース大会優勝。五輪指定強化選手
26 広末七海  193センチ78キロ(バレーボール)全日本メンバー、五輪金メダリスト
27 藤崎綾乃  194センチ86キロ(バスケット)帰国子女。全米中学女子バスケ選手権優勝
28 松浦ひとみ 177センチ72キロ(テニス)Jr世界ランキング1位
29 御手洗智子 189センチ94キロ(レスリング)世界レスリングクィーンズカップ、重量級優勝
30 安岡和美  186センチ76キロ(ソフトボール)中学野球全国大会優勝

サッカーや体操の選手を中心に集めた男子の平均身長は165センチ。
バレーボールやバスケットボールの選手を中心に集めた女子は185センチ。
男女の間に無視できない格差が生じてしまった。

もちろん生徒全員が倍率150倍の難関を突破した優秀なトップアスリート。
それでも五輪出場4人を含め、女子の経歴が男子を上回っているのは紛れもない事実。

この物語はそんな『D学S組』の日常を語った物語である。

つづく





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