04.スポーツテスト(前編)
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高校生になって始めての体育、スポーツテスト。
D学S組では、男女が一緒に体育の授業を受けるのが伝統らしい。
運動神経の良いS組の女子なら、男子と一緒でも問題ないというのがその理由。
だが今年のS組の場合、これまでとは違った問題が起きそうな・・・・・・
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「よ〜〜い、ピッ!」
「ダッダッダッダッダッ・・・・・・・・・」

「坂元くん7秒1、笹島くん6秒9!!」

50メートル走。
全国平均7秒6と言われる中で、7秒台前半もしくは6秒台の記録を連発する男子たち。
さすがに全国から選ばれたS組のメンバーだ。

中でもサッカー部のエース豊丘哲平の記録は6秒4。
高校1年生としては陸上短距離選手並みの速さだ。

僕の記録は7秒6。
全国平均と同じだが、クラスでは下から2番目。
このままではヤバイ。少し鍛えなくちゃ…。

そして友人翔太の記録は7秒2。
クラス男子の平均と同タイム。

「僕は目立ちたくないからいつも平均を狙うんだ。」
そんなことをサラっと言えるところが彼らしい。

男子15人の計測が終わり、次は女子の番。
各自がジャージを脱いでブルマー姿になる。
D学園の体育では、ハーフパンツではなく未だにブルマーが採用されている。
露出度の高い格好だが、S組女子のみんなは恥ずかしがる姿など微塵も見せない。
それぞれがもくもくとウォーミングアップを始めた。

「ゴクリッ…」

思わず息を呑む男子一同。
平均身長が20センチも違うというのは分かっている。

だが単に身長だけではない…
それ以上に何か大きな差を感じられずにはいられない姿が目の前にあった。

女子の面々の鍛え上げられた肉体・・・・・・

寸分の無駄もなく、完璧にチューニングされた肉体。
1人1人が、スーパーモデルをも凌駕するような圧倒的な存在感を放っている。
さすがに各スポーツ界で、世界をリードする女子選手たちの集まりだけある。

準備運動が終わって、計測係りに任命された何人かの男子生徒が準備につく。

最初にスタートラインに着いたのは、秋元麗香さん。
陸上の中距離選手というから、ほとんど専門みたいなもんだ。
僕は少し嫌な予感がした。

「よ〜い・・・・・・ピッ!」
「ダッダッダッダッダッダッダッダッ・・・・・・」

低いスタートダッシュから一気にスピードを上げていく。

速い!

180センチを超える長身。
両膝は腰の上まで上がり、その大きなストライドはまるで空を飛んでいるような軽やかさだ。

「ピッ・・・」
「秋元さん・・・・・5秒9!!」

いきなりの5秒台。
男子最高をはるかに上回る大記録だ。

「ちっ・・・・・・」
記録を破られた豊丘哲平が思わず唇をかんだ。

走り終わった秋元麗香が、芝生の上で休んでいる男子一同の前をゆっくりと歩いて通り過ぎる。
ゆっくりと髪を掻き揚げながら、どうだと言わんばかりの勝ち誇った表情をみせる。

「秋元さん凄いね。」
僕は翔太に話かけた。

「まぁね。でもS組の陸上選手としては驚くレベルじゃないね。
 今日はもっと驚くべきことがどんどん起きるよ。」

「紺野さん6秒2、徳留さん6秒3!!」
その後も次々と男子の記録が超られていく。

そしていよいよスタートラインに立ったのは喜多嶋佳織さん・・・・・・
体操服姿の彼女も、やっぱり輝いて見える。

「よ〜い・・・・・・ピッ!」
「タッタッタッタッタッタッタッタッ・・・・・・」

手を斜めに振る女の子らしい走り方。
少し歯を食いしばりながら頑張って走る姿はいかにも可愛らしい。

しかしそのスピードは驚異的だ。
股下100センチを超える長い脚が、驚くような速さで回転していく。

「ピッ・・・」
「記録、喜多嶋さん・・・・・・5秒6!」
「おおっ・・・・・・」

思わず全員から声が漏れる。
ストップウォッチでの計測だからあてにはならないが、単に2倍して100メートルにすると日本記録の更新だ。
底知れぬオリンピック金メダリストの実力。

「ふぅ・・・疲れた・・・・・・」

そう言いながら喜多嶋さんが僕の隣に腰を下ろした。

「喜多嶋さん、さすがに速いね・・・・・・」
「ありがとう。私、体が大きいからね。」

屈託のない笑顔でそう答えてくれる。
謙虚で素直なところは、同じく5秒台を出した秋元麗香と正反対だ。

僕はふと、隣で座っている喜多嶋さんの太腿に目がとまった。
その可愛らしい笑顔とは裏腹に、ブルマーから伸びてくる太腿の逞しいこと・・・・・・

僕のウエスト並みの太さで、大腿筋はふっくらと盛り上がっている。
それでいて十分な長さがあるため、どちらかというとスリムにさえ見える。

ふくらはぎは極度に発達しており、僕の太腿とちょうど同じぐらいの太さがある。
それでいて足首は細く引き締まっており、バレー選手ならではの鍛え上げられた美脚といったところだろうか。

クラスの男子も決して貧弱な訳ではない。
ラグビー部の辻元くんや、柔道部の本郷くんなどは、筋肉隆々としたマッチョな体付きをしている。
それでも喜多嶋さんの脚は、彼らが華奢に見えるほど発達しているのだ。

僕は彼女に対して淡い恋心と同時に、少しばかりの恐怖心を抱いていた。

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50メートル走記録
1位 喜多嶋佳織 5秒6 女 バレーボール
2位 藤崎綾乃  5秒9 女 バスケット
2位 秋元麗香  5秒9 女 陸上
4位 広末七海  6秒1 女 バレーボール
5位 安岡和美  6秒2 女 ソフトボール
5位 紺野美咲  6秒2 女 新体操
7位 徳留里奈  6秒3 女 柔道
8位 豊丘哲平  6秒4 男 サッカー
8位 松浦ひとみ 6秒4 女 テニス
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つづく





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