05.スポーツテスト(中編)
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最初の種目50メートル走で運動能力の差を見せ付けられてしまったS組男子。
その後のハンドボール投げ、反復横跳びでも好記録を出したのは女子の方だった。
体育館に移っての体前屈と垂直とびでは、さらに圧倒的な差をつけられた彼ら。
室内最後の競技は握力測定だった。
単純な力だけなら何とか勝てるんじゃないか?
彼らはそう思っていたのだが・・・・・・
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「本郷君・・・72キロ!!」
「すげぇ・・・・・・」

柔道のオリンピック強化選手に指定されている本郷紀彦が好記録をマークした。
15歳の高校1年生としてはかなりのハイレベル。
プロ野球選手や大相撲選手に匹敵するいい記録だ。

『さすがにこの記録ならS組の女子でも超えられないだろう・・・』
多くの男子はそう思っていた。

しかしその願いはあっさりと裏切られることになる。

「五十嵐さん75キロ!、徳留さん86キロ!!」
女子1人目の計測者から、いきなり男子の記録を越えてきた。
男子一同は開いた口が閉じないほどの衝撃を受ける。

「松浦さん74キロ、紺野さん73キロ!」
とても可愛らしいテニスの松浦さんも、スレンダーな体型が目立つ新体操の紺野さんも・・・・・・
女子の測定者はことごとく男子の記録を上回っていく。

「御手洗さん91キロ!」
クラスで一番の巨漢、レスリングの御手洗さんが本日の最高記録を叩き出す。
測定を見守る男子の表情は完全に青ざめていた。

残り2人となったところで、男子一同は絶望感に苛まれていた。
これまでの女子13人。
全員が男子最高だった本郷紀彦くんの記録を上回っているのだ。

そして残された2人。
これまでの種目でいずれもトップの記録を出してきたあの2人。

バレーボールの喜多嶋佳織さんとバスケットの藤崎綾乃さん。
2人が何か談笑しながら握力計を手にする。

「太郎くん・・・・・・
 これからあの2人がクラスの中心になる。
 よく見ておくといいよ。」

隣で見ていた蔭山翔太がそう教えてくれた。

「グググググッ・・・・・・」
「んーーーーーーーっ!」
2人の肩がぐっと盛り上がる。
特に藤崎綾乃の筋肉質なボディは凄い迫力を放っている。

彼女の身長は194センチもありクラスでは佳織に次ぐ長身。
カールの掛かったロングの茶髪メッシュに日焼けした褐色の肌。
どこから見てもB系のギャルにしか見えない彼女だが、筋肉の付き方は半端じゃない。
身体能力も並外れている。

クラス一同は黙ってその様子に注目している。
男子の多くは訳の分からない冷や汗を掻いていた。

少し間をおいて記録係が数値を読み上げる。
「喜多嶋さん112キロ!!藤崎さんも同じ・・・112キロ!!!」

とんでもない記録・・・・・・
こんな記録を出せるアスリートは、世界中を探してもそれほど多くはいないだろう。

『112キロということは、56キロだった僕のちょうど2倍なのかぁ……』
僕も少しだけ悲しくなった。

今更ながらS組女子の凄さを認識した男子一同。
一体彼等は女子に対して一矢報いることができるのだろうか?

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握力測定記録
1位 喜多嶋佳織 112キロ 女 バレーボール
1位 藤崎綾乃  112キロ 女 バスケット
3位 御手洗智子  91キロ 女 レスリング
4位 広末七海   90キロ 女 バレーボール
5位 安岡和美   88キロ 女 ソフトボール
6位 徳留里奈   86キロ 女 柔道
7位 海江田舞   81キロ 女 バスケット
8位 柏木真央   78キロ 女 バレーボール
9位 知念美由紀  77キロ 女 空手
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つづく





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