06.スポーツテスト(後編)
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握力測定では、女子に屈辱的な完全敗北を喫してしまった男子。
再び屋外に出て、最後の種目1500メートル走に臨んだ。
女子に負け続けてきた男子だが、何とか一矢を報いることができるのか・・・・・・
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1周400メートルのグラウンドを3周と4分の3回る1500メートル走。
クラス全員が男女関係なく2組に分かれて記録を測ることになった。

まず1組目の測定が終わった・・・・・・

トップはやはり女子。
バレーボール部の広末七海が4分21秒の好記録。
次いで筋肉ギャル藤崎綾乃が4分28秒。
男子ではボクシングの笹島大樹が4分58秒の記録で何人かの女子に先着した。

「おいどうだ?抜けるか?」
「行ける・・・。俺のベストは4分05秒。広末の記録は間違いなく抜ける。」
「じゃぁあとはやっぱりアイツか・・・・・・。」

2人の視線の先には2組目で走る喜多嶋佳織がいる。

「俺は4分30秒くらいが精一杯かな・・・。飛ばしていくから、うまく風を避けてくれ。」
「あぁ頑張る・・・・・・。」
「いつまでも女子の思い通りにはさせねぇ。」

そう作戦を練るのは、サッカー部の豊丘哲平と陸上部の京極悠斗の2人。
哲平は男子では一番の運動神経の持ち主。
そして悠斗は、まさに陸上1500メートルの中学チャンピオンなのだ。

「よーい、スタート!」
「うりゃ・・・・・・!」

スタートと同時に猛烈なダッシュをする2人。
哲平が先頭を走り、悠斗がその後を追っていく。

3位との差はみるみる広がっていく。

「ハッハッハッ・・・・・・」
中間地点750メートルを越えても3位との差は開く一方。
後ろを振り返ると、3位の集団とは100メートル近い差が開いている。

『行ける!この差なら女子に勝てる!!』
走っている2人も、見守っている他の男子もテンションが上がる。

1000メートル地点で再び後ろを振り返った2人。
すると恐ろしい姿が目に映った。

198センチの長身。
ブルマから覗く逞しくて長い脚。

喜多嶋佳織だ・・・・・・!!
まだ100メートル以上の差があるものの、3位集団の中から彼女が抜け出してきた。

「来たか!チクショーーーッ!」
2人は歯を食いしばってさらにスピードを上げる。

残り1周を切った1200メートル地点。
さすがの2人もペースが落ち始めた。
佳織が徐々に差を詰めてくる。
まだ80メートルほどのリードはあるものの、決して油断はできない。

「もう俺は限界だ、先に行ってくれ!あとは頼んだぞ!」
「任しとけ!!」

これまで先頭を走り風避けになってきた哲平を抜いて、悠斗が2段目のロケットに点火する。
残り300メートル、逃げ切るつもりだ。

これまでの無理がたたって、ガクッとペースの落ちた哲平。
その横を佳織が颯爽と駆け抜けていく。

広いストライド。
哲平が2歩で進む距離を彼女は1歩で進む。

脚の長さはもちろん、脚力のバネが全然違う。
とても併走できるスピードではない。
運動能力の違いを見せ付けながら、佳織は先頭を走る悠斗を追っていった。

ロングスパートを掛けてきた佳織。
悠斗も負けじと頑張るが、差はみるみる縮まっていく。

残り100メートルで20メートルの差。
逃げ切れるかどうか微妙な距離となった。

クラス全員が固唾を呑んで見守っている。

「頑張れ!!」
「負けるなぁ!!」

男子から力のこもった声援が飛ぶ。
悠斗も最後の力を振り絞る。

だが身体能力の差はどうにもできない。
短距離では圧倒的に速い佳織が悠斗を射程距離に捕らえた。

その差が5メートル、4メートル・・・3・・・2・・・並んだ!!
残り20メートルの地点でついに悠斗を捕らえた佳織。

『ダメかぁ・・・』
男子一同が諦めてため息をつく。
これまでの流れを考えれば佳織が勝つのは間違いない。
誰もがそう思った。

しかし悠斗もここから決死のラストスパートを見せる。
追いつかれはしたものの、必死に踏ん張って佳織に抜かせない。
2人は併走したままゴールへと向かう。

「頑張れ!!」
「最後だ!負けるなぁ!!」
悠斗に対して再び熱い声援が飛ぶ。

そして最後の10メートル。
最後になって少しペースの鈍った佳織。
一方、限界を超えた精神力でさらにスピードを増していく悠斗。
彼は体半分のリードを奪った。

「行けーーーっ!!」
「その調子だぁーーーっ!!」
男子の声援にもさらに気合が入る。
悠斗はそのまま足がもつれるようにゴールへと飛び込んでいった。

ついに勝った!!

これまで負け続けた女子に一矢を報いた。
男子一同が悠斗のもとに駆け寄る。

「やったー!」
「勝ったぞ!!」
喜びを爆発させる男子たち。
中には目に涙を浮かべている者もいる。

そんな男子たちの喜ぶ様子を女子は暖かく見守っている。
「女の子に負け続けて悔しかったのよね、きっと…。」
「うちのクラスの男子も結構かわいいとこあるじゃない。」

藤崎綾乃が佳織に近づいた。
1500メートルを走り終えたばかりだと言うのに、佳織は全く疲れた様子を見せていない。

「最後…、どうして手を抜いたの?」
「まぁ所詮体育だし・・・、これで良いかなぁって」
笑顔で言葉を交わす2人。

このスポーツテストによって、クラスの主導権は完全に女子の手に委ねられることになった。

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1500メートル走記録
1位 京極悠斗  3分59秒 男 陸上
2位 喜多嶋佳織 3分59秒 女 バレーボール
3位 広末七海  4分21秒 女 バレーボール
4位 藤崎綾乃  4分28秒 女 バスケット
5位 安岡和美  4分31秒 女 ソフトボール
6位 秋元麗香  4分38秒 女 陸上
7位 豊丘哲平  4分39秒 男 サッカー
8位 柏木真央  4分42秒 女 バレーボール
9位 松浦ひとみ 4分43秒 女 テニス
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つづく





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