15.真夏の海水浴
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ついに始まった夏休み。
僕と翔太は、佳織たちと一緒に海水浴に来ている。
こんなに楽しく遊べるのは、父親が大財閥の会長と言う柏木真央のおかげ。
湘南の一等地にプライベートビーチつきの別荘を持っているなんて…。
佳織と七海、美咲のオリンピック選手3人組も、人の目を気にせずに大胆な水着姿を見せている。
しかし昼食を食べるため、近くの海水浴場に出た頃から雲行きが怪しくなる。
僕たち一向は、あるトラブルに巻き込まれてしまったのだ…。
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「さぁ出掛けましょう!」

七海が声を掛ける。
ひと通り遊んだ僕らは、ご飯を食べに近くの海水浴場に向かうことにした。
女性陣は水着の上からTシャツと短パンを着込む。

プライベートビーチから1歩外に出るとすごい人混み。
僕らは一番おしゃれな海の家でご飯を済ませた。

お腹もいっぱいになってそろそろ帰ろうと思った矢先。
変なやつらが声を掛けてきた。

「ねぇ…バレーボールの喜多嶋さんでしょ?。俺たちと向こうで遊ばない?」
「あっ…ごめんなさい。」
「ねぇそんなこと言わずに、ちょっとお茶でもしようよ。」

茶髪で軟派な男2人。
180センチ以上の長身だ。
断っても断ってもしつこく迫ってくる。
ついに七海がキレた。

「アンタたちしつこいわよ。いい加減にしてよね!」
「おいおい、そんな怒るなよ〜。楽しく遊ぼうぜ〜」
「だから興味ないって言ってるでしょ!」
「そりゃないよ広末さ〜ん。俺たちぃ、実わぁビーチバレーの選手なんだぁ。
 日本ランキング1位!。凄いっしょ。だから一緒にバレーボールして遊ぼうよ!」
「軟派なスポーツでカッコつけてんじゃないわよ!」
「おいおい…。その言い方はないんじゃない?だったら俺たちと勝負してみろよ!」
「えぇ分かったわ!!。受けて立ってあげる!!!」

とんでもない展開で、男たちの罠にはめられてしまった七海。
結局言い包められて、ビーチバレー日本ランキング1位の彼らと勝負するはめになってしまった。

「なんで私が巻き込まれなきゃいけないのよ!」
「ごめん佳織…。」
「もう……七海ったら……。」
渋々ウォーミングアップを始める2人。

「おいっ…大丈夫だよな。アイツらでかいぞ…。オリンピック金メダルだし…」
「心配するなっ。インドアの奴はビーチじゃろくに動けねぇ…。」
男子チーム2人も準備に余念がない。

「仕方ないわね…。」
「ホントごめんね佳織…。」
「もう…、ここまできたらやるしかないでしょう!」

「バッ!!」
Tシャツを脱いで水着姿になる2人。
赤いビキニ姿の佳織。
198センチの鍛えられたセクシーボディがまぶしい。
一方フリルのついた黄色い三角ビキニの七海。
佳織に負けない立派なスタイルが露になる。

ネットを挟んで握手をかわす両チーム。
彼女たちの大きさ、逞しさ、美しさを前にして男子チームの2人は思わず息を呑んだ。

「ピーーっ!」
男子チームのサーブで試合が始める。
コートの隅を狙った絶妙なサーブ。

「ポンッ…」
しかし七海は軽々とレシーブした。

「ポシュッ…」
佳織がトスを上げる。
絶妙の位置に上がったボールに助走をつけた七海が飛びこむ。

「バッ…」
ビーチの砂が激しくはじける。
ブロックに飛んだ男は思わず口を開けて驚いた。

『高い……!』
ビーチバレーでは体験したことのない高さ。
足場の悪さをものともしない力強い踏み切り。

「バッコーーーーーン!!!!」
ブロックの遥か上から放たれたスパイクが、激しくビーチに突き刺さる。
とてもレシーブできる次元ではないスピードと鋭い角度。

試合開始早々男子チーム2人は恐怖した。
そして大いに後悔した。
とんでもない相手に勝負を挑んでしまったことを…。

その後も、男子チームの苦戦は続く。
スパイクはすべてがブロックに捕まり、フェイントを掛けても簡単にレシーブされてしまう。
彼女たちのスパイクはレシーブどころか反応することすらできない。

明らかにレベルが違う。
身長だけではなく、スピード、跳躍力、バレーボールのテクニック…。
すべてが桁違いに違う…。

気が付けば10−0。
試合は一方的な展開となった。
もはや観客の目にも実力の違いは明らかだった。

佳織と七海の2人はスパイクを打たなくなった。
男子チームを走らせる。
ギリギリレシーブできるかできないかといった微妙な位置にボールを落とす。
男子チームは必死にレシーブする。
しかしいくら粘っても、前後左右、自由自在に揺さぶられる。
佳織と七海のいじめとも思えるシゴキを前に、男子2人は体力を使い果たした。

「惨めだね…。ビーチバレーと普通のバレーボールとでは競技人口が何倍も違うんだ。
 しかも彼女たちは激しい競争のなかで勝ち残った世界でもトップの2人。
 いかに男子の日本ランキング1位といっても、相手になるはずがないのさ。」

翔太がしみじみとそう言った。

結局第1セットは21−0。
男子チームは1点も奪えなかった。

砂場に座り込んだまま立つこともできなくなった男子チーム2人。
ネットの向こうから、腰に手をあてて七海が声を掛ける。

「まだやるつもり?」

193センチの長身から彼らを見下す。
黄色い三角ビキニに包まれる洗練されたボディは太陽があたって光輝いていた。

性も根も尽き果てた男子チーム。
日本ランキング1位の彼らが、これ以上失態をさらす訳にはいかなかった。

「ごめんなさい…。」
「参りました…。」
2人は涙ながらに土下座して謝った。
完全に負けを認めたのだ。

べったりと砂にまみれた男子日本ランキング1位。
佳織と七海の2人には、足の裏以外砂の粒さえついていない。

「もう変なちょっかい出さないでよね。行こう佳織…。」

女子日本代表の凄さ。
金メダリストの凄さをまざまざと見せ付けて2人はコートを去っていった。

つづく





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