28.柔道部の練習試合
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今日は練習が休みの水曜日。
柔道部の練習試合が行われると聞きつけた僕らは、迷わず武道場に駆けつけた。
相手は柔道の名門R大付属高校。
今日の練習試合は、今年から柔道部を強化し始めたD学園を徹底的に叩き潰すのが目的らしい。
S組の本郷紀彦くん徳留里奈さんの2人は、強豪を相手にどんな柔道を見せるのか?
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勝ち抜き方式の団体戦。

R大付属はいきなり評判通りの強さを見せつける。
先鋒の2年生エースが3人抜き。
D学園は早くも副将、本郷紀彦の登場となった。

「紀彦くん勝てるかなぁ…」
「相手は重量級だけど、疲れてるようだからここは大丈夫。」

翔太の予想通り、紀彦は一方的に相手を攻めまくる。
そして開始2分半の時点で得意の内股を決め見事に一本勝ち。
さすがは軽量級の中学チャンピオン。
強敵相手にようやく一矢を報いた。

「よしっ…」
D学園の選手たちの表情にもようやく明るさが戻る。

しかしそんな紀彦も次の試合では大苦戦。
相手は同じ軽量級だったが、2年生のテクニックの前に実力を出し切れない。
2試合目という体力的なハンデもあり、結局紀彦は優勢負けを喫してしまった。

「よっしゃーーーっ!!どんなもんじゃーーーい!」
ライバルを倒したR大付属の次峰は派手なガッツポーズを見せる。

そして早くもD学園は大将の登場を迎えることになった。

「すまん…。」
「最初からあてになんかしてないわ…。
 私ね…。ああやって弱いのに威張ってる男って一番嫌いなの…。」

そう言いながら競技場に足を進めるのは徳留里奈さん。
女子ではあるが、誰もが認めるD学園最強の柔道家。

185センチの長身。
脂肪などほとんど付いていないスレンダーな脚長体型。
長くてソバージュの掛かった髪に大人びた女性らしい顔。
まさにモデル。
とても女子柔道の選手とは思えない。

「おいおい、D学園の大将はモデル女かよ…。」
「天下のD学園とは思えない惨めさだな。」
「はっはっはっはっ…。」

R大付属の選手たちが里奈をからかう。
彼らは、これから降りかかる惨劇など全く予想していなかった。

185センチと言う長身の里奈に対して、紀彦を破った男は160センチ強。
20センチ以上の身長差がある。
それでも男は負けることなど全く想像していなかった。
重心の高い脚長女など、足技で攻めれば一発で倒せると思っていた。

思惑通り、男は試合開始早々、素早い足技で次々と攻め立てる。
対する里奈は防戦一方。
ちょこまかと動く相手がやり難そうだ。
そして彼の短い足が、彼女の長い脚をついに捕らえる。

「ドスーーーン!」
「技あり!」
キレイな小外刈りが決まった。

『よしっ…』
思い通りの展開に男は勝利を確信した。
しかし次の瞬間、男の首筋には白くて長いものが巻きついてきた。

「うっ!!!!」
彼が気付いたときにはもう遅かった。
里奈は倒されたままの体勢から三角絞めを狙ってきたのだ。

スレンダーながら鍛えられた美脚が男の頚動脈を締め上げる。
動けば動くほど里奈の両脚が食い込んでくる。

太腿で男の首筋を挟み込み、足首を交差させて隙間を狭める完璧な三角締め。
同時に腕の関節を極め、さらに手首を握ることで男の動きを完全に停止させる。
男を仕留めた里奈は快感の笑みを浮かべている。

『もうだめだ…。』
男は脱出を諦めた。
しかし両手首がしっかりと握られているため彼はタップすることすら許されない。
里奈は男のもがき苦しむ姿を十分楽しんだあと、静かに両脚に力を込めた。

「1…2…3…。」
わずか3秒だった。
わずか3秒で男は白目を剥き、深い闇の世界へと落ちていった。
苦しさを通り越して天国へ向かうような心地よさを感じながら…。

「待てっ…。それまで!」
男が落ちたのを確認して慌てて審判が試合を止める。
里奈は何事もなかったように立ち上がり、蘇生を受ける男を哀れんで見下している。
男の股間には失禁のあとが見られる。
電光石火、まさに芸術的な三角絞めだった。

「里奈さん強い!」
「あれが彼女の得意な絞め技さ…。」
「絞め技?」
「そう…、彼女はまだ柔道を始めて1年とキャリアは浅いが、公式戦は未だ無敗。
 しかも試合のほぼすべてを絞め技で勝利しているんだ。」
「絞め技だけで?」
「そう…。彼女はもともと柔術の選手でね。お父さんは有名な柔術の達人。
 彼女自身も既に免許皆伝の腕前さ。柔道選手を絞め落とすことなんて簡単なことなのさ。」

続いてR大付属の中堅が競技線内に入ってくる。
体重が120キロはありそうな巨漢の男。

里奈は試合開始早々、強引な払い腰で有効を奪われるがそのまま寝技戦に持ち込む。

男は120キロの巨体を生かして上から里奈を押し潰そうとする。
しかし彼女は長い手脚で男の体を引き寄せると、その重みを利用してくるっと回転する。
男の巨体がいとも簡単にひっくり返される。

『ヤバイ!!』
男がそう思ったときにはもう遅い。

この体勢になるとあとは里奈の思い通り。
必死に逃れようとする男を弄びながら、処刑の方法を選んでいく。
『決めた!』
彼女が選んだのは、腕と首とを複雑に絡めあう変形の片羽絞め。
別名地獄絞めとも呼ばれるこの技は、両肩を極めることで相手に自由を与えない。
苦しくてバタつく巨漢の男を嘲り笑いながら、里奈は両手に力を込める。

「1…2…3…。」
またもや3秒で男の処刑を終えた。
120キロの巨体が無様に横たわる。
口からは醜い涎を垂らし、股間にはまたもや失禁のあとが…。

里奈の強さを目の当たりにして焦ったのはR大付属の残る2人。

「おいっ…。アイツの寝技は本物だ…。絶対寝技には持ち込まれるなよ…。」
「あぁ分かってる。」

R大付属の副将は中量級で全国屈指の名選手。
序盤から細心の注意を払いながら、立ち技でポイントを奪う。
寝技には絶対に持ち込まれない覚悟だ。

しかし試合時間も残り1分を過ぎたころ、男の心に油断が生じた。
大外刈りで倒れた里奈が無防備に横たわるのを見て『これなら押え込める!』と判断してしまった。
里奈の色気に誘われてしまったのかもしれない。

「押え込み!」
完璧な上四方固め。
通常このレベルの選手になると、完璧に決まった押え込みから逃れることなど不可能。
誰もがそう思っていた。

しかし、
「よいしょっ…」
里奈の長い脚が伸びてくる。
女性ならではの柔軟性を生かして男の腰のあたりに脚を引っ掛ける。
そのままブリッヂして反動をつけると、里奈は全身のバネを使って男の体を引っくり返す。

『ウソだろっ!!』
男がそう思ったときにはもう遅かった。
スレンダーな体からは想像できない凄まじい力で男の体が浮き上がる。

完璧なはずの上四方固めを簡単に解かれてしまった彼は恐怖のあまり震えていた。
押え込みに行ったことを心の底から後悔していた。
しかしもうすべてが遅い。

亀の体勢になって必死にディフェンスを固める男。
しかし寝技の天才里奈に彼の守りなど通用するはずがなかった。

首の隙間からスレンダーな美脚を差し入れる。
そして足の指を器用に使って男の襟を掴むと、足の脛を使って男の頚動脈を一気に絞めあげる。
変形の送り襟絞め。
この技は、里奈が得意とする絞め技のひとつだ。

必死に抵抗する男。
しかし手より何倍も強い脚力で絞め上げられては到底対抗することができない。
両手を余らせ脚だけで固める絞め技は、天才の里奈だからこそできる美しい殺人技だ。

「1…2…3…。」
期待された副将も、結局は里奈の前に惨めな姿をさらすこととなった。

3人連続の失神負け。
名門R大付属の選手がモデルのような女1人に為すすべなくやられていく。

この屈辱を晴らすべく、ついにR大付属の大将が立ち上がる。
180センチを超える長身で、分厚い筋肉の鎧を身に着けたこの男。
昨年の高校無差別級チャンピオンでもある。

「大した女だが、俺はそう簡単にはやられないぞ。」
「アナタには特別なお仕置きを準備しているわ…。」

「始め!」
試合が始まる。

「ゆ…有効!」
男の頭は完全に混乱していた。
全身から大量の汗が流れ落ちる。

試合開始からわずか1分で、既に4本目の有効を取られてしまったのだ。

『そんなバカな…』
寝技にさえ注意すれば勝てると思っていた。
しかし里奈は、高校チャンピオンを立ち技で圧倒して見せたのだ。

『そんなこと有り得ない!』
男は必死に攻める。
しかし彼女は攻撃を簡単に凌ぐとタイミング良く背負い投げを放つ。
男の体が空中でキレイに一回転する。

このまま畳に叩きつければ間違いなく1本勝ち。
しかし彼女は握った袖を離す。
男は体勢が崩れたまま、脇腹から畳に落ちてゆく。

「どすん!」
「有効!」
5本目の有効ポイント。

これで男は確信した。
里奈が自分より圧倒的に強く、そして今自分が弄ばれていることを。

その後も里奈は一方的に男を投げ飛ばす。
一本勝ちにならないよう細心の注意を払いながら。

高校チャンピオンの男は震え上がっていた。
勝ってばかりの彼は、負けることに慣れていなかったのだ。

里奈はそんな男を捕まえては強引に揺さぶり投げ飛ばす。
16本目の有効ポイント。
もはやこの勝負は一方的な虐待でしかなかった。

「始め!」
審判の合図を聞いて里奈が歩き出す。
腰を振り胸を張ったモデルウォーク。
対する高校チャンピオンの男は恐怖で後退り。
震えながら自分の足に躓いて尻餅をつく。

「こ…効果!」
威圧するだけで技を奪った里奈。
腰に片手を当てて満足そうに男を見下す。

「自分の未熟さが分かったかしら?」
「は…はい…ごめんなさい。」
男が土下座で謝るのを見て、里奈はようやく満足した。

「いいわっ…。そろそろ気持ち良くしてあげる。」

里奈の美脚が男の首に絡む。
そして彼女は足の指を使って器用に男の襟をつかむ。

処刑の準備は整った。

里奈は恐怖にひきつる男の表情を楽しんだ後、脛で頚動脈を圧迫し始めた。
余った両手では長くて美しい髪をゆっきりと掻き上げる。

「1…2…3…。」
男は生涯最高の快感を感じながら天国へと旅立っていった。
恐怖から開放され、笑みを浮かべながら失神する。
股間を濡らし惨めに横たわる姿に、高校チャンピオンの面影は微塵も感じられななかった。

里奈は立ち上がると、モデルのような足の運びで競技場をあとにする。
4人の男を軽々と絞め落としておきながら、汗ひとつ描いていない余裕の完勝。

僕は声を失っていた。

「太郎くん、里奈には気をつけた方がイイぞ。彼女は強いだけじゃなくて生粋の男嫌いだ。
 男を苦しめることしか考えていない、クラスでも一番の極S女なんだ…。」

翔太の忠告に従い、僕は今後彼女から距離を置くことに決めた。

つづく





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