***************************************************************
ファイル14.グレートピーチ凛音 〜超人オリンピック編〜

凛音は怒っていた。
この私を差し置いて『超人』を名乗るなんて許せない!!
彼女はついに実力行使を決意した。

***************************************************************

第32回超人オリンピック――――。
人気の超人たちが最強の座を掛けて争う夢の祭典。
予選を通過した8人の正義超人がリング上で紹介されると、
20万人の大観衆が割れんばかりの歓声で彼らを称えた。

ヒーローたちに花束が贈呈される。
キレイな花束を持った水着美女8人がリングへと上がってくる。
しかしその中の1人は、異常なほど立派な体格を持った美女だった。

世界最強の女子レスラー、グレートピーチ凛音。
彼女は花束ガールに成りすまし、軍服姿が勇ましいブロッケンJrの前に立った。

超人ブロッケンJrを遥かに凌駕する肉体。
上腕や太腿はドラム缶以上の太さがある。
それらに負けない巨大なバストを誇示しながら、彼女は目の前の超人を見下している。

「まずはアナタ…。ちょっとお相手して頂くわ♪」

彼女は花束を投げ捨てると、満面の笑顔を浮かべてそう言い放った。
意味が分からずただ驚いている超人の目の前で、凛音の逞しい脚がゆっくりと上昇していく。
圧倒的な筋肉量を誇る肉体で、凛音は華麗に片足で立ち、右足を頭上高く掲げ上げた。
女ならではの恐るべき柔軟性とバランス感覚。
超人ブロッケンJrは、完全に彼女の脚の影に隠れてしまった。

カカト落とし――――っ!!!!
いきなり炸裂した凛音の大技。
慌てて両手でガードしたブロッケンJrだったが、何の抵抗にもならなかった。
彼の体は一瞬でぐちゃっと圧縮され、まるで空き缶のように押し潰されてしまった。
凛音の脚力を前にすれば、超人の肉体など虫けらも同然だった。

「キャ――――っ!!」

美女たちが一斉に逃げ回る。
リング上の異変に、会場は突如騒然となった。

「てめぇ、いきなり何しやがる!!!」

隣りにいたウルフマンが、自分よりひと回り大きな凛音目掛けて突進する。
超人相撲界の横綱と呼ばれる彼は、超人界でも一、二を争うパワーの持ち主。
そんな彼のパワフルな突撃も、彼女には全く通用しなかった。

ウルフマン自慢の突進を、右手1本で軽々と受け止めた凛音。
彼女の筋肉は、ただ単に量が多いだけではない。
女性らしく柔らかい筋肉は異常なほど密度が高く、発揮されるパワーは桁違いに大きい。
彼女がウルフマンの顔面を軽く握り絞めただけで、彼の頭蓋骨は水風船のように破裂してしまった。

唖然とする観客たち。
リングに残された他の超人たちも状況を理解できないでいた。
人間を超越した存在であるはずの超人。
その実力者2人が、突然乱入した筋肉美女に軽く捻り潰されてしまったのだから。

エメラルドグリーンの大きな瞳に背中まで伸びた緑の黒髪。
思わず心を奪われそうになるほど美しい顔。
対照的にあらゆる筋肉が隆起した重量感溢れるボディ。
そんなボディを包み込むのは、薄紫色のセクシーな三角紐ビキニ。
美しさと力強さを兼ね備えた凛音の肉体は、まさに神が作り上げた芸術作品だった。

「さぁ超人さんたち…。これから私が、本当の超人ってものを教えてあげるわ♪」

可愛らしい笑顔で挑発する凛音。
残り6人の正義超人たちも、ここで一気に戦闘モードへと突入した。

「悪いがどうなっても知らねえぜ!!」

凛音の前に進み出たのは、正義超人最強の男バッファローマンだった。
1000万パワーを誇る彼は、超人の中で唯一、凛音に匹敵する巨体の持ち主。
自慢のロングホーンを手入れすると、彼はその標準を凛音に合わせた。

「喰らえ、ハリケーンミキサー!!」

地響きがするような迫力ある突進。
誰しもが逃げ出したくなるその勢いを前にしても、凛音はまったく怯まない。
それどころか逆に、その肉体を武器にした体当たりでハリケーンミキサーを迎え撃った。

「凛音ボンバ――――っ♪」

地球全体が揺れるような凄まじい正面衝突。
しかしそれは、ダンプカーが三輪車とぶつかったような実に一方的な衝突だった。

凛音の身体に弾かれて、バッファローマンがまるで木の葉のように吹き飛んでいく。
竜巻に飲み込まれたように急上昇していった彼の体は、会場の天井に勢い良く突き刺さった。
1000万パワーの彼と言えども、凛音と戦うにはパワーの桁が5つほど不足していた。


凛音の強さに観客が賞賛の拍手を送り始めた。
彼女が愛らしい笑顔でそれに応えた時、背後から凶器を持った2人の超人が忍び寄って来る。

ウォーズマンは自慢のベアークローを装着して必殺のスクリュードライバー。
もう1人ロビンマスクは、マスクの先端を使ったグリニッジ・クラッシュで凛音に襲い掛かってきた。
完全に油断していた凛音は、2人の凶器攻撃をまともに受けてしまう。

チクッとした痛みを感じた凛音。
しかし彼らのパワーではそれが精一杯だった。
いくら油断していたとは言え、彼女の逞しい広背筋は凶器が刺さるほどヤワなものではない。
逆に襲い掛かった凶器の方が、無残にも折れ曲がってしまった。

「うっ…、嘘だろ!!」

「背後から凶器で襲い掛かってくるなんて、超人さんたちはなんてお行儀が悪いのかしら…。
 これはお仕置きしてやらないといけないわね♪」

凛音の豪腕が2人を捕らえる。
彼女は左腕でロビンマスク、右腕でウォーズマンを抱えあげると、その両腕に少しだけ力を込めた。

「うがあああああーーーっ!!!!」

凛音必殺のダブルベアハッグ。
2人の悲鳴が会場に響き渡った。
凛音は笑顔を浮かべたまま彼らを徐々に締め上げていく。
巨大な力瘤の浮かぶ豪腕が、2人の身体にめり込んでいく。
超人の鍛え上げられたウエストが、既に異常なほどクビれている。
十分に手加減をしているつもりの凛音だが、すでに彼らを致命傷の1歩手前まで追い込んでいる。

「さぁお謝りなさい!!」

「ごっ、ゴメンナサ――――イ!!」

2人は即座に謝った。
そこには超人のプライドなど微塵もなかった。
彼らの謝罪に満足した凛音は、ようやく腕の力を緩めてあげた。
巨大な力瘤の隙間から、超人2人の肉体がふにゃふにゃと力なく落ちていく。

「まぁいいわ。凶器のことは許してあげる…。
 でも私に無断で『超人』を名乗っている限り、私は貴方たちを許さないわ♪」

結局、凛音は2人を始末した。
彼女の左手にはロビンマスク、右手にはウォーズマンのマスクが握られている。
凛音の足元に横たわる彼らの肉体は、既に原型が残らないほど破壊されていた。
実力派超人の2人も、結局彼女にとっては遊び道具にすらならなかった。


「オマエやり過ぎた…。覚悟するあるネ。」

次の相手は、残虐なファイトで人気を集めるラーメンマンだった。
長い弁髪を振り乱しながら、彼は中国四千年の歴史を感じさせる多彩な技で襲い掛かる。

しかし彼の技は、凛音に当たらない。
かすりもしない。
彼女は次から次へと襲い掛かるラーメンマンの攻撃を、華麗かつ優雅に躱し続けた。

圧倒的なパワーばかりが注目される凛音。
しかし彼女の強さの真骨頂は、その驚異的なスピードにある。
ラーメンマンの攻撃など、彼女にとって見ればハエが泊まるような速度に過ぎない。
スピードスターと評される彼女が実力の片鱗を見せたとき、彼の攻撃は完全に無力となった。

完全に息が上がってしまい距離を取るラーメンマン。
彼が思わず発してしまった次の一言が、とんでもない悲劇を導いてしまう。

「貴様…、女のクセに生意気あるネ…。」

「女のクセに????」

凛音は敏感に反応した。
彼女の表情がみるみるうちに険しくなっていく。
女を蔑視する男は、凛音のもっとも嫌いなタイプだった。

「へぇーっ…、アナタ、女の強さを知らないのね。
 それならイイわ。私がその身体に教え込んであげる。」

凛音は怒りに満ちた表情で拳を握った。
両腕の力瘤が一段と大きく盛り上がる。
ラーメンマンの股間には、恐怖のあまり失禁のあとが生じてしまった。

こうして炸裂した、なんとか百烈拳――――。
古い漫画を参考に練習したこの技を、既に凛音は完璧にマスターしている。

どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど
どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどっ!!

辺り一面に響き渡る重低音。
威力や方向を微妙に調整しながら凛音は怒涛の連続パンチを放った。

ラーメンマンの肉体がみるみるうちにミンチされていく。
数多くの犠牲を伴いながら、この技の完成度は日に日に高まっている。
最近では、パンチの間隔も随分と短くなってきた。
凛音は10秒と掛からずに、ピッタリ100発の拳を彼に打ち込むことに成功した。

あっという間に肉塊と化してしまったラーメンマン。
それでも凛音の怒りは治まらなかった。

彼女は目の前の肉塊を持ち上げると、何度も何度もマットに叩き付けた。
さらに拳や蹴りまで繰り出して肉塊にダメージを与え続ける。
ラーメンマンの肉塊は、徐々に滑らかな肉の生地へと変化していった。

ここに来て何を思ったのか、凛音は肉の生地を丹念に伸ばし始めた。
逞しい両腕で生地を伸ばしては、器用に折りたたむ。
この作業を何回も繰り返すことで、ラーメンマンの肉塊がどんどんと加工されていった。

観客が絶句している。
凛音の怒りはここに来てようやく治まった。
ひと仕事終えて、彼女の額には珍しく汗がにじんでいる。

彼女の目の前に披露されているのは、
ラーメンマンの肉塊を使って製麺された凛音オリジナルの中華麺だった!!!

あのラーメンマンが本物のラーメンにされてしまうなんて…。
凛音を怒らせた男の結末は、大抵の場合こんなにも情けないものとなってしまう。


残る超人はキン肉マンとテリーマンの2人…、のはずだった。
しかし、キン肉マンの姿がどこにも見当たらない。
彼はいつの間にか、リング上から姿を消していた。

「キン肉マンのやつ…、いつの間に逃げやがったのか…。」

共闘を期待していたテリーマンは呆れてしまった。
こうなってしまっては、もう1人で戦うしかない。

目の前に迫りくる凛音。
その美しくも洗練された筋肉美。
美しい球形の繋がりを見せる、上腕と太腿、巨乳のアンサンブル。
やや内股気味の足元は、妙に女性らしい。
戦う女神の美しさに、テリーマンは戦う意欲を失ってしまった。

力なくリングに座り込むテリーマン。
凛音が彼の手首を優しく握る。
それだけで彼の手首は簡単に砕け散ってしまった。

「さぁ、最後はアナタの番ね♪」

凛音はテリーマンに可愛らしく微笑みかけた。
その笑顔があまりにも美しくて、彼は思わず見とれてしまった。

次の瞬間、凛音は空高く跳躍した。
彼女に引きつられて、テリーマンの体も一緒に宙を舞う。

美しくダイナミックな跳躍。
その頂点で彼女は体勢を固めた。
右手でテリーマンの左手を掴み、左手では右脚を掴む。
彼の頭を股間でしっかりと固定すると、胴体は2つ折りにしてヒップの下に敷く。
数年前、あの三島翔太郎を葬り去ったヒッププレスが、さらにスケールアップして帰ってきた。
身動きの取れないテリーマンを尻目に、凛音は両脚を上げて巨大なヒップに全体重を乗せる。
そしてそのまま勢い良く、マットへと降下していった。

「グレートピーチ・ドライバ――――ッ!!!!」

凛音の巨躯とパワー、スピード、柔軟性、バランス感覚。
すべてが結実したこの技は、途轍もない威力のヒッププレスだった。

テリーマンの肉体が、一瞬にして霧と化した。
プレスを免れた手足だけがわずかにその原型を留めている。
耐衝撃材でできているはずのリングにも大きな亀裂が入った。
会場は、未だに大きく揺れている。
観客はその衝撃に体を強張らせながら、美しい凛音の技に見とれていた。

「パンッ、パンッ!!」

凛音がその巨大で引き締まったヒップを軽く叩く。
彼女のヒップにこびり付いていたテリーマンの肉片も、これでキレイに取り除かれた。
彼女に無断で超人を名乗った男たちの粛清は、これでようやく幕を閉じた。

「これで分かったでしょう?私が本物の超人よ!!
 文句があるならいつでも相手してあげるわ♪」

観客全員がスタンディングオベーションで凛音を称える。
彼女は再び愛らしい笑顔を浮かべて、その声援に手を振って応えた。

「あっ、それからひとつ忘れ物があったわ♪」

凛音は突然そう言い出した。
超巨大なバストの割れ目に手を突っ込むと、そこから何かを取り出そうとする。
バストの隙間、そして逞しい腹筋の隙間から姿を現わしたのは、何やら怪しい肌色の物体。
その物体には、一部に「肉」の文字が刻まれていた。

「あっ、あれは…、キン肉マンだ!!」

観客のひとりが呟いた。
それは確かに凛音によって潰されたキン肉マンの肉塊だった――――。

時を遡ること数分前。
バッファローマンが天井に突き刺さり、観客の視線が上に向いていた頃。
こっそり逃亡を図ったキン肉マンの姿を、凛音は見逃していなかった。

逃げようとするキン肉マンを捕まえて二つ折りにすると、彼女はギュッと抱きしめた。
彼の肉体はグニャっと押し潰され、彼女の巨大なバストと腹筋の割れ目に潜り込んでしまった。
その後凛音は今までずっと、キン肉マンを己の肉体に隠し持ったまま超人たちを葬り去ってきたのだ。

観客たちは改めて凛音の凄さを思い知った。
そして誰もが彼女のことを、本物の超人として認識することとなった。

おしまい





inserted by FC2 system