最強!レベル1勇者パーティ

【レッカ初陣】
ライラの出発から数えて7日目。ついに雪が止む。
非常にスムーズな出だしであった。
真冬になるとこの山は裾野まで雪が積もり、雪女でも町付近まで下山可能だったと言う。
つまりレッカの庭であり、何の問題もなく下山していく。
「そー言えば、この辺に山賊いたネ。」あっさりと驚愕の事実を言うレッカ。
「え?そ・・・それってゴブ・・」
そしてケルトの言葉が終わるか終わらないかのところで、ゴブリンたちが現れたのである。
しかも・・・しかもである、明らかに先に索敵されていた。弓もつがえている。
ゴブリンの中にゴブリンシャーマンまでいる上に、先制の魔法まで唱えられてしまった。
霧がケルト達に立ち込める。
「これは・・・眠りの雲!?」
言うが早いか、まずはソラが寝てしまう。
そして信じがたいことにこのゴブリンシャーマンは予想以上の魔法力を持っていた。
「ぐ・・・・。」ケルト、そしてベルまでもが寝てしまう。
シルフィーは自らの鍛錬のかいもあり、元もとの魔法力は抜きん出ているため全く効いていない。
「おぬしも大丈夫なようじゃな。」
「HAHAHA!山で寝ている雪女、見たことないでショー?雪女は寝ないネ。」
そんな事を言っている間にも、山賊たちの猛攻は始まっている。
矢の嵐が降ってくる!
「グハ・・・・く・・・ヒーリング!」シルフィーに矢が刺さり、自分自身にヒーリングをかける。
「シ・・・・シルフィー!?Oh!シット!」レッカはケルト達と出会ってから初めて怒りを露にする。
「アイスバーン!」レッカの氷結魔法が炸裂する。
まず、山賊ゴブリンたち全員の足元が分厚い氷で固められていた。
「フリーズ!!」続けざまにやはり氷の魔法。
この魔法がゴブリンシャーマンに直撃し、全身が氷漬けになっている。
「アイスストームワイド!」広範囲に氷の嵐。
弓を持つものは必死に矢をつがえるが、
足を固められバランスが悪くなった上に寒さで指先の感覚がなくなり、明後日の方向へ矢が飛ぶ。
「おーしおきスルネー!」レッカは真っ先にゴブリンシャーマンの元へいき、デコピンを一発当てる。
ガシャーン!と指で弾かれたゴブリンシャーマンは粉々になってしまう。
「わらわの体をよくも傷つけてくれたな!!」ついでシルフィーもヒーリングが終わり次第突進。
豪快な『オーガーの3倍パンチ』で、足元を固められたゴブリン共を葬っていく。
頭に直撃をもらったゴブリンの首はあり得ない角度で後ろへ曲がる。
避けられる見込みもなく、武器を捨てて降伏しようとする者もいたが、
キレたシルフィーがそれを許すはずもなく破壊されていった。
序盤優位に立っていたはずの山賊はあっという間に壊滅してしまった。

最後に残ったのはリーダーと思わしきホブゴブリンであった。
ゴブリンより遥かに背が高く、ずっとガッシリしている。
「ここはミーにやらせてネ!」
すっと近づいていき、背後から指でホブゴブリンに触れる。足元が固められているので避けられない。
「ユーみたいなのとはキスも合体もしたくないネ!」
ズズズ・・・っと指先から精を吸い取っていくレッカ。みるみるうちにホブゴブリンから肉が削ぎ落ちていく。
どうもレッカは3種類程のドレイン技を持っているようだ。
1つは今やっている指での吸引。
2つめは男性器を口に含んでの吸引か膣口での吸引、
3つめはキスということらしい。こういうゲテモノが相手の場合は指で吸い取るのだそうだ。
腕はシナシナとなり、アバラ骨も見えてすっかり貧相な体になってしまっている。
「解凍!」続けてレッカはホブゴブリンの凍っていた足元を開放する。
そして立っているのもやっと・・・といった感じの痩せたホブゴブリンを押し倒す。
「HAHAHA!ミーは力はそんなに強くないけど、相手をそれ以上に弱らせれば相対的に強くなるネ。」
これが本気になった雪女の戦い方か。確かにレッカの言うとおり自分が強くなくとも勝てる。
ゆっくりと大きいお尻をホブゴブリンの顔の上に敷く。
ズン。豊満な肉がホブゴブリンの息を詰まらせていく。
顔面を完全に塞いでおり、わずかの隙間もなく呼吸を奪って行った。
死刑執行開始である。
よほど苦しいのか手足をばたつかせる。
だが、骨と皮だけになっているホブゴブリンではレッカの体重を跳ね返すことはできない。
「死ぬまで座ってやるネ。それとご馳走サマ。ちょっとお腹いっぱいになったヨ。」
レッカはそれから微動だにしない。
やがてホブゴブリンの手足の動きが鈍くなっていき、完全に動かなくなっていた。
死因はもちろん窒息死である。

【大幅パワーアップ】
ケルトは戦況を聞いて恥じていた。
正直、レッカは先に仲間になったソラ・シルフィー・ライラと比べて一枚落ちると思っていた。
それがどうだ?
自分はもちろん、ソラ、ベルまでもあっさり戦線離脱。やはり相手が魔法を使ってくると脆かった。
さらにはシルフィーも矢で射殺されそうになったそうで、レッカがいなければ全滅ということになる。
自分達は異なる能力を持つもの同士が組むことで強さを発揮していた。
当然相手にも同じことが言えた。弓矢のゴブリン、魔法のゴブリンシャーマン、白兵戦のホブゴブリン。
あの山賊たちも絶妙なコンビネーションだったのだろう。必要なのは補い合う事だった。
気を引き締めるとともに、ケルトは心の中でレッカへ詫びていた。
ライラの出発から数えて8日目。
なんとか彼女の帰還予定日前に到着した。
天気は快晴。
「OH!・・・・体が全然暑くならないネ!溶けないヨ!」歩きながらもレッカがはしゃぎ始める。
断熱クリームはその効果を発揮していた。レッカはその喜びを陽気な踊りで表現する。
宿で荷物を置くと、まっすぐにケルトは冒険者ギルドへ向かう。
「なんだ?遅かったじゃねーか。心配したぜ。」ギルドの担当は自分が推した仕事だけに本当に心配していたようだ。
そしてケルトが報告を終える。
「・・・ああ・・・あいつ、有能だったのにな。」あいつというのは崖に落ちて死んだ道案内の山男の事である。
「今回はボーナス無しだ。とても大成功とは言えねぇ。」渋い表情で成功報酬だけ渡す。
だが、この一言でピンとケルトの中で閃く。
これは大変なことになるかも知れない。

「レッカ!!君、踊りが好きって言ってたよね!?」慌てて宿屋に戻るとこの一声。
「イエース!こんな感じ〜〜〜〜・・・・FOOO!」レッカは腰を激しく振りながらダンスする。
「君、踊り子になりなよ!」
「オッケー!渡りに船ネ!」グッと親指を立てて承諾する。
すぐさま、冒険者ギルドへ登録し、さらに本を渡す。
「これ・・・すぐ憶えてよ。」

ライラの出発から数えて9日目。
すぐさまギルドへレッカを踊り子として登録し、猛特訓を積んで『リバースダンス』を習得した。
元もとのスジもかなり良さそうな動きだった。
ソラも興味があるのか、必死にレッカの踊りを真似していた。
「ソラ、こうやるネ!」華麗なステップと切れの良い動き。
「あん・・・むずかし〜」
「ソラと一緒だと楽しく覚えられるネ!」性格的にもこの2人は相性が良いらしい。爆乳を弾ませながら、ご機嫌のレッカであった。

そして10日目。ライラが帰ってくる前にと、実験は朝のうちに町の外で行われた。
「アーユーレディ!?」今回の報酬金でハイレグレオタードを買って貰い、踊り子らしくなったレッカ。
「イエー!」ソラはノリノリだ。昨日覚えた動きをソラも真似しはじめる。
「オッケー、レッツリバース!!」
レッカがステップを踏んで踊り始める。後ろを向くとヒップがほぼ丸見えの状態だ。ブルブル揺れている。
「こりゃ・・・夜の酒場でやれば相当金取れるぜ。」とベル。
「見てるほうが恥ずかしくなるけどね・・・」雪女の色っぽさに悩殺され始めるケルト。
「踊り子の人気のない原因はココじゃなぁ・・・まだ効果が出ぬか・・・」アホ面で見とれる男2人とは違い、シルフィーが冷静に呟く。
効果が出てくるまで3分。即効性のなさが踊り子系の技の弱点であった。
だが、今回は実験のため、たっぷり時間がある。
そして影響範囲の半径が4m、5mと広がっていき・・・
「わらわの感じじゃと、今範囲はこれくらいじゃな・・・」レッカから6mの地点に立ち、それ以上の広がりがないこと確認する。
「じゃあみんな離れて・・・」
レッカから皆が離れていく。リバースダンスの効果範囲内にはレッカ1人。
「じゃあ・・・吹雪よろしく!」ケルトがゴーをかける。
すると・・・
ボワッ!!!
無人のところに火炎の渦が現れる。そう、リバースダンスの影響範囲内では特定の魔法・技の効果が反転するのだ。
シルフィーの感覚は正しく、6mを超えた所には雪が舞っていた。
「うは・・・こりゃ凄えな。」ベルが感嘆の声をあげる。
雪女の強力な氷魔法に加え、それと同じだけの炎の魔法まで使えることになる。
「今は絶対できないけど・・・この範囲内でシルフィーも凄いことになってるんだ。」ケルトが言う。
「・・・?お・・・そうじゃ。そうじゃったか!」
シルフィーの完全回復。この魔法は反転し、なんと『完全死』になる。
今のところ、パーティで『リバースダンス』の対象の技は
・シルフィーの『完全回復』『アンデッド消滅』
・レッカの『氷魔法各種』『ドレイン』
・ライラの『魅惑の歌』
であり、それぞれが効果反転する。
「ねーねー・・・魅惑の歌ってどーなるのー?」ソラが疑問を口にする。
「それはじゃな・・・元もとの魅惑の歌が、『船を操縦していたのに、歌に引き寄せられて難破する』・・・じゃから、
その反対は『何かに気を取られそうなところ、元の仕事に集中する』ということになるの。」
それはそれで日常生活で使えそうだ。レッカの加入は微力どころか大変な力になっていた。

踊り子レッカ
性別:女性(雪女)
レベル:1
力:13
素早さ:11
器用さ:10
耐久力:15
魔法力:24
知恵:11
特殊:ドレイン各種
   氷魔法各種
   不眠
   リバースダンス


 つづく





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