無敵!レベル1勇者パーティ

【追っ手】
ケルト達は北の外れ町の方向へ向かっていた。変化の仙人へ会うためである。
冒険のきっかけを与えてくれたのは間違いなく彼であるし、レッカのゴールドドラゴン吸引も彼なくしては語れない。
ケルトは結果の報告とお礼を言うため、歩を進めていた。
ところが・・・
「見つけたぜケルトォォ!」どっかで聞いた声。
「ノクレモ先輩か・・・」ため息のケルト。

徒歩と王宮の馬車では勝負にならない。
あっという間に距離を詰められて対峙することになってしまった。
ノクレモを筆頭とする『スニッカーズ』だ。
かの収穫祭の対戦時には5人だったが、大柄な同じ顔の戦士が2人追加されて7人となっていた。
彼らは勇者、戦士3人、神官、魔術師、吟遊詩人の構成である。
「あの・・・・何の用ですか?」ほとんど要件は勘で分かっていたが、一応聞いてみる。
「何の用かじゃねぇ。てめぇ王様の出頭要請断ったってな。
それで、王国一のパーティである俺らがとっ捕まえに来たってわけよ。」
「別に僕達は王に用事なんてないですし、褒美もいらないです。」
「フン・・・もはやそういう問題じゃねぇ。一国の国王の命令をたかが臣民のお前が背いたって事が問題なんだよ。」
「くっだらねぇなぁ。」ベルが代弁する。
「黙って行かせてくれませんか?」ケルトが無駄と知りつつも聞いてみる。
「実力で捕まえてやんよ。あとな・・・今良いもの見たぜ。お前・・・海賊の親玉だろ?」セイレーンの姿、紫髪、赤い瞳のライラを見て、ノクレモが言う。
油断していた・・・。町の中では人間だったが、移動中のライラは変身を解いていたのだ。
「本人の空似じゃねーか?」すっとぼけるライラ。
「それを言うなら他人の空似じゃ。阿呆ライラ。」シルフィーがツッコむ。
「まぁ、なめた口利いてくれるぜ。殺してでも連れて行く。」
どうやら一戦交えるしかなさそうだ。
しかも、ライラの事までバレてしまったので輪をかけて面倒な事になりそうだ。
「みんな・・・絶対殺しちゃダメだよ。」ケルトはメンバーに伝える。
「せっかくだから、この前みたいにタイマンで勝負してやらあ。」ノクレモが言う。
4勝0敗1引き分けだったのだから、彼にしてみれば圧勝できるという自信があるのだろう。
こうして、収穫祭の再戦の火蓋が切って落とされようとしていた。

【新生シルフィー】
「いいかお前ら、勢い余って殺したっていいぜ。『逮捕中の事故』だからよ。」ノクレモがメンバーへ指令を出す。
「ねーねーケルトォ・・・あんなこと言ってるよー?」頬を膨らませながらソラが訴える。
「いや・・・いいよ。僕らは殺しちゃダメだよ。」
「ぶぅー」どれだけソラが抗議しても、これだけは譲れない。
仮にも王の使者である。殺害なんて事になったらいよいよ戦争になってしまう。
しかも、彼女達なら勝ってしまいそうだ。おまけに勝っても全然ケルトは得をしない。
とにかく無意味な争いは避けたかった。

草原の中、6人の団体と7人の団体が対峙している。
「チャッチャと串刺しにしてやるぜ。」槍使いの戦士が前に出てくる。
「フン・・・貴様か。ここはわらわに任せてもらおう。」以前不覚を取ったシルフィーが前に出る。
ビュンビュンと槍をしごく槍使い。この男、決して弱くないどころか相当の手練れ。
収穫祭の時よりさらに腕が上がっているようにもみえた。
「お前・・・誰だ?」対戦時とは身長があまりにも違うので、前回戦った相手と同一人物とは思っていないようだ。
「このシルフィー、雑魚に名乗る名など持ってないわ!」
「名乗ってんじゃねーか!」ベルがツッコむ。
「死ね!」夫婦漫才をしている間に槍使いがシルフィーに突進。
だが、男の必殺の一突きは空振りする。
「おーおー・・・ホントに殺す気なんじゃのう?
捕縛する動きじゃったら仏心を加えてやろうかと思ったが、今ので良く分かった。下郎めが・・・・ボコボコ決定じゃ。」
横へスッとかわしていたシルフィーは非情な通達。
「な・・・!?」
速い。男は相手の動きを全く捕捉できなかった。
「なめるな!!」電光石火の突きを連続で繰り出していく。
「遅いのう。あくびが出るわ。」残像が見えるような動きでかすりもさせない。
当たる雰囲気がなかった。
瞬間移動でもしているのか?
早くも槍使いの息が上がっている。
そこへ一瞬で間合いに入ると長身を生かした膝蹴りを顔面に叩き込む。
今のシルフィーにとっては『チビ男』の顔面なぞ少し足をあげれば届いてしまう。
ちょっとだけ高身長の優越感に浸る元聖女。
「グハァァァ!!」大量の鼻血を出しながらよろける男。鼻の骨が折れていた。
過去の対戦時には攻撃を貰わなかったので知る由も無いが、人間の力ではなかった。
ドカ!ボス!ゴス!!
シルフィーはボディへのパンチ、脚へのローキック、顔面へのフックと華麗に決めていく。
男はサンドバック状態だ。一発当たるごとに男の体が破壊される・・・
顔は変形して目がつぶれ、口からは大量の鮮血が溢れている。
槍を放し、ついに倒れ・・・
「ふっふっふ・・・倒れて楽になると思うなよ。」シルフィーが背後にワープして抱え込む。
重力が無いかのように男を軽々引っこ抜くと、綺麗な弧を描いてヘソで投げるバックドロップ!
2メートル越えのシルフィーの身長から繰り出される投げ技は破壊力十分で完全にKOしてしまった。

「そぉーれ!軽くヒーリングじゃ!」
そう言うなりヒーリングして男を無理やり起こす。
が・・・男を掴み、股の間に頭を入れると、腰を豪快に抱え上げパワーボム。
自身の背の高さを感じる技がシルフィーに感動を与えている。
またしても強烈な落差のある技を貰って半失神状態へ陥れる。
続けて容赦なくの男の片足を取ると、鮮やかに膝十字固め。
「シルフィーちゃん・・・上達したなぁ・・・」技の数々を見て満足そうなソラ。
「もしかして、ソラ直伝?」
「そーだよ。」ケルトの問いにあっさりと応える。
自分の気付かぬ間にあの気位の高いシルフィーも努力していたのだ。感心すると共に自分が努力を怠ってたのを痛感する。
そうこうしているうちに
ボキ!
「ギャアアアア!!」
槍男の膝は可動域の反対方向に折れ曲がっていた。
のたうち回る男をうつ伏せにして、その上に乗っかると超乳で頭全体をガッチリとロックする。
両腕はシルフィーの両手でしっかりと握りこみ、そのまま後ろに倒れこむ。
男の背骨が一気に曲がっていく。
「キャメルクラッチ、シルフィースペシャルじゃー!」
「ホントのキャメルクラッチって相手の両手は自由になるんだけどぉ・・・あの技は両手も封じ込めてるからぜんぜん動けなくなるね。」
ソラが感心する。絶対自分もやってみようという顔だ。
と・・・男の胴体は真っ二つ裂かれてしまった。掴んでいた腕も恐ろしい握力で潰されている。
一気に辺りは血の池となり、男は当たり前のように即死していた。
「シ・・・シルフィー!?こ・・・・殺しちゃダメだって言ったじゃないか!」
「すまぬ、ケルト。相手が予想より脆くてな。最終的に生きて返せば良いのじゃろう?」
と言うなり、ヒーリングで蘇生する。
「いや・・・そういう問題じゃなくて・・・。一回だけだよ。皆は真似しちゃダメだから。」
殺害からの蘇生を一旦認めてしまうと、キリがなくなってしまう上に、王様にケンカを売る気はないのでなるだけ穏便にいきたかった。
「ぶぅー。」「・・・しょうがねぇな。」「了解ネ!」口々に了承する女性陣。
男は生き返る。完全復活だ。
が・・・生き返ったものの視界は真っ暗の世界。
「そーれ、パフパフ・・・・」
男の頭を背後から完全にバストで包み込んでいた。
「・・・。」男は苦しさでもがくが、ビクともしない。
なんて力だ。
シルフィーの豊かなバストが男の口と鼻を完全に塞いでいた。
背後からの挟み込みにもかかわらず、息をさせないほど肉で埋めているところがやはりオッパイオバケと言われる所以だ。
「ちょっとだけ・・・羨ましいかも。」
「ケルト、あれ相当苦しいぜ?」バタバタと動く手足がだんだん鈍くなる様を見ながらベルが応える。
またオッパイで殺される・・・そもそも自分の歯が立つ相手ではなかった・・・圧倒的な力の差を感じながら男は落ちていった。
ドサ・・・
男が失神する。
「ホレ、次。次は誰じゃ?」チョイチョイと指を曲げ、次の相手を要求する。
シルフィーの完勝であった。

【新生レッカ】
「くそ・・・てめぇがいなきゃ・・・俺らの勝ちなのに・・・」ノクレモが呟く。
あのスピードを目の当たりにしては、攻略法など思いつかない。とにかく速いという次元を超越していた。
「ほう、ではわらわは引くとしよう。獲物の独り占めは悪いからの。」
「フン・・・油断大敵だぜ、次!」シルフィーが引っ込んだことにより、士気があがる「スニッカーズ」。
「我が魔術の秘儀を見せ付けてやる。」次に出てきたのは魔術師だった。
「あ〜!あいつ・・・」今こそ雪辱を晴らそうと、ソラが出ようとするが・・・
「ミーにもやらせて。」レッカだ。
「だって・・・ワタシ、あいつに眠らされて負けたんだよぉー?」
「ユーの敵はミーの敵。OK?」
「お・・・おっけー。」
「じゃあミーが出るね。」
「うん・・・・ってあれ!?」ズンズンと前に出るレッカを見て、何か騙されたことに気付く。
振り返るレッカは悪戯っぽい笑顔。
「むぅ・・・・。ヒドイよお・・・。」レッカの笑顔で黙らされるソラ。

「フン・・・一撃だ。一撃で葬ってくれる!」相手の魔術師は何かを唱えている。
杖に光が集まってくる。
「おいおい・・・ありゃ凄え魔法だぜ。」ベルが呟く。
『スニッカーズ』も屈指のエリート集団だと思い知らされる。
それに加え、収穫祭でソラから3カウントを奪ったおかげで大幅にレベルが上がっていたのだ。
「スーパーウルトラグレートハイパーミラクルデンジャラスサンダー!!」
超巨大な電気の球がレッカを襲う。
「レッツサンダーブレス!」それに対抗し、口から電撃を吐くレッカ。
すると・・・電気同士が激しくぶつかり・・・
「な・・・俺のスーパーウルトラグレー・・・・」
言い終わる前に魔術師側の電撃の魔法が相殺されつつ押し戻され、男を直撃していた。
「グハ・・・!!」
感電して倒れる男。
「ダイジョーブ?」レッカが駆け寄る。相殺したのでそれほどのダメージはないはずだが・・・
優しくレッカが抱き上げる。
だが、男は激しく震え出す。レッカの筋肉盛り上がる凄まじい体が恐怖を煽っていた。
殺される・・・トドメを刺す気だ・・・
もう死ぬ。
「怖くないヨ。」きっと不安なんだ。レッカはそう解釈してちょっと強めに抱いてあげた。
ああ・・・潰される。
男は死を覚悟する。頭がどうにかなりそうになっていた。
何か分からないが巨大な気を感じる。まるで龍のような。
どんなに否定しても本能に直接働きかけてくる恐怖・・・
読者の皆様に置き換えれば、ライオンの檻の中に放り込まれたといえば分かるだろうか?
そう、これまで敵対してレッカと対峙した相手は大抵恐怖していた。
ドラゴンを丸呑みした彼女は相手に恐怖を与える「フィアー」の能力を得ていたのである。
どんどんと強く抱かれ、このままでは潰されてしまう・・・。
「アワワ・・・・」恐怖に耐えかね、男は気絶してしまった。

【新生ライラ】
「や・・・やられたようだな。」大斧を持った大男が吐き捨てるように言う。
「く、くそ・・・」ノクレモは、目の前に魔術師を運んできた筋肉女を憎憎しげに見る。
「ソラじゃなくて良かったネ!あの魔法が跳ね返ってたら魔術師サン即死だったネ!」
優しく馬車まで運び入れるレッカ。背中まで見せている。
まさに袋叩きにするチャンスだったが、なぜかその背中から龍の気を感じる。
ノクレモ達も歴戦の猛者。ただならぬレッカのオーラを感じ取り、腰が引けていた。
「なんだい?ドラゴンでも見るみたいに・・・。
今度は安心しな。トリさんが相手してやるよ。」自嘲気味にそう言いながらライラが出てくる。
「くっそー!バカにしやがって!かっさばいてやる!!」龍の気を持つ女ならばともかく目の前のセイレーンなら・・・
そんな思いで大斧男が襲い掛かる。
非常に巨大な斧。この斧を振り回すのだから、この男の腕力も相当なものだ。
「『受不可の斧』を食らって生きてたやつはいねぇ!!」おそらく剣や盾で受け止めても、そのまま断ち切られるだろう。
そんな一撃をライラの胴体へ見舞う。
ガン!!
「ぐわあああ・・・」手を押さえ、思わず斧を放してしまう男。
手がしびれていた。なんて硬さなんだ・・・分厚い鋼鉄の壁に叩き込んだような感触。
「ソラの蹴りを跳ね返した腹筋なめんなよ・・・」
「あれ、全力じゃないもん!」
「シーッ!黙ってろよ・・・」思わず割って入ったソラをたしなめる。ソラの負けず嫌いの顔がチョット出る。
斧の全力の一撃を余裕で跳ね返された男はへたり込んでいた。
「さーって・・・どう料理してやろうかねぇ。」ドSの本領発揮か?ポキポキと指を鳴らして迫る。
「や・・・やめてくれ・・・」ライラから遠ざかる男。即刻命乞いを始める。
あの一撃でかすり傷一つ負ってないのだ。自分とは格が4つも5つも違った。
なんなんだこいつ等は・・・・。ノクレモは過去に勝ったと言っていたが・・・
それも大した事無いとまで言い切っていたが、いざ対峙して見ると絶対にウソだ。
大斧使いは絶望する。
「あーあー・・・またかよ。最近こんな相手ばっかだな。
やる気マンマンのやつをぶっ潰すのが楽しいのに。」そう言いながらウィンク。
「・・・。」
いきなり落ち着き出す男。目が虚ろだ。
「そうそう、こんな綺麗なお姉さんに絞め落とされるんだから、そーやって幸せそうな顔してりゃ良いんだよ。」
へたり込んでいた男の顔をそっとなぞり、太股のところへもっていく。膝枕の体勢である。
次の瞬間、男の頭を挟み込み、首4の字固めをしかける。
ギリギリ・・・。絞めてくうちにそのまま折りたい衝動にかられる。
が、ケルトの命令は「殺すな」だ。なんとか誘惑には勝つ。
大斧男の血流は完全に遮断され、どんどん顔色が変化していく・・・
「あーあー・・・すっかりアタイもケルトに弱くなっちまったねぇ・・・」そう愚痴を言いながら、大斧男を『穏便に』締め落としていた。

【旧型ソラ】
「・・・・。」
強い。本当にこの前戦った奴らと同じなのか?
ノクレモは驚きを隠せなかった。
「せこくパワーアップしやがってぇ・・・・!」思わず負け惜しみの一言。
それを耳にすると、ソラが前に出る。ライラとハイタッチして交代だ。
「うふふ・・・みんなパワーアップしたからビックリしたんだよね?でも、ワタシはそんなに変わってないから。」
パン!っと右手で拳、それを左手で受けて、ソラが出てくる。やる気マンマンと言った様子だ。
ソラに関して言えば、人魚の変身と反射のポーズの習得くらいであるからウソではない。
「お・・・お前行け。」
「や・・・やーよ。あんな巨大な女と・・・勝てるわけないじゃない・・・」
ケルトをボッコボコにした吟遊詩人の女が前に出される。
「いいから行け!」
ドーンと押され、吟遊詩人が出てくる。
「あ・・・あの・・・ゴメンナサイ。
その・・・この前は勇者様に大変失礼なことを・・・
町へ帰ったら、訂正して回ります。もう最強の人格者です・・・って・・・うっ!」
しどろもどろに謝罪の言葉を並べる吟遊詩人にソラが抱きついてキス。
「ん・・・あ・・・・・」
舌が舞う。強力なディープキスを貰ってしまう。
「あれね・・・アレすっげー効くんだ・・・」
「ちょっと気の毒じゃな。」ライラの呟きにシルフィーも答える。
気がつけば、服を引きちぎられ、吟遊詩人は素っ裸にされている。
さらに女は超肉体に包まれ、外からは見えなかったが、指で秘処を強力に弄られていた。
女の体全体に電撃が走っている。どんな男でもここまでの快感は得られなかった。
ソラの体の表面はうっすらと油膜がはっている。これがさらなる興奮を煽る。
ヌルヌルとした感覚で全体をマッサージされ、何度もイかされる。
「ぁ・・・ぁはぁ・・・・・・」ぐったりと気絶してしまう吟遊詩人の女。
ピクピクと体を痙攣させ、凄い量の潮を噴いている・・・
普段ライラやシルフィーといった猛者を相手に、『遊んでる』ソラにかかれば、
弱弱しい吟遊詩人の女などメタメタにシゴキ抜いてKOすることなど造作もなかった。
「もうちょっと、ワタシを戦う気にさせる人を出してよぉ。そっちの鉄球さんとか。」
普通の人間の女では、そもそも戦う気にもなれない。
イカせて・・・それだけで終わらせてしまった。まぁ二度と普通の男では満足できなくなった体にしたので終身刑とも言えた。
「チキショー、レズ女め!」指名された鉄球を使う戦士が突っ込んでくる。
「ケルトもベルも大好きだからレズじゃないもん!」そう両刀宣言しながらソラが迎え撃つ。

巨大な鉄の塊が振り回される。
鉄球は男の手に持つ棒と鎖で繋がっており、原始的だが強力な武器となっている。
この質量エネルギーでは防御する術もなく、『普通の敵』は粉砕されるしかない。
ブンブン勢いを増して振り回す戦士の顔は大斧使いにそっくりだった。
「兄貴の仇!」どうやら彼らは双子の巨漢戦士だったようだ。
「斧使いをやっつけたのはライラちゃんなんだけどなぁ・・・」頬をポリポリ掻きながら、ソラは受けて立つ。
大きな鉄球がソラに迫る。この男の誤算はソラが『普通の敵』でなかったことだ。
「よっ!」
その鉄球を胸でいとも簡単にキャッチしてしまうソラ。
バストにも意思があるかのごとく、鉄球を谷間に飲み込んでいた。
「くそ・・・離せ!」鉄球戦士が棒を引っ張り全力で奪い返しにかかる・・・が、溶接されたかのように全く動かない。
男の顔が真っ赤になり、筋肉がうねりを上げる・・・・が余りにも力が違いすぎた。
「よーっく見ててねー」ソラは悪戯っぽく笑うと、ちょっとだけ胸に力を込める。
男は目を疑う。ソラの胸の中で鉄球が何の抵抗も無く変形していく。
あれは中身も詰まった鉄だぞ?フワフワの柔らかいものじゃないぞ?
だが、目の前でフニャっと曲げられていく。ソラの爆乳から上下に鉄がはみ出ている。
「あはは・・・ま・・・魔法か!?」男は叫ぶ。力であんな曲がりかたをするわけがなかった。
「あーそれ、俺も思ったわ。」ベルが遠くから同調する。
「きっとそう思い込みたいんだよね・・・」ケルトもちょっと男が哀れになってきた。
「えっと・・・魔法・・・うん。魔法かも知れないしー・・・違うかも知れない。確かめて見たいでしょ?」ニッコリのソラ。
ブンブンと首を横に振るが、ソラは見なかったことにして、男の上半身を太股に捕らえる。
圧倒的なボリュームの太股に男の上半身はほぼ丸ごと挟まれる。
男の胸板は厚かった。
剣に対する分厚い鎧・・・そんなイメージだった。
だが、今対戦しているのは大砲に対して紙っぺらで立ち向かっているようなものだ。
男の体は圧倒的な圧力を防げるレベルではなかった。
ミシミシと音が聞こえる。
「どう?・・・足を乗せてるだけだと思うでしょ?」
男には締め付けてるように思えた。
「でもねぇ・・・実は浮かせてるんだよぉ。」
逆だった・・・強力に絞めてると思っていたのに、ソラは自分を潰さないようにしていたのだ・・・
必死に体勢を入れ換えようとする・・・が、全く身動きできない。
魔法でも何でもなかった。相手はごくごく単純に恐ろしい筋密度の持ち主であり、恐ろしい怪力の持ち主だった。
グギ・・・暴れてるうちにスジを違えてしまう男。
「ぐわ・・・・」
「大人しくしてないと壊れちゃうよ〜」
まだ何もしていない。そのうち気を抜くと自分の太い足でペシャンコにしてしまうだろう。
ちょっとだけ悪戯で大腿筋をモリモリ隆起させ、圧力を強めたりしてみた。
「ちょっと狭くなるかもよ〜」
「アギャ!!あはぐ・・・ひ・・・ほ・・・る・・てゅ!!」
そうすると狂ったように口から意味不明の叫び声をあげ、体も悲鳴を上げていた。
「脆いね・・・・壊さないようにする方が疲れちゃう。」
そう言いながら、ソラは半狂乱の男を解放した。体は無事だが精神は恐怖から木っ端微塵になっていた。

【失言には気をつけろ】
7人の仲間が早くも残り2人になってしまった。自分と神官だけである。
何故だ?・・・・そう自問するが何故かは薄々気が付いていた。しかしなかなか認めたくない。
〜何かの間違いなんだよ。〜
自分がケルトに言ったあの言葉、それは自分達に当てはまっていた。
あの収穫祭での4勝は「何かの間違い」であり、そもそも勝てる相手ではなかったのだ。
とは言え、手ぶらで帰るわけにもいかない。一矢報いねば・・・
ノクレモは考える・・・ケルトとベルは弱い。これは分かっていた。
ならば、人質にしてしまえば形勢逆転も可能なのではなかろうか・・・?
特にケルト。やりとりから察するにあの化け物4人はケルトの言うことを聞いている。
奴を抑えれば、残るはベルだけ・・・勝機が見えた。
「なぁ・・・ケルト・・・休戦にしよう。」顔を引きつらせながら近付くノクレモ。
「じゃあ・・・僕たちは行きますから。」ホッとした様子で北の外れ町の方向へ向かおうとするケルト。
そこへスルスルと近付くノクレモと神官。
距離を詰め・・・・一気にケルトに襲い掛かる!
するとそれを読んでいたかのようにかわすケルト。
「あはは・・・僕、弱いですけど勘が良いんです。ノクレモ先輩の考えてること・・・分かってました。」苦笑いのケルト。
勇者学校の落ちこぼれが!ギリッと歯噛みする。
「2人がかりってルール違反だよ〜!」とソラが抗議する。
「く・・・くっそ〜!ルールなんてクソくらえだ!死ね!」とヤケになって剣を振るおうとするノクレモだったが・・・
「ほう・・・それは良いことを聞いた。」神官がシルフィーに一瞬にして捕まる。
「じゃあこっちも2人がかりでも良いってことだな。」同時にライラが神官の両足を取り、股間にかかとをグイグイ押し付ける。
「うわ!?」
ノクレモの方もレッカに捕まってしまう。
「ルール違反者はおしおきネ!」豪腕に体を捕らえられ、背骨が軋み始める。
「あー!3人ともズルイ!!」もはや贄と化した2人をとられ、出遅れてしまう。
「ソラはベストフレンド!こっちに来るとイイネ!」
「な・・・・や・・・やめろ〜〜〜〜〜!!!」ノクレモが絶叫。
先ほど鉄球男にミラクルパワーを見せた超怪力の女が近付いていき・・・
ボリューム満点の体にサンドイッチにされてしまう。

【後始末】
「先輩・・・ごめんなさい。こうなったら僕でもなかなか止められないので・・・」ケルトが申し訳なさそうに言う。
このメンバーに「殺すな」という指令は、レッカを除き非常にストレスがかかる。
あとはこの溜まったストレスがはけるまで、ケルトでも止められなかった。各メンバーの耳に入ってこないためである。

神官は仰向けに倒されていた。シルフィーとは69のような向きで上半身を押さえられ、ライラには両足を掴まれている。
顔はシルフィーの超乳に包まれていた。窒息しそうになると空気を吸わされ、落ちることは無い。
股間はライラのかかとで刺激されていた。
本気になれば潰されそうなのは足の太さから想像に難くない。が、ライラはそうしなかった。
「あ・・・うは・・・ああ・・・」
前立腺を刺激され、声が漏れる神官。
「おーおーいい声で鳴くわ。」本来なら足と腕では、足のほうが強いハズだがこのセイレーンの腕力は相当なもので良いようにやられるしかない。
電気あんまという屈辱技・・・・。器用に強弱使い分けてドンドン気持ちよくされていく。
凄いテクニシャンだ。カウパー腺液があふれ出る・・・
「どうしたのじゃ?神に仕える神官も、わらわの魅力には勝てぬか・・・?」
目の前には巨大な双球。相手の声だけ聞こえてくる。押し付けられると重さが相当あるので痛みも伴う。
「・・・。」
歯を食いしばって必死の抵抗。
「ま・・・サービスはいつまでも続かんぞ?」恐らく笑っているのだろうが、神官からは胸が大きすぎて良く見えない。
窒息タイムは終了した。シルフィーの超乳が揺れ始め、ちょうど往復ビンタのようになる。
高重量のオッパイはビンタというよりフックに近かった。
ドーン!ドーン!と衝撃が来る。
右へ左へ頭が動かされ、首の骨が折れかける。
気が付くと足にも激痛が。ライラは電気あんまを辞めて、足4の字固めをかけていた。
「フン・・・早く何とかしないと再起不能になっちまうよ。」
ライラのムキムキの足に比べると、枯れ木のようで今にもへし折られそうだ。
激痛についに叫び声をあげるが・・・側頭部へのオッパイ攻撃で舌を噛む。
そんななか、こめかみへの攻撃で脳が揺らされ、脳震盪を起こして神官は落ちていった・・・。

ノクレモはマッスルサンドの餌食になっていた。
後ろには龍の気を持つ大筋量娘、正面には鉄球を飴のように潰してしまった鉄筋娘。
2人ともデカイ。目の前の女は言うに及ばず、後ろの女も170センチのノクレモよりずっと大きかった。
身長差は10センチだが幅が極端に違った。絶対倍はある。厚みも倍以上ある。
彼女らが本気になればもちろん跡形もなくなる。力の差が密着することでそれが余計に伝わってきた。
双方とも筋肉が限界まで発達しているのですさまじい凹凸だ。
その凹部分に辛うじてノクレモの体が入り込む。
だが、その部分も安住の地ではない。
「お客さーん、ずいぶんこってますよー」ソラが体を動かす。
「グ・・・ム・・・」体の動きに合わせて無理やり体が捻られるノクレモ。
何箇所も筋を違える。
「ソラ、痛がってるネ。カワイソーヨ。」
「じゃーちょっとだけ弱めるね。」
すると、鋼鉄のような硬さからちょっと感覚が変わり、硬い肉っぽくなる。その分密着度が増える。
ノクレモの体が両者の肉体に引っ張られ、伸ばし縮みを繰り返し始める。
強力な全身ストレッチマシーンと言えば良いのだろうか?
ただ、気持ち良いところまで伸ばすのではなく、それ以上に筋繊維が引き伸ばされる。
ブチブチとムリのかかった部分から断裂し始める・・・
「ギエエエエエエエエエエエエ・・・・」長く悲鳴か嗚咽か分からない声を上げている。
腕が、肩が、胸が、背中が変な方向に引っ張られおかしくなっている。何箇所かは早くも脱臼している。
足は普通にギューっと圧迫されて感覚が無くなっている。ノクレモは直接見れないが恐らく鬱血しているだろう。
「動かなくなったヨ。」
全体的に筋組織をちょっとずつ千切られ、身動きが取れなくなる。
「じゃあ仕上げはクロスボンバーで。」
サンドイッチをやめると、後ろに下がりググッと腕を曲げてみせる。
すさまじい上腕2頭筋が3段に盛り上がっている。ノクレモの頭より大きいかも知れない・・・・
「うふふ・・・これでアナタの頭を潰してあ・げ・る。」
獲物を前にした肉食獣のような視線で射抜かれ、背筋が凍りつく。
「や・・・・やめて、やめろ〜!!」
狂ったように叫ぶノクレモだが動けない。
後頭部はレッカのゴツゴツした腕の感触が伝わる。
これに挟まれるのか・・・!!
「いっくよ〜!」
ソラの豪腕が目の前に迫る!
「・・・あわわ・・・・・。」巨大な腕が眼前に迫り・・・
ノクレモは泡を吹いて気を失う。
「ちょっと脅かしすぎネ!」
激突直前で、ソラは腕を止めていた。
「ま、これくらいがちょーど良いかな?」
チュッと自分の力瘤にキスしながら、ソラが笑う。

【王の憂鬱】
追っ手を退けたケルト達は仙人の元へと歩き始める。
ライラに絞め落とされた大斧男が、
残りのメンバーを馬車に運びいれて首都へ戻って行った。
槍使いは半発狂していた。
魔術師は気がふれていた。
吟遊詩人はおかしくなっていた。
鉄球男は気が違っていた。
神官は何を言ってもうわの空になっていた。
ノクレモは言葉が出なくなっていた。
「・・・。」
王は絶句していた。スニッカーズは決して弱いパーティではない。
むしろ、大斧男と鉄球男を加え、国内でも随一の実力を誇っていた。
それが壊滅。しかも単なる死亡ではない。全員生きている。
生きている上で、あまりの恐怖体験により6人ほど再起にかなりの時間を要するほどの精神的ダメージを受けていた。
精神的に無事だった大斧男の話によると、あの軍船900隻を沈めた海賊の船長までメンバーにいたとの事だ。
今にして思うと迷宮入りだった事件・・・100人ほどの兵士が惨殺された事件もケルト一行の誰かが関わっていたかも知れない。
手に負えない。背筋が寒くなっていた。
どんな軍隊を差し向けても損害は広がるばかりだろう。
王の面目にかけて、手を打てば打つほど墓穴を掘ることが容易に予想できた。
ただし、ケルトの人となりを見る限り、自ら王国へ害を与える存在ではない。
しかもそのリーダーケルトの言うことを全員が聞いていた。
制御できているうちは放っておくのが一番・・・政治的にはそう判断するしかない。
重臣達を呼び寄せ、王は苦渋の決断を下す。
「紫髪・赤目海賊の件は捜査終了とする。また、勇者ケルトを冒険者ギルドのブラックリストから外す。」
大臣達は沈黙していた。
あのデーモンゾンビ。首都の全ての者たちがなす術なく逃げ惑っていた。
それを・・・あの者たちは退けた。しかも接戦ですらなく余裕で倒していた。
王の決断に異を唱える者はいなかった。

【無敵!レベル1勇者パーティ】
変化の仙人の元へ、ケルト達が訪れる。
「やぁ。来てくれたんだね。」爽やかな笑顔で出迎える変化の仙人。
早速、これまでの旅の成果を仙人に報告する。
「凄いね。金色のドラゴンの力を吸い込んじゃったんだ。あと、薬剤の仙人ってそんなところに居たんだね。」
ふんふんとケルトたちの報告を聞きながら新たな地図を作る。
冒険者達を利用して、地図を作っていたんだ・・・なぜ遠い大陸の地図を持つことができたのか、ケルトはようやく納得した。
「ん・・・?ってことはよ、仙人ってまだまだ居たんじゃねぇか?」
「そうかも知れない。そうじゃないかも知れない。それは僕にも分からないよ。世界は広いからね。」ライラに応える変化の仙人。
「じゃあまだまだ強くなれるネ!」
「お前・・・これ以上強くなってどーすんだ!?」
「ノーノー!ユーとケルトネ!」
「あ・・・それいい!」ソラが同調。
「ま、強くなっても敵はおらんがの。」

S級悪魔、ヴァンパイアロード、ゴールドドラゴン・・・魔界、冥界、物質界のそれぞれの最強の魔物を倒したケルト一行。
すでに無敵である。
一体どこへ到達するつもりなのだろうか・・・?
これから行く先々で困難は待ち構えてるだろう。
だが、そのどれもが彼らを完全に阻むことはできないだろう。
ソラ、シルフィー、ライラ、レッカ、ベル・・・そしてケルト。
後世に名を残す伝説のパーティであることは確実だ。

「この大空の果てまで、みんなと旅をしたいな!」
外に出て見上げれば澄み切った青空。この世界は広い。
「少なくとも、僕のレベルが上がるまで!」そう付け加える。
勇者の旅の終わりは・・・・無いかも知れない。


  END



【おまけ。最終ステータス】
勇者ケルト 性別:男性
レベル:1
力:3       素早さ:2
器用さ:2     耐久力:4
魔法力:4     知恵:5
特殊:意思疎通
   第六感

魔術師ベル 性別:男性
レベル:2
力:18      素早さ:2
器用さ:4     耐久力:15
魔法力:22    知恵:7
特殊:食事召喚
   バリアーMk2 TypeH

戦士ソラ  性別:女性
レベル:203
力:145987453978457930(約14京)
素早さ:86    器用さ:66
耐久力:58473734864303(約58兆)
魔法力:3     知恵:9
特殊:オイル風コーティング
   変化(人魚)
   反射のポーズ

武道家シルフィー 性別:女性
レベル:260
力:409     素早さ:2098823847(約21億)
器用さ:118   耐久力:121
魔法力:17503925(約1700万)
知恵:262
特殊:アンデッド消滅
   完全ヒーリング

スナイパーライラ 性別:女性(セイレーン)
レベル:192
力:39687   素早さ:79
器用さ:62000(装備品により)
耐久力:65386443(約6500万)
魔法力:62    知恵:29
特殊:器用さ1000倍の指輪
   飛び道具威力1000倍の指輪
   フェザーブレッド
   魅惑の歌
   アイテム鑑定
   変化(人間)
   チャームウィンク

踊り子レッカ 性別:女性(雪女)
レベル:79
力:56544   素早さ:27
器用さ:32    耐久力:41365
魔法力:91238 知恵:43
特殊:ドレイン各種
   氷魔法各種
   不眠
   リバースダンス
   電撃魔法各種
   フィアー





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