無敵!レベル1勇者パーティ

【出発】
「もう行っちゃうんだね。」変化の仙人がちょっと寂しそうに言う。
「お世話になりました。メンバーも凄く喜んでます。」
無邪気に喜ぶソラと、それを聞いて真っ赤になってうつむくライラ。
地図によると、南の町からさらに海を南下すると仙人のいる大陸に着くようだ。
今いるベルンダ王国は北の大陸ということになる。
「また遊びに来てよ。でも気をつけてね。南の大陸には三龍といって赤と青と金色のドラゴンがいるから。」
「どらごん・・・?」目を丸くして素っ頓狂な声をあげるソラ。
「ドラゴンとはトカゲを大きくして羽を生やしたような生き物じゃ。
とても大きくて口から火やらなんやらを吐き出す強力な怪物じゃ。」
「赤いのは炎、青いのは氷、そして一番強い金色のやつは稲妻を吐いてくる。出会ってもあまり相手にしない方が良いよ。」
シルフィーの解説に補足する変化の仙人。

一行は変化の仙人に礼を言った後、出発して、何事もなく南の町へと着く。
「さて・・・船を捜さないと・・・・」
だが、ケルト達がいくら探しても南の大陸への船はない。
「あん?南の大陸?そんなもん知らねぇよ。行ったこともないとこ連れていけるかっての。」船乗り達からは取り付く島もなく断られる。
「ちっきしょーダメかぁ・・・?」ベルは諦め顔だ。
航路が確立されてない以上、通常の客船には頼れない。
「ノーノー!すぐ諦める、良くないネ!」ウィンクしてみせるレッカ。
「自分達じゃどうしょうもねぇだろ?」
「大きい板買って来るネ。ミーが海を凍らせる。大きい氷の板できる。その上に買った木の板を乗っける。さらにそこにテント張ればいいネ!」レッカが自作船を提案。
「うーん・・・一応浮かぶかもしれないけどどうやって動かすのさ。」
「ソラが人魚になる。氷を下から掴んで引っ張って、泳げばノープロブレムネ!」
「すっごーい!」自分の出番が来て嬉しいソラ。頼んでもいないのに陸上で人魚になったりする。
凄い・・・伝説に聞く人魚とはだいぶイメージが違う。ここまで逞しい上半身の人魚は金輪際現れないだろう。
ともかく少々不安があるもののやってみる価値はありそうだ。
幸いにして王からの手切れ金があるので、お金はソコソコある。大きめの板5,6枚程度なら何の問題もない。
すぐさま工作だ。「器用さ1000倍の指輪」を持つライラがその力を遺憾なく発揮し、板同士はピッタリと綺麗に張り合わさる。
「ケルト丸って名前にしようよ!」
「やめてよ・・・恥ずかしい。」ソラの提案にケルトが苦笑いしてると・・・
「ん・・・?もうケルト丸ってとっくに彫ってるよ。」とライラ。見事な装飾文字で『ケルト丸』の文字が・・・
「い・・・いつの間に!?」
「細かいことは気にしないネ!出航ヨ!」レッカが海を凍らせ巨大な氷の板を作り出す。

【スピード王『ケルト丸』】
「どわーーーー!?」速い。とにかく速い。ベルが悲鳴をあげる。
氷の下に潜ったソラは氷に腕をパンチで突っ込み、レッカがその腕の周りを凍らせてしっかり固める。
これでケルト丸とソラが完全に同化する。
あとは人魚となったソラの尾っぽが推進力。
全力でバタつかせるとソラの怪力もあいまって恐ろしいスピードで進んでいく。
シルフィーが考案してレッカが作った流線型の氷もスピードに一役買っている。
「Oh!スリル満点ネ!」レッカがはしゃいでいる。
海を切り裂くという表現がピッタリだ。ソラは張り切り過ぎなのではないか?
ちょっと心配するも、全く速度が落ちない。彼女は筋力の化け物ぶりに目が行きがちだが耐久力も化け物である。
「帆船の・・・100倍・・・・くらいかの・・・!!」向かい風に顔をそらしながらシルフィーが言う。
「てめえはしっかり前見てろ!」ベルが叱責。
シルフィーは舵を持っていた。大き目の板をくっつけ方向を制御する。
ライラは飛べるのでいざという時の遊撃隊。また、ソラへの連絡係も兼任している。
レッカは氷が小さくなってきたときの補修要員。
ろくに知識もなくつけた舵は非常に重く、ケルトやレッカでは扱いきれないものとなっており、消去法でシルフィーが舵取りとなっていた。

何週間かの航海は覚悟していた。だが、この調子だとあっという間に大陸に着きそうだ。
快速を飛ばしていく『ケルト丸』。

【海の戦いデビュー戦】
しかし・・・・海は危険がいっぱいであり、そう順調にいくものではなかった。
前方に巨大な生物が突然現れる。
「取り舵いっぱい回避!!」シルフィーが叫びながら回避。
同時にライラが水中へ飛び込みソラへ伝えにいく。
生物は鯨と首の長い何かを足したような生き物だった。口を大きく開けると『ケルト丸』が飲み込まれる大きさだ。
「く・・・・食われる!?」
ケルトは水難を覚悟した。
だが、水面からライラが飛び出て・・・
「喰らえ!フェザーブレ・・・・・ッド!?」
颯爽と攻撃を繰り出そうとするがうまくはいかない。羽根が完全に濡れて飛ばなくなっていた。
「ん・・・?えっと・・・・悪い。」
「何しに出てきたんだてめぇは!?」ベルがツッコむ。
「うう・・・だ・・・だめ!?」ケルトは目を瞑る。レッカが氷の槍を飛ばして一人善戦するが・・・
ドーン!
と、海獣の体を貫通して上空へ飛び上がる「何か」。
「「「「ソラ!!」」」」
一撃で貫通し、その途中には海獣の頭があった。脳味噌らしきものも飛んでいる。
もの凄い勢いで潜水し、そしてもの凄い勢いでの浮上。海獣目掛けての体当たりであった。
いつもやることがムチャクチャだ。あんな巨大な生き物の下から上まで貫通する体当たりをやってしまうなんて・・・
『ソラだからしょうがない』
ケルトの中ではそう整理をつけることにする。
その後は瀕死の海獣に氷の槍が何本も突き刺さり、あっさりと絶命。
大物を倒したことにより、レッカのレベルが上がっていた。
「レーベルアップおめでと〜♪
レーベルアップおめでと〜♪
レーベルアップデイアレッカー♪
レーベルアップおめでと〜♪」
レッカと水中のソラを除く4人の大合唱!初めてのことにレッカは戸惑いながらも嬉しそうだ。

踊り子レッカ 性別:女性(雪女)
レベル:1→4
力:15      素早さ:12
器用さ:12    耐久力:16
魔法力:26    知恵:11
特殊:ドレイン各種
   氷魔法各種
   不眠
   リバースダンス


 つづく





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