無敵!レベル1勇者パーティ

【大陸到着】
「ハハハ・・・なんか・・・また先越されちゃった・・・」ケルトの乾いた笑いが響く。
貴重な「レベル1仲間」レッカがあっさりレベルアップしてしまったのだ。
ついでにベルも追い抜いてしまった。
「Ohソーリー!ケルトがトドメさせば良かったネ!」
頭を抱えてレッカが言う。
いや・・・あの海獣はどうやっても無理だよレッカ。気を遣わせてゴメン。
心の中で呟きながら、ふとライラの方を見る。
「おーい!何やってんの〜!」
「ヒゲ。ヒゲとってんのさ。確か海獣のヒゲって結構なお宝だったと思って。こんなの仕留められるのも珍しいしさ。」
グイっとヒゲを掴んで引っこ抜く。ムキっとした上腕筋に目がいってしまう。
ともかく、さすがはパーティのアイテム王。抜け目なく貴重品をゲットだ。

その後は波乱もなく、方位磁石の示すまま南下すると大陸が見えてくる。
ついに合計3日の航海で到着、そして上陸だ。
「こりゃ動力がソラでなきゃ、全然着かない距離だったな。」呆れつつも感謝するベル。
「泳ぐのっておもしろーい!最高だったよ!」ニッコリとガッツポーズのソラ。
今までキライだった水が好きになったそうな。
「さて・・・右も左も分からんのう。ライラ、飛んでくれるか?」
「あいよ!ライラ測量隊、出る!」地図を持ちスウッと上空へ舞い上がるライラ。
上空で地図と睨めっこした後、降りてくる。
「南西の方角が魅了の仙人だね。途中で森があるな。あとは真南のすぐ近くが冥界の仙人。」
以前、山で遭難したことを考えると飛べる仲間というのは非常に頼もしい。
収穫祭でこそ不覚をとったが、このパーティはやはり強いとケルトは確信する。
「冥界行ってみる?」まずは近くか・・・?冥界という時点であまり気が進まないが。
「魅了の方が良いじゃん。なんか実用的っぽいし。」ケルトの問いかけにライラが反応。
「まぁまず魅了の仙人とやらに会って、どうせベルンダ王国へ戻るのじゃろ?帰り道に寄っていけば良いではないか。」
まさにどっちでもOKであったが、先に遠い魅了の仙人に会い、帰りに冥界の仙人に会うことにする。

【妖精の要請】
さて、テントで一泊の後、ライラの示した南西へと歩を進めるケルト一行。
あたりを見渡すと基本的に大地や木々など、基本的な構成は北の大陸と同じであった。
たまに見たことも無い花を見かけ、異大陸に来ていると実感できる程度である。
「お・・・森じゃ。ライラの言う通りじゃな。」
大きな森が目の前に。
木々が雄大に茂っており、ケルト一行を見下ろしていた。
こんな深そうな森で迷ったらひとたまりもないが、ライラがいれば大丈夫だろう。
・・・・とそこへ。
「あー!ちょうちょうだ!」ソラが無邪気に羽根のついた生き物を追いかける。
「待てソラ、よく見ろ。それは妖精じゃ!」
よくよく見ると蝶の羽根に人間の女性らしき本体がついており、小さい妖精だと分かる。
体は素っ裸。決してグラマラスな感じでは無く、華奢な印象を受ける。
「フェアリーじゃ・・・わらわも初めて見る。
ダークフェアリーと言って、邪悪な種もおるらしいが・・・このフェアリーは普通の様じゃの。」
パタパタと飛んでいたフェアリーはケルトの正面でホバリングする。
「うえーん!!」と突然泣き出すフェアリー。
「あ・・・・その・・・・」全然意味が分からず困るケルト。
「Oh!レディーを泣かせるとはヒドイネ!」
「まだ何もしてねぇじゃねぇか。」ベルがフォローする。
「えーっと・・・・何で泣いてるの?」ケルトが尋ねる。
「おうちが・・・分かんないよう!!えーん!」どうやら迷子のフェアリーのようだ。
聞けばフェアリーの住む集落が森の中にあるという。だが、それがどこにあるかなど、全く分からなかった。
「探してあげようよ〜」優しいソラ。
「でも・・・どうやって?」ケルトが皆を見渡す。
「何を言っておる。我らがリーダーの出番ではないか。活躍して貰おうぞ!」
そうか・・・意思の疎通。これをうまく使えばフェアリーの集落へ行けるかも知れない。
自分の虎の子の魔法は意外なところで活躍しそうだった。
「あたしマイ。よろしくね。」フェアリーは頼りになりそうなケルトへ自己紹介した。

【活躍】
おかしい・・・・夢でも見てるんじゃないだろうか?
ケルトは疑心暗鬼にかかっている。
ベルが、ソラが、シルフィーが、レッカが尊敬の眼差しで自分を見る。
ライラに至ってはそれに加えてハートマークすら見える。
森のサルに、クマに、シカに・・・・いろんな動物から情報を集め、確実にフェアリーの集落へ近付いていた。
「さすがじゃなケルト。」
「やるネ〜。グッジョブよ!」
こういうのを大活躍というのだろうか。活躍慣れしてないせいで違和感しか憶えない。
こうして普通にやれば相当な手間がかかるはずの依頼事項があっさりと終焉を迎えようとしていた。
森の木々がない地帯が見えた。
「あそこだ。」森の動物達から教わった場所を指差す。

が・・・そこに似つかわしくない巨人もいる。
「あれはトロール!」マイが叫ぶ。
身長は4mほどある巨人。それが1体明らかな敵意を持って集落を襲っていた。
「みんな食べられちゃう!」マイは泣きそうだ。
「全員戦闘態勢!」ケルトが号令をかける。
「フェザー・・・」
「やめておくのじゃ!森を破壊する気か!」フェザーブレッドを使おうとしたライラを止める。
「やられそうじゃんか!」
「オッケー!ミーに任せるネ!フリーズ!」レッカの冷凍魔法はトロール1体に直接作用し、ガキっと氷漬けとなる。
魔法耐性がほとんどないトロールなど、レッカのいいカモであった。
あとは一行が近付いてトロールにトドメを刺すだけである。
「あ・・・ケルト・・・やってみる?」レッカが譲る。レベルアップをさせてくれるということか。
だが・・・トロールをいくら指で弾いてもレッカがやるようにバラバラにならない。
「む・・・難しいね・・・」気まずさから薄ら笑いが漏れるケルト。
「こうネ!」レッカも一生懸命教える。
ところが・・・ガシャーン!っとトロールは木っ端微塵に。
それをやったのは、集落にいた1人のフェアリーだった。

【反射の仙人】
「ちょ・・・オイ!せっかくのケルトのレベルアップを!」ライラがキレ気味だ。
「いつまでもまだるっこしい。」トロールを倒した女性のフェアリーは冷ややかだ。
「長老!会いたかったですぅ〜〜〜〜!!」そこへマイがやってくる。
「ほう。マイではありませんか。その方達が連れてきたのですか?」
「そうなんです。」マイが間に入り、ケルト達の説明をしてくれる。

「そうですか。これはまた失礼致しました。
強すぎる仲間の中で、1人ダントツで弱いままの状態で、
せっかく訪れたレベルアップの千載一遇のチャンスを私が奪ってしまった・・・ということですね。」
「イチイチ腹立つけどその通りだよ!」ライラがむくれたまま言う。
「よろしい。マイが世話になったことですし、トロールも撃退してくれました。
私は反射の仙人。1人に技を伝授しようではありませんか。」
「な・・・なにぃいいい!?仙人!?」ベルの驚きの声。
仙人は人間とは限らない。この瞬間で初めて知る。
「は・・・反射ってどんなものですか?」
「勇者ケルトよ、私は様々な反射を扱っていますが、光の反射、物理的な反射、魔法の反射・・・・」
「魔法の反射で!!」即答のケルト。
来た。ついに来た。我らがソラの無敵になる瞬間が。
「分かりました。では、反射のポーズを伝授致しましょう。」
ポ・・・・ポーズ?
ちょっとだけ期待外れな予感もしなくはないが、とりあえずお願いすることにした。

【反射のポーズはヘンテコリン】
「準備は良いですか?ソラ。」パタパタと飛びながらソラに問いかける。
「頑張りますっ!」
「反射のポーズというのはそのポーズをしている間、どんな魔法をも跳ね返すというものです。
回復魔法や援護魔法まで術者に跳ね返してしまうので、
そういった魔法を受けるときはポーズを解除するのです。」
仙人のフェアリーは右腕を真上に伸ばす。ソラも真似をする。
「右腕を伸ばして・・・右肘を肩の真横まで持っていきます」ちょうど力瘤を見せるようなポーズだ。
「左肘を肩と平行の位置まで。」この時点でハニワのような格好だ。
「かかとをつけて、つま先を外側に。そしてそのまま足を曲げなさい。」ガニマタとなって足の形が菱形となる。
「ぷ・・・・くくく・・・・」妙なポーズに笑いがこらえきれなくなるライラ。
「笑うなライラ・・・わらわにも伝染する。」シルフィーの肩も震えている。
レッカはソラと同じポーズを興味津々といった様子で真似している。
仙人はソラに近付き、何やら印を結ぶ。
一瞬だけソラの体が光ったように見え・・・・
「完成です。」落ち着き払ったトーンで仙人が言う。
「「「「え〜!?」」」」ケルトとベルとシルフィー、ライラが同時に声を上げる。
このヘンチクリンなポーズが!?
「OK!ミンナ、ソラから離るネ!」言うやレッカがお試しとばかりに氷の魔法をソラへ。
カキーン!
見事に氷の魔法が跳ね返り、レッカを直撃する。もちろん雪女のレッカには氷の魔法など全く効かなかったが・・・
「マジかよ!」何かの冗談かと思っていたベルは驚きの声。
ただ・・・ちょっと微妙なのは普通に歩いているときや、
攻撃体勢に入ると当然このポーズはできないわけで、完全な防御とは言えなかった。
それでも魔法に対する丸腰よりはマシか・・・ケルトはそう納得した。

戦士ソラ  性別:女性
レベル:203
力:145987453978458930(約14京)
素早さ:86    器用さ:66
耐久力:58473734864303(約58兆)
魔法力:3     知恵:9
特殊:オイル風コーティング
   変化(人魚)
   反射のポーズ


 つづく





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