巨樹少女 第3話

復讐のサンドバッグ

 念願かなってあきらくんとの交際もスタートさせることができて自然にウキウキしてしまう最近の私ですが、
どうしても心の中にひっかかることがありました。それは第2話の冒頭で少し触れた、あの写真週刊誌の
記者の人たちのことです。こんなにバカみたいに大きな私が人並みに男の人とお付き合いができる、そんな
喜びもあの人たちのことを思い出すと一気に半減してしまいます。それに加え、あの記事のせいで私の周り
では物珍しさに私を一目見てみようという人たちが多く現れるようになってしまい、私は行く先々で色々な人
からより一層の好奇の視線にさらされるようになってしまいました。

 通学などで街を歩けば、
「わあ、あれだ、あの子だよ!この前の雑誌に載ってたの!!」
「あっ、ほんとだ!うわーすげー、マジかよあの女」
「でかいなんてもんじゃないわよね。何あの脚、私たちの胴回りより太いじゃない」
「信じらんなーい。股の下くぐれちゃうんじゃないのー?」
 そんなヒソヒソ話がいつもどこかから聞こえてきて、絶えずどこかの誰かから指をさされているんです。
物心ついた頃には普通の大人ほどの大きさだった私ですから、外で見世物のように扱われるのは今に始まった
ことではありませんけど、最近ではあの記事のせいかそれが特にひどくなって私は外に出るのがだんだん
イヤになってきました。
 それでも毎日学校に通っているのは何と言ってもあきらくんがいるからなんです。私の大好きなあきらくんが、
こんな私を好きでいてくれるあきらくんにそこへ行けば会えるから・・・いわば、あきらくんは私に勇気をくれる、
とても大事な人なんです。

 そんなあきらくんともっと仲良く2人で過ごしたいんですけど、なかなかそうもいかないのが悩みの種なんです。
恋人同士、一緒に学校に通ったり休日にはデートをしたりしたいです。でも、やはり周りの目が気になって
しまうんです。私1人で外を歩いていてこれだけ野次馬みたいな人たちに見られて変なことを言われている
ぐらいですから、122cm差の私たちが並んで人ごみを歩こうものなら私たちは周りからどんなに見世物扱い
されるかわかったものではありません。バケモノみたいに大きな女が小さな男を引き回してる、なんて
変な注目を集めてしまうでしょう。好奇の目で見られるのに少しとはいえ慣れている私はともかく、何も悪い
ことなどしていないあきらくんまでが笑いものにされてしまうことは我慢できません。
 せっかく付き合いだしたことだし、もっとあきらくんと深く通じ合いたい・・・周りを気にしてコソコソ会うような
ことはもうこれ以上したくないんです!

 ある日、私はクラスの女の子からまた1冊の雑誌を手渡されました。また美樹ちゃんが載ってるよ、って・・・
それを見た私は愕然としました。なんと、私とあきらくんが2人で歩いてる姿が・・・盗撮されていたんです!!
『好評につき追跡取材!超巨大コギャルはチビ男がお好き!?』
 そんなふざけるにもほどがあるタイトル付きで、私たち2人の写真がデカデカと誌面を飾っていました。
きっと前に私のところに取材に来たあの人たちが、あれから後も私のことをこっそりつけ回して興味本位に
取材していたに違いありません。また、スカートの中を隠し撮りしたような写真まで・・・
 自分の股下よりも背の低いようなチビ男をどうのこうのという、これまたふざけた紹介文までご丁寧に
添えられていました。見ているうちにだんだん頭に血が上っていくのが自分でもわかりました。でも私が
悪ふざけをしてあきらくんを太腿で挟んでいる様子は撮られていなかったようでややホッとしたという思いも
あったんですけど・・・
 気が付いたときには私はその週刊誌を真っ二つに引き裂いていました。
許せない・・・!私の頭の中はその言葉でいっぱいになっていたんです。あの人たちは絶対ただでは済ませたく
ありませんでした。

 ある日私が学校を終えて家路についていたときのことです。あきらくんと一緒に帰りたかったんですけど
その日私はちょっと先生に用事を頼まれて遅くなってしまったので暗い夜道を1人で歩いていたんです。
いつも歩いてるこの道も夜になると人通りがなくなって静かだなあなんて思いながら歩いていると、後ろの方から
小さな物音が聞こえました。何だろう、気のせいかな・・・そう考えている最中にもう1回同じような音がしました。
すぐにハッとしました。その音は・・・カメラのシャッターの音だって気が付いたんです!
 後ろを振り返るとやっぱりそうでした。私が振り返ると同時に2人くらいの人影がサッと物陰に隠れたのが
ハッキリ見えました。また、誰かが盗撮してるんだ・・・私は一瞬のうちに頭に血が上ってしまって、引き返して
走り出しました。
 曲がり角を曲がると、2人の男の人が走って逃げていくのが視界に入りました。私は絶対逃がすまいと
全速力で追いかけました。私は普通の人たちとは歩幅が全く違うため、すぐにその2人に追いつくことに成功
したんです。そのときだけは、こんな体に生まれたことに少し感謝しました。

 その2人は必死になって私から逃げているのがわかりました。私はさらに走るスピードを速めてその人たちの
前に回りこんで立ちふさがり睨み付けました。2人の男の人は足をもつれさせながら引きつった表情で私を
見上げていました。まさかこんなに早く追いつかれるなんて思ってもみなかったんだと思います。
 その2人はこの前私のところに取材にやってきた雑誌の記者とカメラマンの人でした。そして、その持っていた
カメラを見て私はまた怒りを覚えました。さっき5mもそこそこの距離にいたにもかかわらずそのカメラには
望遠レンズがついていたんです。私は思いました。きっとこの人たちは、また私のスカートの中を撮っていたんだ
って・・・私はカッとなりました。そして・・・怒った私の悪い癖で、口より先に手が、いや脚が出ていました。

 私の50cm弱のローファーの裏全体がカメラマンのほうの人の顔面をとらえていました。その人は石蹴り
みたいに飛んでいって、近くのガードレールに背中からめり込みました。放り出されたカメラを私はすかさず
踏みつけてバラバラに破壊してから、逃げようとするもう1人の記者のほうの人の襟首をつかんで高く高く
吊るし上げました。

「ひいぃぃ・・・た、た、たすけ・・・くるしぃ、こわいぃぃ・・・・・・」
 277cmの私に4m以上はある高さに片手でネックハンギングされた記者のおじさんは両脚を必死でバタバタ
させながら顔を真っ赤にして許しを請ってきました。でも私はそんなことくらいで許してあげるなんて気は
全然ありませんでした。
「あなたたちのせいで・・・私がどれだけ傷ついたと思ってるんですか!?」
 問い詰めながらも、返事を待たないうちから私の拳がその人のおなかをドスッとえぐっていました。
その男の人は一瞬目を飛び出させそうなほど剥いて悶絶してからガクリと動きを止めました。私のパンチ1発で
気絶してしまったみたいでした。さっき蹴飛ばしたカメラマンの人もそうみたいでした。

 私はとりあえずはこのエッチな記者の人たちをやっつけたわけだったんですけど・・・こんな程度では私の
怒りはちっとも収まりませんでした。もっと懲らしめなきゃ・・・もっともっと苦しめて私の悔しさを思い知らせて
あげなきゃ・・・・・・気持ちの高ぶった私はまたまたいけないことを考えてしまっていたんです。
 幸いにも人通りは全然なくて私が暴れた様子を見ていた人は誰もいなかったようでした。そこで私の中で
ある考えが浮かんだんです。私は片手に1人づつ気を失っている男の人たちを抱えて運びながらすぐ近くの
普段誰も足を踏み入れないような空き地に向かい、そこにその2人を投げ捨てました。そこで、そのとき考えた
アイデアを実行することにしたんです。

 ちょっと話は飛んでしまいますけど、私だって中身は普通の女子高生です。ただ、こんなに大きいだけで。
ですから周りの女の子たちと一緒で、私も私なりにおしゃれぐらいはします。足元とか気を使っていて、
私はその日の気分によって靴下を紺色のハイソックスか白いルーズソックスかで選んで登校したりしています。
その日履いていたのはルーズソックスのほうでした。
 まさか・・・と思う人もいるかもしれません。そうです、私はこのルーズソックスを使ってこの人たちを懲らしめる
アイデアを思いついたのでした。そのときの私は怒りのあまりどうかしていたんです。決していつもこんな
恥ずかしいことを考えているわけじゃないことを、どうかわかってください。

 私はその空き地でローファーを脱ぎ捨てるとソックスも脱いで裸足になりました。この太く長い脚を包む私の
ルーズソックスは当然特注で、48・5cmの足の部分も合わせてまっすぐ伸ばせば180センチぐらいの長さには
軽くなってしまいます。水泳の授業のときなんかに更衣室に置いておくと同級生の女の子たちなんかは
「大っき〜い!!私たちだったら全身スッポリ入っちゃうよ〜」
 なんてことを言って驚いていました。
「そうだ、今度彼氏のあきらくんを入れてあげれば?喜ぶかもしれないよ?」
 そんなことを言い出す子もいました。・・・そんな恥ずかしいことできるわけありません。男の人を、しかも
大好きなあきらくんを自分の靴下の中に入れるなんて・・・
 でもそのときは違いました。悔しくて、許せなかったから・・・この人たちを実験台にしてやろうって・・・
ルーズソックスの中に閉じ込めて、思いっきり苦しめてやろうって・・・

 まず、気絶したままのカメラマンのほうの人の両足首をつかんで逆さまに吊るすと、もう片方の手で持っていた
ルーズソックスの中に頭からポイッと放り込みました。続いてもう1人のほうももう片方のソックスの中に
同じ要領でポイッと投入しました。この人たちは160cmよりちょっと高いぐらいだったので私のソックスの中には
楽々収まって、生地も余るほどでした。そこで、余った部分を使って私は両方のソックスのすそを2つまとめて
固く結んで1つにしてしまいました。これで、この人たちが気が付いても逃げることはできません。

 準備完了ということで、おしおきを始めることにしました。ソックス越しにおじさん2人の足首を握り締めると
私は十分に勢いを付けてからそばのブロック塀めがけて野球のバットスイングのように叩き付けました。
 ドオオォン!!
 重く、鈍い音が辺りに響きました。それと同時に、衝撃のために中で気が付いたのか、おじさんたちの声が
聞こえたような気がしました。・・・もう1発!
 ドンッッ!!
「ぐうううううううううう!!」
 今度はハッキリ聞こえました。苦しくて、痛そうな悲鳴でした。・・・私は、2本のソックスを無造作に地面に
投げ捨ててみました。ドタン、ゴロゴロとソックスはもつれ合いながら転がっていき、中からうめき声を響かせ
ながらモゾモゾとうごめきました。

 そんな様子が気持ち悪くて、私はソックスをさらに蹴り転がしました。中からは、とにかく気が動転したような
おじさん2人の悲鳴がし続け、ルーズソックスの厚い生地の中で激しくジタバタしているのがわかりました。
たぶんこの人たちは自分が今どんな状況に置かれているのかわからないはずです。気絶させられてから
意識を取り戻したかと思ったら何か得体の知れないものの中に閉じ込められて身動きがとれず、視界も奪われ
さらに外から繰り返し衝撃を与えられているのですから。まさか自分たちが女子高生の靴下の中に監禁されて
暴行を受けているなんて思いもしないでしょう。
 わけのわからないまま繰り返し苦痛を浴びせられる恐怖に怯えているのが、ソックスの中から聞こえてくる
悲鳴と暴れ狂う様子でわかります。1秒でも早くこの不安と苦しみから助け出して欲しい、そんな感じで
伝わってきました。でも、助けてなんかあげません。これは罰なんです。

 人の形にクッキリ浮かび上がって膨らみ、泣き叫びながらバタバタ暴れる1足のルーズソックス。
それを見ているとますます気持ち悪くなってきました。(自分でそうしたんですけど・・・)私は考えるより先に、
それに駆け寄って力いっぱいジャンプして容赦なく踏みつけていました。いわゆる、ストンピングです。
「ぐぶうううっ!!」
 情けない悲鳴が聞こえてくるたびに、私の怒りは膨らんでいきました。もっともっと苦しめなきゃ、懲らしめて
やらなきゃ・・・私は何度も何度も素足を振り下ろしました。
 ドン!ドン!ドン!ドンッ!!

 おじさんたちはソックスの中で絶叫しながら激しくのた打ち回ります。裾の部分をきつく結んであるので
中から自力で脱出することはできないはずです。痛みや苦しみにあえぐおじさんたちですけど、本来人が
入るようにはできていない靴下の中に封じ込まれている上にそれぞれ裾を結び付けて1本にしてあるので
当然動きも非常に制限された状態です。
 痛くて、苦しくて、そしてすごく怖がってるはずです。ソックスの中で何を叫んでいるのかは全然わかりません
けど、助けを求めているのは確かです。でもここであっさり助けてなんてあげたら何の意味もありません。
二度とあんなふざけた真似なんかできなくなるまで・・・絶対許してあげない!!

 20回くらい踏みつけたでしょうか。今度は2本のソックスの結び目をつかんでおじさん2人をまとめて
持ち上げました。耳の近くまで持ってくると、中から2人のすすり泣く声がよく聞こえてきました。得体の知れない
物に飲み込まれてなお逃れられない恐怖に襲われているのでしょう。でも私の受けた心の傷はこんな程度では
癒されません。もっと思い知らせなきゃ・・・
 そして私はその結び目を握り締めなおしてソックスを私の頭の上で思いっきり振り回しました。
3メートル以上の高さでおじさん2人はソックスに包まれたままプロペラのようにグルグルグルグル回転します。
おじさんたちは空中で高速旋回しながら激しくぶつかり合って、私のルーズソックスの中でまるで発狂したかの
ような泣き声をあげ始めました。外が見えないのにこれだけ勢いを付けて振り回されるとすごく怖いようです。
いい年をして、女子高生に力でいいように扱われて泣き崩れるなんてこの人たちは最低です。いくら私が
他の人より大きくて力が強いとしても、この人たち、情けないにもほどがあります。私はまだまだやめません。
だらしない中年男2人のワンワン泣く間抜けな声が、私の頭の上で激しく渦を巻いています。

 思う存分振り回して振り回して、私はソックスから手を離しました。ソックスに入ったおじさん2人は勢いよく
矢のように飛んでいって空き地の片隅に積み上げられていた廃材の山の中にけたたましい音を立てながら
突っ込んでいきました。瓦礫の山に突き刺さっています。
 私はまだまだ許す気になれず、ソックスの結び目をつかんで廃材の中から引きずり出しました。
ガランガランという音と砂煙を上げて山が崩れながらおじさんたちは出てきました。白いソックスの中から
泣きじゃくる中年男2人の声が聞こえてきます。・・・そこで私は驚かされました。
 なんと・・・私のソックスが両方とも真ん中当たりからジワジワと黄色く変色して行っていたんです!
このおじさんたちが2人とも恐怖に耐え切れずにお漏らしをしたんだと私はすぐに気が付きました。

 私はさらに頭に血が上ってしまいました。たかだか女子高生に少々痛めつけられただけで泣きわめいて
おしっこを漏らしてしまう赤ちゃんなみの情けない大人のくせに私に盗撮まがいの嫌がらせをしていたことへの
怒りと・・・そして何より、私のお気に入りのルーズソックスをおしっこで汚したことへの怒りです!!
 もうそれからのことは私も詳しいことはあまり覚えていません。私はまた結び目を握り締めるととにかく
ムチャクチャに振り回してそこら中にぶつけまくりました。
廃材の山、金網のフェンス、コンクリートの壁、そして土の地面・・・ソックスを汚されたことで私はヤケになって
いたみたいです。あちこちに叩き付けて真っ黒になっていくソックスもおかまいなしに私はとにかく中の
だらしないお漏らし男たちへの怒りを力任せにぶつけていきました。
 ドンッ、ドンッと激しく叩きつけられるたびに中のおじさんたちも2人絡み合うようにぶつかりあって、
ギャアギャア泣き叫んでいました。黄色いシミがますます広がっていきます。

 しばらくそうしているうちに、ソックスの中からの声が途切れたことに気が付きました。私はソックスの結び目を
ほどいて爪先のほうに持ち替えて振ってみました。
 ズルッ、ドサッという音とともに2人がソックスから抜け出て地面に落下しました。2人とも白目を剥いて、
泡を吹いて痙攣していました。失神していたんです。
 殺しまでする気はさすがになかったので我に返って少しホッとしつつ、私はこの情けなくて哀れなおじさん
2人の気を失った姿を見て、もうこれぐらいで許してあげようかな・・・そんな気持ちになりました。
ここまで懲らしめれば、きっともうあんな真似はしないだろうって・・・女子高生に殴られてソックスの中に
押し込まれて、振り回されてお漏らしまでしたんですから。
 結局私はその気絶したおじさんたちをそこの空き地に放置したまんま家路に着きました。お気に入りだった
ルーズソックスは2人のおしっこや泥で汚れて持って帰りたくなかったので近くのゴミ箱に捨てて裸足の上に
靴を履いて帰りました・・・

 こんな言い方はおかしいかもしれませんけど私はあの変態記者の人たちをやっつけたことで何かスカッとした
気分になったんです。今までは私のこの大きさや、小さなあきらくんと一緒にいることでいつも誰かから
ジロジロ見られて笑われてるんじゃないかって気になってしょうがなかったんですけど、もうそんなことで
くよくよするのはやめようって・・・なぜか私は雲が取れたような晴れ晴れとした気分になっていきました。

 私はある意味吹っ切れました。もうこれからはいちいちこの体のことで悩まないで、
堂々と生きていくことに決めたんです。こんな大きな体の私のことを、好きでいてくれる人がいるし・・・
その大好きなあきらくんとも、今までみたいに人目を盗んでコソコソとした感じなんかじゃなくて、
もっと大胆に、もっと恋人同士らしくお付き合いしていこうって・・・私、決めました!

 そういうわけで、私とあきらくんはこれからデートなんです。

つづく
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