美沙 第6話

「あーあ」美沙は呟く。
体重計の針は60sをオーバーしてる。
そういえば秋になって、最近食事の量が増えた。ご飯は必ずおかわりするようになった。
しかも、寝る前にもおやつをバクバク食べてる。それがまずかった。
一旦、体重計から降りて、深々と深呼吸してもう一度測りなおす。
当然だが1分やそこらで体重が変わるはずも無く、さっきと同じ所を針が示す。
女性では長身とはいえ、さすがに60sオーバーは堪える。針の示す冷酷な値の前に改めてショックが募る。
「痩せなきゃ…」
美沙は決意するのだった。

中2の秋の試験前…、
試験前ともなると、さすがのサッカー部も休みになる。試験前の最後の日曜日、祐志は一緒に勉強と称して美沙の家に行く。
祐志の母親も、祐志と美沙が二人とも成績学年10番以内を塾にも行かずにキープしているので、何も文句は言わない。
美沙の家は美沙の家で祐志が行くと心から歓迎してくれる。妹の理沙も祐志のことを慕ってくれている。
“まぁ、今日は勉強と称して、ムフフ”
思えば周りからは遅れたものの、やっと発毛も始まった。だんだん大人になっていく事に満足感に浸る。
祐志はふしだらな欲望を抱えながら、美沙の家へと急いだ。
美沙の家に遊びに行くと、美沙の家族は綺麗にどこかに出掛けてしまう。もはや阿吽の呼吸だ。
もはや我が家のように美沙の部屋に上がる。学校では全く話をしないから、美沙とゆっくり話すのは久しぶりだ。
そういえば祐志はここ1年で一気に背が伸びた。身長も160pを超えた。対して美沙の身長は168pで止まったようだ。
ここ数年ずっと見下ろされてきた感じだったが、最近は追いつきつつある。
またサッカー部でしごかれた結果、運動能力や体力も向上し、腹筋は微妙に割れてる。
50m走はやっと8秒フラットと目立つ数字ではないが、1500m走では、5分をまもなく切りそうなペースで走れるようになり、
陸上部長距離3強の最弱のヤツといい勝負できるようになった。
“まぁそれでも小学校の頃の美沙より足遅いんだなぁ”
なんて思った。当然力では歴然とした差がある
その美沙はというと、学校で見せる体力運動能力は、小学生時と変わらないように努めているようだ。
それでもたたき出される数字は相変わらず女性では上位である。祐志は手抜き美沙の走力にも敵わないままなのである。
さて、美沙の部屋に入ると、美沙は祐志の欲望を見透かしたかの様に機先を制し、
「さぁ、勉強、勉強。」という。
祐志は美沙を見たまま、とりあえず直球を投げてみた。
「美沙、最近太ったなぁ。」
空気の読めない祐志のストレートな一言である。美沙は、
「ウン、頑張って痩せる。」
と軽く流した。
勉強しながら、祐志は美沙をチラチラ見る。
顔はぽっちゃりした感じはしないが、二の腕はかなりムッチリしてきた。そしてお腹周りも少し大きくなったようだ。
決してデブって程ではないが、ちょっとスタイル抜群とは言えなくなって来た。
“秋は食べ物が旨いからなぁ”
なんて祐志は軽く考えていた。少々太ろうが美沙は美沙である。美沙への気持ちは変わらない。
しばらく二人で勉強を進める。静かだと面白くない。祐志はちょっとちょっかいをかけてみる。
美沙のぷにぷにの二の腕を掴むと、
「美沙っておっぱい大きいよなぁ」としみじみと言う。
「それ、腕。」
「あ、ごめんごめん。」祐志は謝る。
そのまま勉強を続ける。静かな部屋にページをめくる音とペンを走らせる音だけがこだまする。
しかし、なんだか飽きてきた祐志はまたちょっかいをかけたくなった。今度は美沙のお腹を掴むと、
「やっぱEカップのおっぱい最高だね」としみじみ言う。
ここでやっと美沙が勉強の手を止める。
「下行こっか?」
“やっと来た”
祐志は心が躍った。下の部屋といえば、美沙の両親の寝室がある。祐志はウキウキしながら、美沙に付いて行った。
しかし、美沙は両親の寝室を素通りすると、奥の広い部屋に祐志を招待した。奥の部屋とは、何も無いだだっ広い部屋である。
二人で部屋に入ると、美沙は部屋の鍵をかけてこちらを振り向く。その表情は非常に冷たい。祐志は、
“ヤバい”
と思ったがもう遅い。美沙はかなり怒っているのであった。

祐志は改めて部屋を見渡す。広さは約15m四方の様である。足元は畳の上にフロアマットが敷かれているらしい。硬くは無い。
横に扉が1枚と、美沙の後ろにドア、それ以外は逃げ道が無いようだ。とりあえず無駄だと思うが、横の扉に向け逃げる。
扉を開くとそこはただの物置だった。これでいよいよ、逃げ道は美沙の後ろのドアしか無くなった様だ。
美沙はゆっくり近づいてくる。
「さてと…、最近結構気にしてるのよね…、体重」
美沙はゆっくり言う。感情は全くこもってない。そういえば美沙の怒った顔を見た記憶は最近は無い。
幼稚園か低学年か、そのくらいまで遡らないと見た記憶が無い。
「ちょっとここでダイエットさせてもらおうかな」
相変わらず感情の入らない言葉。祐志は震え上がった。とりあえず土下座して謝る。
「いや、ごめん、ちょっと言い過ぎた。」
しかし、美沙の冷たい表情はとけない。準備体操をしながら、
「逃げるなら、今のうちかもよ」という。
どうせ逃げてもドアに辿り着く前に捕まってしまうだろう。祐志は意を決した。
「逃げても無駄だろうから、玉砕の道を選ぶぜ。」
とりあえず捕まるだけなのはわかっているから、そしてだからこそ、祐志は美沙を全力で倒しに行く。まずは蹴りからだ。
サッカー部の自分にはこれしか武器は無い。祐志は美沙の太ももに狙いを付け全力で蹴りにかかった。
しかし…、
美沙は軽くスウェイする。空振りしてしまった。
“あれ?”
突然目標を失ってバランスを崩して倒れそうになるが、立て直す間も無く美沙は一気に間合いを詰めてくる。
美沙は祐志を捕まえると、まずは祐志の目の前に人差し指を差し出す。
「はい、じっと見て。」
見てと言われなくても、もう目の前に指を差し出されたら見てしまう。
度重なる催眠のお陰で、祐志は何の抵抗も出来ないままやすやすと催眠状態に陥る。
「私が3つ数えると声が出なくなります。いいですね、声が出なくなる。」
頭の中に美沙の言葉がしみこんでくる。
「いーち、にーい、さん!」
美沙が指を鳴らした後手を離す。声が出なくなった。喋ろうにも空気が喉を通り抜けるだけで全く声にならない。
「ここは完全防音じゃないから、大声出されると困るのよね。」美沙は冷たい笑顔で祐志に言う。
逃げることも叫ぶことも出来ない状況は本当に恐怖だ。足がすくむ。

美沙はゆっくり近づくとまずは祐志の顔を握る。アイアンクローだった。
「フー、フー」
眉間に痛みが走る。痛いと言いたいのだが声が出ない。
とりあえず両手を使って振りほどこうとするが、全く離れないどころか微動だにしない。
彼女の小指だけでも引き剥がそうとするが、祐志の片手より美沙の小指のほうが強いのか、ビクともしない。
「そろそろ本気出して行こうか?」
というと締め付けが更に強くなってきた、痛みが激痛に変わる。
「フー、フー」
この状況で声が出ないのは本当に恐ろしい。
頭が割れそうなのだが、美沙に伝えられなければこのまま殺されてしまうかもしれない。祐志は既に泣きが入ってきた。
しばらく激痛が続いたが美沙の手がやっと離れた。ほっと胸をなでおろす祐志。しかし今度は…、
「プロレスごっこしよっか?」
まずは両手同士で力比べである。といっても最初から無理やり手と手を合わせられた感じなので、
ハナから勝負の行方は決まってる。祐志はとりあえず両手に力を込めたが美沙の両手を全く押し込めない。
「祐志ぃ、もうちょっと力を入れなよ」
と美沙は言うがこっちは、精一杯力を込めている。そのうちだんだん美沙に押し込まれてきた。両手が裏返る祐志。
そのうち、握る力も強くなってきた。もはや完全に力の入らないところまで押し込まれている。
手を完全に裏返されての筋の痛みと強く握られた手の痛みが同時に祐志を襲う。
「フー、フー」ごめん許してと言いたいわけだが、今の祐志には涙を流すことしか意思表示の手段は無い。
ただ、その体制は長くは続かず、美沙は放してくれたが、今度は…、
「今度は技の勉強をしましょうね」
美沙は冷酷に言い放つと祐志を掴む。
「これがコブラツイストね」
「これが卍固めね」
「これが胴締めスリーパーね」
「これが三角締めね」


固め技、絞め技のオンパレードである。祐志はうめき声も出せぬまま、延々1時間ほどもてあそばれた。
もう涙で顔がグシャグシャだ。
全て終わった後、例によって力を失って地面に仰向けに倒れる祐志。しかし今回はいつもとは違う。
今日は全身がバラバラになりそうなほど痛い。
全てが終わると、美沙は喋れなくなる状態だけは解いてくれたが、その後は祐志を放置して、
「さて、勉強、勉強」と言いながら、部屋へ帰っていった。
“美沙は怒らせたらマジで怖い。”
と祐志は大の字に寝転がって、涙をボロボロこぼしながら今更ながらに思うのだった。

しばらくして、祐志は何とか体を動かす。体中が痛い。這うようにして二階に上がる。
やっとのことで美沙の部屋に辿り着くと、美沙が出迎えてくれた。いつもの穏やかな笑顔の美沙に戻ってた。
「大丈夫だった?」とは美沙は聞いてくれるが、
“お前のせいなんじゃ、ボケ”
とはさすがに言えなかった。今怒らせたら、今度こそ三途の川を渡ることになりそうだ。
「ごめん、悪かった。」
美沙は祐志をベッドまで連れて行くと、フェラで軽く抜いてくれた。
力でもベッドテクニックでも、何をやっても祐志は美沙には敵わない。祐志は敗北感と快感に包まれながら、
“美沙には一生逆らえないんだろうな…”
ぼんやり考えるしかなかった。


つづく





inserted by FC2 system