美沙 第9話

夏休みのある日、朝一番の電車に乗る。
今日から、美沙との旅行だ。
と言っても、行き先は昔行ったことの有る美沙のお婆ちゃんの家、しばらく滞在させてくれるそうだ。
横に座る美沙を見る。美沙も楽しそうだ。
しかし…、
「ニシシシシシ」
向かいでニヤニヤ笑う姿、理沙である。2人きりとは行かず、3人での旅行になってしまった。
最初は2人の予定だったが、美沙の両親は景品でペアの旅行券が当たったらしい。子供を置いてさっさと旅行へ行ってしまった。
旅行が終われば、迎えには来てくれるらしいが…。
“なんでコイツが…”
と思うものの、行き先は美沙のお婆ちゃんの家、祐志が客人である。祐志は笑顔で、
「楽しみだねぇ」
と理沙に笑いかけた。
電車を乗り継いで5時間、最寄り駅に着いた。美沙のお婆ちゃんが軽自動車で迎えに来ていた。
さすがに田舎は不便なので、車を買ったそうだ。久しぶりに見るお婆ちゃんは相変わらず年齢の割に若い。
お婆ちゃんは祐志を見て、
「あら、大きくなったねぇ」
と感慨深げだ。そりゃそうだ、小学校の時以来だから、身長は30p程伸びている。
「ご無沙汰してます。」
月並みな挨拶を済ませ車に乗り込む。
途中、見たことの有る体育館を通って、お婆ちゃんの家に着いた。
その日は、4人でゆっくり過ごした。

翌日、今回のメインイベントである海水浴に出掛ける。
お婆ちゃんの車に揺られて30分、海水浴場に着いた。と言っても田舎なので人はまばら、海の家も無い。
お婆ちゃんは3人を下ろすと、
「昼ごろ迎えに来るわね」
と言い残し、さっさと帰っていった。
「着いたね、みんなで泳ごうか?」
と言うと、美沙は早速Tシャツを脱ぐ。みんな家から水着は着て来てるので、脱ぐだけで完成だ。
美沙は、ハイレグ気味の黒とブルーのツートンカラーの競泳水着風である。
スポーティーな雰囲気が美沙のプロポーションとよく合ってる。
美沙の裸は祐志もよく見ているが、こういう水着姿を見るのも祐志は好きだ。
対して理沙はというと、ブランド物の白のワンピースである。
胸は微妙に膨らみつつあるものの、まだまだ子供の香りがする中性的でスマートなスタイルだが、
大き目のヒップとしっかりした太ももだけが、女性っぽさを誇示する。身長はまた少し伸びたようだ。
二人ともフリルの付いてない、プロポーションのわかりやすい水着を選んだようだ。
「こういう水着着るのは初めて。祐にぃどう?可愛い?」
理沙はポーズを取ってはしゃぎながら祐志に聞く。祐志は、
「うーん、その洗濯板が大きくなったら可愛…グヘッ」
理沙にお腹をグーで殴られた。結構痛い。
「どうせ理沙はお子様ですよ。」
理沙は怒った風も無く、笑顔である。
「姉ちゃんは6年の時はもう胸大きかったんだけどな?」
美沙も畳み掛ける。
「姉ちゃん、ひっどーい。どうせ理沙は洗濯板のお子ちゃまですよ。」
「アハハ、まぁこれからよね。」
美沙も笑う。この姉妹は本当に仲が良い。祐志も何となく嬉しかった。
簡単に準備体操をしていよいよ海に入る。
最初は三人で膝くらいまでの深さの水際でビーチボールで、バレーボールごっこを始めた。
美沙も理沙もスポーツは万能なので、綺麗にボールは返ってくる。
しばらく遊んだら、やっぱりみんな泳ぎたくなったので、ボールを置いていよいよ深いところへ行くことにした。
美沙も理沙も、水泳は昔習ってたので、足が付かなくても平気である。
対して祐志は、水泳教室に通った経験は無いが、一応人並みに泳げる程度。
その3人で足の付かないところへ一緒に泳ぎだした。
「祐志、大丈夫?」
「祐にぃ、ムリしちゃダメよ。」
二人は気遣ってくれる。
「速く泳げと言われたらムリだけど、ゆっくり泳いでいいなら、大丈夫だよ。」
祐志も答える。そのまま雑談しながらゆっくり沖へと泳いでいく。
後ろを振り向くと、浜辺のビニールシートが、本当に小さく見える。結構沖まで来たようだ。
「さぁ、そろそろ戻ろうかな?」
祐志を気遣って美沙が言う。
「まぁ、祐にぃが居るから、あんまり沖に行くのも危ないよね。」
理沙も言う。二人とも余裕だ。
祐志は意地を張りたい気持ちもあったが、こんなところで溺れても恥ずかしいので、二人の言葉に甘え引きかすことにした。
3人で今度は浜辺に向かって泳ぎだす。行きは楽だったが、疲れもあって帰りは少し遠く感じた。
二人は心配してくれたが、祐志も何とか泳ぎきって浜に辿り着く。
一旦みんなで上がって休憩する。祐志はフラフラだが、二人は余裕である。
祐志は浜に寝そべった。普段使わない筋肉を使ったので結構キツイ。
「祐志、ゆっくり休もう。」
「祐にぃ無理するから…」
二人は温かい声をかけてくれる。祐志は寝転がったまま、二人を見上げた。すると…、
何と、理沙の水着が透けている。
理沙の大き目の乳輪や乳首、そして股間の面積の広く濃い剛毛が、至近距離ではっきり透けて見えるのである。
(注…最近は透けない白が開発されたようだが、一昔前は濡れると透ける水着はよく有った)
「あっ」
祐志は思わず声を上げてしまった。
二人も気付いたようである。
「透けちゃってるね。」美沙が言う。理沙は、
「うわ、恥ずかしい…」と言いながらも、
「ここは人も少ないし、まぁいっか」
とあっけらかんとしたものである。
祐志は、
“美沙も6年の時には生え揃ってたよな。俺は中2だったのに…”
今までお子ちゃまと思ってた理沙も、しっかり大人の女性の部分を持ってたのである。
祐志は、理沙に大人を感じるうちに、つい勃起してしまった。若いから仕方ない。
水着がトランクス型なので、何とかごまかせそうだ。うつ伏せになりながら、祐志は股間の血が分散するのを待った。
その後、改めて3人で海に入るが、祐志はチラチラとつい理沙の股間に目が行ってしまう。理沙は、
「どこ見てんのよ!」
なんて言いながらも、大して気にしてないようだ。
そのまま3人で遊んでいたが、祐志は理沙の密毛のことが気になって頭から離れなかった。
そして、昼である。
お婆ちゃんが迎えに来てくれて、海水浴は終了した。

翌日も朝早くからお婆ちゃんの車に揺られ3人で泳ぎに行く。みんな海は大好きなのである。
浜に着くと、お婆ちゃんは3人を残して帰って行った。
今日はちょっと早く来すぎたのか、まだ誰も来てなかった。そこで祐志は美沙に提案することにした。
「美沙、誰も居ないし、駆けっこしないか?」
まぁ、負けることはわかってる。しかし、その昔、本気で駆けっこした時に比べれば、50mで1秒以上自分も速くなってる。
前ほどは差が無いかも知れないし…、
何より、少しでも長く本気で走る美沙の姿を近くで見ることが出来る。
祐志は4年前に見た美沙の美しくダイナミックな走りをもう一度見たかったのだ。
「よーし、やるぞ!」
間髪入れず答えたのは理沙である。そう言えば理沙も学校では運動能力体力共に、本性を隠しているのだった。
「やろっか。」
美沙も答える。海水浴に他の人が来るまでの短いひと時、泳ぐ前に3人でかけっこすることが決まった。
3人で入念な準備体操をして、ビニールシートから離れる。
距離はよく分からないがおおかた50mは離れたところで3人並ぶ。どうも、スタートの合図は祐志がやって良いようだ。
美沙には負けるだろうが、出来れば小学生の理沙には負けたくない気持ちはあった。
「祐にぃ、理沙に負けたら、何か罰ゲームしよっか?」
「へん、これでも7秒前半で走れるようになったんだ。簡単に負けるかよ。」
祐志は言葉を返す。この姉妹の能力の恐ろしさはよく分かっているが、性格の良さもよくわかってる。
負けたところで、無茶されるわけではないだろう。
「私も本気で走るよ。」
美沙も表情は真剣になった。祐志も正面を向いて遠くに見えるビニールシートに意識を集中する。
並びは、美沙、祐志、理沙。祐志は真ん中だ。
「よーい、どん」
掛け声と同時に一気に頭一つ抜け出…、
あっと言う間に左手から美沙が抜け出す。砂浜は結構走りにくいはずなのに、全く苦にしてないかのようだ。
グングン引き離される祐志。美沙のお尻と太もものダイナミックな躍動感を間近で見ることが出来たのはほんの一瞬で
後は引き離される一方だった。
そして、右手の理沙も気が付けば祐志より前に出ている。ジリジリ引き離される。
こちらも美沙と変わらずストライドが大きめのダイナミックなフォームだ。
結局、美沙、大きく離れて理沙、少し離れて祐志の順でゴール。
美沙に負けたのは仕方ないとして理沙にも負けてしまった祐志。
筋力で負けているので、全く想像してなかった訳では無いが、改めてショックである。
「本気で走るって気持ちいいね。」
「祐にぃに勝った。やりぃ」
「負けたぁ。やられぇ」
悲喜こもごもの3人。どうも体力運動能力では、この姉妹には完敗のようである。特に小学生に負けたのは非常に痛い。
でも、その昔から、足の速い女の子に憧れを感じていた祐志にとっては、美沙と理沙の全力疾走を見ることが出来たのが
何となく嬉しかったのであった。特に間近でジリジリ引き離していく理沙の姿は目に焼きついてしまった。
その後は昨日と同じように、泳いだりビーチボールで遊んだりと、お婆ちゃんが迎えに来る昼まで、3人で海を満喫した。
この姉妹、持久力も抜群で、2人に付き合ってるとこっちがフラフラになる。
2人の底知れぬ体力と女性としての色気、そして理沙のスケ水着に圧倒される祐志だった。
特に、子供だと思っていた理沙の魅力は本当に祐志にとっては衝撃的な2日間であった。

目が覚める。テレビでは高校野球が流れている。どうも、2日連続の朝からの海水浴で疲れたのであろう。
野球中継を見ながら、30分ほど昼寝をしてしまったようだ。扇風機がくるくる回ってる居間には誰も居ない。
起き上がって、みんなを探してみる。奥の広い部屋に美沙は居た。Tシャツに短パンのラフな格好でストレッチをしていた。
「あり?残りの2人は?」
「あ、祐志、起きたのね。2人で買い物に行ったよ。」
「で、美沙はこの真夏にストレッチかよ。どんだけ体力余ってるの?」
「アハハ、女の子だし太りたくないからね。」
美沙は笑顔で答える。祐志は今日の海水浴で思ったことを素直に話した。
「久しぶりに美沙の本気で走ってる姿を見たけど、本当に綺麗だったよ。改めて惚れ直したな。」
「ありがとう。誰も見てない所なら、いつでもお安い御用よ。」
「ところで、美沙の本気の力を見てみたいのだけど、どうやったら見れるかな?」
「う〜〜ん?」
美沙はしばらく悩んだあと答える。
「やっぱ、ホンキは無理かな?祐志たぶん死んじゃう。でも…」
「でも?」
「じゃあ、久しぶりにちょっと力をちょっとだけ発揮してみようかな。いい?」
「どうやって?」
「もちろん、祐志の体で感じてもらうのよ。」
美沙はそう言うと祐志の左手首を掴む。
「しまった。」
祐志は振りほどこうとするが当然取れない。どころか、抵抗しても美沙の右手は微動だにしない。
「まだ力入れてないよ。」
美沙は余裕の表情だ。しかしそのうち、手首を握る力がだんだん強くなる。痛くなってきた。
「アイタタタ。」
祐志は思わず声が上がる。
「まだまだ、余裕よ。もうちょっと行こうか?」
美沙はそう言うと、更に力を強める。手首の骨がきしむ。
「痛っ、ちょ、参った。」
半泣きになると、やっと握った手を放してくれた。手首を押さえてへたり込む祐志。手首にはしっかり握られた跡が付いている。
「さてと、次は…、」
祐志は捕まえられ立たされる。そして左手で体をを抱えられる。
「まだやるの、もう勘弁…」
「もうちょっとだけね。」
美沙はそう言うと、左手に力を込める。祐志の足が地面から離れる。片手でさば折り状態になってしまった。
「痛い」
と言いながら、祐志は美沙の腕を振りほどきに掛かる。
通常のベアハッグと違い、両手でがっちりロックされているわけではない。
手のひらは祐志が逃げないよう横腹に添えられてるだけだ。にもかかわらず、どんなに頑張ってもほどけない。
全身をゆすって両手で美沙の左手を振りほどこうとするが、美沙の腕は微動だにしない。
「まだまだ力入ってないんだけどね。」
美沙がそう言うと、更に力が強まる。背骨が折れそうだ。祐志は涙を流しながら美沙に許しを請う。
「助けて…」
そう言うと、美沙はやっと放してくれた。
「どうだった?まだまだホンキにはほど遠いんだけど、満足した?」
「よくわかったけど…、イジメだよ。」
祐志は、泣きながら答える。
「ゴメンゴメン。ついつい力入れすぎちゃった。」
美沙は、満面の笑顔で答える。案外サディストじゃないかと祐志は美沙を見ながら思うのだった。
その後は、2人で個室に向かう。2人の初体験の部屋である。そこなら最中にお婆ちゃんが帰って来ても大丈夫だろう。
そこで、さっきの痛みとは比較にならないほどの快感で、美沙に責められる祐志。
結局腰が抜けるほど搾り取られた。もうさっきのイジメは気にならなくなった単純な祐志であった。

2人で個室でゆっくりしながら、夕方を迎えた。扇風機があるとはいえ、真夏の窓も無い部屋はさすがに暑い。2人とも汗だくだ。
「そろそろ出よっか?」
祐志は美沙に聞く。
「あ、出る前にちょっとお仕置きがあるのよね…」
美沙は言う。
「お仕置き?俺、何か悪いことしたっけ?」
祐志は美沙の顔を見る。お仕置きとはいえ、美沙は怒っているわけでは無さそうだ。
「祐志、理沙が気になってるでしょ?」
図星である。別に理沙に乗り換えたいと言うわけでは無いのだが、理沙に目が行ってたのは事実である。美沙は笑顔で続ける。
「きっと、怪力女よりフツーの人間の方がいいんだ、祐志は…。」
本気で怒っているわけでは無さそうなので、祐志も余裕で答える。
「そうだねぇ、バケモノ女はさっさとポイして、フツーの若い女に乗り換えるとするかな。」
「と、言うわけで浮気の罪でお仕置き決定ね。」
「え、ちょっと待て、お仕置きってどういう…」
祐志の話の最中に、ふと目の前に美沙の人差し指が差し出される。
「はい、じっと見て…」
“またこれか…”
祐志はあっという間に意識を手放すのだった。

美沙の綺麗な指の音で意識がはっきりする。目の前には笑顔の美沙がいる。どうも何か暗示を掛けられたようだ。
「何した?」
祐志は不安になって聞く。
「いいことよ。でも内容は、ひ・み・つ。」
「まぁ、いっか。そんな無茶なことはしてないよな?」
「ウンウン、ちょっとだけお願いを入れただけ。後は帰ってからのお楽しみ。」
祐志も美沙のことは心から信用してる。取って食われるわけじゃ無いだろう。祐志も気にはなったが、それ以上の追及をやめた。
部屋を出ると、お婆ちゃんと理沙は既に帰宅していた。もう夕方である。何となく恥ずかしい。理沙はニヤニヤしながら2人を見る。
「まったく、純情な小学生も居るのに、このフシダラな2人ときたら…」
理沙は言う。
「お子様は、大人になるまでは知らなくていいのよ。」
美沙も余裕で返す。この2人は本当に仲が良い上にオープンである。
汗だくの祐志と美沙はお婆ちゃんに勧められ風呂に入った。さすがに一緒に入るのは遠慮しようとしたが、お婆ちゃんが、
「いまさら、よそよそしくしても仕方ないし、一緒に入ったら早く済むだろうから一緒に入っておいで。」
と言ってくれたので、言葉に甘えて美沙と一緒に入ることにした。
「でも、風呂でイチャイチャしちゃダメよ。晩御飯待ってるから。」
祐志と美沙は少し照れながら、一緒に風呂に入った。
その後、4人で夕食を食べて、ゆっくりテレビを見た。普通に家族の一員として溶け込んでる状況に、祐志は改めて感謝するのであった。

3人で遊びに来てちょうど一週間。美沙の両親が迎えに来てくれた。
二人きりでは無かったとはいえ、これほど長く美沙と一緒に過ごしたのは、初めての経験であった。
あっという間の楽しい時間であった。
帰りの車の中で美沙は祐志に言った。
「毎日同じ場所に帰るって、幸せだね。」
「そうだな。」
祐志も答える。毎日同じ場所に帰るようになる、それはすなわち結婚である。祐志も美沙も遠い先の事を夢見るのであった。
夜遅くに帰宅した。家の前に車が着くと、祐志の両親は待っていたのか慌てて部屋から飛び出してきた。
美沙の一家に丁寧に礼をする。
その後、美沙一家とは別れて、祐志は自分の家に帰る。自分の両親に土産を渡した後、長々と土産話をする。
改めて、本当に楽しい一週間であった。ただ一点、気になる事を除いて…。
“美沙は俺に何を仕込んだのだろう?”
あのお仕置きと称した日の後も、何度か催眠術に掛けられた。
かなり入念だが、いくら美沙に聞いても笑ってかわすだけで、結局内容は教えてはもらえなかった。
しかも自分の心にも体にも何も変わったところは無い。
“まぁ、そのうちわかるかな?”
いくら考えてもわからないので、結局考えるのを打ち切るしかない祐志であった。


つづく





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