〜if〜 2

風邪を引きました。
もうベッドから起き上がれないぐらいくらいに重いやつを。
苦労して何とか入学できた大学に通い始めて半年。
実家を出てアパートで一人暮らしを始め、サークルにも入って新しい友達もでき、ようやく大学生活に慣れてきたかな、
などと気を抜いて安心してしまったのがいけなかったのかもしれません。
 
「38度5分…」
懐から取り出した体温計を見て、見るんじゃなかったと後悔をします。
食欲も無く、薬しか口にしないで寝たきりになっています。
実は今の僕、かなり危険な状態になっているんじゃないでしょうか?
そんなことをボーっとしながら考えていた時、

ピンポーン

聞こえた玄関のチャイムの音に、遠のきかけていた意識が引き戻されました。
時刻はお昼前。
こんな時間に、いったい誰が来たんだろう?新聞か何かの勧誘かな?
そんな僕の考えを、次に聞こえてきた音が打ち破りました。

ガチャガチャガチャ

ドアノブから聞こえる、鍵を開けようとする音。
僕以外に家の鍵を持っているのは、2人しかいません。
一人は借りているこのアパートの大家さん。
で、もう一人は…

「お、おじゃまします、文太君」
そのもう一人が、おどおどした小さな声で申し訳なさそうに声を出して玄関を開けて、家の中に入ってきました。

ミシッ

鉄筋とはいえ築20年の古いアパートの床が、その人物が歩くたびに嫌な音を立てます。
でも、それも仕方ありません。
だって彼女は、170kgもの巨体の持ち主なんですから。
 
「大丈夫?文太君…」
体のだるさと戦いながら、何とか首を動かして声のした方向を見ると、
眉をひそめ、いつもは可愛らしいその顔を今にも泣きそうな表情に変えたさくらちゃんが、
両膝を付いて体を屈め、心配そうに僕を見つめていました。
小学生の時、色々とありながらも恋人同士になった僕達ですが、
僕が大学生、さくらちゃんが看護師となった今もお付き合いを続けています。
その小学生の時から、さらに巨大に成長したさくらちゃん。

身長が155cmで止まった僕からすると、19歳の今も成長が止まらずに身長は255cmにまで成長し、
大きくなっただけでなくで肉感的に、セクシーな身体つきとなったさくらちゃんには、今でも見るだけでドキドキさせられます。
今日は僕が風邪を引いたことを心配になって、お見舞いに来てくれたようでした。


「う、うん…。あんまり大丈夫じゃない…かな…」
男なら嘘でも大丈夫と言わなければならない場面なのかもしれませんが、
嘘をついてそれがばれてしまった時にさくらちゃんを悲しませるよりは、本当のことを言ったほうがいいということを、
これまでのお付き合いで学んでいます。
「大変!文太君、お薬は飲みました?」
「うん、それからずっと寝てたんだけど…」
「そうですか…。あ、熱は計りましたか?」
「さっき計って、38度5分だった…」
「だいぶ高いですね。とにかく暖かくしてないと…文太君、何か掛けるものはありませんか?」
さくらちゃんが尋ねてきますが、僕は首を横に振ります。
今は10月。秋も深まりそろそろ冬の足跡が聞こえ出しそうな時期なのですが、
僕の家の掛け布団は薄いタオルケットと毛布しかありません。

「そうですか………」
さくらちゃんの顔が曇ります。本当に僕を心配しているその表情に、僕は心苦しくなります。
「………それじゃぁ、仕方ないですね」
なぜか頬を赤らめながら小さな声でそう呟くと、さくらちゃんは一度立ち上がり着込んでいた、
時期としては少し着るのが早そうな特注サイズのコートを脱ぎ始めました。
「さ、さくらちゃん!?」
ハラリと落ちたコート下から現れたさくらちゃんの姿に、僕は唖然としてしまいました。
まるで怪しいコスプレ衣装のように、とんでもないピチピチのミニスカート状態になっているワンピース型のナース服姿が、
そこにはありました。

「ここまで着てくるの、恥ずかしかったんですよ…」
さくらちゃんの顔が、さらに真っ赤になっていきます。
「これは、看護師になって最初に作ったものですから…今の私にはきつすぎるんですけど…」
恥ずかしそうにそう言いながら、さくらちゃんは僕を見下ろしています。
看護師になった時ということは、1年半程前に作ったということでしょうか。
この一年半で、さらに成長をしたさくらちゃんにとって今着ている服は、
普通の人が通常より2〜3サイズ小さな物を着ているようなものなのでしょう。
僕の目は、そんなさくらちゃんの姿に釘付けでした。

歩くだけで誰もが振り返るぐらい大きく揺れる、身長同様成長が止まらない巨大すぎる胸のおかげで、
ボタンが引き千切られる寸前にまでなってしまっている上半身。
そして寝込んでいる僕から、いつもの清純でおとなしいイメージとはかけ離れた
艶かしい黒い下着とムチムチの白い太腿が丸見えになっている、美しくて逞しい下半身。
そんな目の前のセクシーな巨大ナースから、いくら病気中だからって目を離せるわけがありません。
「文太君に喜んでもらえるかなと思って、取っておいたんです。もし病気になったら、この姿で看病してあげたいなぁて…。
喜んでもらえました?」
さくらちゃんがまた座りこんで、僕の顔を覗き込んできます。
「す、凄く嬉しい…」
その恥ずかしそうだけど、ちょっと楽しそうな表情に、僕の胸の動機は高鳴る一方です。

昔と変わらず、とっても心優しいけれどちょっと内気で引っ込み思案なさくらちゃんですが、
僕に対してだけは凄く積極的になってくれる時があるんです。
今のさくらちゃんは、きっとそんな積極的モードなのでしょう。
僕の返事にとても優しい笑顔を返してくれると、ゆっくりと手を伸ばして僕を抱え上げました。
そしてまるで重さなど感じないかのように持ち上げた僕に、
まさに伝記のナイチンゲールのように慈愛に満ちた瞳を向けながら、ふっくらとした唇を重ねてきました。
「んぐっ………!!」
初めは軽く唇が重ねられるだけだったキスが、徐々に激しいものになってきます。
さらに途中から進入してきたさくらちゃんの舌が、抵抗などものともせずに口内を蹂躙しだすと、
僕はされるがままになってしまいました。
どれくらいの時間が経ったのか、この脳が蕩けるようなキス責めにようやく満足したらしいさくらちゃんは僕を解放すると、
優しくベットの上に座らせてくれました。
「キスすると風邪は移って治るっていいますから…どうでした、文太君」
「………さくらちゃんに移ったら困ると思うけど。お仕事とかあんまり休めなくて大変なんでしょ?」
とても本物の看護師らしくない迷信じみたことを、頬を赤らめつつもにっこりと微笑みながら言ってきたさくらちゃんに、
僕はぼーっとしてしまっている頭をどうにか働かせて反論してみました。
「ふふっ、それなら大丈夫ですよ。私これまで一度も風邪を引いたことのないぐらい、健康そのものなんですから。
私のこの大きな身体は、風邪の菌になんて負けないんです」
そう笑顔で答えると、さくらちゃんは胸を張りながらグッと両腕を曲げて見せました。


そのポーズはさくらちゃんなりの、健康であることのアピールだったのだと思います。
しかし、

ブチブチッ!

「え!?」
それを、サイズの小さいナース服でしてしまったのがいけませんでした。
これまで必死に巨大すぎる胸の圧力に耐えていたボタンが、とうとう弾け飛んでしまったのです。
胸元が大きく空いたことで露になる、艶やかな色気たっぷりの巨大な黒いブラジャーと、
そしてそのブラですら窮屈そうに見えてしまう、180cmという途方もないサイズと弾力を誇る雪のように白い巨大なおっぱい。

しかし、突然のことに驚きの声を上げた僕とは対照的に、さくらちゃんは一瞬仕方なさそうな表情で
自分の大きくはだけた胸元に目をやったあと、改めて僕に向き直りました。
「この服じゃ、やっぱり今の私には小さすぎたみたいですね。でも、ちょうどよかったかもしれません」
恥ずかしいというよりも、何か自分の身体に自信を持ったような表情を浮かべると、
何を思ったのかさくらちゃんはまだ残っているボタンまで外し始めました。
「さくらちゃん!?」
僕の慌てた声も気にせずに、積極的モード全開のさくらちゃんはボタンを外し終わり、スルスルとナース服を脱いでいきます。
そしてタオルケットよりも大きな生地のそれを脱ぎ終えると、綺麗に畳んで自分の横に置きました。

「……………」
ベットに座った状態の僕は、目の前で下着姿のまま両膝立ちの姿勢で僕を見下ろしているさくらちゃんに、
ただただ見とれてしまいました。
僕よりも100cmも高い身長だけでなく、スーパーモデルも相手にならないようなムッチリとした肉付きのグラマラスボディに、
白い肌とのコントラストがよりセクシーさを醸し出す黒の下着姿。
そんな、今でも日々成長を続けるモンスターボディを持ちながら、
あどけない笑顔と僕のような男にでさえ全身で尽くしてくれる心の優しさを持つ少女。
そんな天使のようなさくらちゃんを、僕はただひたすら無言のまま見上げ続けていました。
しばしの間、無言の時間は続きました。やがて、
「文太君…今度は私の全身で、看病してあげますね」
口を開いたさくらちゃんはゆっくりと手を伸ばし僕をまた抱え上げると、その巨体に埋め込もうとするかのように抱きしめて、
部屋にごろんと寝転がりました。
「むふぁ!?」

長く、しなやかでありながらもムッチリと逞しい腕と太腿で身体を包み込まれ、僕は一瞬悲鳴を上げかけてしまいました。
が、口も僕の頭よりも遥かに大きな爆乳にふさがれていて、篭った意味不明な声しか出ません。
慌てて必死にもがく僕を、さくらちゃんは苦しめるようにではなく優しく、優しく抱きしめ続けます。
それはまるで赤ん坊を抱く母親のように、抱かれている僕に安心感を与えるものでした。
「私、大きいせいか体温が他の人達よりも少し高いんです。ですから今日はずっと、私が文太君のお布団になってあげますね。
だから安心して、私の胸の中で眠って下さい」
落ち着かせるように頭を撫でながら、さくらちゃんは僕を抱きしめ続けます。
その時僕は、昔のことを思い出していました。

小学生の頃、プロレスの試合を見に行ってレスラーにぶつかりそうになった時、
そのレスラーをヒップアタック一発で吹っ飛ばして自分を守ってくれたさくらちゃん。
さくらちゃんは、いつも僕をその大きな身体と、もっと大きな愛で守ってくれていたんです。
「さくらちゃん…」
僕は甘えるように、さくらちゃんの胸元で顔を動かしました。
「ふふっ、甘えん坊さんなんですね、文太君は…」
さくらちゃんは別にそれを咎めるわけではなく、相変わらず優しく頭を撫でながら僕の好きなように甘えさせてくれます。
僕は風邪による体調不良と、さくらちゃんに守られているという安心感から、ゆっくりと眠りの世界へと落ちていきます。
明日起きてしまえば、きっと風邪も治っていることでしょう。
こんな恋人に守られていれば、風邪だってどこかに逃げていってしまうに違いありません。
明日の朝、さくらちゃんに優しく起こしてもらうことを夢見ながら、僕の意識は完全に途切れていきました。
「…おやすみなさい、文太君」
最後に、さくらちゃんの可愛い声が聞こえた気がしました。


おわり





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