Road to Rumble Roses Reloaded #2

デキシーの場合

 世界で最も美しく強い女の祭典、ランブルローズ。今夜の第1試合が始まる前の、特別試合が幕を開けた。
このリングに上がることの許された女の実力がどれほどのものかを改めて知らしめるための、エキシビジョンマッチ。
今日その第0試合を務める役が回ったのは、アメリカが誇る猛女、デキシー・クレメッツ!

 今日のエキシビジョンの形式は、ロイヤルランブルと呼ばれる変則的なバトルロイヤル。
まず1対1のシングルマッチから始まり、試合時間が1分を経過するごとにレスラーが1人入場してくる形式。
そしてこの試合の参加人数は20人!当然その中の1人はこのデキシー。そして残りの19人は…
全員が現役の男子プロレスラーだ!
バトルロイヤルなどとは言われているものの、19人の男たちの標的はもう定まっている。
この試合に招かれた際に、どの男も提示された条件に目の色を変えていた。
『フォール、リングアウト、ギブアップを問わず、デキシー・クレメッツに勝利した者には賞金100万ドル、
およびデキシーを好きなようにすることを許可する(本人も了承済み)』
 こんなおいしい話に飛びつかないでプロレスラー、また男など名乗ってはいられないとばかりに
どの男も興奮を隠しきれず即決でエントリーしてきた。透き通るように美しい白い肌のブロンド美女をやりたい放題…
それが、身の程知らずとしか言いようのない望みとも知らずに。

 その第0試合は、早くも10分が経過していた。
11人も集結した欲望むき出しの屈強な男に取り囲まれる1人の女…いや、確かに周囲には間違いなくいるのだが…
「あが、ぐご…」
「ぐぅ…え〜!!」
 とても、彼女に危害を加えられる心配のある光景ではなかった。
彼女の肩の上に男が2人、右肩と左肩に男が1人ずつ反り返って揺らされている。
ヘビー級に属する大柄な男2人を一度にカナディアンバックブリーカーで可愛がってあげながら、デキシーは目の前の男に微笑みかける。
「Come on!」
 両腕がふさがっている状態で、まだ余裕を持ってかかっておいでと呼びかけてくる女。
常識で考えれば無謀で相手を馬鹿にした態度であり、プロレスラーの男として黙っていられるようなことではないが
1人で写真に納まっている時のような笑顔と、その両脇で逆さまになり生死の淵を彷徨うかのような表情で悶絶している男2人の対比に
目の前の男はかかっていく足が踏み出せない。
さらに彼女の足元には既に5人が、5枚の紙をまとめて丸められたかのように重なり、絡み合ってリング上に捨てられているのだ。
自分もすぐに彼らの後を追うだけではないのか…と。
揺すられるたびに響く男2人の途切れ途切れの悲鳴と、それを生み出しているデキシーの巨大バストが弾む様を、ただ見ていることしかできない。

 デキシー・クレメッツ。205cm、B130cm/W80cm/H125cm!
シングルマッチでは相手の男の命に関わるような爆発的パワーを生み出す超人的筋肉の上に女のセクシーさを纏った奇跡のボディ。
プラチナブロンドのワンレングスが眩い美女アマゾネスのデキシーは、今日は特別コスチュームの白ビキニのみ。
組み合いのある格闘技にこの衣装は危険ではないかと思われるが…むしろそんな心配よりも、今日ここに集まった男たちに
彼女をそこまで追い詰めるほど組んづほぐれつの体勢まで持っていけるのか、が問題かもしれない。

 時間の経過とともに新たに入場してきた男が飛びかかっていく。
 ドーン
 しかしその音はかかっていった男の胸板から響いたものだった。デキシーの大きな素足が男の胴を蹴り飛ばし、リングの片隅に転がした。
2人の男を担いだまま、足一本で男を相手にしてしまう。むしろ、相手にしていないのか。
「うぐっ!!」
「ぐえぇ!!」
「ぶぎゅうう〜〜!!」
 猛烈なフロントキックに半ば呼吸を止められつつもどうにか立ち上がろうとしていた男の上に、デキシーの肩の上から男2人が投下される。
超長身のデキシーから投げ落とされた、130kgクラスの男が2人。確実に260kgを超える重みのボディプレスに襲われた格好で、これに耐えられるわけがなかった。
「ワン!ツー!スリー!」
 下敷きになった男と、さっきまでのダブルカナディアンバックブリーカーで半失神状態だった男2人、彼らの上に座り込んで3人まとめてフォール。
3人とも全く肩を上げる様子もなく、レフェリーのカウントなど必要なかったのかもしれない。これでまた、さらに3人脱落。

「く、くそーっ!!」
 ここで、先ほど躊躇うばかりだった男がデキシーめがけて襲いかかる。
「あら、座って私の頭が少し低くなったら急に強気になっちゃった?単純ね」
「うわっ!?」
 男の体が軽々と上昇していく。
デキシーは男たちの上に腰かけたまま腕だけでこの男の突撃を難なく受け止め、そのまま頭上高くリフトアップして見せた。
持ち上げられた男の体重も110kgは超えている。さらに重量を追加されたソファ代わりの男たちの悲鳴が情けなく三重奏を轟かせた。
観客たちのボルテージはますます高まる。これが、ランブルローズを舞台にする女たちの力なのだ。
あちこちの団体でプロレスラーとして地位を築いているはずの男どもが、鼻歌交じりの彼女たちにぶちのめされていく。
ランブルローズのエキシビジョンマッチはそれをより知らしめるための、本戦以前のことでしかない。
世界一を争う女たちの強さ、美しさに観客たちは酔いしれ、対する男たちは細かく丸められて放り捨てられていく…

 新たな男たちが続々と入ってきたところでデキシーはようやく立ち上がる。さっきの男を持ち上げたまま。
「さぁ、あなたたちは少しぐらいいい試合を見せてくれるかしら?こんな奴と違ってね」
 グギッッ!!ギュゥッ……
「あがあぁ――――っ!!ぐ!」
 カクッ。
 男の顔面と胃袋のあたりを掴んで持ち上げていたデキシーが、その握力を少し追加したところで彼は数秒間の絶叫と痙攣の後
両手両足のバタつきを止めて真下にブラブラと落としてしまった。
リフトアップアイアンクロー&ストマッククローで男を難なく落としたデキシーは、彼を無造作に後方へと投げ捨てる。
男の山が、また1人分高さを増した。

「このっ!!」
 左右から男が2人、同時にデキシーの腰のあたりを狙って組みついてくる。
両者ともアメリカンフットボール出身の定評あるタックルだった。並のレスラーなら、この当たりを食らって立っていられるわけがない。しかし…
「そうそう、連携が大事よ。蟻は力を合わせないと、象には勝てないわ」
 彼女は並ではないのだ。2人がかりのタックルが、ダウンさせるどころか素足のデキシーを数cm程度後ろにずらしただけに終わってしまった。
しかもデキシーは腰を落として待ち構えたわけでもなく、ただ普通に立っていただけだ。そして今も彼らは死力を尽くして押し込み続けているのに、
彼女は何ら苦にする表情も見せずにブロンドの髪を後ろに払うと、悠然と腕を組み直した。
「テキサスのカウガールを、甘く見ないことね」
「くっ、ぐぅぅ…」
「なんでだ、なんで動かねぇ…」
 デキシーはデビュー前から、500kgからある巨牛を道具も使わずに捕獲してしまう猛女だった。
ヘッドロックでひねり倒してしまうことも、そのまま絞め落としてしまうことも、またラリアットでなぎ倒して気絶させることさえあった。
人間が少々当たってきたところで、問題になどなるはずがない。
しかし彼らは倒すことはできなかったにしても、彼女の全身を食い止めることだけは辛うじて成功している。
2人の男が押さえつけて動きの止まったデキシーめがけて、弧を描いた足が飛んでくる。
フリーであるもう1人の男が繰り出した浴びせ蹴りだ!

 パシッ。
「!!」
 打撃を得意とし、所属する団体で何度もバルトを巻いているこの男のキックが、デキシーには片手で受け止められた!
大きく体制を崩しながら放つ浴びせ蹴りが妙な角度でストップし、事態を飲み込めない彼は混乱のままに視界が上へとスライドしていく。
デキシーが掴んだ彼の足首を、上へと引っ張り上げて彼の全身を吊るしたのだ。
「あなたのところではそれなりに通用したんでしょうね…こんな程度でも」
「ひ、ひ、ひぃ…ぁぅっ!!」
 逆さづりにされた男をさらに恐怖が襲う。そのスピードに目がついていく頃には、視界の下にリング全体が映っていた。
デキシーがつかんでいた脚を大きく振り上げると、その男の全身は振り子のように大きく半円を描くと、宙高く舞い上げられていたのだ。
チアリーディングでパートナーを投げ上げる演技のように軽く、100kgオーバーの男を空中に放ってしまうデキシーの怪力。
しかも腰に2人の男が組み付き、全身の力が込めにくい状態であるにも関わらずだ!
そして、数秒の空中遊泳を終えて落下してきた男はデキシーの両肩の上でキャッチされる。
 メリッ、ゴキグキッ!!
「ああああーっ!!」
 落下して受け止められると同時のアルゼンチンバックブリーカー。
体の外にまで聞こえるほど全身から嫌な音が発せられ、その男は逆向きのくの字になったまますぐに動かなくなった。

 デキシーは肩の上の男の無力化を確認し、男たちをさらにまた高く積もらせると
「で?あなたたちはいつまでそうやって触り続けてるの?いやらしい」
 力の差を見せつけるためにわざと振りほどかずそのままにしておいてあげた男2人の排除に取り掛かった。
「う、うわっ!?」
 腰の右側にいる男のパンツを掴んで軽く持ち上げ、もう片方の男の上に重ねた。
そして…彼らに背中から覆いかぶさるようにして逆に組み付き、その逞しい腕を伸ばす。
二重になった男の胴周りを彼女の長く太い豪腕が捕え、クラッチした。
平静の状態でも大迫力で盛り上がっているデキシーの背筋に力がこもり、さらに隆起していく!
背筋の溝で鉄パイプを1枚の薄い板にしてしまうパフォーマンスで人々をおののかせるあのマッスルボディが躍動、
彼女を後ろから見ている観客たちも感嘆が漏れる。
アメフト仕込みの巨体を持つ男たちがハイスピード、ハイアングルで上方へとスイングされると…

 ズドオオオオンッッ!!

 総重量300kgに及ぼうかという2人重なった男たちが、一度のパワーボムにまとめて切って取られた。
リングに大穴が開くのではないかと思われるほどの衝撃が会場全体に響き渡り、片隅で積もり重なっていた敗者たちの塚が崩れ
雪崩のようにリングのあちこちに転がり広がっていく、意識のない男たち。
そして、たった今2段重ねパワーボムで叩き付けられた男たちにも、レフェリーはカウントの必要なしと判断した。
2人仲良く縦に並んだまま、口から長く舌を出して吹きこぼした泡で自分の顔を汚している。

「どうしたの?私を好きなようにしたいんでしょ?」
 金欲と肉欲に釣られて来たはずの男たちを嘲笑うかのように、その後もデキシーは順調に彼らを畳んでいく。
基本的なボディスラムだけで男の戦意を喪失させ、さらにその男を踏みつけたまま別の男の相手をしてあげる。
苦し紛れに出してきたハイキックをキャッチ、片手で片足だけを掴んだジャイアントスイングでまとめてなぎ倒した。
1人のレスラーの体を1つの道具のように扱うデキシー。それを食らう男たちにしてみれば、
ヘビー級プロレスラーのフライングボディアタックを何倍ものスピードにして叩き込まれるようなものだ。
ついにリングの上に自分の足で立っている男は1人だけになった。あと残りの1人が入場してくるには40秒ほど待たねばならない。

「じょ、冗談じゃない!こんな奴の相手なんかしてられるか!」
 19人目の男はデキシーと戦うことさえせず、トップロープを飛び越え逃げ出した。
頭数の面で圧倒的なハンデをもらっておきながらこんな醜態をさらすプロの男に、観客たちが笑いで包む。
世界から選りすぐりの女傑たちが集うこのランブルローズのリング。こんな男は初めからお呼びではなかったのだ。

 恥も外聞もなく顔色を失って花道を逃げ去る男の前に、突如として1人の女が現れた。
身長170cmほどの、先ほどまで前にしていたデキシーと比較すればずいぶん小柄で華奢に思える、顔だちも髪型も幼さを感じる女。
「なんだお前は、どけ!」
「私は一応、あなたみたいな人がいてはいけないから番をする役目を言い渡されてるんです。
このランブルローズのリングで、正々堂々と戦う姿勢のない人は許しちゃダメなんですよ」
「うるせえ、そこをどけってのがわからねえのかこのガキャ!」
 男は、その道を通せんぼするかのように立つ柔道着にショートパンツ姿の、自分から見れば小さなその少女を力ずくで排除しようと
ショルダータックルで吹き飛ばしにかかる。
だが突進した先には既に彼女の姿はなく、その体当たりが外れたことを認識したころには彼の首に素早く彼女の腕が巻き付いていた。
「がっ!!は……」
「やっぱりこの程度ですね。逃げたくなる気持ちもわかります。
でも生半可な気持ちでこのリングに上がる人には制裁を加えるというのがルールなんで…悪いですけど観念してもらいますね」
 彼女の細いが逞しい腕により一層の力がこもると、そこからすぐに男の両目はスロットマシンのように黒目が瞼の裏で見え隠れし始め、
ついにはギョロリと裏返って、精一杯の抵抗だった両手も彼女の道着の袖から離れて力なく垂れ下がった。
芸術的なまでの絞め落とし。
彼女もまたランブルローズのリングで戦う女戦士、日本からやってきた柔道ファイターの藍原誠だ。
今日はデキシーのエキシビジョンのお手伝いのような役割に回ったが、誠もその寝技を武器に頂点を狙える女であり
こんな男を1人眠らせるなどまさに朝飯前なのだった。

ここで試合時間18分が経過。最後となる20人目の男がリングインする時間となった。
誠の裸絞めで完全に意識を失って横たわる仲間と、彼を花道の真ん中に晒したまま引き揚げようとする誠の前を通過しながら入場するしかない男。
「あなたは最後まであきらめずに戦ってくれますよね。私、応援してます!」
 すれ違いざま、明るい誠に声援を向けられる。
リングに向かう足取りはとても重かった。あの最強アマゾネスを相手にするのに、もう他の男たちは誰一人として残っていないのだ。
かといって逃げ出しでもしようものなら、この誠の餌食となり自分もまた花道で間抜けな置物にされるだけだ。
観客たちもこの男がデキシーに勝利する、いやわずかでも善戦することさえ考えてもいないだろう。いかに処刑されるか、でしかない。
もうリングには虫の息の男で溢れかえり足の踏み場もなかった。

「逃げずによく来たわね。リトルボーイ」
 対する最後の男も180cmほどで決して小さくはないはずが、このデキシーを前にしては小人というしかない。
そして、そんな彼女の言葉に傷つけられたプライドを怒りとしてぶつけていくことは…彼にはもうできそうにもない。
「そんなあなたに敬意を表して、特別な技でフィニッシュしてあげましょうね」
 デキシーは口元を吊り上げて微笑み、その鍛えられた大胸筋を動かすことでビキニに包まれた爆乳を
何も触ることなく大きく弾ませて見せた。
ここで客席から期待に満ちた歓声が沸き上がる。以前にも見せたあの技が、再び見られることへの期待からか。
「ぐはっ!!んむぅ…」
 自分から攻めていくことも、また逃げ出すこともできずにまごついていた男はなすすべなくデキシーに捕まり、自らの脚よりも太い彼女の腕の中で
全身を真っ二つにされんばかりのベアハッグで監禁される。
胴体が絞め潰されるような圧迫はもちろん、頭部のほとんどがデキシーの豊かな胸の中に埋没、一切の呼吸が許されない!
ランブルローズ最強の呼び声高いデキシー・クレメッツの超重量級爆弾バストに包まれ溺れ死ぬ…
強い女たちに胸を焦がして集まったここの観客たちには羨望の光景かもしれないが、実際にこの苦しみは味わってみなければわからない。
ここで彼女は片方の腕を離し、ブラの紐を少し緩め始めた。
何をするのかと思えば、なんと男の頭の後ろにブラを通し、再び紐を締め直したではないか。
それから両腕ともに離して腰に手を当てたデキシー。胸だけで、男を逃がさず捕獲してしまっている!
「さぁ、楽しみなさい。世界一の女の、抱擁をね」
 デキシーはダンスでもするかのように、両手を腰のまま体を思い思いにスイングさせる。
そのたびに胸はなびき、弾み、ブラで固定して飲み込んだ男の頭を洪水のように洗い、揉み潰していく!
デキシーが気ままに踊るたびに、まさに圧殺と呼ぶべき重い衝撃に流されるままの男。
言うなれば、地獄のアメリカンクラッカーだった。
 ボキッ…
 …とても、首の骨が持たなかった。男はついに胸の谷間からずれ落ち、完全に意識不明で倒れこみ頭をマットにバウンドさせた。
ここで終了のゴング。誰一人として、デキシーに汗の玉一つさえ浮かべさせることはできなかったのだ。
戦う女の強さを体現した巨女・デキシーの姿にここでひときわ大きな熱狂の声援が飛び交った。

 エキシビジョンは本日もあっけなく終了、これから始まる本戦第1試合に備えてリング上の片付けが始まった。
リングへと上がった数人の女性スタッフたちが、マットを埋め尽くしていた男たちを手際よく撤去していく。
彼女たちはもちろんこのリングで戦う女子レスラーには遠く及ばないものの、今の試合で蹴散らされていった男どもをシングルマッチで相手にする程度なら
確実に1分もかけず、フォールでもギブアップでも好きな形式で軽く料理してしまえる実力の持ち主たちだ。
その証拠に、今撤収作業をしている彼女たちは1人につき2人の男たちを一度に担ぎ上げてリングを降りていく。

 第1試合の準備が整いかけたあたりで、スタッフの1人がデキシーに衣装を渡している。
ホルスタイン柄のリングシューズにレガース、ベストなど…これは、デキシーが正規の試合で着用するリングコスチューム!
それらを装着したデキシーの顔が引き締まる。
「お待たせいたしました。それでは第1試合を開催いたします。
デキシー・クレメッツvsアイーシャ!!」
 アナウンスとともに軽快なBGMが流れ、カクテル光線で彩られた花道に全世界を魅了する歌姫兼ファイターであるアイーシャが姿を現した。
華麗なダンスを披露してから颯爽とリングに向け歩を進めてくるアイーシャ。
褐色の鍛え抜かれた198cmの美しい肢体は悩ましいくびれを見せ、一見細身に見えるのはその高い身長のせいでしかない。
彼女の横に並べばそのへんのベテラン男子プロレスラーが頼りないグリーンボーイに見えるほど、各部位の締まった筋肉量は半端なものではない。
広い肩幅も、ローライズのパンツにより強調されている凹凸のはっきりとした腹筋も。
そして彼女は肩に、何本ものベルトを担いでいた。
それはどれも、世界的なコンサートツアーの合間に遊び気分で参戦して自分の力を見せつけながら奪い取ってきた男子プロレス団体のチャンピオンベルトだ。
あくまで本業のついでに楽しんでくる程度の彼女に、世界各国の男子プロレスラーたちはいいように蹂躙されて最強の称号を持ち去られてしまったのだった。
「フフ…デキシー。そんな貧弱君たちをいじめて、自慢のつもり?」
「こんなのはただの準備運動よ。そっちこそ、そんな対して価値のないオモチャなんか見せびらかして、少しでも脅しになるなんて思った?」
「言ってくれるじゃない。今日こそ決着つけてやるわ」
「望むところよ…おいで!」
ベルトを投げ捨て、リングへと駆け出すアイーシャ。目に炎を灯してトップロープを跨ぐデキシー。
ランブルローズの本当の戦いを見せる、因縁の試合のゴングが鳴った。


 おわり






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