「噂の真偽」 200X年3月1日号より抜粋

「新時代スーパーアイドル飯田千穂!!衝撃のファーストビデオの全貌!」

 読者諸君は近頃若者の間で大ブレイク中のアイドル、飯田千穂の存在をご存知だろうか。知らないという
人のために説明すると、彼女は昨年暮れ頃から青年雑誌などを中心としたグラビアアイドル界に彗星のごとく
現れ、激戦区といわれるグラビア界にあって並みいるライバルたちを押しのけ一気にトップグループへと
のし上がった脅威の新人アイドルなのである。
 まあ並みいるライバルたちとはいっても、千穂のライバル足りえる女性などそうそういたものではない。
彼女は今までのアイドルの常識を根底から覆す、とんでもない武器を備えたまさに新時代のスーパーアイドル
なのだから。

 幼い頃から水泳と柔道で鍛えられた、いや鍛え抜かれたボディは相当な厚みを感じさせる。かといって
女の子らしいくびれなどは失われておらず、ボンッキュッボンッのダイナマイトボディ!ダイナマイトといえば
その豊満なバストとヒップの下に隠された、まさしく爆弾級の筋肉!!いまだかつて青年コミック誌のグラビアで
水着姿で6つに割れた腹筋を誇らしげにさらして微笑むアイドルなどいただろうか!?肩も腕も太腿も、
力こぶのゴリゴリ、グリグリという音が誌面から伝わってきそうだ。・・・かといって女性特有の柔らかさに欠ける
というわけでもない。適度に脂肪が乗っていて、ムキムキとムチムチが見事なバランスで両立した、いわば
グラビアアマゾネスであった。

 千穂の体のデータがある。身長188cm、バスト127cm、ウエスト71cm、ヒップ120cm!!これだけでは
驚いてはいけない。腕周り58cm、腿周り87cm!!何を食べたら、またどういった鍛え方をしたらこんな
爆裂ボディが生まれるのであろうか!?・・・読者の中には、こんな怪物みたいな女がどうしてアイドルとして
やっていけるのか疑問に思った人も多いであろう。識者に話を聞いた。
「今日、男の弱体化が叫ばれて久しいですからね。男のたくましさが失われていくこれからの日本では、
千穂ちゃんのような強そうな美少女にか弱い男どもが群がるような現状も全く珍しいことではありません。
これからはこういったアイドルが次々に現れることでしょう。青少年誌をグラビアアマゾネスたちが躍動する
姿に、日本の若者たちは胸を焦がし、憧れるのです。少年期から。男の軟弱化はますます加速しそうです。
これは由々しき事態ですよ」
 この国の未来はいったいどうなってしまうのか・・・

 先週の発売直後、即日完売となり既にマニアの間では目玉が飛び出るほどのプレミアが付いていると
言われている千穂のファースト写真集『HYPER−CHIHO!』が手元にあるので紹介しよう。
 まず表紙は千穂のバストアップ。テーブルの上に両肘を置き、両手の指を組んだその上に顔を乗せて
その大きな瞳でこちらを見つめているというカット。
 顔だけを見ればまだ幼ささえ残る16歳の美少女。こんな子に甘えられたい・・・と思わせてくれるかわいさ。
特にこの表紙の、やや潤んだようにも見える瞳と上目づかい、そして厚めの唇を少し尖らせている仕草が
キスをせがんでいるようにも感じられ、優しく包み込んで抱きしめたくなってしまう。
 ・・・ただ、それは顔だけを見ればの話である。テーブルに両肘をつけることによって千穂の広い肩は
さらにせり上がって見るものを威圧する。さらにそこから伸びる逞しすぎる両腕。この写真集を買う客層に
彼女より太い腕を持つ者などまずいないだろうから、彼らはこの表紙を見て優しく包み込まれ抱きしめられ
たくなってしまうのであろう。

 中身に目を移すとそれはアイドルの写真集というより、16歳のかわいい女傑のおりなす超ド級の肉体自慢の
様子を収めた衝撃のドキュメントであった。海辺で水着姿で巨大な力こぶを誇示するカットに始まり、半袖の
セーラー服をその肉体に食い込ませて街を歩くシーン、体操服にブルマー姿で片腕1本で腕立て伏せや懸垂
をするシーン、鍛え上げられた全身の筋肉を惜しげもなくさらす競泳用水着でプールから上がってくるシーン、
その水着を着用したままシャワーを浴びるシーン、レオタード姿で普通のジムではまずお目にかかれない
ような巨大なダンベルを片手で反復して上げているシーン、指3本で逆立ちしているシーン、その大きな手には
隠れてしまいそうなリンゴをかじるシーン、その腕と比較すると割り箸にも見えてしまうソプラノリコーダーを
吹いているシーン、布面積の少ないビキニ姿でベッドに横になっているシーン・・・すべてのシーンにおいて
千穂の筋肉は暴力的なまでに盛り上がり、ページをめくるたびに我々の目に強大な力こぶがこれでもか
これでもかと襲い掛かってくる。しかも千穂の表情は16歳の少女らしい可憐な笑顔。
 ・・・以上、この写真集を全編通して見てきて、強い女には興味はないと思っていた弊誌芸能記者一同で
あったがこの飯田千穂のあまりの顔と肉体のアンバランスに、この美少女アマゾネスぶりに何やら得体の
知れない興奮を禁じえなかった。

 アイドルであるから当然、写真集発売日には都内の某書店でサイン会が行われた。サイン会に訪れた
ファンの数およそ5千人!!熱心なファンの中には数日前から寝袋持参で並んでいたという男性や、
遠いところでは北海道や沖縄からはるばるやってきたという男性の姿もあった。彼らをそこまで駆り立てる
もの、それはサイン会の後抽選で200人にチャンスがある握手会ならぬ技掛け会であった。
当選すれば自分のリクエストする技をステージで千穂に直接掛けてもらえるというファンサービスであった。

「千穂ちゃんに投げ飛ばしてほしくて、そんで北海道から来たんです!ずっと夢でした!!」
「俺、千穂に首4の字かけられるんなら10万・・・いや100万出してもいい!!」
「僕、断然ベアハッグ!!千穂ちゃんにだったら、背骨ヘシ折られたっていいいぃぃ・・・」
「千穂様のラリアットで昇天した〜い!!」
「絶対スリーパー!!千穂ちゃんにオトしてもらえるチャンスなんて二度とないもん!!」
 ファンの男どもは異様な欲望に目をギラギラさせて熱き思いを語ってくれた。会場はM男どもの濁った熱気で
開始前からムンムンしていた。

 そして開始時間。サービス精神旺盛な千穂はグラビアアイドルの定番、蛍光イエローのビキニ水着で会場に
現れ、男たちを熱狂の渦に巻き込んだ。本日のメインイベントの技掛け会では肌の露出度満点のビキニを
身につけた千穂に密着して締め上げてもらえるのである。行列を作る男たちはただならぬ興奮ぶり。
サインよりも早く技を掛けて掛けて〜という、M男のジメッとした炎のようなものが会場の書店を覆い尽くしつつ
あるのを我々記者は感じていた。
 サイン会は滞りなく進行し、いよいよやってきたM男お待ちかねの技掛け会!日夜千穂の公式ファンサイト
で千穂に掛けられたい技ランキングにたぎる思いをぶつけ続ける、通称千穂フリークたちは発狂1歩手前
といった感じで千穂に声援を送り続ける。フリークスの絶叫がこだまする中、千穂はつややかな長い黒髪を
なびかせながらステージに上がり、マイクを取った。

「えっと、今日は皆さん本当にありがとうございます。千穂、こんなにたくさんのファンの人たちに会えて
うれしいです。今日は千穂が皆さんに技を掛けていいって聞きました。千穂って力強いから皆さんビックリ
するかもしれないんですけど、皆さんが喜んでくれるんなら千穂、頑張ってギュってしちゃいます。
千穂の感謝の気持ち、受け取ってください」
 千穂はその圧倒的な体躯からは想像も付かない、甘えたような舌っ足らずな口調でマイクを両手でしっかり
握り締めながら初々しく挨拶をした。自分のことを千穂と名前で呼ぶ子供っぽさもあった。そのギャップも
彼女の異常人気の秘密であるという。会場は千穂の幼い声にまた一段とギラギラが増していった。

 200名の当選者がくじで選ばれ、最初のフリークがステージに上がり千穂の前に立った。160cmそこそこで
ガリガリな体型の、いかにもアイドルおたくといった風貌の男であった。
「こんにちは!今日はありがとうございます。・・・あなたは、千穂にどんなことしてほしいですか?」
 千穂は体を折り曲げておたく男の目線に合わせる。そうすると水着のブラが破裂しそうな超爆乳がより強調
されて男の前に迫り来る。127cm爆弾の迫力に押されおたく男はなかなか言葉を返せない。

 この男のリクエストはコブラツイストであった。
「じゃ、いっきま〜す」
 かわいらしいセリフとともに千穂のムチムチムキムキボディがおたく男のひょろひょろな体に絡みついていく。
「え〜っっい☆」
 ギュ!!ゴリッ!メキメキメキメキィィ!!ぷにゅ。
「ぁ・・・ああああああああ〜!!」
 おたく男の鼻にかかった間抜けな声が会場中にこだました。骨のきしむ音までこちらに響いてくる。しかし、
男は顔中の筋肉が切れてしまったかのようにだらしなく緩んだ表情。
 千穂の超筋肉による鋼鉄のコブラが貧弱男の体を八つ裂きにせんとばかりに激しく巻きつき、ねじり、
締め上げる!もちろん十分に手加減はしているが。それと同時に千穂の127cmハイパーバストが男の背中に
むにゅむにゅぷにゅぷにゅ押し付けられる。おたく男は鋼鉄とマシュマロの二重攻撃によって天国と地獄が
一度にやってきたかのような世界へと送られているのであろう。

 千穂が技を解いた。おたく男は世界中のエクスタシーを独り占めにしたような弛緩しきった顔のままステージに
倒れこんだ。泡まで吹いて。
「だ・・・大丈夫ですかぁ?千穂、一応手加減したんですけどぉ・・・・・・」
 千穂がおたく男の顔を覗き込みながら気遣う。救急車までやってきた。しかし、周りの大勢のファンからは
技掛け会の続行を望む声が噴出した。
「ぼくたちはどうなってもいい!千穂ちゃんに絞められたーい!!」
「千穂ー!!僕には手加減なんかしなくていいからねー!!」
「千穂ちゃんのヘッドロック喰らえるんなら俺もう死んでもいい〜!!」
「千穂様あ〜!!僕を絞め殺してくださぁ〜い!!」
 病的なまでに熱い千穂コールに主催者も圧倒されてしまい、イベントの続行を決意した。ここから千穂は
残りの199人を次から次へと『天獄』へと送っていったのである。
 首4の字固め。ベアハッグ。STF。コブラクラッチ。アルゼンチンバックブリーカー。体からは骨や関節の悲鳴、
口からは甘く切ないような喘ぎ声を、男どもは漏らしながら次々に落ちていく。
 情けないほど緩みに緩んだ顔で運ばれていく200人。会場の書店前には救急車が殺到し、一時パニック
状態と化した。

 200人もの男どもを沈めてやっと額にうっすら汗ばんできた程度の千穂。
「みなさん、きょうは本当にありがとうございました。これからも千穂のこと、応援してください!!」
 甘い、子供っぽい声で最後の挨拶をマイクですると、その両手で持っていたマイクを右腕の肘に挟んでグッと
力を入れた。
 バキイイッ!!ウオン!!
 巨大に膨れ上がる力こぶの圧力でハウリングとともにマイクはバラバラに分解された。千穂の所属事務所が
考え付いたアピールだといわれている。会場に集まった千穂フリークたちの割れんばかりの歓声が響いた。

 さて、そんな千穂のファーストビデオがいよいよ来週発売となる。多くのファンは雑誌のグラビアや写真集
などの静止画像ではなく、初めて動く千穂を目にすることができるわけである。発売に先駆けて我々が
独占入手したビデオの全貌をここに紹介したいと思う。はじめに断っておくが、これは先の写真集をも凌ぐ
超衝撃映像集である。

 椅子に座っている千穂。テーブルの上には様々なフルーツが満載のバスケットが置いてある。千穂が
自己紹介をしながらバスケットからいくつかのリンゴを取り出した。
「千穂ねぇ、こうやってジュース作るの得意なんだよぉ」
 まさか・・・と思う読者もいるであろう。そのまさかであった。
 グシャ!パキパキ。メリメリィ・・・ジョボボボボボ・・・・・・
「はい、千穂の手作り、果汁100%アップルジュースでーす」
 リンゴをいとも簡単に、しかも片手に1個づつ握りつぶして噴き出す果汁をコップに注ぐ千穂。しかもリンゴを
手に取ってから完全に握りつぶしたあとも全くそのあどけない笑顔を絶やさない。
「千穂ね、朝寝坊なんかしちゃったらこれ朝ごはん代わりにするの」
 こんな芸当は千穂にとって文字通り朝飯前のようであった。その怪力に我々は戦慄を覚えた。もしケンカに
なって千穂を怒らせてしまい、急所を力いっぱい握られでもすれば我々男は一瞬にして男でなくなってしまうと。
しかし、この程度でおびえるのはまだまだ甘かったのである・・・

 舞台はどこかの体育館に移り、千穂は写真集でも披露したブルマー姿で立っていた。
「それじゃ千穂、体力測定しまーす」
 腰にこぶしを当て、もう片方の腕でガッツポーズを取る千穂。普通のアイドルなら愛くるしいそのポーズも、
千穂にかかればそれは我々男たちを威嚇するアピールと化す。体操服の袖がバチバチ音を立てる。
ガッツポーズによる筋肉の膨張に負け縫い目から破れているのだ。無理もない。千穂の逞しい肩幅をはじめ
上半身全体の筋肉が体操服を限界まで引き伸ばし、もはや体操服というよりピッチリと体にフィットした
ボディスーツの様相を呈していたのだから。
 それもお構いなしに、まずは握力から測定する千穂。
「ふんっ!!」
 バキイィィ!!ピーン・・・・・・
「あちゃ〜、壊れたよー」
 ・・・恐ろしいことに、握力計の針は10メートルほど前に飛んでいってしまった。千穂は口に手を当て
笑いながら破壊された握力計を撮影スタッフに手渡す。握る部分まで2つに折れていた。
 握力測定不能。我々は再び背筋が凍りついた。

 続いて背筋力測定。
「ふんっっ!!」
 ブチイイイィッ!!
「あっ・・・」
 正確な背筋力がはじき出される前に、メーターとハンドルをつなぐサイズ調整用の鎖がちぎれてしまった。
「あーん、今のやり方が悪かっただけぇ!お願いもう1回もう1回!!」
 甘い声でスタッフにおねだりする千穂。・・・スタッフも明らかにおびえている。
・・・けっきょく、代わりの鎖が用意され千穂のリトライとなった。
「ふんんっ!!」
 ビン!! バキバキバキイイ!!ガシャン!!ブチッ!ピーン・・・・・・
「あっ・・・あれぇ〜?」
 何度やっても結果は同じようであった。今度は背筋力計本体が根元から破壊された。部品はバラバラとなり
針もさらに遠くへ飛んでいき、また鎖が切れた。体育館に置いてあるような学生の体力を計測する程度の
機械では何個あっても無駄なようである。スタッフ一同の表情は引きつったまま固まっている。無言だ。
「やーだー!また壊しちゃったよぉ、千穂どーしよー!!あっ、なんでみんな黙ってんのー!?
壊しちゃったのは千穂謝るからぁ・・・やーん千穂をほったらかしにしちゃ、やーー!!」

 体力を表す数値は測定できないので中止となったらしく、またまた舞台は移り変わった。ここから、千穂の
超怪力破壊ショーが本格的に幕を開けたのである。
 場所を変え衣装を変え、様々な風景をバックに思い思いのコスチュームで、
千穂は自分の両親のこと、飼っているペットのこと、友達のこと、学校のことなど美少女アイドルらしい話を
にこやかに話すと同時に、さりげなく豪快にその怪力を披露する。
Tシャツの袖を盛り上がる力こぶで破裂させる!
折りたたみ式ではないマウンテンバイクを3つに折りたたむ!
トマトジュースを飲んだ後のスチール缶を雑巾のごとく捻り潰してくずかごに放り投げる!
26本用意された鉄パイプを1本1本飴のようにグニャグニャ曲げていきアルファベットのAからZまで形どる!
ABCの歌を口ずさみながら。
500円玉を親指と人差し指でUの字に曲げ、また元に戻す!
ドラム缶を抱きしめてくの字に変形させる!
サイドブレーキの引かれた撮影スタッフ用のワゴン車を腕力のみで引きずる!!
・・・・・・それもニコニコ微笑んでしゃべりながら、である。全て。
 ・・・ビデオを見ていた我々は正直な話、失禁寸前であった。もし千穂の彼氏になったとする。怒らせれば
当然身はもつまい。しかし、愛されすぎても命にかかわる。中に水を満載して密封したドラム缶を抱きしめて
砂時計のように変形させ破裂させてしまった16歳の美少女。ドラム缶の破れ目から噴き出す大量の水と
それでもまだベキベキ音を立てて絞り上げつつカメラに向かってまぶしい笑顔を見せる千穂を見ながら、
我々は震えが止まらなかった・・・・・・

 ビデオはいよいよ佳境に入った。舞台は個室のベッドルーム。千穂の着替えシーンでもあるのかと思いきや、
1人の男がボクシンググローブを装着して椅子に座っていた。・・・その顔に見覚えがあった。元プロボクサーの
原口太郎であった。この原口という男、デビュー戦から圧倒的強さで連勝街道を驀進し、いよいよ
日本チャンピオンに手が届こうかというときに、もともとの素行の悪さと相次ぐ暴行傷害事件の発覚で
ボクシング界を追われた問題児である。・・・しかし、なぜその原口がこんなアイドルビデオに出演を・・・?

 ベッドルームのドアが開き、千穂が姿を現した。なぜか競泳用水着にボクシンググローブ。しかも、その
グローブというのがアイドルのピンナップにありがちなやたらに大きい軟らかそうなピンク色のグローブ。
これで殴っても全く外傷のできなさそうな、バラエティ番組にも良く使われるものであった。
「あのー、千穂ぉ、この部屋の中にいる人と戦うようにスタッフの人から言われたんですけどぉ」
 千穂の口からとんでもない言葉が飛び出した。なんと、アイドルを元プロボクサーと戦わせるというのか!?
「なんだぁ?ここの会社の奴が好きなだけボコれる奴を用意したなんていうから来てみりゃ女じゃねえか!?
あの野郎ナメやがって・・・何考えてや・・・が・・・・・・」
 原口は千穂を見るとやはり言葉に詰まった。なにせ188cmの超筋肉超巨乳少女である。原口は軽量級
であったからせいぜい160cm代前半。目の前に高くそびえる壁のような16歳のアイドル。
「お・・・お前、俺と戦うだと?」
「はい。そうらしいんですけどぉ」
「そうらしいんですけどって、お前な・・・俺を誰だか知ってんのか!?」
「え?」
 千穂と原口の間では全く話はできていないらしい。おそらく、千穂の強さをこのビデオで表現するべく両者に
すら内緒でこの2人での真剣勝負を企画したのであろう。このベッドルームを撮影しているカメラの画質から、
隠しカメラで本人たちにも内緒で撮影しているのがわかる。千穂の事務所は一体何を考えているのか?
原口太郎といえば不祥事さえ明るみに出なければ今頃世界チャンピオンにも君臨しているはずの天才
ハードパンチャーである。その男を、大きくて力があるとはいえ素人の16歳の女の子と戦わせようなんて・・・
正気の沙汰ではない。アイドルの命であるかわいい顔に傷がつくどころでは済まされないはずなのに・・・

「わかったよ・・・そんなに言うなら相手してやらあ。あとで文句言うんじゃねえぜ、ヒヒヒ・・・」
 原口は重大かつ残虐な暴行傷害事件を相当数引き起こしている暴力依存症の癖があるという。それは
たとえ女子供でも容赦は一切ない。一説には死人すら出ているとも言われている。また、立てなくなるまで
殴りに殴った女性をそのままレイプするというボクサーどころか人間にあるまじき非道まで働いた男である。
それはこの千穂の前でも変わりない。残忍な目で見上げながらグローブをバシバシ合わせる。
 やばい、千穂、逃げろ!!・・・ビデオの中の千穂には伝わるはずもないが、筆者は心の中で叫んでいた。
こんなことは間違っている。これが正規のルートで販売するアイドルのビデオなのかと。

「顔も体もお嫁さんに行けねえぐれえにしてやるからな・・・おらああああああ!!」
 ポスン。
「え?」
「なっ・・・・・・!?」
 原口の右フックが完全に千穂のボディをとらえたはずだったが、千穂は原口を見下ろしたまま首をかしげて
いるだけであった。
「バ、バカな・・・う、うおおおおお!!」
 原口はボディの連打を千穂めがけて繰り出す。しかし、千穂はビクともしない。ただきょとんとした顔で原口の
ラッシュを受け続けながら見下ろしていた。
「ハァハァ、い、一体どうなってんだこの女・・・」
「あー!!千穂わかったよぉ!あなたは練習してるんですね?ね、そうでしょ?」
 千穂は今まで何もなかったかのように明るい笑顔をほころばせた。それを見上げる原口の表情はみるみる
引きつっていく。自分のパンチをあれだけ受けて笑っているなんて。しかも16歳の女の子が。
「じゃあ、千穂も練習しちゃおーっと♪」
「ひっ・・・・・・!」
 ドズウウウウウウゥッ!!
「ぐぼぉ・・・ご・・・・・・」
 原口は目をむき、今にも吐きそうな顔をして横向きにくの字となりながらよたよたと部屋のベッドにもたれ
こんでしまった!元プロボクサーをたった1発のボディブローで!我々は眼を疑わずにはいられなかった。

「ぐぶ・・・ご・・・っほ!い、一体・・・何なんだこの・・・おん・・・な・・・・・・」
 原口は顔面を脂汗でびっしょりにしながらわき腹を押さえて必死に呼吸を取り戻そうとしていた。
動揺が全く隠せていない。
「え〜?千穂ただの練習だったのに〜」
 自分の大きなグローブ両方を顔に押し当てながらかわいくぴょんぴょん飛び跳ねて笑う千穂。それとともに
千穂の127cm砲も競泳水着の下でダイナミックにユッサユッサ躍動する。
 スポーツといえば水泳と柔道の経験しかない千穂であるから、パンチといってもほとんど形になっていない、
極端な言い方をすれば猫の撫でたような、キレのないパンチであった。しかし千穂の測定不能の腕力から
繰り出されるそれは熊のような威力で原口のボディをえぐったのである。しかも普通はダメージの残りそうにない
その大きなフカフカのグローブであるにもかかわらず。もし千穂がきちんとしたパンチの打ち方を会得していて、
今の原口と同じサイズのグローブを着用していたとしたら・・・原口は絶対この程度では済むまい。
いや、一撃のもとに失神KO 、下手をすると即死もありえたかもしれない・・・・・・

「た・・・たまたまいいのが入っただけだ。いい気になってんじゃねぇぞこのアマ・・・!」
 なんとかベッドに手をつきながら立ち上がってきた原口。しかしダメージは確実に残っているらしく、
フットワークは鈍い。
「そんな乱暴な言葉遣いする人、千穂きらいです」
 千穂は少しふくれたような表情を見せた。原口の睨みにも全く動じる様子はない。
「う、うるせえええええ!!」
 明らかに冷静さを失っている原口が千穂に殴りかかっていく。・・・しかし、驚いたことに千穂は原口の猛攻を
スキップでもするかのように軽やかにかわしていく。今少し冷静さを欠いているだけで、現役時代とほぼ
遜色ないはずの原口の素早いパンチの雨が全くかすりもしないのである。
「わっ、わっ、速いです、当たっちゃう〜」
「く、この・・・なんで、なんで当たらねえんだ!?この、このぉ!オラオラオラオラァァァァ!」
 幾多の強豪をマットに沈めてきた自分のパンチが、一度は世界をも照準に入れた自慢のラッシュが、
目の前にいる素人の、しかも女に1発も当たらずかわされまくる屈辱に原口はムキになりますます大振りに
変わっていく。それにより余計にパンチと千穂の距離は離れていく。

 千穂はそのまま5分近くもの間ただ原口のラッシュを軽くかわし続けた。原口のパンチが時間を追うごとに
焦りと疲れからみるみるスピードとキレを失っていくのに対し、女の子女の子しながらも華麗なフットワークで
原口に部屋中を無駄に駆けずり回らせるスピードは全く衰えるところを知らない。
「ハァハァ、こ、このアマぁ・・・チョロチョロ逃げ回ってねえで勝負しやがれ!!」
 体中汗だくとなり息が上がってしまっている原口が残り少ないスタミナをふりしぼって渾身のストレートを
千穂の顔面めがけて振り上げた!
 ガシッ!
「う・・・!?」
 弱っている原口のストレートは千穂にいとも簡単にキャッチされてしまった。千穂はグローブをはめた手で
原口の手首を素早くつかんでいたのである。
「じゃ、今度は千穂の番ですよ。ラッシュの練習しますね」
「あうっ・・・・・・!」
 原口の顔から一瞬にして血の気が引いていくのがわかったような気がした。

 ドスッ!ズドォ!ボムッ!ドゴオオオオ!!ドム!!
「がごぉ!!うぶぅふ・・・ごおっ!!がはあああああ!!」
 スタミナを消耗しきってしまった原口は惨めなまでに千穂のハンマーのようなパンチの嵐にさらされた。
打撃系格闘技の経験がない千穂のパンチはスピードに欠けるものの、その力たるやそんじょそこらの格闘家
など足元にも及ばないであろう。
 よく戦国時代を描いた映画などで城門を丸太を引いた馬車で打ち破るシーンを見かけるが、千穂のパンチは
まさしくそれであった。重い重い1発1発が原口のボディ、脇腹、顔面を吹っ飛ばしてしまうかのような
勢いで叩き込まれていく。もともと体力が残り少ないところに千穂のダイナマイトパンチが容赦なく襲い掛かって
原口の全身を内側から破壊していく。大きな軟らかいグローブのため外傷はないが、ないのはあくまで外傷
だけである。内臓や骨にはその衝撃がかなりの深さと破壊力をもって響いていることであろう。

 その後3分間にわたって千穂のハンマーパンチで打って打って打ちまくられた原口。千穂が手を止めたため
ようやくダウンが許された。立ち上がろうとはせず、完全に千穂に背を向けて這いずって部屋をあとにしようと
している。元プロボクサーの意地とプライドもどこへやら、すっかり逃げ腰であった。しかし・・・
「ねーどこ行くんですかぁ?千穂やっと練習終わってこれから本番なのにー」
 千穂のその言葉を聞いた途端原口の表情はあからさまに凍りついた。這いずるスピードが増していく。
しかしあっさりと千穂に捕まり、引きずり起こされてしまった。
「わあああ!!た、助け・・・・・・」
 あの残虐非道の原口太郎の口からは信じられないような情けない声が出た。
「千穂ね、ちっちゃい頃からずっと柔道やってるんです。乱取りとか毎日やってるからよけるの得意なんでーす。
おじさんみたいなパンチなら、余裕でよけちゃいます♪」
 楽しげに語りかけながら千穂は原口の腕を背中に回して楽々としかし折れる寸前まで一気にねじりあげた!
「ひぎぎいい!!いだだだだだだ!!」
 その身長差から、原口が激痛と骨折の恐怖から逃れるためには限界ギリギリまでの爪先立ちを余儀なく
された。涙まで浮かべている。哀れな姿であった。
「それから千穂、水泳もずーっとやってるんですよ。だからスタミナとかけっこう自身あります。おじさん、あんまり
体力ないみたいですね。なにかスポーツしなきゃ」
 元プロボクサーのあの原口太郎を遥かに凌駕するスピード、パワー、スタミナ。そんな千穂にいいように
殴られ捩じ上げられ、さらに知らないとはいえ素人扱いされる屈辱。若干16歳の美少女アイドルに心身ともに
叩きのめされる原口。悲鳴が、今にも泣き出しそうな声に変わりつつあった。

 我々は驚かされた。原口を痛めつけているうちに千穂の瞳が何やらキラキラとした輝きを増してきているのに
気付かされたのである。それはまるで面白いオモチャを見つけた子供のような輝きだった。
「千穂、この前の技掛け会のときも感じてたけどぉ・・・」
 千穂は独り言のようにつぶやきながらねじる角度をますます上げていく。原口はそれに合わせてうわずった
悲鳴を漏らしながらどんどん前屈みになっていく。そうしなければ・・・折れてしまう。
「男の人を、やっつけるのってぇ・・・・・・」
 ギリギリギリッ・・・
「ひ、いぃぃ、あだっ、あぁぁぁ・・・・・・」
「なんで、こんなに楽しいのおおおお!?」
 ズダアアアアアアアン!!
「ああっがああああ!!」
 千穂はとんでもない言葉を叫ぶと同時に腕を極めたまますさまじいスピードで払い腰を繰り出した!
柔道2段の千穂が放つ払い腰はキレが半端ではなく、破壊力のほどはビデオという形でも十分すぎるほど
伝わってきた。組み技系格闘技の経験がない原口は十分な受身が取りきれず、全身を強打して絨毯に
力なくのたうつ。

「千穂、熱い・・・たまんなぁい・・・・・・」
 ガシッ!ブン!!
「ひ、あわあああああ!!」
 ドサァァァン!!
 屈辱と苦痛と恐怖が入り混じって泣きながら混乱している原口を千穂はベッドに無造作に放り投げた。
千穂の顔は紅潮し、目も潤ませて息づかいも荒い。・・・興奮しているのである。千穂はまさか、自分のその
巨体と怪力、柔道技で男を捻り潰す快感に目覚めてしまったとでもいうのであろうか!?

「千穂の得意技・・・受けてみてくださいね・・・!」
 今までに蓄積したダメージと、たった今の払い腰によって立ち上がる体力も気力もなくなりただベッドの上で
のたうつしかない原口のもとに千穂は歩み寄った。そして自らもベッドに上がり、原口の腕を取って、その
87cmの鋼鉄の太腿を原口の首に絡ませていく・・・
 ギュウウウウウウウウ!!
「ががががああ!!あが、ぁがああぁ!!がっご・・・・・・」
「千穂の得意技、三角絞めで〜〜〜っす!!」
 千穂の太腿の筋肉が猛烈に隆起し、原口の頚動脈を情け容赦なく圧迫していく!!原口は殺虫剤を噴射
されてもがき苦しむ害虫のごとく足をバタつかせる!しかしそんなことをしたところで千穂のその万力のような、
いや自動車解体用のプレス機のような強力無比な締め付けの前には何の役にも立つはずがなかった。
これぞまさしく無駄な抵抗である。・・・腕の力のみで中身の入ったドラム缶をクチャクチャにたたんでしまう千穂
が相手なのである。ましてや人間の脚の力は腕の3倍といわれるのだから・・・・・・
 原口の必死のもがきにベッドは激しくきしむが、千穂は1mmたりとも動く気配はない。
「もがくとそれだけ苦しくなっちゃいますよぉ!?」
「あが!あがっ!!あ・・・がっは・・・ぁ・・・・・・」
「千穂にこれされて逃げられた人ってまだいないんです。逃げてみてください」
 無駄だとわかっていてもやめるわけにはいかないようであった。あまりの締め付けの強烈さに、おとなしくして
いては発狂しかねないのであろう。

 窒息の苦痛、そして今にもスクラップにされてしまいそうな逃れられない恐怖に原口は精神が押しつぶされ
そうな心境にあるに違いない・・・と思ったら、何やら状況は違ってきていた。原口の表情は、目尻が下がって
トロンとした顔になり始めていた。・・・・・・しかも・・・トランクスが・・・膨らんでいる・・・・・・
 何と原口はこの状況下で・・・欲情しているのであった!!あのイベントの際の技掛け会で千穂に沈められて
いったあのフリークスと全く同じ表情を浮かべているではないか!・・・あの極悪非道のサディストの原口が・・・
今までに数え切れないほどの女に一切の容赦もなく暴行を加えヒィヒィ言わせてきたというあの原口太郎が・・・
16歳の女の子にヒィヒィ言わされるだけならともかく、それに興奮を覚え情欲におぼれ勃起までするなんて・・・
ボクサーとしてのプライド、男としての意地を年端も行かないアイドルの女の子に跡形もなく打ち砕かれ、
そこに、強い女の子に一方的に叩きのめされるという新しい快感を植え付けられたとでもいうのか・・・!?

「あ〜、あ〜・・・あはぁ〜〜〜・・・・・・」
 締め上げられながらの悲鳴も甘えたような喘ぎに変わっていった。・・・間違いない。この男は千穂によって
マゾに開眼させられたのだ!!・・・トランクスを突き破らんばかりに怒張させている。
「千穂、こんなのも得意なんです!受け取ってください!!」
 原口の勃起には気付く様子もない千穂は三角絞めを解くと、間髪いれず原口を裸絞めに捕らえ、絞めあげた
ままベッドの上にスクリと立ち上がった。原口の足はシーツに接地していない。
「そおぉ〜〜〜〜〜〜れっっ!!」
 千穂は原口を裸絞めに捕らえたままベッドの上で激しく回転を加えた!!軽量の原口が遠心力によって
プロペラのように室内を旋回する!スイングスリーパーである。しかもその回転の速度は生半可なものでは
なかった。回転する原口の胴体がベッドと平行にまでなっていた。

「千穂の必殺技、逃れてみてくださ〜〜い!!」
「ぁぁぁぁあああああああああああ!!」
 しかも驚くべきことに、先ほどの三角絞めを遥かに上回る苦痛を与えられているはずなのに原口の顔は
以前にも増してさらにだらしなく緩みきった表情に変わっていた!そして・・・・・・

 ビクン!ビク!どぷぷぷぷっ!!ぴゅーーーーっ!!びゅくん、どくどく・・・ビク・・・・・・

 原口は超高速で回転させられながら激しく痙攣すると、トランクスの前半分におびただしいシミを広げていった
のである!遠心力でトランクスの裾から白い液体が数滴飛び出て行った・・・
 原口は・・・射精したのだ!!かわいい女の子にボコボコにされ・・・締め上げられ・・・振り回されて・・・
最大級の苦痛と恥辱に溺れさせられながら・・・それに感じて・・・イッたのだ・・・・・・
 我々はこの原口太郎の今後について憐れみを覚えずにはいられなかった。こんな状況下で発射させられた
のである。おそらくかなりの、いや、極度のM的快感をその体に刻み込まれたものと思われる。これから先、
原口は普通の性交ではまず快楽を得ることは不可能となったと見て良いであろう。かと言って、これだけの
快感を与えてくれる女など千穂以外にそうそう存在するものではない。この男、これからどうなってしまうというの
であろうか・・・・・・

「おじさんすっごーい!!まだギブアップしないんだ〜〜!!」
 ・・・ギブアップしないのではない。もうとっくに落ちてしまっているのだ。トランクスに大きく広がった前ジミから
湯気を立ち上らせながら涎を垂らして恍惚とした表情で目を見開いたまま眠りについている原口の首を
ガッチリとホールドしたまま、千穂は16歳の少女らしいかわいらしい笑顔をはじけさせながら、哀れな小男を
いつまでもいつまでも振り回し続けていた・・・・・・

 ・・・本当に、こんな恐ろしいものをアイドルのビデオとして一般のルートで販売するつもりなのか・・・・・・・・・

 おわり





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