隣の若奥様

ある日、隣に人妻が引っ越してきた。

人妻ならではの艶のある美貌。清楚で気品のある物腰。
メガネを掛け、髪を後ろで束ねているのだが、野暮ったさはどこにも感じられない。
多少、ぽっちゃりしているものの、ドン!と前方に張り出したロケットバスト。さながら深窓の若奥様と言った感じだ。
だが、旦那さんは仕事で家を空けることが多く、未だ見たことがない。また、子供も居らず独りで居ることが多いらしかった。

一方の俺は、妻とソリが合わず離婚して以来ずっと一人身。これはチャンスだと思った。

焦らず慌てずじっくりと距離を縮めて行く。毎朝、声を掛け挨拶をし、実家からのお裾分けと偽り、食べ物を贈った。
その甲斐あってか、ついに彼女の家に招かれることに成功したのだ。



「何だか、急にお邪魔しちゃったみたいですみません。」
「いえいえ、こちらこそ。主人が普段、家に居ないんで私も時間を持て余してしまって・・・」ふふふ、と彼女は微笑んだ。

「ご主人は、何の仕事をされているんですか?」これは素直に気になっていたことだ。
「・・・実は、主人はプロレスラーなんです。」

「・・・ええっ!? プロレスラーですか?」意外な答えが返って来た。

聞いた話によれば、旦那さんはとある団体のプロレスラーで、地方にもよく巡業で行くらしい。
普段の試合前も、何日か前から道場に泊まり込むらしく、結果的に家に帰るのは月に数日ってところなのだそうだ。
通りで一人で見ることが多かったワケだ。

「・・・でも、ずっと一人だと物騒じゃないですか?」この辺りは新興住宅地で、夜はほとんど人気がない。
実際に、通り魔や空き巣が出たなんて話も聞く。

「私もそう思って、主人に・・・・・」そう言って、奥さんは苦笑して口篭った。
「・・・? ご主人がどうかされたんですか?」
「主人に、プロレスを習うようにしたんです。」
「プロレスを・・・?」
「私って今まで趣味みたいなものもなくて、それだったら護身術を覚えるついで身体を鍛えたらどうだ、って」

そういうと、奥さんはおもむろに右腕の袖を肩辺りまで捲った。
脂肪が付いているのかやや太いな、とは思ったもののそれ以外は何の変哲もない普通の綺麗な腕だ。

しかし。

拳を握り、力を篭め、肩の高さで腕を折り曲げて行く。

ググッ グググッ

前腕と上腕の隙間が狭くなるのに反比例するように、上腕二頭筋が隆起して行く。どこにそんなものが詰まっていたのだろうか。
今まで見たこともないような巨大な力瘤が盛り上がっていた。

「・・・す、凄い・・・ですね・・・・・」呆気に取られてそれ以上、言葉にならなかった。聞けば、力瘤は旦那さんより大きいらしい。

「専業主婦になって、自由に使える時間が一杯あるのは良いんだけど・・・他にすることもないから・・・」
旦那さんにトレーニングを勧められて以来、自由時間を全て身体を鍛えるのに費やしたそうだ。

「もう、ホントに楽しくて・・・使った時間の分だけ、身体が"変わる"のがわかるから。
そうしたら、いつの間にか主人よりも力が強くなっちゃって・・・」
"それ"が原因で旦那さんとの関係が悪くなり、今は旦那さんとあまり「夜の生活」をしていないらしい。
文字通り、プロレスという腕力仕事をしている夫が、専業主婦である妻にその腕力で劣るのは精神的に相当クるものがあるのだろう。

「でも、幾ら強くなっても夜はやっぱり寂しくて・・・。そんな時に、アナタが良くしてくれるから・・・」そういって、奥さんは頬を染めた。

なるほど。そういうことか。向こうも最初からその気だったワケだ。なら話は早い。


「・・・奥さん。私もずっと貴女のことが気になっていたんですよ・・・。」じっくりとタメを作って口説きに掛かる。
「この力瘤を見ても・・・何とも、思わないんですか・・・?」恐る恐る聞いてくる。

確かに、最初見た時は驚いたがまあ、ただそれだけだ。別に、特に思うところはない。

「こんな身体を見ても・・・・・」
そういうと、奥さんはおもむろにメガネを外し、髪留めを外した。ブラウスのボタンを外し脱ぎ始める。
セミロングの髪が後ろに流れる。そして、立ち上がるとワザと威嚇するように両腕の力瘤を盛り上げた。
上半身には、明らかに海外製と思しきブラのみ。脂肪でコーティングされた筋肉を纏った見事な逆三角形のフォルム。
ブラに窮屈に収まっているロケットバストは、むしろその巨大さでバランスが取れている。

俺は、クラーク・ケ○トがスーパー○ンに変身するシーンを思い浮かべていた。
メガネを取り髪を解いた様は、更に妖艶さを増していた。
そして、着痩せするタイプなのか、服を脱ぐ前とは比べ物にならないほどの迫力ボディ。
別段、筋肉嗜好は持ち合わせてはいないのだが、そのギャップは俺に性的興奮を喚起させるには充分だった。

「充分過ぎるぐらい、綺麗ですよ・・・。」囁くようにそう言った。

俺は、仰向けにベッドに横たわった奥さんに跨る形になった。
ちょうど目の前には、味気ない海外製ブラにギュウギュウに押し込められたビッグバスト。
そのブラのフロントホックを1つ1つ、丁寧に外して行く。
程なくホックを外し終えると、何と、バストがその弾力でブラを弾くような形で顕わになる。
仰向けにも拘らず、ピンと上向きにそそり立つ双丘。

「・・・触っても・・・良いですか?」恐る恐る尋ねる。
「・・・・・ええ。」頬を紅潮させながら奥さんが消え入りそうな声で答える。

一見、筋肉かとも思ったが実際に触ってみると、まるでゴムボールを掴んでいるような弾力で押し返される。
少なくともバストに関しては、筋肉のような硬さや、シリコンのような違和感は一切感じられない。
恐らくだが、鍛えられた大胸筋が土台となり、このロケットバストと呼ぶに値するフォルムを保っているのだろう。


自然と奥さんの腕が俺の腰に回される。次第に、1つになった状態での上下運動が激しくなってくる。

・・・ギュウ

もしこの時、ここで行為をやめていたら無事でいられたかもしれない。
別に奥さんの話を信じなかったわけじゃない。単純に腕力が強いのは確かだろう。
だが、実際にプロレスラーの旦那さんより力が強いというのは正直、眉唾ものだった。
仮に、百歩譲ってそうだったとしても、実際に"あんなこと"になるなんて普通、思いもよらないだろう。
いや、想像すらしないはずだ。

・・・ギュウ ・・・ギュウ

奥さんの腕に徐々に力が篭っているのがわかる。頂点が近いのだろう。嬌声の感覚も短くなって来ている。
俺も良い具合になってきたので、動く間隔を短く早くした。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」

俺のフィニッシュに合わせたかのように、声にならないような甲高く長い嬌声が響く。

しかし。その時、遂にそれは起こってしまった。


・・・メリメリメリメリメリ


・・・ボキッ! バキバキバキッ !!


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ!!」

今度は、俺が声にならない悲鳴を上げた。いや、実際に声になっていなかったのだろう。
だが、明らかに腰の辺りから鈍く、重い"何か"が砕ける音がした。激痛が全身に走り、意識が朦朧としてくる。
そのまま、自分の身体を支えられなくなり、奥さんの豊満なバストに顔を埋めてしまう。

「・・・・・・・・・っ!」

すみません、そう言おうとしたが声が出ない。勿論、起き上がることも出来ない。
そんな朦朧とする意識の中、奥さんの囁くような声が聞こえた。

「・・・ああ! すみません!! ・・・また、やってしまった・・・・・」

・・・・・また?

「言ってなかったんですけど、実は今、主人が居ないのは巡業でも試合でもないんです・・・。」

・・・・・? どういうことだ・・・?

「仲違いをしていたのは本当なんですけど、私がどうしても耐えられなくなって夜の生活を求めたんです。
主人は余り乗り気じゃなかったんですけど、私の方は久しぶりだったんで嬉しくて嬉しくて・・・・・」

・・・・・・・・・

「そしたら、さっきみたいに抱き締めたときについ余分に力が入っちゃって・・・・・それで・・・」

・・・・・まさか

「・・・脊髄損傷で入院なんて羽目に・・・・・それで、入院する夫の看病生活に疲れて、つい貴方に・・・」

鍛えられ、耐えることに特化した強靭な身体を持つプロレスラーの背骨を砕き折ってしまう腕力。
実際に、腕力を振るうところは見なかった。どこかで、女の腕力とタカを括っていたのだ。
だが、あの力瘤を見た時に気付くべきだった。尋常じゃない大きさの力瘤。
そこに秘められた筋力は、推して知るべしだったのだ。
レスラーでさえ耐えられなかった怪力。そんなものに、素人の俺が耐えられるはずもなく・・・・・。



極上のバストに埋もれながら、俺は意識を失った。


おわり





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