inserted by FC2 system レスリング部物語


「竹中先生。何か御用ですか?」
「おぅ山内。練習のことなんだけどな?」
「はい。」
「えぇと明後日、水曜日の練習に、中等部の1年生が1人参加することになったから、よろしく頼むな。」
「中等部ですか?」
「あぁ。藤嶋くんっていう子なんだけど、なんと世界選手権のジュニアチャンピオンらしいぞ。」
「ジュニアチャンピオン?」
「あぁ。まだ中学1年になったばっかりだが、無差別級のチャンピオンらしい。」
「無差別級ですか。凄いですね。多分俺達じゃぁ全然相手にならないんだろうなぁ。」
「そうかも知れんなぁ。だけどお互いの練習にはなると思うぜ。」
「確かにそうですね。面白そうです。」
「じゃぁ、俺はその日、出張でいないけど、よろしく頼むな。」
「分かりました。」

中高一貫教育のG学園は、全国的にも有名な進学校として知られている。
この学校のレスリング部は、わずか5人という部員数ながら、県大会でもベスト4に入るなど
それなりの活躍を見せている。
高校3年生の主将、山内吾朗を中心にチームワークも抜群だ。

「そう言うことだから、明日の練習には藤嶋くんが参加することになったから。」
「楽しみだなぁ。世界チャンピオンかぁ。」
「ジュニアだけどね。」
「そんな奴が俺達の学校にいたんだな。ホント驚いたよ。」
「楽しみですね。僕は5時から塾があるけど、それまでは必ず参加しますね。」
「俺も水曜は塾だけど、折角だから顔を出すかな。」

そして約束の水曜日、放課後。
部室に集まった5人は、体育館裏にある道場へと足を運んだ。

「まだ藤嶋くんは来てないみたいですね。」
「そうだなぁ。約束の3時は過ぎてるから、もう来ていてもおかしくないんだけど・・・。」

5人は道場の周りを見渡したが、それらしき生徒は見当たらない。
吾朗は、道場の向かいで立ちながら本を読んでいた女子生徒に尋ねてみた。

「ちょっと悪いんだけど、この辺で中等部の男の子を見かけませんでしたか?」
「えぇ。ちょっと見てないです。」
「そうですか。どうもありがとう。」

吾朗は振り返って、再び道場に入ろうとした。
すると今度は、本を読んでいた女子生徒の方から声を掛けてきた。

「あのぅ・・・。」
「何か?」
「レスリング部の方ですよね。」
「はい。」
「あの・・・私、藤嶋と言います。藤嶋弥生です。」
「えっ・・・・?。藤嶋っ・・・さん?」
「はいっ。」

レスリング部の5人は暫くの間あっけに取られていた。
無差別級の世界チャンピオンということで、大柄で屈強しかも生意気な男子中学生を想像していたからだ。

真新しいセーラー服に身を包んだ女の子を、まざまざと見つめる5人。
胸に付けたバッチをみると、確かに中等部の1年生だと分かる。
髪は短めで、やや幼さの残る可愛らしい顔をしている。
しかしながら体つきは大柄で、レスリング部で1番の長身、副部長の梶原とほぼ同じ背の高さ。
それにセーラー服の上からでも分かる胸の大きさ。
スカートのしたから覘く脚も、それなりに太くて鍛え上げられている感がある。

「あっ・・・・。初めまして。部長の山内吾朗です・・・。」
「中等部1年の藤嶋です。」
「まぁ・・・。とっ・・・、とりあえず中に入って。」
「はい。」

道場の中でひと通り自己紹介を終わらせた一同。
初対面の緊張もほぐれてきた。

「ホントびっくりしたよ。男の子だと思ってたから・・・。」
「すみません。私、竹中先生ともメールのやり取りだけで、直接会ったことはないので・・・。」
「女子チャンピオンだって分かってたら、もっとお洒落してきたのになっ。」
「はっはっはっはっ。」
「だってジュニアの世界大会は、無差別級の場合、男女の区別も無いから・・・・。」
「えっ、そうなの?」
「はい。ジュニアの場合、女の子が男の子に勝つことって珍しくないんです・・。」

思わぬ答えに一瞬思考回路が停止した5人。
目の前にいるこのカワイイ女の子が、男の子をやつけて世界チャンピオンになったとは、いまいち納得できない。

「じゃぁそろそろ練習を始めようか。」
「はいっ。」
「弥生ちゃんには悪いけど、体育館の女子更衣室を使ってくれるかな。」
「分かりました。」

先に着替えを済ませて待っている5人。
そこに、赤いレスリングユニフォームに身を包んだ弥生が戻ってきた。

ユニフォームに着替えたことで、その体格が一段と良く分かる。
童顔のかわいらしい顔とは裏腹のダイナマイトボディ。
170センチを越える堂々とした体格で、肩幅も大きく存在感は抜群。
まだ12歳だと言うのに、胸は大きく成長しており、ユニフォームからもはみ出しそうな勢い。
お尻から太腿に掛けては、ユニフォームがパンパンにはち切れるほどの迫力。
それでいてウエストやふくらはぎはそれなりに引き締まっている。
決して筋肉モリモリという訳ではないが、全体的にムチムチに鍛え上げられたスーパーボディだ。

「ゴクリッ。」
ちょっとした衝撃で、思わず唾を飲み込んだ5人。

「じゃぁまずは2人組みになって柔軟から。」

弥生とペアになったのは、高校1年生の酒井大輔。
まだレスリングを始めて3ヶ月の初心者だ。
恥ずかしがる素振りも見せず、股を割って座る弥生。
大輔はちょっと戸惑いながらも、弥生の肩に手をあてて押しながら、前屈をサポートする。
しかし、
「えっ?」
弥生の体は大輔に押されることもなく、マットにペタッとへばりつく。
柔軟体操はレスリングの基本。
小さい頃から続けている弥生にとっては当然のことだ。
大輔は結局、ただ弥生の肩に手を当てる以外やることが無かった。

「はいっ。次、交代ーっ。」
今度は大輔が股を割って座る。

肩に手を当てながら、弥生がゆっくりと圧力を掛けてくる。
柔らかい胸を背中に感じながら、頑張って前屈する大輔。
しかし体の硬い大輔は、前屈途中で膝の裏あたりの筋が限界に近付く。

「大丈夫ですか?」
「んーっ・・・・。もうすぐ限界・・・・。」
「まだしゃべれるんだから大丈夫ですよ。」

そう言うと一段と強く圧力を掛けてくる弥生。

「あっ・・・、つっ・・・・。」
ついに声が上がらなくなった大輔。
しかし3つも年下の女の子の手前、簡単に諦めるわけにはいかない。
冷や汗をかきながらも必死に耐える。

「もうひと頑張りです。せぇーのっ。はいっ!」
「ぐきっ。」

勢いをつけて背中を押した弥生。
すると大輔の胸は、マットにピタリと張り付いた。

「はい、終わりーっ。」
部長の声が道場内に響く。

「痛てててっ。」
膝の裏に手をやって痛がる大輔だが、その顔は充実感に満ちている。
苦手な柔軟運動を初めてクリアした喜びからだ。
それをサポートした弥生の顔からも、自然と笑みがこぼれる。

「次は、筋トレ行きます。」

道場の脇でトレーニングが始まる。
「1,2,3・・・」
まずは腹筋100回。
そして腕立て伏せ100回。
それぞれが、かなりのハイペースで繰り替えされる。
筋トレが苦手な3年生の鈴木が、みんなのペースから徐々に遅れていく。
しかし弥生は、時には笑顔を見せながら、みんなのペースに合わせていく。

「はいっ、最後は懸垂っ。」
道場の壁際にある鉄棒に、みんながぶら下がる。

「1,2、3・・・」
部長の掛け声に合わせてみんなが懸垂を繰り返す。
「48・・・・。49・・・・・・、50っ。はっ・・、はっ・・。ハイっ終わりっ。しばらく休憩。」

筋力トレーニングを終えて、みんなは休憩に入る。
レスリング部の5人はマットに横たわる。
汗びっしょりになりながら呼吸を整える。
しかし弥生は、汗をかいていないどころか、呼吸さえ乱れていない。

「先輩っ。鉄棒まだ使ってもイイですか?」
「えっ・・。構わないけど・・・・。」

そう言うと弥生は、休憩時間であるにも拘わらず、鉄棒にぶら下がった。
そして左手を離し、右手1本になると、静かに懸垂を始めた。

「1,2,3,4,5,6・・・・・・・。」
驚くべきスピードで懸垂を繰り返す弥生。
右手1本ながら、いつもの倍、いや3倍以上のスピードだ。
鉄棒全体がミシミシと音を立てている。
ただただ驚いてそれを眺めるだけの5人。

やがて手を持ち替え、今度は左手1本で懸垂を始める。
これまた驚くべきスピードだ。

「99、100っと。」
こうして左右それぞれ100回ずつの片手懸垂を終えた弥生。
わずかながら、汗ばんできたようだ。
部員のみんなも、ようやく弥生の実力が分かってきた。

「すっ、凄いねっ。弥生ちゃん。」
「あっ、ありがとうございます。小さい頃からやってるから。」
「いつもはもっと激しいの?」
「えぇ、まぁ…。」
「ごめんね。俺達じゃちょっと無理だわ…。」
「ぜッ、全然気にしないで下さい。」

何気ない会話をしながらしばらく休憩する一同。

「じゃぁ、時間もないし、そろそろ練習再開しようか。まずはペアを組んでタックルから。」
「はいっ。」
「攻める方は思い切って飛び込んで、受ける方はしっかりと受け身を取ってなっ。」
「はいっ。」
「弥生ちゃんの相手は、梶原がやってくれ。」
「あいよっ。」
弥生の実力を十分すぎるくらい理解した吾朗は、レスリング部でも実力NO1の梶原を相手に指名した。

「はっ、」
梶原が勢いよく飛び込んで両手タックルを繰り出す。
弥生の太腿あたりをしっかりと抱え込み、体重を掛けて倒しにいく。

「くっ…、ぐっ……。」
精一杯に力を入れる梶原だが、弥生はビクともしない。
ムチムチの太腿に抱きつき体重を掛けても、弥生はまったく動かない。
少女特有の甘い香りを感じながら、さらに力を入れる梶原。
柔らかい弥生の太腿に顔面をうずめて踏ん張る。
『もうだめだっ…。』
彼がそう諦めかけた瞬間、弥生の体がふっと軽くなった。

「バタンッ。」
キレイな受身で後方に倒れこんだ弥生。
タックルを仕掛けた方の梶原は息があがってしまった。

「攻守交替…。」

低く構える弥生。
呼吸を整えながらも、十分にタックルを警戒する梶原。
しかし…、

「フッ‥」
「どす〜〜ん!」

弥生の体が消えたかと思うと、次の瞬間には後方から激しくマットに叩きつけられていた梶原。
あまりのスピードに受身をとることすらできず、後頭部を強打してしまった。
意識が徐々に薄れていく……。

「すみませんっ。だっ、大丈夫ですか?」
「大丈夫か?」
慌てて駆け寄る部員達。
梶原は幸い大事には至らなかったものの、軽い脳震盪のため医務室で休むことになった。

「ごめんなさい。キレイに入っちゃいました。」
「弥生ちゃんが気にすることはないよ。練習に怪我はつき物だし。あいつも油断したんじゃないかな。」
「ホントすみませんでした。」
「だけど、こちらこそホントに申し訳ないね。」
「えっ?」
「どうも俺達じゃ、弥生ちゃんの練習相手にはならないみたいだ。」
「5つも年上で恥ずかしい話だけど、弥生ちゃん、俺達が思ってたよりずっと強いみたいだから…。」
「……。」

言葉も出ず黙ってしまった一同。
沈黙の時間が続く。

しばらくして時計を見た部長の吾朗が声を掛けた。

「そろそろスパーリングやるけど、弥生ちゃんはどうする?」
「……。」
その返答に注目する部員達。
「折角だから、私も一緒に混ぜて下さい。大丈夫。今度はしっかり手加減しますから。」

「はいっ。フォール」
審判をしていた吾朗の右手が上がる。
2年生の実力者根元も、さんざん弄ばれたあげくわずか30秒で軽々とフォールされる。

「はいっ。フォール」
部内で一番の巨漢90キロを誇る3年生鈴木も、完全な力負けで転がされ、最後は袈裟固めからのフォールで20秒殺。

「フォール」
レスリングを始めたばかりの大輔に至っては、その胸を合わせて押さえ混まれただけでまったく動けないありさま。

「バンッ、バンっ、バンバンバンッ。」
「ギブアップ、そこまでっ。」
部長の吾朗は、押さえ込まれたのが苦しくてフォールより先にギブアップしてしまう屈辱。

全力で立ち向かっていく高校生の部員達を、笑みを浮かべながら次から次へと仕留めていく中等部1年生の弥生。
十分に手加減しているものの、スピード、パワー、テクニックの違いは明らかだ。
部員達に、世界ジュニアチャンピオンたる実力の片鱗を見せつけていく。

やがて体力を使い果たし、動けなくなったレスリング部員たち。
マットに横たわったまま肩で息をしている。
一方の弥生は、腰に手を当てたまま呼吸すら乱れていない。
まだまだ余裕と言った感じだ。

ちらっと時計に目をやる吾朗。
「そっ、そろそろ5時だから最後の休憩。」
「キャプテン。俺達もうすぐ塾だから、これで失礼します。」
「お、お疲れさんっ。」
「弥生ちゃんまたねっ」
「お疲れ様です。」

こうして塾に向かった3人を見送り、道場には吾朗と弥生の2人だけが残った。

「ウチはやっぱり進学校だから、どうしても塾が優先になっちゃうんだ。」
「仕方ないですよね。」
「うん。だから水曜日の5時以降は、いつも俺と梶原の2人だけなんだ。」
「えぇ。知ってま…。」
「えっ、知ってた?」
「いっ‥、いえいえ…。ちょっと残念ですよねぇ。」
「……」

「弥生ちゃんはなんでレスリングを始めたの?」
「最初は、柔道をやってた幼馴染の男の子に負けたくなくって始めたんですけど、
そのうち道場の男の子達をやっつけるのが楽しくなってきちゃって。」
「ふーん。」
「私、体も大きい方だったから、年上の男の子でも平気でやっつけちゃって…。」
「へぇー。確かに弥生ちゃんに勝てる男の子って、そんなに居ないだろうねぇ。」
「小学校の4年生になったときに師匠にも勝っちゃったから、ウチの道場では一番強くなっちゃいました。」
照れ笑いを見せながら楽しそうに話をする弥生。

「今の目標は?ライバルとかは居るの?」
「アメリカにミーナっていう同じ歳の女の子が居るんですけど、ライバルは彼女です。」
「ふーん。」
「世界大会の決勝は必ず彼女が相手で、これまで負けたことはないんですけど、全部判定勝ちなんです。」
「判定勝ち…。でもちゃんと勝ってるんだ。」
「えぇ、まぁ一応ですけどね。だけど今度戦うときは、絶対フォール勝ちしてやろうって頑張ってます。」
「へぇー。そのミーナって子もすごく強いんだろうねぇ。」
「この前なんかエキシビションでプロレスのリングにあがっちゃって、相手になった新人男子レスラーを
秒殺して病院送りにしちゃったんですよ。」
「……。」
「大体、主催者側も問題ですよね。ミーナの相手を新人に任すなんて……。」
あまりにスケールの大きな話に、もはや笑うしかなくなってきた吾朗。

「でも何でそんなに強いのに、弥生ちゃんは俺達と練習しようって思った訳?」
「……。」
吾朗の質問に恥ずかしそうな顔を見せながら、何故か答えない弥生。
「何かあったの?」
「いっ、いや何でもないです。」
「……。」
明らかにこれまでとは違う雰囲気を見せる弥生だが、吾朗はこれ以上尋ねなかった。

「これからどうしようか?ちょっと早いけど、梶原はまだ医務室だし……、 相手も俺1人だと練習になんないから早めに終わろうか…。」
「…。吾朗先輩。最後に軽くスパー1本だけお願いしてイイですか?」
「あっ、あぁ分かった。こちらこそお願い。」
「はいっ。」
「でも、ちゃんと手加減してくれよっ。」
弥生はこの日いちばんの笑顔を見せた。

こうして2人きりになった道場で向かいスパーリングを始める吾朗と弥生。
素早いタックルで吾朗の懐に飛び込むと、弥生はそのまま彼を抱え上げ、マットの中央でそっと横に置いた。
彼女の思うがまま、何も抵抗できない吾朗。
弥生はそのまま上四方の体制で押さえ込む。
弥生の張ち切れんばかりの胸で押さえ込まれた吾朗は、十分に呼吸もできずマットを叩いてギブアップの意思表示をした。
それを見た弥生は、胸をやや上にあげて吾朗に呼吸させたが、何故か押さえ込んだ体制を解こうとしない。

「弥生ちゃん…。ギブアップだ…。そろそろ終わりにしよう。」
弥生に押さえ込まれたままそう話す吾朗だが、弥生は動かない。

「吾朗先輩…。」
弥生はそのままの体勢で、思いつめたようにゆっくりと話を始めた。

「……。先輩…、先週の日曜日に坂上の本屋で立ち読みしてましたよね。」
「えっ…。あっ、あぁ確かに…。」
「レスリングの雑誌を真剣に読みながら、練習のこととか考えてたんですか?」
「うっ、うん。それがどうかした?」
「私…。」
「…?」
「私、あの時先輩を本屋で見かけて、先輩のことが好きになっちゃったんです。」
「えっ………????」
「かわいらしくって男らしい顔で、真剣な眼差しが素敵で…。」
顔を真っ赤にしながら、そう話す弥生。

その瞬間、吾朗の頭の中ですべてが繋がった。
世界ジュニアチャンピオンの彼女が、わざわざ部活の練習に参加してきたこと。
塾があるために、梶原と2人で練習することの多い水曜日を狙ってきたこと。
そしてその梶原が、彼女のタックルで医務室送りにされたこと。
そのすべてが、自分を狙って彼女に仕組まれたことだったのだ。

「先輩っ。私のことどう思いますか?」
そう言いながらその柔らかくて大きな胸を顔面に押し付けてくる弥生。
踏ん張ってとりあえず彼女から逃れようとする吾朗だが、逃げれるどころか呼吸さえままならない。
ダイナマイトな胸を密着させゆっくり動かしながら、彼を攻め立てる弥生。
この上なく柔らかい感触と甘い香りが吾朗の脳味噌を直撃する。

今度はそのまま体をずらし、そのムチムチの太腿で彼の頭を優しく挟み込む弥生。
柔らかいながらも鍛え上げられた太腿は、吾朗に動く隙を与えない。
両手で彼女の太腿を持ち、その圧迫から逃れようとする吾朗だが、彼女の太腿はビクとも動かない。
彼女の甘い香りは、より一層強力に吾朗の脳を刺激する。
柔らかく、そして何よりも瑞々しく弾力性のある彼女の太腿は、もはや彼の心を支配していた。

「うっ……。」
次の瞬間、弥生の手が吾朗の股間に伸びてきた。
最後の力を振り絞って逃げようとする吾朗だが、世界チャンピオンの彼女がそれを許すはずがない。
彼の体はもはや彼女の思うがままなのだ。
逃げようとする意思とは逆に、どんどん大きくなっていく吾朗の股間。

「やっやめてくれっ…。」
そう懇願する吾朗だが、彼女は一向に聞く耳を持たない。
その太腿で彼の体をコントロールしながら、一方の手のひらでは柔らかく股間を撫でていく。
「あぁっ…。」
そのうち全身から力が抜けてきた吾朗。
「先輩。私のこのムチムチボディ。どうですか?」

弥生はまた姿勢を代え、今度は吾朗の顔面にまたがって完全に座り込んだ。
吾朗の両腕は彼女の脚でしっかりとロックされており、彼はもはや身動きひとつとれない。
迫力あるお尻で押さえつけられる吾朗。
もちろん十分に柔らかいが、脂肪の塊りのように柔らかすぎる訳ではなく、肌はぴちぴちと弾力に溢れている。
そのうち腰を動かして自分の股間を吾朗の顔面で刺激し始めた弥生。
吾朗の顔面は、彼女の股間がやや湿ってきていることを感じ取っていた。

「おっおぅ…。」
彼女の発する甘酸っぱい香りを胸一杯に吸い込み、吾朗の脳内はついに弥生一色となった。
弥生の柔らかいお尻。
瑞々しい肌。
ムチムチの太腿。
ぷるぷるのバスト。
そして、かわいらしいその顔。
それらを感じる度に、吾朗の股間は大きくなり、そして最大限に膨らんだ。

「ひっ…。」
今度は弥生が息を漏らした。
身動きの取れない吾朗が、その舌で弥生の股間を舐め始めたのだ。
道場の真ん中で快感の表情を見せ始めた2人。
そのうち弥生の手は、吾朗のユニフォームの中へと入り込んだ。
吾朗の舌も一段と激しく動き出した。

そしてその数分後。
2人はほぼ同時に逝き果ててしまった。

スパーリングを終え、マットの中央で話し込む吾朗と弥生。
2人の顔からは笑みがこぼれ、もはや誰の目から見ても恋人同士だ。

しばらくして時計に目をやった弥生。
「あっ…、いけない。そろそろ時間だ。先輩っ、ちょっと制服に着替えてきて。」
「えっ?」
訳も分からず、言われるがまま更衣室に入り、制服に袖を通す吾朗。
更衣室から道場に出ると、弥生の方も既に着替えを済ませていた。
先ほどまでの赤いユニフォームから変わって、今度は青いユニフォーム姿となっている。

「ガラガラッ。」
道場の扉が開いて、大柄な男達が次々と入ってくる。
「こんにちはっ。」
「う〜っっす。」
弥生と共に軽く挨拶を交わすものの、まったく訳の分からない吾朗。

「何なんだよっ、これは…?」
「彼らはウチの道場の連中よ。レスリングとか総合格闘技とかやってて、何人かはプロで活躍してるわ。」
「それがどうしてここに居るんだよ。」
「いいから…。私に話を合わせてくれればイイの。」

しばらくして大柄な男達8人は、更衣室でレスリングユニフォームに着替えて道場に戻ってきた。
一応のウォーミングアップを済ませる彼ら。

「それでは始めましょうか。」
弥生が声を掛ける。
「おうっ。」

「紹介しておきます。今日私達のためにこの道場を貸して下さったG学園高等部レスリング部の山内キャプテンです。」
「どうもっ。」
「ありがとなっ。弥生との練習は、広い場所じゃないと危ないからなっ。」
「はいっ。遠慮なく使って下さい…。」
「練習を見学してもらうけど、気にしなくてイイから。」
「了解っ。」

『そう言うことだから。』
そっと吾朗に耳打ちする弥生。

こうして屈強な男たちと弥生とのスパーリングが始まった。

真剣な眼差しで相手を見つめる弥生。
先ほどまでの笑顔溢れる表情とは別人のようだ。

「うっ…。」
男はタックルを仕掛けたが、すかさず上からつぶされる。
すると強烈な力でそのまま頭上に持ち上げられ、マットの上に激しく叩きつけられた。
「やぁっ。」
強烈なパワーボムに、男の体は軽くバウンドした。
男は間合いをおいて次に備えようと思ったが、彼女のスピードはそれを許さない。
電光石火の三角締めで男を締め上げる。
「パンパンパンっ。参った…。」
彼女の迫力ある太腿で締め上げられると、いかに鍛え上げられた男達でも3秒と我慢できないのだ。

ゆっくりと技を解き、立ち上がる彼女。
「はいっ。次っ。」

そう言うと2番目の男が彼女に向かって行った。
彼は攻めのタイミングを見計らい、激しく動き回るが、彼女のスピードについていけずササッと後方に回り込まれてしまう。
「グッ…。」
諦めて防御の体制を取り、重心を落とそうとする彼だが、その体は意思とは反対に徐々に持ち上げられていく。
「うぅ〜、アッ。」
「ドフッ。」
男の体がキレイな放物線を描いて肩からマットに叩き付けれられる。
見事なスープレックスだ。
あまりの衝撃で軽い脳震盪を起こしてしまった彼。
彼女がその手を離すと、力なくその場に横たわった。
いくら屈強な体を持つ男と言えども、彼女の前では子供同然なのだ。

「次っ。」
「しゃぁ〜。」

次から次へと向かっていく屈強な男達。
しかし弥生は、そういった男達をいとも簡単に投げ飛ばし仕留めていく。
わずか12歳の少女が、自分よりも大きな大人の男達を軽々と始末する。
初めてみせる弥生の姿に、吾朗は衝撃を隠せなかった。

「がっ、がーーーっ。」
最後に残った男を強烈なベアハッグで締め上げる弥生。
「パチパチパチパチっ。」
必死に手を叩いてギブアップを告げようとするが、弥生はその締め上げた手を外さない。
そして数秒が経過し、男が完全に気を失ったのを確認すると、弥生はようやくその男を解放した。

マット上に横たわる8人の男達。
そのいずれもが気を失うか眩暈に苦しむかの状態で、もはや動けるものは誰一人残っていない。

十分に汗ばみ、ひと仕事終えた感のある弥生が声を掛ける。
「今日の練習はここまで。じゃぁ吾朗先輩帰りましょうか。」
「うっ、うん…。」

こうして学校を後にする吾朗と弥生。
弥生の表情は、元の明るい笑顔へと戻った。
しかし吾朗の頭からは、男達をやっつけるときの弥生の姿が離れない。
『俺はこの先…、彼女の思うがままなんだなぁ…。彼女を怒らせたら殺されちゃうよ…。』
そう思いながらも、この最強の恋人を受け入れようとする吾朗であった。


おしまい

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