従妹の秘密

スポーツ関連の雑誌や女性向け雑誌にてインタビューを受け、
読者モデルとしてもデビューをした、従妹の佑。
今は、僕の母校である大学の学部生として、
専攻の栄養学を中心に、スポーツ関連の学問と勉強するかたわら、
日本の女子水泳界において、いつしかトップレベルの選手になっている。
来年度に院試を受ける為、レポートや課題にも力を入れている。
そんな彼女のインタビューを見て、僕はふと、昔のことを思い返していた。

小学校の頃から、自己防衛のための体術と、スイミングスクール、テニススクールに入っていたが、
第二次性徴をむかえ、思春期に入るとともに、その目的を大きく変えた。
彼女もまた、体重と自分の体つきについて悩みを抱えていたのだ。
院生の修士課程でスポーツ関連の学問を専攻していた僕は、
教授の補助をしながら、臨時講師として、学部生に講義することもあった。
また、教員としての研修を受ける為、同じ学園系列の女子校の、
当時17歳の従妹が通う高等部に、臨時教師として勤めたこともあった。
思春期の女子にありがちな悩みの相談や同性でなければ難しい指導はともかく、
(そのような指導は保健やスポーツ実技担当の女教諭が行なっていた。)
成長期にはむやみに痩せようとするのではなく適度な食事・運動・睡眠による
贅肉の付かないように努力することを重視した生活を心がけること、
BMIと体脂肪率の概念を教えた上で健全な身体育成に努めること等
異性でもできる指導については僕が担当していた。

中等部卒業後は、全てのスクールをやめ、水泳部での練習と付属のスポーツセンターでの鍛錬に集中し始めた。
潜在的な可能性は生まれついたものかもしれないが、
彼女の成長は、流した汗と努力の結晶であることに間違いないだろう。
BMI・基礎代謝・体脂肪率の管理の徹底と贅肉を落とし、つけないようにするための鍛錬の結果、
中学を卒業した頃には、身長190cm、体重76kgと
既に、日本における世界レベルのバレーボール選手でも稀な程に成長していたが、
身長の成長は止まったものの、それ以上の変化が彼女の体に如実に現れつつあって、
その後、学部生として僕の母校に入学した彼女を初めて見た時には言葉を失ったものだった。


僕が教えられるような事は、既に何一つなかった。
教えてきた事は全て自分のものにし、考慮した上で
彼女自身に合った独自のメニューを組み、続けてきたのは
過去の彼女の結果や成長の記録を見れば訊くまでもなく明らかだった。
今日は、周期としては激しいトレーニングは休むべき日に当たるらしく
しなやかさを失わない為のストレッチや軽度の有酸素運動をこなしている。
そんな彼女の様子を見ながら、今日は上がると言われるまで回想に耽るのだった。

中等部・高等部の6年間で随分と成長していた。
初めの頃は、体脂肪率20%以下を目標とし有酸素運動中心にすることや
無酸素運動は基礎代謝を高める程度に調節する事を提案したものだが
トレーニングを続けているうちに努力が実る喜びをおぼえたのだろう。
気にする様子は殆どなくなっていた。
学校では本気を出していないようだが、
定期的に大会の結果やその時点でのトレーニングの成果も
送ってくれるようになった。
高等部1年の頃には一般男性の平均数値を上回り、
一部、トップアスリートに並ぶ位まで記録を伸ばしていた。
特に、握力についてはぼかしていたが、高校2年の頃、
剣道で免許皆伝を受けた友人に勝っていたと言っていたので
その時には左右共に70kg以上にはなっていたのだろう。

柔らかな肌の下に、長年の鍛錬の賜物ともいえる筋肉。
女性らしい括れを中心とした上半身の逆三角形と下半身の三角形を下地に
柔らかな曲線を描き加えたような、彫刻のような美しさを秘めた体に、
少し力を込めれば逞しくしなやかに浮かび上がる。
中学生の頃にはダンサーのように締まっていた彼女の体も
少しずつふっくらと成長する。
強靭な大胸筋や靭帯を下地に自己主張をするバスト。
その大きさもサイズも輸入物に頼らざるを得ないほどで
優秀な選手に支給される奨励金等の4割以上を
スポーツウェア等衣服類に割くという彼女の話も納得だ。
そして、女性らしい柔らかさを纏った臀部やしなやかかつ逞しい四肢は
男性アスリート顔負けの逞しさを秘めている。

休養日を挟んで、今日はトレーニングの日。
ふと目をやると、ウォーミングアップを始めたところだ。
ダンベルカール30kg10セット、スクワット150kg20セット等、
彼女にとっては4割にも満たない重量だ。難なく、黙々とこなしていく。
無論、どんどん負荷と回数を増やしていく。
30分程のウォーミングアップを終えたところで、
一旦マシンによる有酸素運動を始めた。
やや軽めの物から始めて負荷を強くしていき、クールダウンにかけては少しずつ負荷を落とす。
そして、水分等の補給のために休憩した後、
今度は、少し重めのものを少しずつ行なっていく。
ダンベルカール80kg、スクワット250kg等から始めて10回ずつこなし、
少しずつ負荷をかけ、一通り行なった後は回数を増やし、
負荷を徐々に少なくしてクールダウン。
自分にあったやり方にアレンジしながらも基本には忠実なんだなと、
感心しながら見入っているうちにを終えていたらしく、
シャワーで汗を流すから先にプールに行っていてと言われたので
軽く準備運動をしながら待つ事にした。

高等部卒業後は、街で一番大きなスポーツセンターに行き
そのジムに併設されたプールに通い泳ぐようになった。
ここでは希望者にジムでも利用されているの器具の
共同購入サービスなどを提供している。物足りないと思ったり、
他人の目を気にしてしまう人向けのサービスだそうだ。
家にある倉庫の1つを改造してトレーニングルームを整備する事にしている彼女に
このスポーツセンターを紹介したのもそのためだ。
ふと、お待たせと声をかけられて振り向き
そして、以前よりも一層逞しくなった彼女の体が目に焼きついた。
初めて見た時は驚いた、長く逞しい脚。
逞しい脹脛も圧巻だが、何よりも、しなやかで逞しい太腿だ。
高校入学時も既にウエストより5cm以上太かったが、
今では70cmは優に超え、80cmにも迫っているかもしれない。
腕も、弾力のあるむちむちとした、それでいてしなやかな筋肉に満ちている。
上腕も二の腕も、アスリートや格闘家にもひけをとらない。
それでいて、足首も手首も普通の女性よりもやや太めという程度だ。
彼女は気性も優しく、基本的には実力行使などしないが、
やろうと思えば簡単に捻ってしまえるだろう。
 そんなことを考えながらマイペースに泳ぐ僕をよそに、
隣のコースで黙々と泳いでいる。ペースも速い。
50mプールを5往復しては少しペースを落とし次の5往復に備えを繰り返し、
黙々と泳いでいる。大学の帰りも、軽い有酸素運動とストレッチの日以外
最低2kmは泳ぐと言っていた位だ。心肺も当然強靭になっているだろう。
改めて、もう教えられるような事はもうないなと思うのだった。

僕の所属する大学院や母校の学部に限らず、
スポーツ推薦を受けて入学する学生には、
そこらの男性を上回る体躯の女性も増えてきている。
中には、佑のようにトップアスリートや格闘家を上回る人も多い。
体に対する考え方が変わってきたのだろう。
ただ痩せるだけでは失敗してしまうので、
基礎代謝量を上回らないように食事のバランスを考え
ジムやプールで鍛錬をする女性も多いのかもしれない。
ダンサーのような体型を目指し痩せようとする人向けの
各種スクール等も盛況しているようだ。
今は、同じくそういう女性である、僕の同期の女の子に
指導してもらうように頼んでいる。
お互いを高めあう為にも丁度いいと考えたからだ。


筋肉は比重が大きいので、過剰につけると水泳選手にとっては仇となることも多い。
佑もまた、オリンピックに出場でき、金メダルも取れたからと、
昨年の夏を最後に引退を決めた。
しかし、ジムでのアシスタントは、今も続けている。
マラソンランナーのような、太りにくい身体を目指していた人が
ストレス解消も兼ねてウェイトトレーニングを志すこともある。
そうした人の場合、腹筋が割れている事は寧ろ稀で
引き締まり、赤筋や体幹の筋肉が鍛えられた身体を
タンクトップにスパッツ等の薄着でさらし、各々のメニューを堂々とこなしている。
佑を介して、冷え性や身体のむくみで悩んでいた人からもお礼の手紙を頂いた事もある。
しかし、メニューに関しては自分によるものではなく、彼女が自己流にアレンジした上で
同性ならではの視点で皆さんのニーズに合うようなプログラムを考えているのだ。

以前読者モデルに選ばれるに当たって、3サイズを測る必要が出てきたので
良い機会だからとカーフや大腿、二の腕などの全身のサイズを測ったものだ。
その時掲載された記事の引用
>金メダル獲得を目標としているが、獲得を目処に引退することを表明。
>スポーツ理学、栄養学を専攻する予定とのこと。B120(90I)W64H112

あれから、どれ程成長したのかを知りたくて、測らせてもらった。
正座をしてもたわむ事はない太腿は84cmになっていた。
50cmは優にあるカーフや二の腕も、今後の鍛え方によってはウエストよりも太くなりそうだ。
40cmは優にある前腕も、しなやかな筋肉に満ちてはいるが、女性らしさは失っていない。
モデルのバイトをするようになってからは絞込みや赤筋の鍛錬を中心にしているらしく、
以前の、女性ビルダーのような顕著な盛り上がりはない。
それでも、たくましさとしなやかさ、力強さと女らしさを兼ね備えた体は今も健在だ。
バスト144cm チェスト(アンダー)112cm ウエスト56cm ヒップ128cm
この3サイズは、更新の為に正式に計測してもらった実寸値だが、
マスメディアでは公称という事にしている。
服は、読者モデルをしていた頃に紹介されたオーダーメイドショップで、
テレビ出演やモデルのギャラでまかなっている。
テレビ放送の裏方も候補に含めれば、決して就職で困る事もないだろう。
「(ダブルサイズについて)難しいと聞いたけど、思いのほか早かったです。水泳していたのも大きな要因かもしれませんね。」
「寧ろ、絞り込んだウエストと広くなった肩幅が、逆転しつつあることに驚きました。」
佑の出番が済んだところで、迎えに行く準備をしていると、丁度できたところで、偶然にも連絡が入った。

「迎えに来てもらえないかな?」
お互い既に大人になったけれど、今でも仲は変わらない。


おわり





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